民法26-2:「相続資格の喪失」相続できない人とは?相続欠格・廃除の違いと要件をわかりやすく解説!

この記事はこんな人におすすめ

✅ 相続人になれない場合ってどんなケース?
✅ 「相続欠格」と「相続人の廃除」の違いをサクッと知りたい
✅ 行政書士試験で民法(相続)を攻略したい!

目次

相続資格の喪失とは?

民法では、本来なら相続人となるはずの人が、「ある事情」によって相続できなくなることがあります。これを「相続資格の喪失」と呼びます。
相続資格の喪失には、大きく分けて以下の2つがあります。

それぞれ、意味や手続き、効果が異なるので、しっかり区別して覚えましょう。

相続欠格とは?【民法891条】

相続欠格とは、被相続人や他の相続人に対する重大な背信行為を行った者に対して、法律が当然に相続資格を奪う制度です。つまり、家庭裁判所などの手続きを経なくても、自動的に相続人になれなくなります。

相続欠格に該当する5つのケース

民法第891条で、以下のような行為をした者は相続欠格となります。

  1. 故意被相続人または先順位の被相続人他の相続人殺した・殺そうとして刑に処せられた者
  2. 被相続人が殺害されたと知っていながら、告発・告訴しなかった者
     ※是非弁別能力がない場合や、加害者が配偶者・直系血族である場合は除く
  3. 詐欺強迫で、被相続人遺言をする・撤回・取消し・変更をするのを妨げた者
  4. 詐欺強迫で、被相続人に無理やり遺言をさせる・撤回・取消し・変更させた者
  5. 遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した者1

🔹 ポイント!
相続欠格は「法律で当然に」発生するため、被相続人の意思や裁判所の判断は不要です。
また、相続欠格となった人の子(直系卑属)は、代襲相続が可能です(887条2項)。

相続人の廃除とは?【民法892条】

一方、相続人の廃除とは、被相続人に対して虐待や、重大な侮辱を加えたとき、または推定相続人にその他の著しい非行があったときに、被相続人が家庭裁判所に申し立てを行うことで、特定の相続人の資格を奪う制度です。(892条)。
対象となるのは遺留分を持つ推定相続人2に限られます。

廃除が認められる3つのケース

  • 被相続人に対して虐待をしたとき
  • 被相続人に対して重大な侮辱を加えたとき
  • その他、著しい非行があったとき

🔹 ポイント!
相続人の廃除は、必ず家庭裁判所の審判が必要です。
審判が確定すると、その推定相続人は相続資格を失います
なお、後で廃除の取消し894条)をすることも可能です。

相続欠格と相続人の廃除の違いを比較!

相続欠格相続人の廃除
対象すべての推定相続人遺留分を有する推定相続人(892条
効力発生欠格事由があれば法律上当然に発生被相続人からの排除請求による家庭裁判所の審判の確定により発生
取消し×不可可能(894条
代襲原因なる(887条2項本文
効力の及ぶ範囲当該被相続人に対する相続権のみ

まとめ

相続欠格」は刑罰や背信行為により当然に相続資格を失う制度
相続人の廃除」は被相続人が家庭裁判所に申立てて相続人を排除する制度です。

それぞれの違いを正確に理解しておくことが、行政書士試験の得点アップにつながります!

  1. 重要判例:相続人が相続に関する被相続人の遺言書を破棄または隠匿した場合において、相続人の当該行為が相続に関して不当な利益を目的とするものでなかったときは、当該相続人は、相続欠格者には当たらない(最判平9.1.28) ↩︎
  2. 推定相続人:相続が開始した場合に相続人となるべき者のこと ↩︎
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