商法2-1:商行為の分類

目次

商行為の分類

商行為には、誰が行っても商行為となる基本的商行為と、商人がその営業のためにする行為である附属的商行為503条)がある。基本的商行為には、さらに絶対的商行為501条)と営業的商行為502条)の2種類に分類される。

商行為の分類図

---
config:
  theme: neutral
---
flowchart LR
商行為 --> 基本的商行為
基本的商行為 --> 絶対的商行為
基本的商行為 --> 営業的商行為
商行為 --> 附属的商行為

click 絶対的商行為 "https://gs.kabudata-dll.com/sh2-1/#絶対的商行為"
style 絶対的商行為 color:#1176d4
click 営業的商行為 "https://gs.kabudata-dll.com/sh2-1/#営業的商行為"
style 営業的商行為 color:#1176d4
click 附属的商行為 "https://gs.kabudata-dll.com/sh2-1/#附属的商行為"
style 附属的商行為 color:#1176d4

絶対的商行為

絶対的商行為とは、その行為の有する客観的な営利的性格から、当然に商行為とされるもののこと。

絶対的商行為は、501条が列挙している以下の4種類の行為をいう。

投機購買およびその実行行為利益を得て譲渡する意思をもってする動産・不動産・有価証券の有償取得または、取得したものの譲渡を目的とする行為(安く買って高く売る行為)1
登記売却およびその実行行為他人から取得する動産・有価証券の供給契約およびその履行のためにする有償取得を目的とする行為(高く売った後に安く買う行為)2
取引所においてなされる取引株式などの金融商品の取引を目的とする金融商品取引所などにおける取引
手形その他の商業証券に関する行為振出し3・裏書4・保証などの証券上の行為

営業的商行為

営業的商行為とは、営業目的で反復・継続してなす場合に、はじめて商行為となるもののこと。

営業的商行為は、502条で列挙している13種類の行為。

投機貸借およびその実行行為賃貸する意思をもってする動産・不動産の有償取得・賃借またはその賃借したものの賃貸を目的とする行為(例:物品のレンタル業など)
他人のための製造・加工に関する行為材料に労力を加えることを有償で引き受ける行為(例:クリーニング店など)
電気・ガスの供給に関する行為電気・ガスを供給することを有償で引き受ける行為
運送に関する行為物・人を場所的に移動させること(運送)を引き受ける行為
作業・労務の請負道路・建物の建設・建築や労働者の供給を請け負う行為
出版・印刷・撮影に関する行為文書などを印刷して販売することや印刷・撮影を引き受ける行為
場屋取引客に一定の設備を利用させることを目的とする取引(例:旅館・ゴルフ場など)
両替その他の銀行取引金銭・有価証券を受け入れたり給付したりする行為
保険対価を得て保険を引き受ける行為
寄託の引受け他人のために物の保管を引き受ける行為(例:倉庫業など)
仲立ち・取次ぎに関する行為他人間の法律行為の媒介を引き受けること(仲立ち)や、自己の名をもって他人の計算において法律行為をすることを引き受けること(取次ぎ)(例:不動産売買の仲介、結婚相談所など)
商行為の代理の引受け本人にとって商行為である行為の代理を引き受けること(例:保険代理店など)
信託の引受け特定の者が一定の目的に従い財産の管理・処分その他の当該目的の達成のために必要な行為をすべきものとすること

附属的商行為

附属的商行為とは、商人がその営業のためにする行為のこと。附属的商行為の具体例としては、営業資金に充てるためにお金を借ることなど。

なお、商人の行為は、その営業のためにするものと推定される(503条2項)。

  1. 重要判例:「取得したものの譲渡」とは、取得したものをそのまま譲渡することのみならず、製造・加工して譲渡する場合を含む(大判昭4.9.28) ↩︎
  2. 具体例:先物取引など ↩︎
  3. 振出し:手形・小切手を発行すること。 ↩︎
  4. 裏書:証券を譲渡すること。 ↩︎
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次