この記事はこんな人におすすめ
- 「物権」の意味や種類がいまいちピンとこない受験生
- 一物一権主義・物権法定主義の違いがよくわからない人
- 民法の物権分野を短時間でおさらいしたい人
目次
物権とは?
物権とは、「物(もの)」に対する支配権です。たとえば、土地や建物といった物を直接的にコントロールし利益を享受できる権利を意味します。
つまり、「この土地は自分のもの」と主張できるような強い権利が物権です。
一物一権主義とは?
物権には排他性(他人を排除して使える力)があります。
そのため、ひとつの物に対して、同じ内容の物権が複数成り立つことはありません。
この原則を「一物一権主義(いちぶついっけんしゅぎ)」といいます。
例:Aさんの土地に、同時にBさんとCさんの“同じ内容の所有権”が成り立つことはない、という考え方です。
物権法定主義とは?
物権はとても強い権利なので、もしも人々が自由に物権を作れてしまうと、世の中が大混乱します。そのため、民法では次のようにルールを定めています。
民法第175条:物権は、この法律その他の法律に定めるもののほか、創設することができない。
つまり、「物権は法律に書かれているものしか作れないよ!」というのが物権法定主義(ぶっけんほうていしゅぎ)です。
物権の種類
物権は、いくつかの観点で分類することができます。
- 占有権と本権
- 占有権:物を現実に支配しているという事実状態(占有)に基づく権利
- 本権:占有を適法なものとする権利
- 所有権と制限物権
- 所有権:物を自由に使用・収益・処分できる権利
- 制限物権:使用・収益・処分のうち、いずれかが制限されている権利
- 制限物権の内訳
- 用益物権(他人の物を使用・収益する権利、処分権限は制限)
- 担保物権(他人の物を担保として処分する権利、使用・収益権限は制限)
このように、物権は支配の形態や制限の有無によって分類され、それぞれ異なる役割を持っています。
--- config: theme: neutral --- flowchart LR 物権-->本権("本権<br>占有を適法なものとする") 物権-->占有権("占有権<br>現実に物を支配") 本権-->所有権("所有権<br>自由に使用・収益・処分") 本権-->制限物権("制限物権<br>使用・収益・処分に制限") 制限物権-->用益物権("用益物権<br>他人の物を使用・収益<br>地上権・永小作権・地役権") 制限物権-->担保物権("担保物権<br>他人の物で自分債権の担保<br>留置権・先取特権・質権・抵当権・根抵当権・譲渡担保") click 占有権 "https://gs.kabudata-dll.com/mp8/" style 占有権 color:#1176d4 click 所有権 "https://gs.kabudata-dll.com/mp9/" style 所有権 color:#1176d4 click 用益物権 "https://gs.kabudata-dll.com/mp10-1/" style 用益物権 color:#1176d4 click 担保物権 "https://gs.kabudata-dll.com/mp11-1/" style 担保物権 color:#1176d4
まとめ
物権は、物に対して直接的に働く強力な権利です。
その性質から、「一物一権主義」や「物権法定主義」といったルールが設けられ、秩序が守られています。
また、物権の種類をおさえることで、民法の理解が一段と深まります。行政書士試験ではよく問われる分野なので、繰り返し確認しておきましょう!