民法20-2:使用貸借契約とは?無償で貸す契約のポイントをわかりやすく解説!

この記事はこんな人におすすめ
  • 民法「契約」の知識をしっかり身につけたい人
  • 使用貸借契約と賃貸借契約の違いを押さえたい人
  • 行政書士試験で頻出の契約類型を整理したい人

目次

使用貸借契約とは?

事例
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  theme: neutral
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actor A_貸主
actor B_借主

A_貸主 ->> B_借主:目的物(建物)
B_借主 ->> B_借主:使用・収益
B_借主 ->> A_貸主:返還






AはBに対して、引っ越し先がみつかったら返してもらう約束で、自分の所有する建物を無償でかすこととし、Bにこの建物を引き渡した。

使用貸借契約とは、「貸主」がある物を無償で貸し、「借主」がそれを使用・収益した後、契約終了時に返還することを約束する契約です(593条)。
ポイントは「無償」で貸すこと。お金のやりとりがある賃貸借契約とは異なる点に注意しましょう。

使用貸借契約の効力

貸主の義務

貸主は、借主が目的物を使用・収益することを妨げないという消極的な義務を負います。
ただし、賃貸借契約と違って、目的物に不具合があっても修繕義務は基本的に負いません

借主の義務

借主は、契約内容や目的物の性質に従って使用・収益しなければなりません(594条1項)。
また、貸主の承諾なしに第三者に使用・収益させることは禁止されています(594条2項)。

もしこれらに違反した場合、貸主は契約を解除すできるので注意が必要です(594条3項)。

使用中にかかる費用の償還

通常の必要な費用(たとえば軽い清掃や小さな修理費)は、借主が自分で負担します(595条1項)。

ただし、通常を超える特別な費用がかかった場合は、借主から貸主に対して償還請求が可能です(595条2項583条2項196条)。1

使用貸借契約の終了と返還時期

目的物の返還時期

使用貸借契約が終わるタイミングは、次のように整理できます。

返還時期が決まっている場合

その時期に目的物を返還する必要があります。(597条1項

返還時期を決めていない場合
  • 使用目的が定まっている場合
    • 原則:目的に従った使用・収益の終わるときに返還します(597条2項
    • 例外:
      • ①使用・収益に必要な時期を経過したときは、貸主は契約の解除ができます(598条1項
      • ②借主はいつでも契約の解除ができます(598条3項

  • 使用目的が定まっていない場合
    貸主・借主のどちらも、いつでも契約を解除することができます(598条2項・3項

借主が死亡した場合

使用貸借契約は、貸主が借主を個人的に信頼して成り立つ契約なので、借主の死亡により当然終了します(597条3項)。

まとめ

使用貸借契約は「無償」で物を貸す特殊な契約です。
貸主・借主の義務や、契約終了のタイミングをしっかり押さえておきましょう!
行政書士試験でも、賃貸借契約との違いを問う問題が頻出なので、ポイントを整理しておくことが合格への近道です!

  1. 参考:有益費の償還の時期は使用貸借の終了時であり、貸主の請求により裁判所は相当の期限を許与することができる ↩︎
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