民法17-2:債権の消滅 – 代物弁済

目次

代物弁済

代物弁済とは?

代物弁済とは、弁済者が債権者との間で、債務者が負担している給付の代わりに他の給付をすることで債務を消滅させる契約を結び、その給付を実行した場合に、弁済と同じ効力を持つことをいいます(482条)。1

代物弁済の要件

代物弁済が成立するためには、次の要件を満たす必要があります。

  • 代物弁済契約がなされること
  • 本来の給付と異なる、他の給付がなされること
  • 給付が本来の弁済に代えてなされること

※本来の給付と代物弁済として提供されるものの価値が等しいことは、要件とはされていません。

代物弁済の効果

①債務の消滅

代物弁済が行われると、債務は消滅します。ただし、本来の弁済に代えて不動産の所有権を移転する場合には、当事者の意思表示だけでは不十分であり、登記を完了し、第三者に対する対抗要件を備えたときに初めて債務が消滅します(最判昭40.4.30)。2

②目的物が契約内容に適合しない場合

代物弁済は、債権の消滅と他の給付が対等な関係にある有償契約とされるため、代物弁済の目的物が契約内容に適合していない場合には、売買における担保責任の規定が準用(559条)され、担保責任を追及できる場合があります。

  1. 具体例:200万円の借金がある場合、現金がないので代わりに貴金属などを引き渡す場合 ↩︎
  2. 重要判例:債権者への所有権移転の効果は、176条に従い、代物弁済契約の意思表示によって生じる(最判昭57.6.4) ↩︎
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次