この記事はこんな人におすすめ
- 民法「契約」の知識をしっかり身につけたい人
- 使用貸借契約と賃貸借契約の違いを押さえたい人
- 行政書士試験で頻出の契約類型を整理したい人
目次
使用貸借契約とは?
事例
--- config: theme: neutral --- sequenceDiagram autonumber actor A_貸主 actor B_借主 A_貸主 ->> B_借主:目的物(建物) B_借主 ->> B_借主:使用・収益 B_借主 ->> A_貸主:返還
AはBに対して、引っ越し先がみつかったら返してもらう約束で、自分の所有する建物を無償でかすこととし、Bにこの建物を引き渡した。
使用貸借契約とは、「貸主」がある物を無償で貸し、「借主」がそれを使用・収益した後、契約終了時に返還することを約束する契約です(593条)。
ポイントは「無償」で貸すこと。お金のやりとりがある賃貸借契約とは異なる点に注意しましょう。
使用貸借契約の効力
貸主の義務
貸主は、借主が目的物を使用・収益することを妨げないという消極的な義務を負います。
ただし、賃貸借契約と違って、目的物に不具合があっても修繕義務は基本的に負いません。
借主の義務
借主は、契約内容や目的物の性質に従って使用・収益しなければなりません(594条1項)。
また、貸主の承諾なしに第三者に使用・収益させることは禁止されています(594条2項)。
もしこれらに違反した場合、貸主は契約を解除すできるので注意が必要です(594条3項)。
使用中にかかる費用の償還
通常の必要な費用(たとえば軽い清掃や小さな修理費)は、借主が自分で負担します(595条1項)。
ただし、通常を超える特別な費用がかかった場合は、借主から貸主に対して償還請求が可能です(595条2項、583条2項、196条)。1
使用貸借契約の終了と返還時期
目的物の返還時期
使用貸借契約が終わるタイミングは、次のように整理できます。
- ①返還時期が決まっている場合
-
その時期に目的物を返還する必要があります。(597条1項)
- ②返還時期を決めていない場合
借主が死亡した場合
使用貸借契約は、貸主が借主を個人的に信頼して成り立つ契約なので、借主の死亡により当然終了します(597条3項)。
まとめ
使用貸借契約は「無償」で物を貸す特殊な契約です。
貸主・借主の義務や、契約終了のタイミングをしっかり押さえておきましょう!
行政書士試験でも、賃貸借契約との違いを問う問題が頻出なので、ポイントを整理しておくことが合格への近道です!
- 参考:有益費の償還の時期は使用貸借の終了時であり、貸主の請求により裁判所は相当の期限を許与することができる ↩︎