行政法12-1:審査請求の流れと要件をやさしく解説|行政書士試験に出るポイントを徹底整理

🎯この記事はこんな人におすすめ
  • 「審査請求」の流れや手続きを理解したい行政書士受験生
  • 試験によく出る審査請求の要件を確認したい方
  • 択一や記述式で狙われるポイントを効率的におさえたい方
目次

📘審査請求の流れとその要件をわかりやすく解説!

行政庁の処分や不作為に対して不服がある場合、国民は「審査請求」によって争うことができます。ここでは、その手続きの流れと、審査請求をするための具体的な要件について、行政書士試験対策としてわかりやすくまとめます。

審査請求の基本的な流れ

審査請求の流れは次の3ステップで進みます。

  1. 要件審査(受理前チェック)
    要件を満たさない場合、審理に進まず却下されます。

  2. 審理(中身のチェック)
    → 要件を満たした場合、審査請求を受けた行政庁が請求に理由があるかどうかを審理

  3. 裁決(最終判断)
     → 結果を「裁決」という形で審査庁が示します。

✅審査請求が認められるための要件

審査請求には、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 処分または不作為が存在すること
  • 正当な当事者からなすこと
  • 権限を有する行政庁に対してなすこと
  • 審査請求期間になすこと
  • 形式と手続を遵守すること

処分または不作為が存在すること

  • 処分とは? 行政庁が行った法的効果を持つ行為。
  • 不作為とは? 一定期間内に行政庁が申請に対して適切な処理をしないこと。

処分がまだ行われていない段階や、申請すらしていないのに「不作為」として請求するのは不適法です。

正当な当事者による請求(不服申立適格)

審査請求は、処分や不作為によって不利益を受けた者だけができます。

①不服申立適格

審査請求は、行政庁の処分または不作為に対し不服のある者すべてに許されるわけではありません。審査請求の正当な当事者となるためには、不服申立適格を備えることが必要です。1

②共同請求人と総代

審理手続の迅速・円滑化を図るため、多数人が共同して審査請求をする場合、3人を超えない総代を互選して審査請求に関する行為を委任することができます。(11条1項)。

総代が選任されたときは、共同審査請求人は、総代を通じてのみ行為をすることになります(11条4項)。

総代は、各自、他の共同審査請求人のために、審査請求の取下げを除き、当該審査請求に関する一切の行為をすることができます(11条3項)。

③代理人
  • 請求人は活動能力を補充し便宜を与えるために、代理人を立てることができます(12条1項)。※代理人による審査請求の要件や代理人の資格は法定されていない

  • 代理人は、各自、審査請求人のために、当該審査請求に関する一切の行為をすることができますが、取下げは、特別の委任を受けた場合に限りすることができます(12条2項)。

権限ある行政庁へ請求すること

審査請求は、法律(条例に基づく処分については、条例)に特別の定めがある場合を除くほか、以下の行政庁に対してするものとされています(4条2項)。

  • 処分庁等に上級行政庁がない場合または
    処分庁等が主任の大臣、宮内庁長官、
    内閣府設置法49条1項・2項または国家行政組織法3条2項に規定する庁の長である場合
    ⇒当該処分庁等

  • 宮内庁長官または内閣府設置法49条1項・2項もしくは国家行政組織法3条2項に規定する庁の長が処分庁等の上級行政庁である場合
    ⇒宮内庁長官または当該庁の長

  • 主任の大臣が処分庁の上級行政庁である場合(の場合を除く)
    ⇒当該主任の大臣

  • 以外の場合
    ⇒当該処分庁等の最上級行政庁

審査請求期間内に行うこと

処分に対する請求には期限があります。一方、不作為については期限なしです。

①処分についての審査請求

処分についての審査請求においては、行政上の法律関係の早期安定の要請と国民の権利利益の実効的救済との調和の観点から、比較的短期の審査請求期間が法定されています。この期間を経過すると、審査請求をすることができなくなります。

主観的審査請求期間客観審査請求期間
原則処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内(18条1項本文2処分があった日の翌日から起算して1年以内(18条2項本文
例外①正当な理由があるとき
→審査請求期間を経過しても審査請求をすることができる(18条1項但書
②当該処分について再調査の請求をしたとき
→当該再調査の請求についての決定があったことを知った日の翌日から起算して1か月以内(18条1項かっこ書
①正当な理由があるとき
→審査請求期間を経過しても審査請求をすることができる(18条2項但書
②当該処分について再調査の請求をしたとき
→当該再調査の請求についての決定があった日の翌日から起算して1年以内(18条2項かっこ書
②不作為についての審査請求

不作為についての審査請求には、審査請求期間の規定がないので、不作為状態が継続している限りすることができる。

手続・形式のルールを守ること

①審査請求書の提出

審査請求は、他の法律・条例に口頭ですることができる旨の定めがある場合を除き、審査請求書を提出して行います(19条1項)。理由として、審査支給の存在や争点を明確にし、手続きを慎重に進めるためです。

②審査請求書の記載事項

審査請求書には、以下の事項を記載しなければならない。

  1. 処分の場合(19条2項
    1. 審査請求人の氏名・名称および住所・居所
    2. 審査請求に係る処分の内容
    3. 審査請求に係る処分(当該処分について再調査の請求についての決定を経たときは、当該決定)があったことを知った年月日
    4. 審査請求の趣旨および理由
    5. 処分庁の教示の有無およびその内容
    6. 審査請求の年月日

  2. 不作為の場合(19条3項
    1. 審査請求人の氏名・名称および住所・居所
    2. 当該不作為に係る処分についての申請の内容および年月日
    3. 審査請求の年月日
③審査請求書の補正

審査請求が不適法なものであるときは、本来は却下されるはずですが、すぐに却下するのでは、国民の権利救済の観点から行政不服審査制度を設けた意義が失われます。

そこで、審査請求書が19条の規定に違反する場合には、審査庁は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければなりません(23条)。

✍️まとめ

審査請求は、国民の権利を守るための大切な制度です。行政書士試験では、この流れや要件が頻出ポイントとして出題されるので、しっかり整理して覚えましょう。

  1. 法人でない社団または、財団で代表者または管理人の定めがあるものは、その名で審査請求をすることができる(10条)。 ↩︎
  2. 重要判例:「処分があったことを知った日」とは、処分がその名あて人に個別に通知される場合には、その者が処分のあったことを現実に知った日のことをいい、処分が個別の通知ではなく告示をもって多数の関係権利者等に画一的に告知される場合には、告示があった日のことをいう(最判平14.10.24) ↩︎
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