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株主の監督是正権とは?
株式会社では「所有と経営の分離」がされているため、経営のチェックは主に取締役会や監査役が行います。とはいえ、彼らも株主総会で選ばれるので、多数派の意見が優先されがちです。そうなると少数株主の利益が守られない可能性がありますよね。
そこで、法律では株主個人にも「監督・是正」の権利(株主の監督是正権)が認められています。これにより、取締役の違法行為を止めたり、責任を追及したり、調査を求めたりすることが可能になります。
株主の監督是正権の具体的な3つの方法
①取締役の違法行為を差し止める(会社法360条)
取締役が株式会社の目的の範囲外の行為や、違法な行為、定款違反をしようとしている場合、株主はその行為を止めるよう請求できます(360条1項)。
差止め請求できる条件は?
- その行為によって会社に著しい損害が生じるおそれがあること
- 請求できるのは、以下のような株主です:(360条1項・2項)。
- 公開会社:6か月以上継続して株式を保有している株主
- 非公開会社:期間に関係なく株主であればOK
特例に注意!
- 監査等委員会設置会社や指名委員会等設置会社などでは、「回復することができない損害」が生じるおそれがある場合に限って差止め請求が可能になります(360条3項)。
② 株主代表訴訟を起こす(会社法847条)
役員間のなれ合い等で、会社が役員の責任を追及しない場合に、株主が代わりに訴訟(株主代表訴訟)を起こす制度です(847条)。
訴訟を起こせる株主は?
- 公開会社:6か月以上株式を保有している株主
- 非公開会社:保有期間の制限なし(847条1項・2項)。
まずは会社に請求する必要あり!
例外あり!
- 60日待っていたら会社に回復することができない損害が出るおそれがある場合は、すぐに訴訟を起こせます(847条5項)。
③ 業務執行検査役の選任を求める(会社法358条)
不正行為、重大な法令・定款違反の疑いがあるとき、裁判所に「検査役」の選任を求めることができます(358条1項)。
誰が申し立てできる?
- 総株主の議決権の100分の3以上を持つ株主
- 発行済株式(自己株式を除く)の100分の3以上を保有する株主
検査役ができること
まとめ:株主にも会社を守るための「武器」がある!
行政書士試験でもよく問われるこの分野では、「株主がどのように会社をチェックできるか」がポイントです。所有と経営が分離された株式会社において、少数株主が違法行為や不正を見逃さないために、「差止め」「代表訴訟」「検査役の申立て」という3つの手段を覚えておきましょう!