民法5:条件・期限とは?行政書士試験で狙われる民法の重要ポイント総まとめ

この記事はこんな人におすすめ!
  • 民法の「条件」「期限」の違いがよく分からない方
  • 条文(127条〜137条)のポイントを効率よく整理したい方
  • 行政書士試験で狙われやすい論点をサクッと確認したい方
目次

条件と期限の違いを押さえよう!

民法では、契約に関する「効力の発生」や「効力の消滅」が、ある出来事に結び付けられている場合があります。その出来事が「不確実かどうか」で、条件期限に分類されます。

条件とは?──不確実な出来事に結びつくもの

◆ 条件の基本定義

条件とは、「契約の効力を発生・消滅させるかどうかを、不確実な事実に結び付ける特約」のことです。

◆ 条件の種類は2つ

種類内容
停止条件条件が成就すれば効力が発生する(127条1項
解除条件条件が成就すれば効力が消滅する(127条2項1

停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時点で効力が発生し(127条1項)、
解除条件付法律行為は、解除条件が成就した時点でその効力を失います(127条2項)。

条件付法律行為の効果については、以下の表のとおりです。

停止条件解除条件
既成条件
131条
条件成就が既に確定無条件無効
条件成就無効無条件
不法条件
132条
条件が不法な場合、不法行為をしないことが条件無効
不能条件
133条
2
社会通念上実現が不可能な条件無効無条件
随意条件
134条
条件が債務者の意思のみに係る無効無効
条件が債権者の意思のみに係る有効

◆ 条件の成否がまだ不明な場合のルール

期待権の保護

条件付法律行為の各当事者は、条件が成就するかどうかが未確定の間、条件が成就した場合に生じる相手方の利益(期待権)を害してはいけません128条)。

権利の処分などは可能

条件が成就するかどうかが未確定の間でも、当事者の権利や義務は、一般の規定に従って処分・相続・保存することができ、また、そのために担保を設定することも可能です(129条)。

条件成就の妨害・不正成就

条件が成就すると不利益を受ける当事者が、故意にその条件の成就を妨げた場合相手方は条件が成就したものとみなすことができます(130条1項)。3

また、反対に、条件の成就すると利益を得る当事者が不正な方法で条件を成就させた場合、相手方は条件が成就していないものとみなすことができます(130条2項)。

期限とは?──確実に訪れる出来事に結びつくもの

◆ 期限の基本定義

期限とは、契約の効力を発生させるか否かを、確実に訪れる事実に結び付ける特約のことです。

◆ 期限の種類は2つ

期限には、次の2種類があります。

種類内容
確定期限到来する時期が確定しているもの
不確定期限到来する時期が確定していないもの4

◆ 期限の到来による効果

  • 始期付きの法律行為(一定の時期が来たら効力が発生するもの)
    👉 期限が到来するまで、履行を請求できない(135条)。

  • 終期付きの法律行為(一定の時期が来たら効力が消滅するもの)
    →👉期限の到来と同時に法律行為の効力はなくなる(135条2項)。

期限の利益

◆ 原則

  • 期限は、債務者の利益のためにあると推定されます(136条)。
  • 債務者は、期限の利益を放棄することも可能。ただし、相手方の不利益になる場合はNG(136条2項)。

◆ 期限の利益を主張できない3つのケース(137条)。

  1. 債務者が破産手続開始の決定を受けた場合
  2. 債務者が担保を消滅・損傷・減少させた場合
  3. 債務者が担保を供する義務があるにもかかわらず、提供しない場合

まとめ:試験では「条件」と「期限」の違いをしっかり押さえる!

比較項目条件期限
対象となる出来事不確実な出来事確実に到来する出来事
効力の変化成就で効力が発生または消滅到来で効力が発生または消滅
代表条文民法127134民法135137


  1. 停止条件の例えとして、「受験に合格したら時計をプレゼントする」など。解除条件は例えば「就職したら仕送りをやめる」など。 ↩︎
  2. 重要判例:最判昭31.4.6 債務者が品質良好と認めた場合に代金を支払う旨の条項は、債務者の意思のみに係る停止条件を定めたものとはいえず有効となる。 ↩︎
  3. 判例:法律上要求されている条件(法定条件)については、130条の規定は適用されない(最判昭36.5.26)。 ↩︎
  4. 判例:いわゆる出世払債務は、不確定期限の付いた債務であるから、出世しないことが確定したときでも、返済の義務を免れるわけではない(大判大4.3.24)。 ↩︎
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