会社法3-2:株式の内容とは?種類株式・譲渡制限株式などをわかりやすく解説

🎯 この記事はこんな人におすすめ
  • 行政書士試験で会社法を学習している方
  • 株式の種類や特徴を理解したい方
  • 「種類株式」や「譲渡制限株式」などの違いを明確にしておきたい方
  • 難しい法律用語に苦手意識がある方
目次

📝 株式の内容をわかりやすく解説!

株式会社は、定款で定めることで株式の内容を自由にカスタマイズすることができます。
その目的は、多様な経営支配の形や、柔軟な資金調達方法を実現するためです。

具体的には、次の2つの方法があります。

  • 株式全部の内容として特別な事項を定めること(107条1項
  • 内容の異なる複数の種類の株式を発行すること(種類株式)(108条1項

株式“全部”に共通する内容を定める(会社法107条1項)

定款によって、会社が発行するすべての株式に共通する特別な内容を定めることができます。
以下の3つが代表的です。

  • 譲渡制限株式
    株式を他人に譲渡するには、会社の承認が必要となる株式です。
    敵対的買収などを防ぐ目的で使われます。

  • 取得請求権付株式
    株主の側から、会社に「この株を買い取ってください」と請求できる権利が付いている株式です。
  • 取得条項付株式
    会社の側から、あらかじめ定めた一定の事由が生じた場合に、株主の同意なしに株式を取得できるタイプです。

内容が異なる種類の株式を発行する(種類株式)(会社法108条1項)

会社は、定款で定めれば内容の異なる複数の種類の株式(=種類株式)を発行することも可能です。
これにより、株主に対してさまざまな権利の差をつけることができます。

種類株式についても、譲渡制限株式、取得請求権付株式、取得条項付株式の3つを定めることができます。さらに次のようなものがあります。12

優先株・劣後株余剰金の配当残余財産の分配について異なる定めをした株式。
優先的な取り扱いをするもの→優先株
劣後的な取扱いを受けるもの→劣後株
議決権制限株式株主総会で議決権を行使できる事項について異なる定めをした株式。3
全部取得条項付株式その種類株式の全部を株主総会の特別決議で取得できる旨を定めた株式。
拒否権付株式株主総会の決定事項につき、当該決議に加えて、拒否権付株式を持っている者だけで構成される種類株主総会の決議も必要となる株式。
取締役・監査役の
選任権付株式
その種類株式を持っている株主だけで構成される種類株主総会で取締役監査役の選任をすることができる株式。45

✅ まとめ

株式会社は、定款によって株式の内容を柔軟に設計できます。
「株式全部」に共通する内容だけでなく、「種類株式」を発行することで、株主ごとの権利や義務を細かく調整可能です。
行政書士試験では、これらの株式の種類や特徴をしっかり区別して覚えておくことが大切です。

  1. 参考:種類株式を発行する場合には、各々の種類の株式について発行可能種類株式総数を定款で定めなければならない(108条2項)。 ↩︎
  2. 参考:1つの株式につき2個以上の議決権を有することを内容とする種類株式については、108条1項各号に挙げられておらず、発行することができない。 ↩︎
  3. 参考:株主総会の決定事項の全部について議決権を有しないことを内容とする株式を発行することもできる。 ↩︎
  4. 具体例:AとBが会社を設立した場合に、その出資割合に応じて選任したい取締役Aが2人選び、Bが1人選ぶような利用方法。 ↩︎
  5. 参考:取締役監査役の選任権付株式は、支配権乱用の危険が大きいことから、会社運営の自由度が高い非公開会社では発行できるが、指名委員会等設置会社と公開会社では発行することができない(108条1項但書)。 ↩︎
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