会社法2-3:株式会社設立の瑕疵(失敗パターン)を完全整理!設立無効・不成立・不存在の違いとは?

この記事はこんな人におすすめ
  • 行政書士試験の「会社法」分野を重点的に勉強している方
  • 「設立無効」「株式会社の不成立」「株式会社の不存在」の違いがごちゃごちゃになっている方
  • 試験に出やすい「瑕疵ある会社設立」の知識を確実に押さえておきたい方
目次

株式会社設立の瑕疵とは?

株式会社を設立するには、定款の作成や登記など、決められた手続をしっかり踏まなければなりません。
しかし、これらの手続にミス(=瑕疵)があると、株式会社の成立が無効になる場合があります。ここでは、設立に関する瑕疵の種類として「設立無効」「会社の不成立」「会社の不存在」の3つを整理します。

設立無効とは?

株式会社の設立の登記が終わって「株式会社が成立した」状態になっていても、その設立手続に重大なミスがあった場合、裁判で「設立は無効」と判断されることがあります。
(例:定款の絶対的記載事項を欠く場合や、公証人による定款認証がない場合など)

本来、無効であれば、いつでも誰でもその主張をすることができるはずですが、会社はすでに活動を始めていて、取引先や社員など多くの利害関係者が存在するため、誰でもいつでも無効を主張できるわけではありません。
そのため、設立無効は、訴えによってのみ主張することができることとされています(828条1項柱書)。

設立無効の訴えの提訴期間は株式会社成立の日から2年以内に限られ(828条1項1号)、提訴権者も株主取締役執行役監査役清算人に限定されています(828条2項1号)。

そして、設立無効判決により、株式会社の設立は、将来に向かってその効力を失います(839条)。

ポイントまとめ
  • 主張方法:設立無効は裁判(設立無効の訴え)によってのみ主張可能(会社法828条1項)
  • 訴えられる期間:会社が成立してから2年以内(828条1項1号)
  • 訴えられる人:株主・取締役・執行役・監査役・清算人に限られる(828条2項1号)
  • 効果:裁判で設立無効とされた場合、将来に向かって効力を失う(839条)

会社の不成立とは?

会社の不成立とは、そもそも会社設立が最後まで完了しなかった場合のことです。つまり、登記に至らず、会社として誕生しなかったケースです。

この場合、発起人は、連帯して、設立に関してした行為についてその責任を負い、設立に関して支出した費用を負担しなければなりません(56条)。

ポイントまとめ
  • 設立手続きが途中で終わってしまった
  • この場合、発起人が連帯して責任を負う(会社法56条)
  • 設立にかかった費用も、発起人が負担する

会社の不存在とは?

会社の不存在とは、一見すると会社のように見えても、実際には設立手続がまったく整っておらず、誰が見ても明らかに「会社とは言えない」ような場合のことを指します。

例:定款も登記もしていないのに、勝手に「株式会社○○」と名乗っている

このような場合は、誰でも、いつでも「そんな会社は存在しない」と主張できます。

まとめ:3つの区別を覚えよう!

区分設立無効不成立不存在
登記未了外観上も会社でない
主張方法裁判いつでも主張可
主張できる人特定の関係者誰でも
主張期間成立から2年以内期限なし
効果将来に向かって効力を失う会社自体が成立していない最初から効力なし
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