行政法3-1:行政行為とは?わかりやすく分類・具体例・効力まで徹底解説

📌この記事はこんな人におすすめ!
  • 「行政行為って何?どこまでが行政行為なのか分かりにくい」と感じている方
  • 行政行為の種類(命令的行為・形成的行為など)や具体例を整理したい方
  • 行政行為の「効力」について、よく問われるポイントを押さえたい方
  • 行政書士試験で出題される「行政法」の基本事項を確実に理解したい方
目次

行政行為とは?【行政書士試験での超基本】

行政行為とは、行政庁が法律に基づいて一方的に特定の国民に対して権利義務を変動させる行為のことをいいます。
この行政行為は、法律用語としては「処分」と呼ばれることもあります。

▶行政行為の特徴

行政行為には、以下のような他の行政活動と異なる特徴があります:

比較対象違い
行政立法(条例など)一般的・抽象的な法律効果を持つ
行政指導法的効果を持たない「事実行為」
行政契約相手方の同意が必要

👉つまり、行政行為は「個別・具体的」であり、「一方的に法的効果を生じさせる行為」なのです。

行政行為は、国民の権利義務に影響を与えるため、「法律による行政の原理法律の留保の原則」により、法律の根拠が必要とされます。

行政行為の分類【法律行為的と準法律行為的】

行政行為は、その効果の発生のしかたによって、次の2つに大別されます:

  1. 法律行為的行政行為
  2. 準法律行為的行政行為

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.法律行為的行政行為

行政庁意思表示そのものが、法的効果を直接生み出すタイプです。
さらに次の2種類に分けられます。

(1)命令的行為:自由の制限・義務の課し方

命令的行為は、もともと国民が持つ自由を制限したり、義務を課したり、解除したりする行為です。以下の4種類があります:

命令的行為

意味具体例
下命国民に対して一定の行為をする義務を課す行為課税処分、違法建築物の除去命令
禁止国民に対して一定行為をしてはならない義務を課す行為道路の通行禁止、営業の停止命令
許可すでに法令又は行政行為によって課されている一般的な禁止を特定の場合に解除する行為1風俗営業の許可、飲食店の営業許可、火薬類輸入の許可、自動車の運転免許、医師の免許
免除既に法令又は行政行為によって課されている作為義務2を、特定の場合に解除する行為児童の就学義務の免除、納税義務の免除

(2)形成的行為:新たな権利や地位を創出・変更

形成的行為は、行政庁が新しい法的地位を与えたり取り上げたりする行為です。次の3種類があります:

形成的行為

意味具体例
特許人が生まれながらにもっていない新たな権利や法律上の地位を特定の人に付与する行為3外国人の帰化の許可、河川や道路の占有許可、電気事業の許可、鉱業権設定の許可、公益法人設立の許可、公有水面の埋立免許
認可私人の法律行為を補充して、その法律上の効果を完成させる行為土地改良区設立の認可、公共料金値上げの認可、ガス供給約款の認可、銀行の合併の認可、農地の権利移転の認可、河川占有権の譲渡の承認
代理第三者のなすべき行為を行政主体が代わって行い、その第三者が自ら行ったのと同じ効果を生じさせる行為土地の収用裁決

2.準法律行為的行政行為

行政庁意思表示によらず、事実の認定や判断を示すことにより、法律によって法的効果が発生する行為です。以下の4つがあります:

命令的行為

意味具体例
確認特定の事業や法律関係の存否について判断する行為のうち、法律関係を確定する効果が認められるもの当選人の決定、所得税額の決定、建築確認、審査請求の採決、発明の特許
公証特定の事実や法律関係の存在を公に証明する行為のうち、法律の規定により一定の効果が発生することとされているもの選挙人名簿への登録、戸籍への記載
通知相手方に対して一定の事項を知らせる行為のうち、法律の規定により一定の効果が発生することとされているもの納税の督促
受理相手方の行為を有効なものとして受け付ける行為のうち、法律の規定により一定の効果が発生することとされているもの各種申請・不服申立ての受理

行政行為の種類まとめ

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config:
  theme: neutral
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flowchart LR
  行政行為(行政行為)-->法律行為的行政行為(法律行為的<br>行政行為)
 法律行為的行政行為-->命令的行為(命令的行為<br>・下命<br>・禁止<br>・許可<br>・免除)

 法律行為的行政行為(法律行為的<br>行政行為)-->形成的行為(形成的行為<br>・特許<br>・認可<br>・代理)

 行政行為(行政行為)-->準法律行為的行政行為(準法律行為的行政行為<br>・確認<br>・公証<br>・通知<br>・受理)

行政行為の効力【これが問われる!】

行政行為には、私人間の契約や行為にはない「公権力としての特別な効力」があります。以下の4つは頻出なので押さえておきましょう。4

  1. 公定力
    行政行為が違法であっても直ちには無効とならず、それが取り消されない限り有効なものとして扱われる効力

  2. 不可争力
    一定期間を経過すると、私人の側から行政行為の効力を争うことができなくなる効力

  3. 執行力
    行政庁は行政行為の内容を自力で実現することができるという効力

  4. 不可変更力
    行政庁は一度行った行政行為を自ら変更することができないという効力

まとめ:行政行為は行政法の基本中の基本!

行政行為は、行政法を学ぶ上で避けて通れない重要テーマです。
種類・具体例・効力を体系的に覚えることで、行政書士試験でも確実に得点できます。

  1. 許可を受けないで行われた法律効果も有効である ↩︎
  2. 用語:一定の行為をする義務のこと ↩︎
  3. 参考:許可の場合は、本来自由であるはずの行為が法令により規制されているので、行政庁の裁量の幅は狭い。これに対し、特許の場合は、私人の本来的自由に関わるものではないので、行政庁の裁量の幅は広い。 ↩︎
  4. 重要判例:行政行為の効力は、法令が特段の定めをしている場合を除き、相手方が現実にこれを了知し、または相手方の了知すべき状態に置かれたときに発生する(最判昭29.8.24) ↩︎
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