民法7-8:「混同」とは?所有権と他物権の同一人への帰属を解説

この記事はこんな人におすすめ
  • 「混同」って何?物権がなぜ消えるのかを理解したい方
  • 地上権抵当権が関係する登記・権利関係に混乱している方
  • 行政書士試験で物権に関する問題が苦手な方
  • 判例や条文を踏まえた具体例で理解を深めたい方
目次

混同とは?ざっくり言うと「同じ人に集まると意味がなくなる権利」

混同(こんどう)とは、本来別々の人が持っているべき所有権と他の物権(地上権・抵当権など)が、同一人物に帰属することで、意味を失い消滅してしまうことをいいます(民法179条)。

事例1

Bは、もともとAが所有する土地について地上権の設定を受け、その土地を利用していました。
その後、BはAからその土地を買い取ることになりました。

この時、Bさんは「所有者(所有権を取得)」になると同時に、すでに持っていた「地上権者」でもある状態になります。

しかし、所有者は自由に使える権利(所有権)をすでに持っているため、あえて地上権抵当権のような「借りて使う権利」はいりません。

よって、Bさんの地上権は消滅します(179条1項本文)。これが「混同」です。

例外:第三者の権利がかかわっている場合は消えない!

【こんな場合は混同しない】
もし、その土地に対して第三者の抵当権が設定されていたら?
→ この場合、第三者の権利を守る必要があるため、地上権は混同で消えません(179条1項但書)。

例えば、A所有の土地やBの地上権に対して抵当権が設定されていた場合、Bの地上権は消滅しないことになります。

所有者と他物権の同一人への帰属

事例2

Aは、Bが所有する土地に地上権の設定を受け、その土地を使用していました。
その後、Aは父親CがDに対して有していた債権の担保として、この地上権に抵当権を設定しました。
その後、Cが死亡し、AがCの財産を単独で相続しました。

所有権以外の物権およびそれを目的とする他の権利(抵当権など)が同じ人に帰属した場合、当該権利は混同によって消滅します(179条2項前段)。例えば、事例2では、Cが所有していた抵当権は消滅することになります。

ただし、所有権以外の物権・他の権利が第三者の権利の目的のときは、当該権利は消滅しません(179条2項後段)。

例えば、Aの地上権を目的として第二順位の抵当権が設定されていた場合や、Cが有していた抵当権を目的として転抵当権が設定されていた場合には、Cの抵当権は消滅しないことになります。

占有権には混同は適用されないってホント?

混同の規定は、占有権には適用されません(179条3項)。

これは、占有権は、所有権その他の権利とは別の目的を持ち、所有権などとは独立して意味を持つ権利であるためです。

まとめ:混同のポイントを整理!

状況結果
所有権と他の物権が同一人に帰属他の物権は混同により消滅(179条1項)
第三者の権利がある場合消滅しない(例外あり)
所有権以外の物権同士の混同同じく混同で消滅(179条2項)
第三者の権利があるとき消滅しない(179条2項後段)
占有権混同の適用外(179条3項)

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