この記事はこんな人におすすめ
- 商法の基本を効率よく押さえたい行政書士試験の受験生
- 「商行為の分類」がなかなか頭に入らない方
- 絶対的商行為・営業的商行為・附属的商行為の違いを整理したい方
目次
商行為の分類とは?
商行為には、行為そのものに営利性があるため誰が行っても商行為とされる「基本的商行為」と、商人が営業のために行った場合に限り商行為とされる「附属的商行為(503条)」の2つがあります。
さらに、基本的商行為はその内容に応じて、次の2つに分類されます。
■商行為の分類図
--- config: theme: neutral --- flowchart LR 商行為 --> 基本的商行為 基本的商行為 --> 絶対的商行為 基本的商行為 --> 営業的商行為 商行為 --> 附属的商行為 click 絶対的商行為 "https://gs.kabudata-dll.com/sh2-1/#絶対的商行為" style 絶対的商行為 color:#1176d4 click 営業的商行為 "https://gs.kabudata-dll.com/sh2-1/#営業的商行為" style 営業的商行為 color:#1176d4 click 附属的商行為 "https://gs.kabudata-dll.com/sh2-1/#附属的商行為" style 附属的商行為 color:#1176d4
絶対的商行為とは?
絶対的商行為とは、その行為の有する客観的な営利的性格から、当然に商行為とされるもののことです。501条で次の4つが定められています。
投機購買およびその実行行為 | 利益を得て譲渡する意思をもってする動産・不動産・有価証券の有償取得または、取得したものの譲渡を目的とする行為(安く買って高く売る行為)1 (例:株や不動産の売買) |
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登記売却およびその実行行為 | 他人から取得する動産・有価証券の供給契約およびその履行のためにする有償取得を目的とする行為(高く売ってから安く仕入れる行為)2 (例:売却後に市場価格が下がったものを仕入れ直す場合など) |
取引所においてなされる取引 | 株式などの金融商品の取引を目的とする金融商品取引所などにおける取引 |
手形その他の商業証券に関する行為 | 振出し3・裏書4・保証などの証券上の行為 |
営業的商行為とは?
営業的商行為とは、それ自体には営利性があるとは限らないが、営業目的で反復継続して行う場合に限り商行為となる行為です。502条で次の13項目が列挙されています。
営業的商行為は、502条で列挙している13種類の行為。
投機貸借およびその実行行為 | 賃貸する意思をもってする動産・不動産の有償取得・賃借またはその賃借したものの賃貸を目的とする行為 (例:レンタル業、サブスクビジネス) |
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加工に関する行為 | 他人のための製造・材料に労力を加えることを有償で引き受ける行為 (例:クリーニング店、受託加工業) |
電気・ガスの供給に関する行為 | 電気・ガスを供給することを有償で引き受ける行為 (例:電力会社、都市ガス会社) |
運送に関する行為 | 物・人を場所的に移動させること(運送)を引き受ける行為 (例:宅配便、タクシー) |
作業・労務の請負 | 道路・建物の建設・建築や労働者の供給を請け負う行為 (例:建設業、労働者派遣業) |
出版・印刷・撮影に関する行為 | 文書などを印刷して販売することや印刷・撮影を引き受ける行為 (例:出版社、印刷会社、写真スタジオ) |
場屋取引 | 客に一定の設備を利用させることを目的とする取引 (例:ホテル、温泉旅館、スポーツジム) |
両替その他の銀行取引 | 金銭・有価証券を受け入れたり給付したりする行為 (例:銀行、両替商) |
保険 | 対価を得て保険を引き受ける行為 (例:保険会社の保険引受け) |
寄託の引受け | 他人のために物の保管を引き受ける行為 (例:倉庫業、トランクルーム) |
仲立ち・取次ぎに関する行為 | 他人間の法律行為の媒介を引き受けること(仲立ち)や、自己の名をもって他人の計算において法律行為をすることを引き受けること(取次ぎ)(例:不動産仲介業、結婚相談所) |
商行為の代理の引受け | 本人にとって商行為である行為の代理を引き受けること (例:保険代理店) |
信託の引受け | 特定の者が一定の目的に従い財産の管理・処分その他の当該目的の達成のために必要な行為をすべきものとすること (例:信託銀行) |
附属的商行為とは?
附属的商行為とは、商人がその営業のために行う行為で、営業に付随する商行為のことです(503条)。
たとえば、以下のような行為が該当します。
- 商人が営業資金のために金融機関から借金する
- 仕入れた商品を保管するために倉庫を借りる
※附属的商行為のポイントは、「商人であること」「営業のための行為であること」の2点です。
なお、商人の行為は、その営業のためにするものと推定されます(503条2項)。