民法17-2:【債権の消滅】代物弁済とは?わかりやすく要件・効果を解説

この記事はこんな人におすすめ
  • 民法の「債権の消滅」について基礎から整理したい方
  • 「代物弁済」の要件や効果をわかりやすく学びたい方
  • 行政書士試験で民法の得点力を高めたい方
目次

債権の消滅 ― 代物弁済とは?

代物弁済(だいぶつべんさい)とは、債務者が本来の弁済に代えて、別の給付をすることで債務を消滅させることをいいます(482条)。1

たとえば、商品代金として現金を支払う約束だったのに、代わりに車を渡して支払ったと認められた場合などが代物弁済にあたります。
このように、債権者と債務者が合意して「別のもの」を渡すことによって、本来の債務が弁済されたのと同じ効果が生じます。

代物弁済が成立するための要件

代物弁済が有効に成立するには、次の3つの条件を満たす必要があります。

  1. 代物弁済契約がなされること
     → 債権者と債務者の合意が必要です。

  2. 本来の給付とは異なる給付をすること
     → たとえば現金の代わりに車や不動産を渡すなど、種類の違うものが対象になります。

  3. 給付が本来の弁済に代えてなされること
     → 「代わりに渡す」という趣旨で行われる必要があります。

※なお、本来の給付と代物弁済として渡されるものの価値が同じである必要はありません。たとえ多少価値が異なっていても、代物弁済として有効です。

代物弁済の効果

①債務の消滅

代物弁済が行われると、債務は消滅します。ただし、本来の弁済に代えて不動産の所有権を移転する場合には、当事者の意思表示だけでは不十分であり、登記を完了し、第三者に対する対抗要件を備えたときに初めて債務が消滅します(最判昭40.4.30)。2

②目的物が契約内容に適合しない場合

代物弁済は、債権の消滅と引き換えに行われる有償契約です。
そのため、もし引き渡された目的物が契約内容に適合していない場合は、売買契約における担保責任のルール(559条)が準用されます。

たとえば、代物弁済で渡された中古車に重大な故障があった場合など、債務者に対して担保責任を追及することが可能です。

まとめ

  • 代物弁済とは、「別の給付」で債務を消滅させる制度
  • 成立には、契約・異なる給付・代替目的が必要
  • 不動産の場合は登記が必要!
  • 不適合な目的物には担保責任が適用される

行政書士試験では、単なる定義だけでなく、登記の要否や担保責任の準用といった細かい部分まで問われることがあります。しっかり理解しておきましょう!

  1. 具体例:200万円の借金がある場合、現金がないので代わりに貴金属などを引き渡す場合 ↩︎
  2. 重要判例:債権者への所有権移転の効果は、176条に従い、代物弁済契約の意思表示によって生じる(最判昭57.6.4) ↩︎
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