民法18-5:契約の解除

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契約の解除とは?

契約の解除とは、契約成立後に生じた一定の事由を理由に、契約の効力を一方的に消滅させる意思表示のこと。

この制度は、契約の拘束力によって生じる不利益を回避するための救済手段として設けられています。

解除の要件

契約の解除には、相当の期間を定めた催告が必要な場合と、無催告で解除できる場合があります。

  • 原則催告による解除541条本文1
    解除するには、まず相当の期間を定めて催告し、その期間を過ぎても債務が履行されない場合に限り、解除が可能となります。

    ※ただし、催告後の債務不履行が契約や取引上の社会通念に照らして軽微である場合には、解除することはできません(541条但書)。
  • 例外無催告解除が可能な場合542条
    • 債務が履行不能の場合2
    • 債務者が債務の履行を拒絶する意思を明確にした場合
    • 債務の一部が履行不能または債務者が債務の一部の履行を拒絶した場合において、残存部分のみでは契約をした目的を達成できないとき
    • 特定の日時または一定の期間内において履行しなければ、契約をした目的を達成できないとき
    • 債務者が債務の履行をせず、債権者が催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかな場合

解除の手続

契約の解除は、相手方に対する意思表示によって行われます(540条1項)。
また、一度行った解除の意思表示は撤回することができません(540条2項)。

さらに、契約当事者の一方が複数いる場合、解除は全員から、または全員に対してのみ行うことができます(544条1項)。そのため、解除権が当事者のうちの1人について消滅した場合、他の当事者についても消滅することになります(544条2項)。これを解除権の不可分性といいます。

解除の効果

解除権が行使されると、当事者は契約を解除した相手方を現状に復させる義務(原状回復義務)を負います(545条1項本文)。34

ただし、原状回復義務を理由として第三者の権利を害することはできません(545条1項但書)。

  1. 重要判例:期間を定めずに催告をした場合でも、催告後相当な期間が経過した後に解除すれば、その解除は有効である(大判昭2.2.2) ↩︎
  2. 重要判例:履行不能が確実となった場合、弁済期前であっても、解除をすることができる(大判大15.11.25) ↩︎
  3. 重要判例:特定物の売買契約における売主のための保証人は、特に反対の意思表示のない限り、売主の債務不履行により契約が解除された場合における売主の原状回復義務についても、保証の責任を負う(最大判昭40.6.30) ↩︎
  4. 重要判例:売買契約が解除された場合、目的物の引渡しを受けていた買主は、原状回復義務の内容として、解除までの間、目的物を使用したことによる利益を売主に返還すべき義務を負い、これは、全部他人物売買において、売主が目的物の所有権を取得して、買主に移転することができず、当該契約が解除された場合も同様である(最判昭51.2.13) ↩︎
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