民法16-2:「債務引受」とは?併存的・免責的の違いをわかりやすく解説

✅ この記事はこんな人におすすめ
  • 「債務引受って何?」という初学者の方
  • 併存的債務引受と免責的債務引受の違いがよくわからない方
  • 行政書士試験で民法の「債務引受」が出題されたときに備えたい方
  • 債権譲渡との違いもあわせて理解したい方
目次

債務引受とは?意味と基本の仕組み

債務引受(さいむひきうけ)とは、「ある人の債務(借金など)を、別の人が代わって負うこと」をいいます。
つまり、元の債務者に代わって、引受人が新たな債務者となります。

似たような用語に「債権譲渡」がありますが、こちらは「債権者が債権を第三者に譲る」ものです。
一方の債務引受は、「債務(義務)を第三者が引き受ける」点で異なります。

債務引受には、大きく分けて次の2種類があります。

① 併存的債務引受とは?~元の債務者も引き続き責任あり~

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config:
  theme: neutral
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sequenceDiagram
autonumber
actor A(債権者)
actor B(債務者)
actor C(引受人)
A(債権者) ->> B(債務者):債務
B(債務者) -->> C(引受人):債務を引受
A(債権者) ->> C(引受人):債務

併存的債務引受(へいぞんてきさいむひきうけ)とは、引受人が、元の債務者と同じ内容の債務を引き受けることをいいます。この場合、元の債務者も債務から逃れたわけではなく、引受人と一緒に「連帯債務」を負うことになります470条1項)。

つまり、債権者は元の債務者にも引受人にも請求できる、というわけです。

ポイントとしては、以下のような点が挙げられます:

  • 債務者の同意がなくても成立する(470条2項
  • 債務者の意思に反していても債権者と引受人の契約で成立する
  • 保証契約に近い性質を持つ

📌 参考判例: 大判大15.2.25
この判例でも、債権者と引受人との契約のみで併存的債務引受が成立することが認められています。

② 免責的債務引受とは?~元の債務者は責任を免れる~

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  theme: neutral
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autonumber
actor A(債権者)
actor B(債務者)
actor C(引受人)
A(債権者) ->> B(債務者):債務
B(債務者) -->> C(引受人):債務を引受
note over A(債権者): 債権債務の関係から離脱
A(債権者) ->> C(引受人):債務

免責的債務引受(めんせきてきさいむひきうけ)とは、元の債務者に代わって、引受人がその債務をすべて引き受ける形です。

この場合、元の債務者は債務から解放(免責)されるため、債権者から請求されることはなくなります。

成立には条件があります:

  • 債権者引受人契約が必要
  • 債権者が債務者に「契約をした」と通知したときに効力が生じる(472条2項)。

つまり、債務者の知らないところで勝手に話が進むことはないということです。

また、重要な特徴として、

  • 引受人は元の債務者に対して求償権(あとから請求する権利)を持たない472条の3)。

という点があります。
あくまで「他人のために債務を引き受けただけ」で終わる関係なのです。

✅ 債務引受と債権譲渡の違いをおさらい

比較項目債務引受債権譲渡
対象債務(義務)債権(権利)
誰が移るか債務者の立場が第三者に移る債権者の立場が第三者に移る
主な当事者債務者、引受人、債権者債権者、譲受人、債務者
試験での注意点併存的か免責的かの区別が重要通知や承諾の要否に注意

✅ まとめ:債務引受のポイントはここ!

  • 債務引受には「併存的」と「免責的」の2種類がある
  • 併存的:債務者も引受人も支払う義務を持つ(連帯債務)
  • 免責的:債務者は責任を免れ、引受人だけが義務を負う(※通知が必要、求償なし)
  • 債権譲渡との違いをしっかり理解しよう!
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