民法5:「条件」「期限」の押さえるべきポイントまとめ

目次

条件

条件とは?

条件とは、契約の効力が発生するかどうかを、不確実な事実に委ねる特約のことをいいます。

条件には、以下の2種類があります。

  • 停止条件: 条件が成就することで契約の効力が発生するもの
  • 解除条件: 条件が成就することで契約の効力が消滅するもの1

停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時点で効力が発生し(127条1項)、解除条件付法律行為は、解除条件が成就した時点でその効力を失います(127条2項)。

条件付法律行為の効果については、以下のとおりです。

停止条件解除条件
既成条件
131条
条件成就が既に確定無条件無効
条件成就無効無条件
不法条件
132条
条件が不法な場合、不法行為をしないことが条件無効
不能条件
133条
2
社会通念上実現が不可能な条件無効無条件
随意条件
134条
条件が債務者の意思のみに係る無効無効
条件が債権者の意思のみに係る有効

条件の成否未定の間の期待権

条件付法律行為の各当事者は、条件が成就するかどうかが未確定の間、条件が成就した場合に生じる相手方の利益(期待権)を害することはできません(128条)。

条件の成否未定の間の権利の処分

条件が成就するかどうかが未確定の間でも、当事者の権利や義務は、一般の規定に従って処分・相続・保存することができ、また、そのために担保を設定することも可能です(129条)。

条件成就の妨害

条件が成就すると不利益を受ける当事者が、故意にその条件の成就を妨げた場合、相手方は条件が成就したものとみなすことができます(130条1項)。

📌重要判例:最判昭36.5.26

法律上要求されている条件(法定条件)については、130条の規定は適用されない。

また、反対に、条件の成就すると利益を得る当事者が不正な方法で条件を成就させた場合、相手方は条件が成就していないものとみなすことができます(130条2項)。

期限

期限とは?

期限とは、契約の効力を発生させるか否かを、確実に訪れる事実に結び付ける特約のことです。、期限には、次の2種類があります。

  1. 確定期限 :到来する時期が確定しているもの
  2. 不確定期限:到来する時期が確定していないもの
📌重要判例:大判大4.3.24…「出世払い」は法律上どうなる?

いわゆる出世払債務は、不確定期限の付いた債務であるから、出世しないことが確定したときでも、返済の義務を免れるわけではない。

期限の到来の効果

  • 始期付きの法律行為(一定の時期が来たら効力が発生するもの)
    → 期限が到来するまで、履行を請求することはできません(135条)。

  • 終期付きの法律行為(一定の時期が来たら効力が消滅するもの)
    → 期限が到来すると、その法律行為の効力は消滅します(135条2項)。

期限の利益

期限は、原則として債務者の利益のために定めたものと推定されます(136条)。
債務者は、期限の利益を放棄することができますが、それによって相手方の利益を損なうことはできません(136条2項)。
ただし、以下の場合、債務者は期限の利益を主張できません(137条)。

  1. 債務者が破産手続開始の決定を受けた場合
  2. 債務者が担保を消滅・損傷・減少させた場合
  3. 債務者が担保を供する義務があるにもかかわらず、提供しない場合
  1. 停止条件の例えとして、「受験に合格したら時計をプレゼントする」など。解除条件は例えば「就職したら仕送りをやめる」など。 ↩︎
  2. 重要判例:最判昭31.4.6 債務者が品質良好と認めた場合に代金を支払う旨の条項は、債務者の意思のみに係る停止条件を定めたものとはいえず有効となる。 ↩︎
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