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分割債権・債務
事例1
--- config: theme: neutral --- flowchart LR subgraph "100万円の貸金債務" B C end A("A<br>債権者<br>100万円貸し")-->D("50万円") D-->B("B<br>債務者") A-->E("50万円") E-->C("C<br>債務者") style D fill:none,stroke:none style E fill:none,stroke:none
B・Cは共同してAから100万円を借りた。その際に何も特約はしなかった。
債権者または債務者のいずれか一方が複数いる場合の債権・債務の関係については、平等の割合で分割される「分割債権」または「分割債務」が原則とされています(427条)。
たとえば、上の事例では、B・CがAに対して、それぞれ50万円ずつの貸金債務を負うことになります。
不可分債権・債務
事例2
--- config: theme: neutral --- flowchart LR subgraph "🚗" B C end A("A<br>債権者")-->D("引渡債務") D-->B("B<br>債務者") A-->E("引渡債務") E-->C("C<br>債務者") style D fill:none,stroke:none style E fill:none,stroke:none
B・Cは2人で共同して所有している自動車をAに売却し、代金の支払いも受けたが、未だに自動車を引き渡していない。
事例2では、B・Cの2人がAに対して自動車の引渡し債務を負っています。そのため、原則として分割債務となります。しかし、自動車を2つに割って引き渡すことはできず、Aからすれば、そのような引渡しは望ましくありません。
そこで、このように債務の目的が不可分である場合には、分割債務とはならず、債権者は債務者のうちの1人に対して、全部の履行を請求することができます(430条、436条)。このような関係を「不可分債務」といいます(債権者が複数の場合は不可分債権)。
不可分債権 | 不可分債務 | |
具体例 | ①共有物の所有権に基づく共有物返還請求権(大判大10.3.18) ②共同賃貸人の賃借人に対する賃料債権 | ①共有物の引渡し債務 ②共同して賃借した不動産の賃料支払債務(大判大11.11.24) |
対外的効力 | 各債権者はすべての債権者のために履行を請求し、債務者はすべての債権者のために各債権者に対して履行をすることができる(428条、432条) | 1人に対し、または同時もしくは順次にすべての債務者に対し履行を請求することができる(430条、436条) |
1人について生じた事由 | 履行の請求、相殺、弁済やこれに準ずる事由を除き、他の不可分債権者に対して効力を生じない(429条、428条、435条の2) | 更改、相殺、弁済やこれに準ずる事由を除き、他の不可分債務者に対して効力を生じない(430条、441条) |