民法29-2:「遺留分」とは?誰がどれだけ遺産をもらえるかをスッキリ解説

🔶この記事はこんな人におすすめ
  • 相続に関する基礎知識を知りたい方
  • 「遺留分」って何?と感じている相続初心者の方
  • 行政書士試験の民法対策をしている方
  • 相続トラブルを未然に防ぎたい方
目次

🔷遺留分とは?|法定相続人に保障された“最低限の取り分”

遺留分(いりゅうぶん)とは、法定相続人(兄弟姉妹を除く)に保障された最低限の遺産取得分のことです。

たとえば、被相続人(亡くなった方)が「全財産を愛人に譲る」と遺言書で指定しても、配偶者や子どもなどの法定相続人には、「最低限これだけはもらえます」と主張できる割合が認められているのです。

🔷誰がどれだけもらえる?|遺留分の割合

遺留分の割合は、法定相続人の構成によって異なります。
遺留分の対象となるのは、兄弟姉妹以外法定相続人です。

相続人の組み合わせ遺留分の割合
配偶者や子どもがいる場合財産全体の 1/2
直系尊属(親など)のみの場合財産全体の 1/3

※兄弟姉妹には遺留分はありません(1042条1項)。

🔷遺留分の計算方法|どの財産を基準にする?

遺留分の金額を計算するには、被相続人が持っていた財産の合計額を基準にします。
この「遺留分算定の基礎財産」は、次のように計算されます。

✅ 遺留分算定の基礎財産1043条1項)。

被相続人の財産の価額 計算式

被相続人の財産 相続開始時の財産 + 贈与した財産1 債務の全額

🔷遺留分が侵害されたらどうする?|遺留分侵害額請求とは

仮に、被相続人が残した遺言や生前贈与によって遺留分が侵害されていた場合
遺留分を持つ相続人(遺留分権利者)は、金銭による補償を請求することができます。

これを「遺留分侵害額請求」といいます(1046条1項)。

ポイントは、
👉 遺言そのものが無効になるわけではないということ。
遺留分を侵害している遺言でも、あくまで金銭で調整されるのです。

遺留分権利者およびその承継人は、受遺者・受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる(1046条1項)。

🔷遺留分の放棄もできる?|家庭裁判所の許可が必要

遺留分は、将来の相続に備えて事前に放棄することも可能です。
ただし、
家庭裁判所の許可が必要(1049条1項)。

また、放棄は個人ごとに行われるため、
👉 他の共同相続人の遺留分には影響しません(1049条2項)。

📝まとめ|遺留分は“もらえる最低保証”!知らないと損することも

遺留分は、相続トラブルを防ぐための「最低保証の制度」です。
特定の人に財産を集中させる遺言があっても、法定相続人は“最低限”の取り分を確保できます。

相続について正しく理解し、将来のトラブルや不安を避けましょう。

  1. 参考:贈与は相続開始前の1年間にしたものに限り算入されるのが原則であるが、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与したときは、1年前の日より前にしたものも参入される(1044条1項↩︎
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