会社法3-4:出資単位の調整

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出資単位の調整

1株の価格(出資単位)が高すぎると個人投資家は手を出しにくくなり、1株の価格が低すぎると株主の数が多くなって事務処理の費用がかさんでしまう。そこで、1株の価格をいくらにするかは、会社にとって重要な問題となる。

そこで、出資単位を調製する手段として、①株式の併合、②株式の分割、③株式無償割当て、④単元株制度の4種類がある・

①株式の併合とは?

株式の併合とは、数個の株式を合わせて、それよりも少数の株式とすること(180条1項)。これにより、1株の値段を従来の倍以上にでき、株価をつり上げることができる。1

株式併合を行うためには、株主総会の特別決議が必要となる(180条2項309条2項4号)。このように厳格な手続が必要とされている理由は、例えば2株を1株にした場合に、もともと1株しか持っていない者は端数だけの株主となり、不利益を生じさせるため。

②株式の分割とは?

株式の分割とは、既存の株式を細分化して従来よりも多数の株式とすること(183条1項)。これにより、1株の値段を従来の半額以下とすることができ、価格が高すぎて市場で取引されにくい場合に、流通性を高めることができる。

株式の分割の場合、特に株主の利益を害しないので、株主総会の普通決議(取締役会設置会社の場合は取締役会会議)で行うことができる(183条2項)。2

③株式無償割当てとは?

株式無償割当てとは、株主に対して無償で(新たに払込みをさせずに)新株・自己株式の割当てをすることをいう。これにより、株式の分割をしたのと同様の効果が生じる。3

株式無償割当ては、株主総会の普通決議(取締役会設置会社の場合は取締役会会議)で行うことができる(183条3項)。

④単元株制度とは?

単元株制度とは、株式の一定数をまとめたものを1単元として、その1単元につき1個の議決権を認める制度のこと(例:100株を1単元とし、1個の議決権を認める等)。これは、株主総会の招集通知の発送等にかかる株主管理コストを削減するための制度。

単元株制度を採用しようとする会社は、その旨を定款で定める必要がある(188条1項)。

単元未達株主の権利

単元未満株主については、議決権は認められないので、株主提案権(303条)などの議決権を前提とする権利も認められない。ただし、剰余金配当請求権、残余財産分配請求権などの自益権は認められる(189条2項)。4

単元株制度の採用・廃止の手続

1単元の株式の数を増加する場合には、株主総会の特別決議による定款変更が必要(466条309条2項11号)。

これに対して、1単元の株式の数を減少する場合や、単元株制度を廃止する場合には、取締役の決定(取締役会設置会社では取締役会決議)により行うことができる(195条1項)。

まとめ

取締役会設置会社取締役会設置会社
株式併合株主総会の特別決議
(180条2項309条2項4号)
株式分割取締役会決議
(183条2項)
株主総会の普通決議
(183条2項)
株式無償割当て取締役会決議
(186条3項)
株主総会の普通決議
(186条3項)
単元株:採用・増加株主総会の特別決議による定款の変更が必要
(466条309条2項11号)
単元株:廃止・現象取締役会決議
(195条1項)
取締役の決定
(195条1項)
  1. 具体例:従来の2株を1株にする場合など。 ↩︎
  2. 参考:株主分割を行う場合、株主総会決議によらないで、発行可能株式総数を一定限度で増加させる定款変更をすることができる(183条2項)。 ↩︎
  3. 具体例:株主が保有している1株につき0.5株を無償で交付する場合など ↩︎
  4. 参考:単元未満株主は、定款の定めるところにより、自己の所有する単元未満株式の数と併せて単元株式となる数の株式を自己に売り渡すことを会社に請求できる(194条1項)。 ↩︎
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