会社法4-4:株主総会の議事

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議事

株主提案権

株主には、以下のような権利が認められている。これらをまとめて株主提案権という。

  • 議題提案権
    一定の事項を議題とするよう請求する権利(303条1項

  • 議題提出権
    株主総会の会日において、株主総会の目的である事項について議案を提出する権利(304条

  • 議案の要領の通知請求権
    あらかじめ取締役に対して議案を提案して、それを招集通知に記載するよう請求する権利(305条1項

取締役等の説明義務

取締役等は、株主から説明を求められた場合には、必要な説明をしなければならない(314条本文)。

ただし、以下の場合には取締役は説明を拒むことができる。

  • 株主の質問事項が株主総会の目的である事項(議題)に関しないものである場合
  • その説明をすることにより株主の共同の利益を著しく害する場合
    (例:説明により企業秘密が外部に漏れる等)
  • 正当な理由がある場合として法務省令で定める場合
    (説明するのに調査が必要で、その場で回答するのが困難な場合等)

総会検査役

株式会社または総株主の議決権の100分の1以上の議決権を有する株主は、株主総会の招集手続・決議方法を調査させるため、当該株主総会に先立ち、裁判所に対し、検査役の選任を申立てすることができる(306条1項)。これにより選任された者を総会検査役という。

議事録

株主総会が終結した場合には、当該議事について議事録を作成しなければならない(318条1項)。1

そして、株主・会社債権者は、会社の営業時間内はいつでも、株主総会議事録の閲覧・謄写請求をすることができる(318条4項)。これに対して、親会社社員は、権利行使に必要なときに限り、裁判所の許可を得て、閲覧・謄写請求をすることができる(318条5項)。

決議の省略

ある提案について、議決権を行使できる株主全員が書面・電磁的記録によって同意の意思表示をしたときは、提案を可決する決議があったものとみなされる(319条1項)。

その場合、決議があったとみなされた日から10年間、同意の書面・電磁的記録を本店に備え置いて、株主等が閲覧できるようにしておく必要がある(319条2項~4項)。

議決権

1株1議決権の原則

各株主は、原則として、その有する1株について1個の議決権を持つ(308条1項本文)。これを1株1議決権の原則という。(※1株に複数の議決権を有する種類株式は発行できない)

ただし、次の場合には例外が認められている。

  • 単元未満株式
    単元株制度が採用されている場合、単元未満株式については議決権が認められない(308条1項但書
  • 議決権制限株式
    議決権制限株式を有する株主は、制限された事項について議決権を行使することができない(108条1項3号
  • 自己株式
    会社が保有する自己株式について、議決権が認められない(308条2項
  • 子会社の保有する親会社株式
    子会社が親会社株式を保有する場合、原則として、当該株式については議決権が認められない(308条1項本文かっこ書
  • 相互保有株式
    総株主の議決権の4分の1以上の議決権を保有されている会社(被支配会社)は、支配会社の株式について議決権を行使することができない(308条1項本文かっこ書

代理人による議決権行使

株主は、代理人によって議決権を行使することができる(310条1項前段)。2

この代理権の授与は、株主総会ごとにしなければならない(310条2項)。

議決権の不統一行使

株主は、有する議決権を統一しないで行使することができる(313条1項)。3

もっとも、これは他人のために株式を有する者のために必要とされる制度につき、会社は、他人のために議決権を有する者でない者が不統一行使をしたときは、これを拒むことができる(313条3項)。

書面投票・電子投票制度

会社側から、株主総会の招集通知に株主総会参考書類と議決権行使書面を添付して株主へ送付し、株主が議決権行使書面に必要な事項を記載し、総会直前の営業時間終了時までに会社に提出した場合には、議決権を行使したものと扱うことができる(311条1項)。これを書面投票制度という。4

また、この投票方式を電磁的方法によって行う場合、これを電子投票制度という(312条)。

  1. 参考:議事録は株主総会の日から本店に10年間、写しを支店に5年間備え置かなければならない(318条2項・3項本文)。 ↩︎
  2. 重要判例:株主総会において議決権を行使する代理人を株主に限る旨の定款の規定は、株主総会が第三者により撹乱されることを防止して、会社の利益を保護する趣旨に出た合理的理由による相当程度の制限であるから、有効である(最判昭43.11.1) ↩︎
  3. 具体例:信託会社が複数の委託者のために株式を保有しており、議決権の行使について、各委託者から個別に賛成や反対の指示を受けた場合など。 ↩︎
  4. 参考:株主が議決権行使書面を送付したあとで、当該株主が株主総会に出席して議決権を行使したときには、書面による議決権行使の効力は失われる。 ↩︎
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