行政法17-2:「不作為の違法確認訴訟」とは?申請を放置されたときに取れる法的手段を解説!

この記事はこんな人におすすめ
  • 行政庁に申請をしたのに、いつまでも何の返答もない…
  • 行政書士試験の「行政事件訴訟法」の分野をしっかり理解したい!
  • 「不作為の違法確認訴訟」の意味とポイントを簡潔に知りたい!
目次

不作為の違法確認訴訟とは?

不作為の違法確認訴訟」とは、行政庁が法令に基づく申請に対して相当の期間内に何らかの処分や裁決をすべきにもかかわらず、何もしない(=不作為)という状態が違法であることを裁判所に確認してもらう訴訟です(3条5項)。1

たとえば、許認可や免許などを行政庁に申請したにもかかわらず、長期間にわたって何の判断も示されない場合、申請者の権利や利益が損なわれてしまうおそれがあります。

このような場合に、行政庁の「だんまり対応」が違法であることを確認することで、申請者の権利保護や、行政の事務処理の促進を図るのがこの訴訟の目的です。2

行政事件訴訟法の類型

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config:
  theme: neutral
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flowchart LR

 subgraph 取消訴訟以外の抗告訴訟
  無効等確認訴訟
  不作為の違法確認訴訟
  義務付け訴訟
  義務付け訴訟
  差止め訴訟
  仮の義務付け/仮の差止め
 end

 subgraph 取消訴訟
  処分取消訴訟
  裁決取消訴訟
 end


行政事件訴訟 --> 主観訴訟["主観訴訟<br>国民の個人的な<br>権利の保護"]
 主観訴訟 --> 抗告訴訟
  抗告訴訟 --> 法定抗告訴訟
   法定抗告訴訟 --> 処分取消訴訟
   法定抗告訴訟 --> 裁決取消訴訟
   法定抗告訴訟 --> 無効等確認訴訟
   法定抗告訴訟 --> 不作為の違法確認訴訟
   法定抗告訴訟 --> 義務付け訴訟
   法定抗告訴訟 --> 差止め訴訟
  抗告訴訟 --> 無名抗告訴訟 
 主観訴訟 --> 当事者訴訟
  当事者訴訟 --> 形式的当事者訴訟
  当事者訴訟 --> 実質的当事者訴訟
行政事件訴訟 --> 客観訴訟["客観訴訟<br>客観的な法秩序<br>の適正"]
 客観訴訟 --> 民衆訴訟
 客観訴訟 --> 機関訴訟

click 処分取消訴訟 "https://gs.kabudata-dll.com/gh16-1/"
style 処分取消訴訟 color:#1176d4
click 裁決取消訴訟 "https://gs.kabudata-dll.com/gh16-1/"
style 裁決取消訴訟 color:#1176d4
click 裁決取消訴訟 "https://gs.kabudata-dll.com/gh17-1/"
style 無効等確認訴訟 color:#1176d4
click 裁決取消訴訟 "https://gs.kabudata-dll.com/gh17-2/"
style 不作為の違法確認訴訟 color:#1176d4,fill:#ffb6c1
click 裁決取消訴訟 "https://gs.kabudata-dll.com/gh17-3/"
style 義務付け訴訟 color:#1176d4
click 裁決取消訴訟 "https://gs.kabudata-dll.com/gh17-4/"
style 差止め訴訟 color:#1176d4
click 仮の義務付け/仮の差止め "https://gs.kabudata-dll.com/gh17-5/"
style 仮の義務付け/仮の差止め color:#1176d4
click 当事者訴訟 "https://gs.kabudata-dll.com/gh18-1/"
style 当事者訴訟 color:#1176d4
click 形式的当事者訴訟 "https://gs.kabudata-dll.com/gh18-2/"
style 形式的当事者訴訟 color:#1176d4
click 実質的当事者訴訟 "https://gs.kabudata-dll.com/gh18-3/"
style 実質的当事者訴訟 color:#1176d4
click 民衆訴訟 "https://gs.kabudata-dll.com/gh19-1/"
style 民衆訴訟 color:#1176d4
click 機関訴訟 "https://gs.kabudata-dll.com/gh19-1/"
style 機関訴訟 color:#1176d4

「不作為の違法確認訴訟」を起こすための要件

原告適格(誰が訴えを起こせるか)

この訴訟の原告適格が認められるのは、処分・裁決についての申請をした者が訴えを起こすことができます(37条)。

その他の訴訟要件

以下の点については、取消訴訟のルールが準用されます(38条1項)。

  • 被告適格(誰を訴えるか):原則として、その処分・裁決をすべき権限を持つ行政庁(11条
  • 裁判管轄(どの裁判所が担当か):原則として、処分庁の所在地を管轄する地方裁判所または高等裁判所(12条

出訴期間に制限はある?

不作為の違法確認訴訟には、取消訴訟のような「出訴期間の制限(原則6か月)(14条)」はありません。

つまり、行政庁の不作為の状態が続いている限り、いつでも訴訟を提起できます。
この点が取消訴訟とは異なる大きなポイントです。

まとめ|行政の放置に対抗するための重要な訴訟手段

不作為の違法確認訴訟は、行政庁に申請を出したのに、放置され続けて困っている人にとって有効な法的手段です。
行政書士試験では、「訴訟類型の違い」や「準用条文」が問われやすいポイントなので、しっかり理解しておきましょう!

  1. 参考:行政手続法の定める標準処理期間を経過した場合でも、直ちに「相当の期限」が経過したことにはならない。 ↩︎
  2. 参考:不作為の違法確認訴訟は、単独で提起することができ、対象となる処分の義務付け訴訟を併合して提起する必要はない。 ↩︎
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