行政法4-1:行政上の強制措置の概要行政上の強制措置とは?行政強制・行政罰の違いもわかりやすく解説!

目次

行政上の強制措置とは?

たとえ行政行為行政立法によって国民に義務が課されたとしても、国民がその義務に従わなければ、行政の目的は達成されません。
そこで、行政機関が国民に対して強制的に義務を履行させるための手段が必要となります。これが「行政上の強制措置」です。

行政上の強制措置には、大きく分けて次の2種類があります。

① 行政強制(将来に向けた実効確保)

行政強制は、将来に向けて行政目的を実現するための手段です。つまり、「義務を守らないとこうなるよ」という形で、行政が強制的に行動を取ることで、国民に義務を履行させます。

行政強制には、さらに次の2つの種類があります。

  • 行政上の強制執行
    行政上の義務に違反している国民に対し、行政機関が自らまたは第三者を通じてその義務を実現させる手段です。
    例:違法な建築物の撤去命令に従わない場合、行政が自ら撤去を行うなど。
  • 即時強制
    義務の不履行があるかどうかに関係なく、緊急に公共の安全や秩序を守るために行政が直接実力を行使するものです。
    例:交通整理中の危険な行動に対して、即時に排除するなど。

② 行政罰(過去の違反行為への制裁)

行政罰は、すでに発生した法令違反に対して科される制裁です。将来に向けての義務履行を求めるのではなく、違反行為そのものを罰する目的で行われます。

行政罰には、以下のようなものがあります。

  • 過料(かりょう):刑罰とは異なる、軽微な違反に科される金銭的制裁
  • 行政刑罰:刑法上の罰則と同様に、罰金や懲役などが科されるもの

行政上の強制措置の概要

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config:
  theme: neutral
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flowchart LR
 行政上の強制措置(行政上の<br>強制措置)--将来-->行政強制(行政強制)
 行政強制--義務の不履行あり-->行政上の強制執行(行政上の強制執行)
 行政上の強制執行-->代執行(代執行)
 行政上の強制執行-->執行罰(執行罰)
 行政上の強制執行-->直接強制(直接強制)
 行政上の強制執行-->行政上の強制徴収(行政上の強制徴収)
 行政強制--義務の不履行なし-->即時強制(即時強制)
 行政上の強制措置--過去-->行政罰(行政罰)
 行政罰--重い-->行政刑罰(行政刑罰)
 行政罰--軽い-->秩序罰(秩序罰)

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まとめ

区分内容目的具体例
行政強制義務の履行を強制する手段将来の行政目的の実現強制執行即時強制
行政罰過去の違反に対して制裁を科す違反行為へのペナルティ過料行政刑罰

行政上の強制措置は、「将来の義務履行を確保するか(行政強制)」と「過去の違反に制裁を与えるか(行政罰)」で目的が異なります。違いをしっかり押さえておくことが、行政書士試験の得点アップにつながります!

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