【条文】地方自治法 第二編 普通地方公共団体②

目次

第十一章 情報システム

(情報システムの利用に係る基本原則)
第二百四十四条の五 普通地方公共団体は、その事務を処理するに当たつて、事務の種類及び内容に応じ、第二条第十四項及び第十五項の規定の趣旨を達成するため必要があると認めるときは、情報システムを有効に利用するとともに、他の普通地方公共団体又は国と協力して当該事務の処理に係る情報システムの利用の最適化を図るよう努めなければならない。
2 普通地方公共団体は、その事務の処理に係る情報システムの利用に当たつて、サイバーセキュリティ(サイバーセキュリティ基本法(平成二十六年法律第百四号)第二条に規定するサイバーセキュリティをいう。次条第一項において同じ。)の確保、個人情報の保護その他の当該情報システムの適正な利用を図るために必要な措置を講じなければならない。

第十二章 国と普通地方公共団体との関係及び普通地方公共団体相互間の関係

第一節 普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与等

第一款 普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与等

(関与の意義)
第二百四十五条 この章並びに第二百五十二条の二十六の三第一項及び第二項において「普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与」とは、普通地方公共団体の事務の処理に関し、国の行政機関(内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四条第三項に規定する事務をつかさどる機関たる内閣府、宮内庁、同法第四十九条第一項若しくは第二項に規定する機関、デジタル庁設置法(令和三年法律第三十六号)第四条第二項に規定する事務をつかさどる機関たるデジタル庁、国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関、法律の規定に基づき内閣の所轄の下に置かれる機関又はこれらに置かれる機関をいう。以下この章において同じ。)又は都道府県の機関が行う次に掲げる行為(普通地方公共団体がその固有の資格において当該行為の名宛人となるものに限り、国又は都道府県の普通地方公共団体に対する支出金の交付及び返還に係るものを除く。)をいう。
一 普通地方公共団体に対する次に掲げる行為
イ 助言又は勧告
ロ 資料の提出の要求
ハ 是正の要求(普通地方公共団体の事務の処理が法令の規定に違反しているとき又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害しているときに当該普通地方公共団体に対して行われる当該違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことの求めであつて、当該求めを受けた普通地方公共団体がその違反の是正又は改善のため必要な措置を講じなければならないものをいう。)
ニ 同意
ホ 許可、認可又は承認
ヘ 指示
ト 代執行(普通地方公共団体の事務の処理が法令の規定に違反しているとき又は当該普通地方公共団体がその事務の処理を怠つているときに、その是正のための措置を当該普通地方公共団体に代わつて行うことをいう。)
二 普通地方公共団体との協議
三 前二号に掲げる行為のほか、一定の行政目的を実現するため普通地方公共団体に対して具体的かつ個別的に関わる行為(相反する利害を有する者の間の利害の調整を目的としてされる裁定その他の行為(その双方を名宛人とするものに限る。)及び審査請求その他の不服申立てに対する裁決、決定その他の行為を除く。)

(関与の法定主義)
第二百四十五条の二 普通地方公共団体は、その事務の処理に関し、法律又はこれに基づく政令によらなければ、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与を受け、又は要することとされることはない。

(関与の基本原則)
第二百四十五条の三 国は、普通地方公共団体が、その事務の処理に関し、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与を受け、又は要することとする場合には、その目的を達成するために必要な最小限度のものとするとともに、普通地方公共団体の自主性及び自立性に配慮しなければならない。
2 国は、できる限り、普通地方公共団体が、自治事務の処理に関しては普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与のうち第二百四十五条第一号ト及び第三号に規定する行為を、法定受託事務の処理に関しては普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与のうち同号に規定する行為を受け、又は要することとすることのないようにしなければならない。
3 国は、国又は都道府県の計画と普通地方公共団体の計画との調和を保つ必要がある場合等国又は都道府県の施策と普通地方公共団体の施策との間の調整が必要な場合を除き、普通地方公共団体の事務の処理に関し、普通地方公共団体が、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与のうち第二百四十五条第二号に規定する行為を要することとすることのないようにしなければならない。
4 国は、法令に基づき国がその内容について財政上又は税制上の特例措置を講ずるものとされている計画を普通地方公共団体が作成する場合等国又は都道府県の施策と普通地方公共団体の施策との整合性を確保しなければこれらの施策の実施に著しく支障が生ずると認められる場合を除き、自治事務の処理に関し、普通地方公共団体が、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与のうち第二百四十五条第一号ニに規定する行為を要することとすることのないようにしなければならない。
5 国は、普通地方公共団体が特別の法律により法人を設立する場合等自治事務の処理について国の行政機関又は都道府県の機関の許可、認可又は承認を要することとすること以外の方法によつてその処理の適正を確保することが困難であると認められる場合を除き、自治事務の処理に関し、普通地方公共団体が、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与のうち第二百四十五条第一号ホに規定する行為を要することとすることのないようにしなければならない。
6 国は、国民の生命、身体又は財産の保護のため緊急に自治事務の的確な処理を確保する必要がある場合等特に必要と認められる場合を除き、自治事務の処理に関し、普通地方公共団体が、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与のうち第二百四十五条第一号ヘに規定する行為に従わなければならないこととすることのないようにしなければならない。

(技術的な助言及び勧告並びに資料の提出の要求)
第二百四十五条の四 各大臣(内閣府設置法第四条第三項若しくはデジタル庁設置法第四条第二項に規定する事務を分担管理する大臣たる内閣総理大臣又は国家行政組織法第五条第一項に規定する各省大臣をいう。以下この章から第十四章まで及び第十六章において同じ。)又は都道府県知事その他の都道府県の執行機関は、その担任する事務に関し、普通地方公共団体に対し、普通地方公共団体の事務の運営その他の事項について適切と認める技術的な助言若しくは勧告をし、又は当該助言若しくは勧告をするため若しくは普通地方公共団体の事務の適正な処理に関する情報を提供するため必要な資料の提出を求めることができる。
2 各大臣は、その担任する事務に関し、都道府県知事その他の都道府県の執行機関に対し、前項の規定による市町村に対する助言若しくは勧告又は資料の提出の求めに関し、必要な指示をすることができる。
3 普通地方公共団体の長その他の執行機関は、各大臣又は都道府県知事その他の都道府県の執行機関に対し、その担任する事務の管理及び執行について技術的な助言若しくは勧告又は必要な情報の提供を求めることができる。

(是正の要求)
第二百四十五条の五 各大臣は、その担任する事務に関し、都道府県の自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該都道府県に対し、当該自治事務の処理について違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを求めることができる。
2 各大臣は、その担任する事務に関し、市町村の次の各号に掲げる事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該各号に定める都道府県の執行機関に対し、当該事務の処理について違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを当該市町村に求めるよう指示をすることができる。
一 市町村長その他の市町村の執行機関(教育委員会及び選挙管理委員会を除く。)の担任する事務(第一号法定受託事務を除く。次号及び第三号において同じ。) 都道府県知事
二 市町村教育委員会の担任する事務 都道府県教育委員会
三 市町村選挙管理委員会の担任する事務 都道府県選挙管理委員会
3 前項の指示を受けた都道府県の執行機関は、当該市町村に対し、当該事務の処理について違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを求めなければならない。
4 各大臣は、第二項の規定によるほか、その担任する事務に関し、市町村の事務(第一号法定受託事務を除く。)の処理が法令の規定に違反していると認める場合、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認める場合において、緊急を要するときその他特に必要があると認めるときは、自ら当該市町村に対し、当該事務の処理について違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを求めることができる。
5 普通地方公共団体は、第一項、第三項又は前項の規定による求めを受けたときは、当該事務の処理について違反の是正又は改善のための必要な措置を講じなければならない。

(是正の勧告)
第二百四十五条の六 次の各号に掲げる都道府県の執行機関は、市町村の当該各号に定める自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該市町村に対し、当該自治事務の処理について違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。
一 都道府県知事 市町村長その他の市町村の執行機関(教育委員会及び選挙管理委員会を除く。)の担任する自治事務
二 都道府県教育委員会 市町村教育委員会の担任する自治事務
三 都道府県選挙管理委員会 市町村選挙管理委員会の担任する自治事務

(是正の指示)
第二百四十五条の七 各大臣は、その所管する法律又はこれに基づく政令に係る都道府県の法定受託事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該都道府県に対し、当該法定受託事務の処理について違反の是正又は改善のため講ずべき措置に関し、必要な指示をすることができる。
2 次の各号に掲げる都道府県の執行機関は、市町村の当該各号に定める法定受託事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該市町村に対し、当該法定受託事務の処理について違反の是正又は改善のため講ずべき措置に関し、必要な指示をすることができる。
一 都道府県知事 市町村長その他の市町村の執行機関(教育委員会及び選挙管理委員会を除く。)の担任する法定受託事務
二 都道府県教育委員会 市町村教育委員会の担任する法定受託事務
三 都道府県選挙管理委員会 市町村選挙管理委員会の担任する法定受託事務
3 各大臣は、その所管する法律又はこれに基づく政令に係る市町村の第一号法定受託事務の処理について、前項各号に掲げる都道府県の執行機関に対し、同項の規定による市町村に対する指示に関し、必要な指示をすることができる。
4 各大臣は、前項の規定によるほか、その所管する法律又はこれに基づく政令に係る市町村の第一号法定受託事務の処理が法令の規定に違反していると認める場合、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認める場合において、緊急を要するときその他特に必要があると認めるときは、自ら当該市町村に対し、当該第一号法定受託事務の処理について違反の是正又は改善のため講ずべき措置に関し、必要な指示をすることができる。

(代執行等)
第二百四十五条の八 各大臣は、その所管する法律若しくはこれに基づく政令に係る都道府県知事の法定受託事務の管理若しくは執行が法令の規定若しくは当該各大臣の処分に違反するものがある場合又は当該法定受託事務の管理若しくは執行を怠るものがある場合において、本項から第八項までに規定する措置以外の方法によつてその是正を図ることが困難であり、かつ、それを放置することにより著しく公益を害することが明らかであるときは、文書により、当該都道府県知事に対して、その旨を指摘し、期限を定めて、当該違反を是正し、又は当該怠る法定受託事務の管理若しくは執行を改めるべきことを勧告することができる。
2 各大臣は、都道府県知事が前項の期限までに同項の規定による勧告に係る事項を行わないときは、文書により、当該都道府県知事に対し、期限を定めて当該事項を行うべきことを指示することができる。
3 各大臣は、都道府県知事が前項の期限までに当該事項を行わないときは、高等裁判所に対し、訴えをもつて、当該事項を行うべきことを命ずる旨の裁判を請求することができる。
4 各大臣は、高等裁判所に対し前項の規定により訴えを提起したときは、直ちに、文書により、その旨を当該都道府県知事に通告するとともに、当該高等裁判所に対し、その通告をした日時、場所及び方法を通知しなければならない。
5 当該高等裁判所は、第三項の規定により訴えが提起されたときは、速やかに口頭弁論の期日を定め、当事者を呼び出さなければならない。その期日は、同項の訴えの提起があつた日から十五日以内の日とする。
6 当該高等裁判所は、各大臣の請求に理由があると認めるときは、当該都道府県知事に対し、期限を定めて当該事項を行うべきことを命ずる旨の裁判をしなければならない。
7 第三項の訴えは、当該都道府県の区域を管轄する高等裁判所の専属管轄とする。
8 各大臣は、都道府県知事が第六項の裁判に従い同項の期限までに、なお、当該事項を行わないときは、当該都道府県知事に代わつて当該事項を行うことができる。この場合においては、各大臣は、あらかじめ当該都道府県知事に対し、当該事項を行う日時、場所及び方法を通知しなければならない。
9 第三項の訴えに係る高等裁判所の判決に対する上告の期間は、一週間とする。
10 前項の上告は、執行停止の効力を有しない。
11 各大臣の請求に理由がない旨の判決が確定した場合において、既に第八項の規定に基づき第二項の規定による指示に係る事項が行われているときは、都道府県知事は、当該判決の確定後三月以内にその処分を取り消し、又は原状の回復その他必要な措置を執ることができる。
12 前各項の規定は、市町村長の法定受託事務の管理若しくは執行が法令の規定若しくは各大臣若しくは都道府県知事の処分に違反するものがある場合又は当該法定受託事務の管理若しくは執行を怠るものがある場合において、本項に規定する措置以外の方法によつてその是正を図ることが困難であり、かつ、それを放置することにより著しく公益を害することが明らかであるときについて準用する。この場合においては、前各項の規定中「各大臣」とあるのは「都道府県知事」と、「都道府県知事」とあるのは「市町村長」と、「当該都道府県の区域」とあるのは「当該市町村の区域」と読み替えるものとする。
13 各大臣は、その所管する法律又はこれに基づく政令に係る市町村長の第一号法定受託事務の管理又は執行について、都道府県知事に対し、前項において準用する第一項から第八項までの規定による措置に関し、必要な指示をすることができる。
14 第三項(第十二項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の訴えについては、行政事件訴訟法第四十三条第三項の規定にかかわらず、同法第四十一条第二項の規定は、準用しない。
15 前各項に定めるもののほか、第三項の訴えについては、主張及び証拠の申出の時期の制限その他審理の促進に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。

(処理基準)
第二百四十五条の九 各大臣は、その所管する法律又はこれに基づく政令に係る都道府県の法定受託事務の処理について、都道府県が当該法定受託事務を処理するに当たりよるべき基準を定めることができる。
2 次の各号に掲げる都道府県の執行機関は、市町村の当該各号に定める法定受託事務の処理について、市町村が当該法定受託事務を処理するに当たりよるべき基準を定めることができる。この場合において、都道府県の執行機関の定める基準は、次項の規定により各大臣の定める基準に抵触するものであつてはならない。
一 都道府県知事 市町村長その他の市町村の執行機関(教育委員会及び選挙管理委員会を除く。)の担任する法定受託事務
二 都道府県教育委員会 市町村教育委員会の担任する法定受託事務
三 都道府県選挙管理委員会 市町村選挙管理委員会の担任する法定受託事務
3 各大臣は、特に必要があると認めるときは、その所管する法律又はこれに基づく政令に係る市町村の第一号法定受託事務の処理について、市町村が当該第一号法定受託事務を処理するに当たりよるべき基準を定めることができる。
4 各大臣は、その所管する法律又はこれに基づく政令に係る市町村の第一号法定受託事務の処理について、第二項各号に掲げる都道府県の執行機関に対し、同項の規定により定める基準に関し、必要な指示をすることができる。
5 第一項から第三項までの規定により定める基準は、その目的を達成するために必要な最小限度のものでなければならない。

第二款 普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与等の手続

(普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与の手続の適用)
第二百四十六条 次条から第二百五十条の五までの規定は、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与について適用する。ただし、他の法律に特別の定めがある場合は、この限りでない。

(助言等の方式等)
第二百四十七条 国の行政機関又は都道府県の機関は、普通地方公共団体に対し、助言、勧告その他これらに類する行為(以下本条及び第二百五十二条の十七の三第二項において「助言等」という。)を書面によらないで行つた場合において、当該普通地方公共団体から当該助言等の趣旨及び内容を記載した書面の交付を求められたときは、これを交付しなければならない。
2 前項の規定は、次に掲げる助言等については、適用しない。
一 普通地方公共団体に対しその場において完了する行為を求めるもの
二 既に書面により当該普通地方公共団体に通知されている事項と同一の内容であるもの
3 国又は都道府県の職員は、普通地方公共団体が国の行政機関又は都道府県の機関が行つた助言等に従わなかつたことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。

(資料の提出の要求等の方式)
第二百四十八条 国の行政機関又は都道府県の機関は、普通地方公共団体に対し、資料の提出の要求その他これに類する行為(以下本条及び第二百五十二条の十七の三第二項において「資料の提出の要求等」という。)を書面によらないで行つた場合において、当該普通地方公共団体から当該資料の提出の要求等の趣旨及び内容を記載した書面の交付を求められたときは、これを交付しなければならない。

(是正の要求等の方式)
第二百四十九条 国の行政機関又は都道府県の機関は、普通地方公共団体に対し、是正の要求、指示その他これらに類する行為(以下本条及び第二百五十二条の十七の三第二項において「是正の要求等」という。)をするときは、同時に、当該是正の要求等の内容及び理由を記載した書面を交付しなければならない。ただし、当該書面を交付しないで是正の要求等をすべき差し迫つた必要がある場合は、この限りでない。
2 前項ただし書の場合においては、国の行政機関又は都道府県の機関は、是正の要求等をした後相当の期間内に、同項の書面を交付しなければならない。

(協議の方式)
第二百五十条 普通地方公共団体から国の行政機関又は都道府県の機関に対して協議の申出があつたときは、国の行政機関又は都道府県の機関及び普通地方公共団体は、誠実に協議を行うとともに、相当の期間内に当該協議が調うよう努めなければならない。
2 国の行政機関又は都道府県の機関は、普通地方公共団体の申出に基づく協議について意見を述べた場合において、当該普通地方公共団体から当該協議に関する意見の趣旨及び内容を記載した書面の交付を求められたときは、これを交付しなければならない。

(許認可等の基準)
第二百五十条の二 国の行政機関又は都道府県の機関は、普通地方公共団体からの法令に基づく申請又は協議の申出(以下この款、第二百五十条の十三第二項、第二百五十一条の三第二項、第二百五十一条の五第一項、第二百五十一条の六第一項及び第二百五十二条の十七の三第三項において「申請等」という。)があつた場合において、許可、認可、承認、同意その他これらに類する行為(以下この款及び第二百五十二条の十七の三第三項において「許認可等」という。)をするかどうかを法令の定めに従つて判断するために必要とされる基準を定め、かつ、行政上特別の支障があるときを除き、これを公表しなければならない。
2 国の行政機関又は都道府県の機関は、普通地方公共団体に対し、許認可等の取消しその他これに類する行為(以下本条及び第二百五十条の四において「許認可等の取消し等」という。)をするかどうかを法令の定めに従つて判断するために必要とされる基準を定め、かつ、これを公表するよう努めなければならない。
3 国の行政機関又は都道府県の機関は、第一項又は前項に規定する基準を定めるに当たつては、当該許認可等又は許認可等の取消し等の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。

(許認可等の標準処理期間)
第二百五十条の三 国の行政機関又は都道府県の機関は、申請等が当該国の行政機関又は都道府県の機関の事務所に到達してから当該申請等に係る許認可等をするまでに通常要すべき標準的な期間(法令により当該国の行政機関又は都道府県の機関と異なる機関が当該申請等の提出先とされている場合は、併せて、当該申請等が当該提出先とされている機関の事務所に到達してから当該国の行政機関又は都道府県の機関の事務所に到達するまでに通常要すべき標準的な期間)を定め、かつ、これを公表するよう努めなければならない。
2 国の行政機関又は都道府県の機関は、申請等が法令により当該申請等の提出先とされている機関の事務所に到達したときは、遅滞なく当該申請等に係る許認可等をするための事務を開始しなければならない。

(許認可等の取消し等の方式)
第二百五十条の四 国の行政機関又は都道府県の機関は、普通地方公共団体に対し、申請等に係る許認可等を拒否する処分をするとき又は許認可等の取消し等をするときは、当該許認可等を拒否する処分又は許認可等の取消し等の内容及び理由を記載した書面を交付しなければならない。

(届出)
第二百五十条の五 普通地方公共団体から国の行政機関又は都道府県の機関への届出が届出書の記載事項に不備がないこと、届出書に必要な書類が添付されていることその他の法令に定められた届出の形式上の要件に適合している場合は、当該届出が法令により当該届出の提出先とされている機関の事務所に到達したときに、当該届出をすべき手続上の義務が履行されたものとする。

(国の行政機関が自治事務と同一の事務を自らの権限に属する事務として処理する場合の方式)
第二百五十条の六 国の行政機関は、自治事務として普通地方公共団体が処理している事務と同一の内容の事務を法令の定めるところにより自らの権限に属する事務として処理するときは、あらかじめ当該普通地方公共団体に対し、当該事務の処理の内容及び理由を記載した書面により通知しなければならない。ただし、当該通知をしないで当該事務を処理すべき差し迫つた必要がある場合は、この限りでない。
2 前項ただし書の場合においては、国の行政機関は、自ら当該事務を処理した後相当の期間内に、同項の通知をしなければならない。

第二節 国と普通地方公共団体との間並びに普通地方公共団体相互間及び普通地方公共団体の機関相互間の紛争処理

第一款 国地方係争処理委員会

(設置及び権限)
第二百五十条の七 総務省に、国地方係争処理委員会(以下本節において「委員会」という。)を置く。
2 委員会は、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与のうち国の行政機関が行うもの(以下本節において「国の関与」という。)に関する審査の申出につき、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理する。

(組織)
第二百五十条の八 委員会は、委員五人をもつて組織する。
2 委員は、非常勤とする。ただし、そのうち二人以内は、常勤とすることができる。

(委員)
第二百五十条の九 委員は、優れた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、総務大臣が任命する。
2 委員の任命については、そのうち三人以上が同一の政党その他の政治団体に属することとなつてはならない。
3 委員の任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、総務大臣は、第一項の規定にかかわらず、同項に定める資格を有する者のうちから、委員を任命することができる。
4 前項の場合においては、任命後最初の国会において両議院の事後の承認を得なければならない。この場合において、両議院の事後の承認が得られないときは、総務大臣は、直ちにその委員を罷免しなければならない。
5 委員の任期は、三年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
6 委員は、再任されることができる。
7 委員の任期が満了したときは、当該委員は、後任者が任命されるまで引き続きその職務を行うものとする。
8 総務大臣は、委員が破産手続開始の決定を受け、又は拘禁刑以上の刑に処せられたときは、その委員を罷免しなければならない。
9 総務大臣は、両議院の同意を得て、次に掲げる委員を罷免するものとする。
一 委員のうち何人も属していなかつた同一の政党その他の政治団体に新たに三人以上の委員が属するに至つた場合においては、これらの者のうち二人を超える員数の委員
二 委員のうち一人が既に属している政党その他の政治団体に新たに二人以上の委員が属するに至つた場合においては、これらの者のうち一人を超える員数の委員
10 総務大臣は、委員のうち二人が既に属している政党その他の政治団体に新たに属するに至つた委員を直ちに罷免するものとする。
11 総務大臣は、委員が心身の故障のため職務の執行ができないと認めるとき、又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認めるときは、両議院の同意を得て、その委員を罷免することができる。
12 委員は、第四項後段及び第八項から前項までの規定による場合を除くほか、その意に反して罷免されることがない。
13 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
14 委員は、在任中、政党その他の政治団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。
15 常勤の委員は、在任中、総務大臣の許可がある場合を除き、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行つてはならない。
16 委員は、自己に直接利害関係のある事件については、その議事に参与することができない。
17 委員の給与は、別に法律で定める。

(委員長)
第二百五十条の十 委員会に、委員長を置き、委員の互選によりこれを定める。
2 委員長は、会務を総理し、委員会を代表する。
3 委員長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。

(会議)
第二百五十条の十一 委員会は、委員長が招集する。
2 委員会は、委員長及び二人以上の委員の出席がなければ、会議を開き、議決をすることができない。
3 委員会の議事は、出席者の過半数でこれを決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。
4 委員長に事故がある場合の第二項の規定の適用については、前条第三項に規定する委員は、委員長とみなす。

(政令への委任)
第二百五十条の十二 この法律に規定するもののほか、委員会に関し必要な事項は、政令で定める。
第二款 国地方係争処理委員会による審査の手続

(国の関与に関する審査の申出)
第二百五十条の十三 普通地方公共団体の長その他の執行機関は、その担任する事務に関する国の関与のうち是正の要求、許可の拒否その他の処分その他公権力の行使に当たるもの(次に掲げるものを除く。)に不服があるときは、委員会に対し、当該国の関与を行つた国の行政庁を相手方として、文書で、審査の申出をすることができる。
一 第二百四十五条の八第二項及び第十三項の規定による指示
二 第二百四十五条の八第八項の規定に基づき都道府県知事に代わつて同条第二項の規定による指示に係る事項を行うこと。
三 第二百五十二条の十七の四第二項の規定により読み替えて適用する第二百四十五条の八第十二項において準用する同条第二項の規定による指示
四 第二百五十二条の十七の四第二項の規定により読み替えて適用する第二百四十五条の八第十二項において準用する同条第八項の規定に基づき市町村長に代わつて前号の指示に係る事項を行うこと。
2 普通地方公共団体の長その他の執行機関は、その担任する事務に関する国の不作為(国の行政庁が、申請等が行われた場合において、相当の期間内に何らかの国の関与のうち許可その他の処分その他公権力の行使に当たるものをすべきにかかわらず、これをしないことをいう。以下本節において同じ。)に不服があるときは、委員会に対し、当該国の不作為に係る国の行政庁を相手方として、文書で、審査の申出をすることができる。
3 普通地方公共団体の長その他の執行機関は、その担任する事務に関する当該普通地方公共団体の法令に基づく協議の申出が国の行政庁に対して行われた場合において、当該協議に係る当該普通地方公共団体の義務を果たしたと認めるにもかかわらず当該協議が調わないときは、委員会に対し、当該協議の相手方である国の行政庁を相手方として、文書で、審査の申出をすることができる。
4 第一項の規定による審査の申出は、当該国の関与があつた日から三十日以内にしなければならない。ただし、天災その他同項の規定による審査の申出をしなかつたことについてやむを得ない理由があるときは、この限りでない。
5 前項ただし書の場合における第一項の規定による審査の申出は、その理由がやんだ日から一週間以内にしなければならない。
6 第一項の規定による審査の申出に係る文書を郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者による同条第二項に規定する信書便(第二百六十条の二第十二項において「信書便」という。)で提出した場合における前二項の期間の計算については、送付に要した日数は、算入しない。
7 普通地方公共団体の長その他の執行機関は、第一項から第三項までの規定による審査の申出(以下本款において「国の関与に関する審査の申出」という。)をしようとするときは、相手方となるべき国の行政庁に対し、その旨をあらかじめ通知しなければならない。

(審査及び勧告)
第二百五十条の十四 委員会は、自治事務に関する国の関与について前条第一項の規定による審査の申出があつた場合においては、審査を行い、相手方である国の行政庁の行つた国の関与が違法でなく、かつ、普通地方公共団体の自主性及び自立性を尊重する観点から不当でないと認めるときは、理由を付してその旨を当該審査の申出をした普通地方公共団体の長その他の執行機関及び当該国の行政庁に通知するとともに、これを公表し、当該国の行政庁の行つた国の関与が違法又は普通地方公共団体の自主性及び自立性を尊重する観点から不当であると認めるときは、当該国の行政庁に対し、理由を付し、かつ、期間を示して、必要な措置を講ずべきことを勧告するとともに、当該勧告の内容を当該普通地方公共団体の長その他の執行機関に通知し、かつ、これを公表しなければならない。
2 委員会は、法定受託事務に関する国の関与について前条第一項の規定による審査の申出があつた場合においては、審査を行い、相手方である国の行政庁の行つた国の関与が違法でないと認めるときは、理由を付してその旨を当該審査の申出をした普通地方公共団体の長その他の執行機関及び当該国の行政庁に通知するとともに、これを公表し、当該国の行政庁の行つた国の関与が違法であると認めるときは、当該国の行政庁に対し、理由を付し、かつ、期間を示して、必要な措置を講ずべきことを勧告するとともに、当該勧告の内容を当該普通地方公共団体の長その他の執行機関に通知し、かつ、これを公表しなければならない。
3 委員会は、前条第二項の規定による審査の申出があつた場合においては、審査を行い、当該審査の申出に理由がないと認めるときは、理由を付してその旨を当該審査の申出をした普通地方公共団体の長その他の執行機関及び相手方である国の行政庁に通知するとともに、これを公表し、当該審査の申出に理由があると認めるときは、当該国の行政庁に対し、理由を付し、かつ、期間を示して、必要な措置を講ずべきことを勧告するとともに、当該勧告の内容を当該普通地方公共団体の長その他の執行機関に通知し、かつ、これを公表しなければならない。
4 委員会は、前条第三項の規定による審査の申出があつたときは、当該審査の申出に係る協議について当該協議に係る普通地方公共団体がその義務を果たしているかどうかを審査し、理由を付してその結果を当該審査の申出をした普通地方公共団体の長その他の執行機関及び相手方である国の行政庁に通知するとともに、これを公表しなければならない。
5 前各項の規定による審査及び勧告は、審査の申出があつた日から九十日以内に行わなければならない。

(関係行政機関の参加)
第二百五十条の十五 委員会は、関係行政機関を審査の手続に参加させる必要があると認めるときは、国の関与に関する審査の申出をした普通地方公共団体の長その他の執行機関、相手方である国の行政庁若しくは当該関係行政機関の申立てにより又は職権で、当該関係行政機関を審査の手続に参加させることができる。
2 委員会は、前項の規定により関係行政機関を審査の手続に参加させるときは、あらかじめ、当該国の関与に関する審査の申出をした普通地方公共団体の長その他の執行機関及び相手方である国の行政庁並びに当該関係行政機関の意見を聴かなければならない。

(証拠調べ)
第二百五十条の十六 委員会は、審査を行うため必要があると認めるときは、国の関与に関する審査の申出をした普通地方公共団体の長その他の執行機関、相手方である国の行政庁若しくは前条第一項の規定により当該審査の手続に参加した関係行政機関(以下本条において「参加行政機関」という。)の申立てにより又は職権で、次に掲げる証拠調べをすることができる。
一 適当と認める者に、参考人としてその知つている事実を陳述させ、又は鑑定を求めること。
二 書類その他の物件の所持人に対し、その物件の提出を求め、又はその提出された物件を留め置くこと。
三 必要な場所につき検証をすること。
四 国の関与に関する審査の申出をした普通地方公共団体の長その他の執行機関、相手方である国の行政庁若しくは参加行政機関又はこれらの職員を審尋すること。
2 委員会は、審査を行うに当たつては、国の関与に関する審査の申出をした普通地方公共団体の長その他の執行機関、相手方である国の行政庁及び参加行政機関に証拠の提出及び陳述の機会を与えなければならない。

(国の関与に関する審査の申出の取下げ)
第二百五十条の十七 国の関与に関する審査の申出をした普通地方公共団体の長その他の執行機関は、第二百五十条の十四第一項から第四項までの規定による審査の結果の通知若しくは勧告があるまで又は第二百五十条の十九第二項の規定により調停が成立するまでは、いつでも当該国の関与に関する審査の申出を取り下げることができる。
2 国の関与に関する審査の申出の取下げは、文書でしなければならない。

(国の行政庁の措置等)
第二百五十条の十八 第二百五十条の十四第一項から第三項までの規定による委員会の勧告があつたときは、当該勧告を受けた国の行政庁は、当該勧告に示された期間内に、当該勧告に即して必要な措置を講ずるとともに、その旨を委員会に通知しなければならない。この場合においては、委員会は、当該通知に係る事項を当該勧告に係る審査の申出をした普通地方公共団体の長その他の執行機関に通知し、かつ、これを公表しなければならない。
2 委員会は、前項の勧告を受けた国の行政庁に対し、同項の規定により講じた措置についての説明を求めることができる。

(調停)
第二百五十条の十九 委員会は、国の関与に関する審査の申出があつた場合において、相当であると認めるときは、職権により、調停案を作成して、これを当該国の関与に関する審査の申出をした普通地方公共団体の長その他の執行機関及び相手方である国の行政庁に示し、その受諾を勧告するとともに、理由を付してその要旨を公表することができる。
2 前項の調停案に係る調停は、調停案を示された普通地方公共団体の長その他の執行機関及び国の行政庁から、これを受諾した旨を記載した文書が委員会に提出されたときに成立するものとする。この場合においては、委員会は、直ちにその旨及び調停の要旨を公表するとともに、当該普通地方公共団体の長その他の執行機関及び国の行政庁にその旨を通知しなければならない。

(政令への委任)
第二百五十条の二十 この法律に規定するもののほか、委員会の審査及び勧告並びに調停に関し必要な事項は、政令で定める。

第三款 自治紛争処理委員

(自治紛争処理委員)
第二百五十一条 自治紛争処理委員は、この法律の定めるところにより、普通地方公共団体相互の間又は普通地方公共団体の機関相互の間の紛争の調停、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与のうち都道府県の機関が行うもの(以下この節において「都道府県の関与」という。)に関する審査、第二百五十二条の二第一項に規定する連携協約に係る紛争を処理するための方策の提示及び第百四十三条第三項(第百八十条の五第八項及び第百八十四条第二項において準用する場合を含む。)の審査請求又はこの法律の規定による審査の申立て若しくは審決の申請に係る審理を処理する。
2 自治紛争処理委員は、三人とし、事件ごとに、優れた識見を有する者のうちから、総務大臣又は都道府県知事がそれぞれ任命する。この場合においては、総務大臣又は都道府県知事は、あらかじめ当該事件に関係のある事務を担任する各大臣又は都道府県の委員会若しくは委員に協議するものとする。
3 自治紛争処理委員は、非常勤とする。
4 自治紛争処理委員は、次の各号のいずれかに該当するときは、その職を失う。
一 当事者が次条第二項の規定により調停の申請を取り下げたとき。
二 自治紛争処理委員が次条第六項の規定により当事者に調停を打ち切つた旨を通知したとき。
三 総務大臣又は都道府県知事が次条第七項又は第二百五十一条の三第十三項の規定により調停が成立した旨を当事者に通知したとき。
四 市町村長その他の市町村の執行機関が第二百五十一条の三第五項から第七項までにおいて準用する第二百五十条の十七の規定により自治紛争処理委員の審査に付することを求める旨の申出を取り下げたとき。
五 自治紛争処理委員が第二百五十一条の三第五項において準用する第二百五十条の十四第一項若しくは第二項若しくは第二百五十一条の三第六項において準用する第二百五十条の十四第三項の規定による審査の結果の通知若しくは勧告及び勧告の内容の通知又は第二百五十一条の三第七項において準用する第二百五十条の十四第四項の規定による審査の結果の通知をし、かつ、これらを公表したとき。
六 普通地方公共団体が第二百五十一条の三の二第二項の規定により同条第一項の処理方策の提示を求める旨の申請を取り下げたとき。
七 自治紛争処理委員が第二百五十一条の三の二第三項の規定により当事者である普通地方公共団体に同条第一項に規定する処理方策を提示するとともに、総務大臣又は都道府県知事にその旨及び当該処理方策を通知し、かつ、公表したとき。
八 第二百五十五条の五第一項の規定による審理に係る審査請求、審査の申立て又は審決の申請をした者が、当該審査請求、審査の申立て又は審決の申請を取り下げたとき。
九 第二百五十五条の五第一項の規定による審理を経て、総務大臣又は都道府県知事が審査請求に対する裁決をし、審査の申立てに対する裁決若しくは裁定をし、又は審決をしたとき。
5 総務大臣又は都道府県知事は、自治紛争処理委員が当該事件に直接利害関係を有することとなつたときは、当該自治紛争処理委員を罷免しなければならない。
6 第二百五十条の九第二項、第八項、第九項(第二号を除く。)及び第十項から第十四項までの規定は、自治紛争処理委員に準用する。この場合において、同条第二項中「三人以上」とあるのは「二人以上」と、同条第八項中「総務大臣」とあるのは「総務大臣又は都道府県知事」と、同条第九項中「総務大臣は、両議院の同意を得て」とあるのは「総務大臣又は都道府県知事は」と、「三人以上」とあるのは「二人以上」と、「二人」とあるのは「一人」と、同条第十項中「総務大臣」とあるのは「総務大臣又は都道府県知事」と、「二人」とあるのは「一人」と、同条第十一項中「総務大臣」とあるのは「総務大臣又は都道府県知事」と、「両議院の同意を得て、その委員を」とあるのは「その自治紛争処理委員を」と、同条第十二項中「第四項後段及び第八項から前項まで」とあるのは「第八項、第九項(第二号を除く。)、第十項及び前項並びに第二百五十一条第五項」と読み替えるものとする。
第四款 自治紛争処理委員による調停、審査及び処理方策の提示の手続

(調停)
第二百五十一条の二 普通地方公共団体相互の間又は普通地方公共団体の機関相互の間に紛争があるときは、この法律に特別の定めがあるものを除くほか、都道府県又は都道府県の機関が当事者となるものにあつては総務大臣、その他のものにあつては都道府県知事は、当事者の文書による申請に基づき又は職権により、紛争の解決のため、前条第二項の規定により自治紛争処理委員を任命し、その調停に付することができる。
2 当事者の申請に基づき開始された調停においては、当事者は、総務大臣又は都道府県知事の同意を得て、当該申請を取り下げることができる。
3 自治紛争処理委員は、調停案を作成して、これを当事者に示し、その受諾を勧告するとともに、理由を付してその要旨を公表することができる。
4 自治紛争処理委員は、前項の規定により調停案を当事者に示し、その受諾を勧告したときは、直ちに調停案の写しを添えてその旨及び調停の経過を総務大臣又は都道府県知事に報告しなければならない。
5 自治紛争処理委員は、調停による解決の見込みがないと認めるときは、総務大臣又は都道府県知事の同意を得て、調停を打ち切り、事件の要点及び調停の経過を公表することができる。
6 自治紛争処理委員は、前項の規定により調停を打ち切つたときは、その旨を当事者に通知しなければならない。
7 第一項の調停は、当事者のすべてから、調停案を受諾した旨を記載した文書が総務大臣又は都道府県知事に提出されたときに成立するものとする。この場合においては、総務大臣又は都道府県知事は、直ちにその旨及び調停の要旨を公表するとともに、当事者に調停が成立した旨を通知しなければならない。
8 総務大臣又は都道府県知事は、前項の規定により当事者から文書の提出があつたときは、その旨を自治紛争処理委員に通知するものとする。
9 自治紛争処理委員は、第三項に規定する調停案を作成するため必要があると認めるときは、当事者及び関係人の出頭及び陳述を求め、又は当事者及び関係人並びに紛争に係る事件に関係のある者に対し、紛争の調停のため必要な記録の提出を求めることができる。
10 第三項の規定による調停案の作成及びその要旨の公表についての決定、第五項の規定による調停の打切りについての決定並びに事件の要点及び調停の経過の公表についての決定並びに前項の規定による出頭、陳述及び記録の提出の求めについての決定は、自治紛争処理委員の合議によるものとする。

(審査及び勧告)
第二百五十一条の三 総務大臣は、市町村長その他の市町村の執行機関が、その担任する事務に関する都道府県の関与のうち是正の要求、許可の拒否その他の処分その他公権力の行使に当たるもの(次に掲げるものを除く。)に不服があり、文書により、自治紛争処理委員の審査に付することを求める旨の申出をしたときは、速やかに、第二百五十一条第二項の規定により自治紛争処理委員を任命し、当該申出に係る事件をその審査に付さなければならない。
一 第二百四十五条の八第十二項において準用する同条第二項の規定による指示
二 第二百四十五条の八第十二項において準用する同条第八項の規定に基づき市町村長に代わつて前号の指示に係る事項を行うこと。
2 総務大臣は、市町村長その他の市町村の執行機関が、その担任する事務に関する都道府県の不作為(都道府県の行政庁が、申請等が行われた場合において、相当の期間内に何らかの都道府県の関与のうち許可その他の処分その他公権力の行使に当たるものをすべきにかかわらず、これをしないことをいう。以下本節において同じ。)に不服があり、文書により、自治紛争処理委員の審査に付することを求める旨の申出をしたときは、速やかに、第二百五十一条第二項の規定により自治紛争処理委員を任命し、当該申出に係る事件をその審査に付さなければならない。
3 総務大臣は、市町村長その他の市町村の執行機関が、その担任する事務に関する当該市町村の法令に基づく協議の申出が都道府県の行政庁に対して行われた場合において、当該協議に係る当該市町村の義務を果たしたと認めるにもかかわらず当該協議が調わないことについて、文書により、自治紛争処理委員の審査に付することを求める旨の申出をしたときは、速やかに、第二百五十一条第二項の規定により自治紛争処理委員を任命し、当該申出に係る事件をその審査に付さなければならない。
4 前三項の規定による申出においては、次に掲げる者を相手方としなければならない。
一 第一項の規定による申出の場合は、当該申出に係る都道府県の関与を行つた都道府県の行政庁
二 第二項の規定による申出の場合は、当該申出に係る都道府県の不作為に係る都道府県の行政庁
三 前項の規定による申出の場合は、当該申出に係る協議の相手方である都道府県の行政庁
5 第二百五十条の十三第四項から第七項まで、第二百五十条の十四第一項、第二項及び第五項並びに第二百五十条の十五から第二百五十条の十七までの規定は、第一項の規定による申出について準用する。この場合において、これらの規定中「普通地方公共団体の長その他の執行機関」とあるのは「市町村長その他の市町村の執行機関」と、「国の行政庁」とあるのは「都道府県の行政庁」と、「委員会」とあるのは「自治紛争処理委員」と、第二百五十条の十三第四項並びに第二百五十条の十四第一項及び第二項中「国の関与」とあるのは「都道府県の関与」と、第二百五十条の十七第一項中「第二百五十条の十九第二項」とあるのは「第二百五十一条の三第十三項」と読み替えるものとする。
6 第二百五十条の十三第七項、第二百五十条の十四第三項及び第五項並びに第二百五十条の十五から第二百五十条の十七までの規定は、第二項の規定による申出について準用する。この場合において、これらの規定中「普通地方公共団体の長その他の執行機関」とあるのは「市町村長その他の市町村の執行機関」と、「国の行政庁」とあるのは「都道府県の行政庁」と、「委員会」とあるのは「自治紛争処理委員」と、第二百五十条の十七第一項中「第二百五十条の十九第二項」とあるのは「第二百五十一条の三第十三項」と読み替えるものとする。
7 第二百五十条の十三第七項、第二百五十条の十四第四項及び第五項並びに第二百五十条の十五から第二百五十条の十七までの規定は、第三項の規定による申出について準用する。この場合において、これらの規定中「普通地方公共団体の長その他の執行機関」とあるのは「市町村長その他の市町村の執行機関」と、「国の行政庁」とあるのは「都道府県の行政庁」と、「委員会」とあるのは「自治紛争処理委員」と、第二百五十条の十四第四項中「当該協議に係る普通地方公共団体」とあるのは「当該協議に係る市町村」と、第二百五十条の十七第一項中「第二百五十条の十九第二項」とあるのは「第二百五十一条の三第十三項」と読み替えるものとする。
8 自治紛争処理委員は、第五項において準用する第二百五十条の十四第一項若しくは第二項若しくは第六項において準用する第二百五十条の十四第三項の規定による審査の結果の通知若しくは勧告及び勧告の内容の通知又は前項において準用する第二百五十条の十四第四項の規定による審査の結果の通知をしたときは、直ちにその旨及び審査の結果又は勧告の内容を総務大臣に報告しなければならない。
9 第五項において準用する第二百五十条の十四第一項若しくは第二項又は第六項において準用する第二百五十条の十四第三項の規定による自治紛争処理委員の勧告があつたときは、当該勧告を受けた都道府県の行政庁は、当該勧告に示された期間内に、当該勧告に即して必要な措置を講ずるとともに、その旨を総務大臣に通知しなければならない。この場合においては、総務大臣は、当該通知に係る事項を当該勧告に係る第一項又は第二項の規定による申出をした市町村長その他の市町村の執行機関に通知し、かつ、これを公表しなければならない。
10 総務大臣は、前項の勧告を受けた都道府県の行政庁に対し、同項の規定により講じた措置についての説明を求めることができる。
11 自治紛争処理委員は、第五項において準用する第二百五十条の十四第一項若しくは第二項、第六項において準用する第二百五十条の十四第三項又は第七項において準用する第二百五十条の十四第四項の規定により審査をする場合において、相当であると認めるときは、職権により、調停案を作成して、これを第一項から第三項までの規定による申出をした市町村長その他の市町村の執行機関及び相手方である都道府県の行政庁に示し、その受諾を勧告するとともに、理由を付してその要旨を公表することができる。
12 自治紛争処理委員は、前項の規定により調停案を第一項から第三項までの規定による申出をした市町村長その他の市町村の執行機関及び相手方である都道府県の行政庁に示し、その受諾を勧告したときは、直ちに調停案の写しを添えてその旨及び調停の経過を総務大臣に報告しなければならない。
13 第十一項の調停案に係る調停は、調停案を示された市町村長その他の市町村の執行機関及び都道府県の行政庁から、これを受諾した旨を記載した文書が総務大臣に提出されたときに成立するものとする。この場合においては、総務大臣は、直ちにその旨及び調停の要旨を公表するとともに、当該市町村長その他の市町村の執行機関及び都道府県の行政庁にその旨を通知しなければならない。
14 総務大臣は、前項の規定により市町村長その他の市町村の執行機関及び都道府県の行政庁から文書の提出があつたときは、その旨を自治紛争処理委員に通知するものとする。
15 次に掲げる事項は、自治紛争処理委員の合議によるものとする。
一 第五項において準用する第二百五十条の十四第一項の規定による都道府県の関与が違法又は普通地方公共団体の自主性及び自立性を尊重する観点から不当であるかどうかについての決定及び同項の規定による勧告の決定
二 第五項において準用する第二百五十条の十四第二項の規定による都道府県の関与が違法であるかどうかについての決定及び同項の規定による勧告の決定
三 第六項において準用する第二百五十条の十四第三項の規定による第二項の申出に理由があるかどうかについての決定及び第六項において準用する第二百五十条の十四第三項の規定による勧告の決定
四 第七項において準用する第二百五十条の十四第四項の規定による第三項の申出に係る協議について当該協議に係る市町村がその義務を果たしているかどうかについての決定
五 第五項から第七項までにおいて準用する第二百五十条の十五第一項の規定による関係行政機関の参加についての決定
六 第五項から第七項までにおいて準用する第二百五十条の十六第一項の規定による証拠調べの実施についての決定
七 第十一項の規定による調停案の作成及びその要旨の公表についての決定

(処理方策の提示)
第二百五十一条の三の二 総務大臣又は都道府県知事は、第二百五十二条の二第七項の規定により普通地方公共団体から自治紛争処理委員による同条第一項に規定する連携協約に係る紛争を処理するための方策(以下この条において「処理方策」という。)の提示を求める旨の申請があつたときは、第二百五十一条第二項の規定により自治紛争処理委員を任命し、処理方策を定めさせなければならない。
2 前項の申請をした普通地方公共団体は、総務大臣又は都道府県知事の同意を得て、当該申請を取り下げることができる。
3 自治紛争処理委員は、処理方策を定めたときは、これを当事者である普通地方公共団体に提示するとともに、その旨及び当該処理方策を総務大臣又は都道府県知事に通知し、かつ、これらを公表しなければならない。
4 自治紛争処理委員は、処理方策を定めるため必要があると認めるときは、当事者及び関係人の出頭及び陳述を求め、又は当事者及び関係人並びに紛争に係る事件に関係のある者に対し、処理方策を定めるため必要な記録の提出を求めることができる。
5 第三項の規定による処理方策の決定並びに前項の規定による出頭、陳述及び記録の提出の求めについての決定は、自治紛争処理委員の合議によるものとする。
6 第三項の規定により処理方策の提示を受けたときは、当事者である普通地方公共団体は、これを尊重して必要な措置を執るようにしなければならない。

(政令への委任)
第二百五十一条の四 この法律に規定するもののほか、自治紛争処理委員の調停、審査及び勧告並びに処理方策の提示に関し必要な事項は、政令で定める。
第五款 普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与に関する訴え

(国の関与に関する訴えの提起)
第二百五十一条の五 第二百五十条の十三第一項又は第二項の規定による審査の申出をした普通地方公共団体の長その他の執行機関は、次の各号のいずれかに該当するときは、高等裁判所に対し、当該審査の申出の相手方となつた国の行政庁(国の関与があつた後又は申請等が行われた後に当該行政庁の権限が他の行政庁に承継されたときは、当該他の行政庁)を被告として、訴えをもつて当該審査の申出に係る違法な国の関与の取消し又は当該審査の申出に係る国の不作為の違法の確認を求めることができる。ただし、違法な国の関与の取消しを求める訴えを提起する場合において、被告とすべき行政庁がないときは、当該訴えは、国を被告として提起しなければならない。
一 第二百五十条の十四第一項から第三項までの規定による委員会の審査の結果又は勧告に不服があるとき。
二 第二百五十条の十八第一項の規定による国の行政庁の措置に不服があるとき。
三 当該審査の申出をした日から九十日を経過しても、委員会が第二百五十条の十四第一項から第三項までの規定による審査又は勧告を行わないとき。
四 国の行政庁が第二百五十条の十八第一項の規定による措置を講じないとき。
2 前項の訴えは、次に掲げる期間内に提起しなければならない。
一 前項第一号の場合は、第二百五十条の十四第一項から第三項までの規定による委員会の審査の結果又は勧告の内容の通知があつた日から三十日以内
二 前項第二号の場合は、第二百五十条の十八第一項の規定による委員会の通知があつた日から三十日以内
三 前項第三号の場合は、当該審査の申出をした日から九十日を経過した日から三十日以内
四 前項第四号の場合は、第二百五十条の十四第一項から第三項までの規定による委員会の勧告に示された期間を経過した日から三十日以内
3 第一項の訴えは、当該普通地方公共団体の区域を管轄する高等裁判所の管轄に専属する。
4 原告は、第一項の訴えを提起したときは、直ちに、文書により、その旨を被告に通知するとともに、当該高等裁判所に対し、その通知をした日時、場所及び方法を通知しなければならない。
5 当該高等裁判所は、第一項の訴えが提起されたときは、速やかに口頭弁論の期日を指定し、当事者を呼び出さなければならない。その期日は、同項の訴えの提起があつた日から十五日以内の日とする。
6 第一項の訴えに係る高等裁判所の判決に対する上告の期間は、一週間とする。
7 国の関与を取り消す判決は、関係行政機関に対しても効力を有する。
8 第一項の訴えのうち違法な国の関与の取消しを求めるものについては、行政事件訴訟法第四十三条第一項の規定にかかわらず、同法第八条第二項、第十一条から第二十二条まで、第二十五条から第二十九条まで、第三十一条、第三十二条及び第三十四条の規定は、準用しない。
9 第一項の訴えのうち国の不作為の違法の確認を求めるものについては、行政事件訴訟法第四十三条第三項の規定にかかわらず、同法第四十条第二項及び第四十一条第二項の規定は、準用しない。
10 前各項に定めるもののほか、第一項の訴えについては、主張及び証拠の申出の時期の制限その他審理の促進に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。

(都道府県の関与に関する訴えの提起)
第二百五十一条の六 第二百五十一条の三第一項又は第二項の規定による申出をした市町村長その他の市町村の執行機関は、次の各号のいずれかに該当するときは、高等裁判所に対し、当該申出の相手方となつた都道府県の行政庁(都道府県の関与があつた後又は申請等が行われた後に当該行政庁の権限が他の行政庁に承継されたときは、当該他の行政庁)を被告として、訴えをもつて当該申出に係る違法な都道府県の関与の取消し又は当該申出に係る都道府県の不作為の違法の確認を求めることができる。ただし、違法な都道府県の関与の取消しを求める訴えを提起する場合において、被告とすべき行政庁がないときは、当該訴えは、当該都道府県を被告として提起しなければならない。
一 第二百五十一条の三第五項において準用する第二百五十条の十四第一項若しくは第二項又は第二百五十一条の三第六項において準用する第二百五十条の十四第三項の規定による自治紛争処理委員の審査の結果又は勧告に不服があるとき。
二 第二百五十一条の三第九項の規定による都道府県の行政庁の措置に不服があるとき。
三 当該申出をした日から九十日を経過しても、自治紛争処理委員が第二百五十一条の三第五項において準用する第二百五十条の十四第一項若しくは第二項又は第二百五十一条の三第六項において準用する第二百五十条の十四第三項の規定による審査又は勧告を行わないとき。
四 都道府県の行政庁が第二百五十一条の三第九項の規定による措置を講じないとき。
2 前項の訴えは、次に掲げる期間内に提起しなければならない。
一 前項第一号の場合は、第二百五十一条の三第五項において準用する第二百五十条の十四第一項若しくは第二項又は第二百五十一条の三第六項において準用する第二百五十条の十四第三項の規定による自治紛争処理委員の審査の結果又は勧告の内容の通知があつた日から三十日以内
二 前項第二号の場合は、第二百五十一条の三第九項の規定による総務大臣の通知があつた日から三十日以内
三 前項第三号の場合は、当該申出をした日から九十日を経過した日から三十日以内
四 前項第四号の場合は、第二百五十一条の三第五項において準用する第二百五十条の十四第一項若しくは第二項又は第二百五十一条の三第六項において準用する第二百五十条の十四第三項の規定による自治紛争処理委員の勧告に示された期間を経過した日から三十日以内
3 前条第三項から第七項までの規定は、第一項の訴えに準用する。この場合において、同条第三項中「当該普通地方公共団体の区域」とあるのは「当該市町村の区域」と、同条第七項中「国の関与」とあるのは「都道府県の関与」と読み替えるものとする。
4 第一項の訴えのうち違法な都道府県の関与の取消しを求めるものについては、行政事件訴訟法第四十三条第一項の規定にかかわらず、同法第八条第二項、第十一条から第二十二条まで、第二十五条から第二十九条まで、第三十一条、第三十二条及び第三十四条の規定は、準用しない。
5 第一項の訴えのうち都道府県の不作為の違法の確認を求めるものについては、行政事件訴訟法第四十三条第三項の規定にかかわらず、同法第四十条第二項及び第四十一条第二項の規定は、準用しない。
6 前各項に定めるもののほか、第一項の訴えについては、主張及び証拠の申出の時期の制限その他審理の促進に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。

(普通地方公共団体の不作為に関する国の訴えの提起)
第二百五十一条の七 第二百四十五条の五第一項若しくは第四項の規定による是正の要求又は第二百四十五条の七第一項若しくは第四項の規定による指示を行つた各大臣は、次の各号のいずれかに該当するときは、高等裁判所に対し、当該是正の要求又は指示を受けた普通地方公共団体の不作為(是正の要求又は指示を受けた普通地方公共団体の行政庁が、相当の期間内に是正の要求に応じた措置又は指示に係る措置を講じなければならないにもかかわらず、これを講じないことをいう。以下この項、次条及び第二百五十二条の十七の四第三項において同じ。)に係る普通地方公共団体の行政庁(当該是正の要求又は指示があつた後に当該行政庁の権限が他の行政庁に承継されたときは、当該他の行政庁)を被告として、訴えをもつて当該普通地方公共団体の不作為の違法の確認を求めることができる。
一 普通地方公共団体の長その他の執行機関が当該是正の要求又は指示に関する第二百五十条の十三第一項の規定による審査の申出をせず(審査の申出後に第二百五十条の十七第一項の規定により当該審査の申出が取り下げられた場合を含む。)、かつ、当該是正の要求に応じた措置又は指示に係る措置を講じないとき。
二 普通地方公共団体の長その他の執行機関が当該是正の要求又は指示に関する第二百五十条の十三第一項の規定による審査の申出をした場合において、次に掲げるとき。
イ 委員会が第二百五十条の十四第一項又は第二項の規定による審査の結果又は勧告の内容の通知をした場合において、当該普通地方公共団体の長その他の執行機関が第二百五十一条の五第一項の規定による当該是正の要求又は指示の取消しを求める訴えの提起をせず(訴えの提起後に当該訴えが取り下げられた場合を含む。ロにおいて同じ。)、かつ、当該是正の要求に応じた措置又は指示に係る措置を講じないとき。
ロ 委員会が当該審査の申出をした日から九十日を経過しても第二百五十条の十四第一項又は第二項の規定による審査又は勧告を行わない場合において、当該普通地方公共団体の長その他の執行機関が第二百五十一条の五第一項の規定による当該是正の要求又は指示の取消しを求める訴えの提起をせず、かつ、当該是正の要求に応じた措置又は指示に係る措置を講じないとき。
2 前項の訴えは、次に掲げる期間が経過するまでは、提起することができない。
一 前項第一号の場合は、第二百五十条の十三第四項本文の期間
二 前項第二号イの場合は、第二百五十一条の五第二項第一号、第二号又は第四号に掲げる期間
三 前項第二号ロの場合は、第二百五十一条の五第二項第三号に掲げる期間
3 第二百五十一条の五第三項から第六項までの規定は、第一項の訴えについて準用する。
4 第一項の訴えについては、行政事件訴訟法第四十三条第三項の規定にかかわらず、同法第四十条第二項及び第四十一条第二項の規定は、準用しない。
5 前各項に定めるもののほか、第一項の訴えについては、主張及び証拠の申出の時期の制限その他審理の促進に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。

(市町村の不作為に関する都道府県の訴えの提起)
第二百五十二条 第二百四十五条の五第二項の指示を行つた各大臣は、次の各号のいずれかに該当するときは、同条第三項の規定による是正の要求を行つた都道府県の執行機関に対し、高等裁判所に対し、当該是正の要求を受けた市町村の不作為に係る市町村の行政庁(当該是正の要求があつた後に当該行政庁の権限が他の行政庁に承継されたときは、当該他の行政庁。次項において同じ。)を被告として、訴えをもつて当該市町村の不作為の違法の確認を求めるよう指示をすることができる。
一 市町村長その他の市町村の執行機関が当該是正の要求に関する第二百五十一条の三第一項の規定による申出をせず(申出後に同条第五項において準用する第二百五十条の十七第一項の規定により当該申出が取り下げられた場合を含む。)、かつ、当該是正の要求に応じた措置を講じないとき。
二 市町村長その他の市町村の執行機関が当該是正の要求に関する第二百五十一条の三第一項の規定による申出をした場合において、次に掲げるとき。
イ 自治紛争処理委員が第二百五十一条の三第五項において準用する第二百五十条の十四第一項の規定による審査の結果又は勧告の内容の通知をした場合において、当該市町村長その他の市町村の執行機関が第二百五十一条の六第一項の規定による当該是正の要求の取消しを求める訴えの提起をせず(訴えの提起後に当該訴えが取り下げられた場合を含む。ロにおいて同じ。)、かつ、当該是正の要求に応じた措置を講じないとき。
ロ 自治紛争処理委員が当該申出をした日から九十日を経過しても第二百五十一条の三第五項において準用する第二百五十条の十四第一項の規定による審査又は勧告を行わない場合において、当該市町村長その他の市町村の執行機関が第二百五十一条の六第一項の規定による当該是正の要求の取消しを求める訴えの提起をせず、かつ、当該是正の要求に応じた措置を講じないとき。
2 前項の指示を受けた都道府県の執行機関は、高等裁判所に対し、当該市町村の不作為に係る市町村の行政庁を被告として、訴えをもつて当該市町村の不作為の違法の確認を求めなければならない。
3 第二百四十五条の七第二項の規定による指示を行つた都道府県の執行機関は、次の各号のいずれかに該当するときは、高等裁判所に対し、当該指示を受けた市町村の不作為に係る市町村の行政庁(当該指示があつた後に当該行政庁の権限が他の行政庁に承継されたときは、当該他の行政庁)を被告として、訴えをもつて当該市町村の不作為の違法の確認を求めることができる。
一 市町村長その他の市町村の執行機関が当該指示に関する第二百五十一条の三第一項の規定による申出をせず(申出後に同条第五項において準用する第二百五十条の十七第一項の規定により当該申出が取り下げられた場合を含む。)、かつ、当該指示に係る措置を講じないとき。
二 市町村長その他の市町村の執行機関が当該指示に関する第二百五十一条の三第一項の規定による申出をした場合において、次に掲げるとき。
イ 自治紛争処理委員が第二百五十一条の三第五項において準用する第二百五十条の十四第二項の規定による審査の結果又は勧告の内容の通知をした場合において、当該市町村長その他の市町村の執行機関が第二百五十一条の六第一項の規定による当該指示の取消しを求める訴えの提起をせず(訴えの提起後に当該訴えが取り下げられた場合を含む。ロにおいて同じ。)、かつ、当該指示に係る措置を講じないとき。
ロ 自治紛争処理委員が当該申出をした日から九十日を経過しても第二百五十一条の三第五項において準用する第二百五十条の十四第二項の規定による審査又は勧告を行わない場合において、当該市町村長その他の市町村の執行機関が第二百五十一条の六第一項の規定による当該指示の取消しを求める訴えの提起をせず、かつ、当該指示に係る措置を講じないとき。
4 第二百四十五条の七第三項の指示を行つた各大臣は、前項の都道府県の執行機関に対し、同項の規定による訴えの提起に関し、必要な指示をすることができる。
5 第二項及び第三項の訴えは、次に掲げる期間が経過するまでは、提起することができない。
一 第一項第一号及び第三項第一号の場合は、第二百五十一条の三第五項において準用する第二百五十条の十三第四項本文の期間
二 第一項第二号イ及び第三項第二号イの場合は、第二百五十一条の六第二項第一号、第二号又は第四号に掲げる期間
三 第一項第二号ロ及び第三項第二号ロの場合は、第二百五十一条の六第二項第三号に掲げる期間
6 第二百五十一条の五第三項から第六項までの規定は、第二項及び第三項の訴えについて準用する。この場合において、同条第三項中「当該普通地方公共団体の区域」とあるのは、「当該市町村の区域」と読み替えるものとする。
7 第二項及び第三項の訴えについては、行政事件訴訟法第四十三条第三項の規定にかかわらず、同法第四十条第二項及び第四十一条第二項の規定は、準用しない。
8 前各項に定めるもののほか、第二項及び第三項の訴えについては、主張及び証拠の申出の時期の制限その他審理の促進に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。

第三節 普通地方公共団体相互間の協力

第一款 連携協約

(連携協約)
第二百五十二条の二 普通地方公共団体は、当該普通地方公共団体及び他の普通地方公共団体の区域における当該普通地方公共団体及び当該他の普通地方公共団体の事務の処理に当たつての当該他の普通地方公共団体との連携を図るため、協議により、当該普通地方公共団体及び当該他の普通地方公共団体が連携して事務を処理するに当たつての基本的な方針及び役割分担を定める協約(以下「連携協約」という。)を当該他の普通地方公共団体と締結することができる。
2 普通地方公共団体は、連携協約を締結したときは、その旨及び当該連携協約を告示するとともに、都道府県が締結したものにあつては総務大臣、その他のものにあつては都道府県知事に届け出なければならない。
3 第一項の協議については、関係普通地方公共団体の議会の議決を経なければならない。
4 普通地方公共団体は、連携協約を変更し、又は連携協約を廃止しようとするときは、前三項の例によりこれを行わなければならない。
5 公益上必要がある場合においては、都道府県が締結するものについては総務大臣、その他のものについては都道府県知事は、関係のある普通地方公共団体に対し、連携協約を締結すべきことを勧告することができる。
6 連携協約を締結した普通地方公共団体は、当該連携協約に基づいて、当該連携協約を締結した他の普通地方公共団体と連携して事務を処理するに当たつて当該普通地方公共団体が分担すべき役割を果たすため必要な措置を執るようにしなければならない。
7 連携協約を締結した普通地方公共団体相互の間に連携協約に係る紛争があるときは、当事者である普通地方公共団体は、都道府県が当事者となる紛争にあつては総務大臣、その他の紛争にあつては都道府県知事に対し、文書により、自治紛争処理委員による当該紛争を処理するための方策の提示を求める旨の申請をすることができる。

第二款 協議会

(協議会の設置)
第二百五十二条の二の二 普通地方公共団体は、普通地方公共団体の事務の一部を共同して管理し及び執行し、若しくは普通地方公共団体の事務の管理及び執行について連絡調整を図り、又は広域にわたる総合的な計画を共同して作成するため、協議により規約を定め、普通地方公共団体の協議会を設けることができる。
2 普通地方公共団体は、協議会を設けたときは、その旨及び規約を告示するとともに、都道府県の加入するものにあつては総務大臣、その他のものにあつては都道府県知事に届け出なければならない。
3 第一項の協議については、関係普通地方公共団体の議会の議決を経なければならない。ただし、普通地方公共団体の事務の管理及び執行について連絡調整を図るため普通地方公共団体の協議会を設ける場合は、この限りでない。
4 公益上必要がある場合においては、都道府県の加入するものについては総務大臣、その他のものについては都道府県知事は、関係のある普通地方公共団体に対し、普通地方公共団体の協議会を設けるべきことを勧告することができる。
5 普通地方公共団体の協議会が広域にわたる総合的な計画を作成したときは、関係普通地方公共団体は、当該計画に基づいて、その事務を処理するようにしなければならない。
6 普通地方公共団体の協議会は、必要があると認めるときは、関係のある公の機関の長に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。

(協議会の組織)
第二百五十二条の三 普通地方公共団体の協議会は、会長及び委員をもつてこれを組織する。
2 普通地方公共団体の協議会の会長及び委員は、規約の定めるところにより常勤又は非常勤とし、関係普通地方公共団体の職員のうちから、これを選任する。
3 普通地方公共団体の協議会の会長は、普通地方公共団体の協議会の事務を掌理し、協議会を代表する。

(協議会の規約)
第二百五十二条の四 普通地方公共団体の協議会の規約には、次に掲げる事項につき規定を設けなければならない。
一 協議会の名称
二 協議会を設ける普通地方公共団体
三 協議会の管理し及び執行し、若しくは協議会において連絡調整を図る関係普通地方公共団体の事務又は協議会の作成する計画の項目
四 協議会の組織並びに会長及び委員の選任の方法
五 協議会の経費の支弁の方法
2 普通地方公共団体の事務の一部を共同して管理し及び執行するため普通地方公共団体の協議会を設ける場合には、協議会の規約には、前項各号に掲げるもののほか、次に掲げる事項につき規定を設けなければならない。
一 協議会の管理し及び執行する関係普通地方公共団体の事務(以下本項中「協議会の担任する事務」という。)の管理及び執行の方法
二 協議会の担任する事務を管理し及び執行する場所
三 協議会の担任する事務に従事する関係普通地方公共団体の職員の身分取扱い
四 協議会の担任する事務の用に供する関係普通地方公共団体の財産の取得、管理及び処分又は公の施設の設置、管理及び廃止の方法
五 前各号に掲げるものを除くほか、協議会と協議会を設ける関係普通地方公共団体との関係その他協議会に関し必要な事項

(協議会の事務の管理及び執行の効力)
第二百五十二条の五 普通地方公共団体の協議会が関係普通地方公共団体又は関係普通地方公共団体の長その他の執行機関の名においてした事務の管理及び執行は、関係普通地方公共団体の長その他の執行機関が管理し及び執行したものとしての効力を有する。

(協議会の組織の変更及び廃止)
第二百五十二条の六 普通地方公共団体は、普通地方公共団体の協議会を設ける普通地方公共団体の数を増減し、若しくは協議会の規約を変更し、又は協議会を廃止しようとするときは、第二百五十二条の二の二第一項から第三項までの例によりこれを行わなければならない。

(脱退による協議会の組織の変更及び廃止の特例)
第二百五十二条の六の二 前条の規定にかかわらず、協議会を設ける普通地方公共団体は、その議会の議決を経て、脱退する日の二年前までに他の全ての関係普通地方公共団体に書面で予告をすることにより、協議会から脱退することができる。
2 前項の予告を受けた関係普通地方公共団体は、当該予告をした普通地方公共団体が脱退する時までに、第二百五十二条の二の二第一項から第三項までの例により、当該脱退により必要となる規約の変更を行わなければならない。ただし、第二百五十二条の四第一項第二号に掲げる事項のみに係る規約の変更については、第二百五十二条の二の二第三項本文の例によらないものとする。
3 第一項の予告の撤回は、他の全ての関係普通地方公共団体が議会の議決を経て同意をした場合に限り、することができる。この場合において、同項の予告をした普通地方公共団体が他の関係普通地方公共団体に当該予告の撤回について同意を求めるに当たつては、あらかじめ、その議会の議決を経なければならない。
4 普通地方公共団体は、第一項の規定により協議会から脱退したときは、その旨を告示しなければならない。
5 第一項の規定による脱退により協議会を設ける普通地方公共団体が一となつたときは、当該協議会は廃止されるものとする。この場合において、当該普通地方公共団体は、その旨を告示するとともに、第二百五十二条の二の二第二項の例により、総務大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。

第三款 機関等の共同設置

(機関等の共同設置)
第二百五十二条の七 普通地方公共団体は、協議により規約を定め、共同して、第百三十八条第一項若しくは第二項に規定する事務局若しくはその内部組織(次項及び第二百五十二条の十三において「議会事務局」という。)、第百三十八条の四第一項に規定する委員会若しくは委員、同条第三項に規定する附属機関、第百五十六条第一項に規定する行政機関、第百五十八条第一項に規定する内部組織、委員会若しくは委員の事務局若しくはその内部組織(次項及び第二百五十二条の十三において「委員会事務局」という。)、普通地方公共団体の議会、長、委員会若しくは委員の事務を補助する職員、第百七十四条第一項に規定する専門委員又は第二百条の二第一項に規定する監査専門委員を置くことができる。ただし、政令で定める委員会については、この限りでない。
2 前項の規定による議会事務局、執行機関、附属機関、行政機関、内部組織、委員会事務局若しくは職員を共同設置する普通地方公共団体の数を増減し、若しくはこれらの議会事務局、執行機関、附属機関、行政機関、内部組織、委員会事務局若しくは職員の共同設置に関する規約を変更し、又はこれらの議会事務局、執行機関、附属機関、行政機関、内部組織、委員会事務局若しくは職員の共同設置を廃止しようとするときは、関係普通地方公共団体は、同項の例により、協議してこれを行わなければならない。
3 第二百五十二条の二の二第二項及び第三項本文の規定は前二項の場合について、同条第四項の規定は第一項の場合について、それぞれ準用する。

(脱退による機関等の共同設置の変更及び廃止の特例)
第二百五十二条の七の二 前条第二項の規定にかかわらず、同条第一項の規定により機関等を共同設置する普通地方公共団体は、その議会の議決を経て、脱退する日の二年前までに他の全ての関係普通地方公共団体に書面で予告をすることにより、共同設置から脱退することができる。
2 前項の予告を受けた関係普通地方公共団体は、当該予告をした普通地方公共団体が脱退する時までに、協議して当該脱退により必要となる規約の変更を行わなければならない。
3 第二百五十二条の二の二第二項及び第三項本文の規定は、前項の場合について準用する。ただし、次条第二号(第二百五十二条の十三において準用する場合を含む。)に掲げる事項のみに係る規約の変更については、第二百五十二条の二の二第三項本文の規定は、準用しない。
4 第一項の予告の撤回は、他の全ての関係普通地方公共団体が議会の議決を経て同意をした場合に限り、することができる。この場合において、同項の予告をした普通地方公共団体が他の関係普通地方公共団体に当該予告の撤回について同意を求めるに当たつては、あらかじめ、その議会の議決を経なければならない。
5 普通地方公共団体は、第一項の規定により機関等の共同設置から脱退したときは、その旨を告示しなければならない。
6 第一項の規定による脱退により機関等を共同設置する普通地方公共団体が一となつたときは、当該共同設置は廃止されるものとする。この場合において、当該普通地方公共団体は、その旨を告示するとともに、第二百五十二条の二の二第二項の例により、総務大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。

(機関の共同設置に関する規約)
第二百五十二条の八 第二百五十二条の七の規定により共同設置する普通地方公共団体の委員会若しくは委員又は附属機関(以下この条において「共同設置する機関」という。)の共同設置に関する規約には、次に掲げる事項につき規定を設けなければならない。
一 共同設置する機関の名称
二 共同設置する機関を設ける普通地方公共団体
三 共同設置する機関の執務場所
四 共同設置する機関を組織する委員その他の構成員の選任の方法及びその身分取扱い
五 前各号に掲げるものを除くほか、共同設置する機関と関係普通地方公共団体との関係その他共同設置する機関に関し必要な事項

(共同設置する機関の委員等の選任及び身分取扱い)
第二百五十二条の九 普通地方公共団体が共同設置する委員会の委員で、普通地方公共団体の議会が選挙すべきものの選任については、規約で、次の各号のいずれの方法によるかを定めるものとする。
一 規約で定める普通地方公共団体の議会が選挙すること。
二 関係普通地方公共団体の長が協議により定めた共通の候補者について、すべての関係普通地方公共団体の議会が選挙すること。
2 普通地方公共団体が共同設置する委員会の委員(教育委員会にあつては、教育長及び委員)若しくは委員又は附属機関の委員その他の構成員で、普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体の議会の同意を得て選任すべきものの選任については、規約で、次の各号のいずれの方法によるかを定めるものとする。
一 規約で定める普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体の議会の同意を得て選任すること。
二 関係普通地方公共団体の長が協議により定めた共通の候補者について、それぞれの関係普通地方公共団体の長が当該普通地方公共団体の議会の同意を得た上、規約で定める普通地方公共団体の長が選任すること。
3 普通地方公共団体が共同設置する委員会の委員若しくは委員又は附属機関の委員その他の構成員で、普通地方公共団体の長、委員会又は委員が選任すべきものの選任については、規約で、次の各号のいずれの方法によるかを定めるものとする。
一 規約で定める普通地方公共団体の長、委員会又は委員が選任すること。
二 関係普通地方公共団体の長、委員会又は委員が協議により定めた者について、規約で定める普通地方公共団体の長、委員会又は委員がこれを選任すること。
4 普通地方公共団体が共同設置する委員会の委員(教育委員会にあつては、教育長及び委員)若しくは委員又は附属機関の委員その他の構成員で第一項又は第二項の規定により選任するものの身分取扱いについては、規約で定める普通地方公共団体の議会が選挙し又は規約で定める普通地方公共団体の長が選任する場合においては、当該普通地方公共団体の職員とみなし、全ての関係普通地方公共団体の議会が選挙する場合においては、規約で定める普通地方公共団体の職員とみなす。
5 普通地方公共団体が共同設置する委員会の委員若しくは委員又は附属機関の委員その他の構成員で第三項の規定により選任するものの身分取扱いについては、これらの者を選任する普通地方公共団体の長、委員会又は委員の属する普通地方公共団体の職員とみなす。

(共同設置する機関の委員等の解職請求)
第二百五十二条の十 普通地方公共団体が共同設置する委員会の委員(教育委員会にあつては、教育長及び委員)若しくは委員又は附属機関の委員その他の構成員で、法律の定めるところにより選挙権を有する者の請求に基づき普通地方公共団体の議会の議決によりこれを解職することができるものの解職については、関係普通地方公共団体における選挙権を有する者が、政令の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の長に対し、解職の請求を行い、二の普通地方公共団体の共同設置する場合においては全ての関係普通地方公共団体の議会において解職に同意する旨の議決があつたとき、又は三以上の普通地方公共団体の共同設置する場合においてはその半数を超える関係普通地方公共団体の議会において解職に同意する旨の議決があつたときは、当該解職は、成立するものとする。

(共同設置する機関の補助職員等)
第二百五十二条の十一 普通地方公共団体が共同設置する委員会又は委員の事務を補助する職員は、第二百五十二条の九第四項又は第五項の規定により共同設置する委員会の委員(教育委員会にあつては、教育長及び委員)又は委員が属するものとみなされる普通地方公共団体(以下この条において「規約で定める普通地方公共団体」という。)の長の補助機関である職員をもつて充て、普通地方公共団体が共同設置する附属機関の庶務は、規約で定める普通地方公共団体の執行機関においてこれをつかさどるものとする。
2 普通地方公共団体が共同設置する委員会若しくは委員又は附属機関に要する経費は、関係普通地方公共団体がこれを負担し、規約で定める普通地方公共団体の歳入歳出予算にこれを計上して支出するものとする。
3 普通地方公共団体が共同設置する委員会が徴収する手数料その他の収入は、規約で定める普通地方公共団体の収入とする。
4 普通地方公共団体が共同設置する委員会が行う関係普通地方公共団体の財務に関する事務の執行及び関係普通地方公共団体の経営に係る事業の管理の通常の監査は、規約で定める普通地方公共団体の監査委員が毎会計年度少なくとも一回以上期日を定めてこれを行うものとする。この場合において、規約で定める普通地方公共団体の監査委員は、第百九十九条第九項の規定による監査の結果に関する報告を他の関係普通地方公共団体の長に提出するとともに、これを公表しなければならない。
5 前項の場合において、規約で定める普通地方公共団体の監査委員は、第百九十九条第九項の規定による監査の結果に関する報告の決定について、各監査委員の意見が一致しないことにより、同条第十二項の合議により決定することができない事項がある場合には、その旨及び当該事項についての各監査委員の意見を他の関係普通地方公共団体の長に提出するとともに、これらを公表しなければならない。

(共同設置する機関に対する法令の適用)
第二百五十二条の十二 普通地方公共団体が共同設置する委員会若しくは委員又は附属機関は、この法律その他これらの機関の権限に属する事務の管理及び執行に関する法令、条例、規則その他の規程の適用については、この法律に特別の定めがあるものを除くほか、それぞれ関係普通地方公共団体の委員会若しくは委員又は附属機関とみなす。

(議会事務局等の共同設置に関する準用規定)
第二百五十二条の十三 第二百五十二条の八から前条までの規定は、政令で定めるところにより、第二百五十二条の七の規定による議会事務局、行政機関、内部組織、委員会事務局、普通地方公共団体の議会、長、委員会若しくは委員の事務を補助する職員、専門委員又は監査専門委員の共同設置について準用する。

第四款 事務の委託

(事務の委託)
第二百五十二条の十四 普通地方公共団体は、協議により規約を定め、普通地方公共団体の事務の一部を、他の普通地方公共団体に委託して、当該他の普通地方公共団体の長又は同種の委員会若しくは委員をして管理し及び執行させることができる。
2 前項の規定により委託した事務を変更し、又はその事務の委託を廃止しようとするときは、関係普通地方公共団体は、同項の例により、協議してこれを行わなければならない。
3 第二百五十二条の二の二第二項及び第三項本文の規定は前二項の規定により普通地方公共団体の事務を委託し、又は委託した事務を変更し、若しくはその事務の委託を廃止する場合に、同条第四項の規定は第一項の場合にこれを準用する。

(事務の委託の規約)
第二百五十二条の十五 前条の規定により委託する普通地方公共団体の事務(以下本条中「委託事務」という。)の委託に関する規約には、次に掲げる事項につき規定を設けなければならない。
一 委託する普通地方公共団体及び委託を受ける普通地方公共団体
二 委託事務の範囲並びに委託事務の管理及び執行の方法
三 委託事務に要する経費の支弁の方法
四 前各号に掲げるもののほか、委託事務に関し必要な事項

(事務の委託の効果)
第二百五十二条の十六 普通地方公共団体の事務を、他の普通地方公共団体に委託して、当該他の普通地方公共団体の長又は同種の委員会若しくは委員をして管理し及び執行させる場合においては、当該事務の管理及び執行に関する法令中委託した普通地方公共団体又はその執行機関に適用すべき規定は、当該委託された事務の範囲内において、その事務の委託を受けた普通地方公共団体又はその執行機関について適用があるものとし、別に規約で定めをするものを除くほか、事務の委託を受けた普通地方公共団体の当該委託された事務の管理及び執行に関する条例、規則又はその機関の定める規程は、委託した普通地方公共団体の条例、規則又はその機関の定める規程としての効力を有する。

第五款 事務の代替執行

(事務の代替執行)
第二百五十二条の十六の二 普通地方公共団体は、他の普通地方公共団体の求めに応じて、協議により規約を定め、当該他の普通地方公共団体の事務の一部を、当該他の普通地方公共団体又は当該他の普通地方公共団体の長若しくは同種の委員会若しくは委員の名において管理し及び執行すること(以下この条及び次条において「事務の代替執行」という。)ができる。
2 前項の規定により事務の代替執行をする事務(以下この款において「代替執行事務」という。)を変更し、又は事務の代替執行を廃止しようとするときは、関係普通地方公共団体は、同項の例により、協議してこれを行わなければならない。
3 第二百五十二条の二の二第二項及び第三項本文の規定は前二項の規定により事務の代替執行をし、又は代替執行事務を変更し、若しくは事務の代替執行を廃止する場合に、同条第四項の規定は第一項の場合に準用する。

(事務の代替執行の規約)
第二百五十二条の十六の三 事務の代替執行に関する規約には、次に掲げる事項につき規定を設けなければならない。
一 事務の代替執行をする普通地方公共団体及びその相手方となる普通地方公共団体
二 代替執行事務の範囲並びに代替執行事務の管理及び執行の方法
三 代替執行事務に要する経費の支弁の方法
四 前三号に掲げるもののほか、事務の代替執行に関し必要な事項

(代替執行事務の管理及び執行の効力)
第二百五十二条の十六の四 第二百五十二条の十六の二の規定により普通地方公共団体が他の普通地方公共団体又は他の普通地方公共団体の長若しくは同種の委員会若しくは委員の名において管理し及び執行した事務の管理及び執行は、当該他の普通地方公共団体の長又は同種の委員会若しくは委員が管理し及び執行したものとしての効力を有する。

第六款 職員の派遣

(職員の派遣)
第二百五十二条の十七 普通地方公共団体の長又は委員会若しくは委員は、法律に特別の定めがあるものを除くほか、当該普通地方公共団体の事務の処理のため特別の必要があると認めるときは、他の普通地方公共団体の長又は委員会若しくは委員に対し、当該普通地方公共団体の職員の派遣を求めることができる。
2 前項の規定による求めに応じて派遣される職員は、派遣を受けた普通地方公共団体の職員の身分をあわせ有することとなるものとし、その給料、手当(退職手当を除く。)及び旅費は、当該職員の派遣を受けた普通地方公共団体の負担とし、退職手当及び退職年金又は退職一時金は、当該職員の派遣をした普通地方公共団体の負担とする。ただし、当該派遣が長期間にわたることその他の特別の事情があるときは、当該職員の派遣を求める普通地方公共団体及びその求めに応じて当該職員の派遣をしようとする普通地方公共団体の長又は委員会若しくは委員の協議により、当該派遣の趣旨に照らして必要な範囲内において、当該職員の派遣を求める普通地方公共団体が当該職員の退職手当の全部又は一部を負担することとすることができる。
3 普通地方公共団体の委員会又は委員が、第一項の規定により職員の派遣を求め、若しくはその求めに応じて職員を派遣しようとするとき、又は前項ただし書の規定により退職手当の負担について協議しようとするときは、あらかじめ、当該普通地方公共団体の長に協議しなければならない。
4 第二項に規定するもののほか、第一項の規定に基づき派遣された職員の身分取扱いに関しては、当該職員の派遣をした普通地方公共団体の職員に関する法令の規定の適用があるものとする。ただし、当該法令の趣旨に反しない範囲内で政令で特別の定めをすることができる。

第四節 条例による事務処理の特例

(条例による事務処理の特例)
第二百五十二条の十七の二 都道府県は、都道府県知事の権限に属する事務の一部を、条例の定めるところにより、市町村が処理することとすることができる。この場合においては、当該市町村が処理することとされた事務は、当該市町村の長が管理し及び執行するものとする。
2 前項の条例(同項の規定により都道府県の規則に基づく事務を市町村が処理することとする場合で、同項の条例の定めるところにより、規則に委任して当該事務の範囲を定めるときは、当該規則を含む。以下この節及び第二百五十二条の二十六の四第一項第三号において同じ。)を制定し又は改廃する場合においては、都道府県知事は、あらかじめ、その権限に属する事務の一部を処理し又は処理することとなる市町村の長に協議しなければならない。
3 市町村の長は、その議会の議決を経て、都道府県知事に対し、第一項の規定によりその権限に属する事務の一部を当該市町村が処理することとするよう要請することができる。
4 前項の規定による要請があつたときは、都道府県知事は、速やかに、当該市町村の長と協議しなければならない。

(条例による事務処理の特例の効果)
第二百五十二条の十七の三 前条第一項の条例の定めるところにより、都道府県知事の権限に属する事務の一部を市町村が処理する場合においては、当該条例の定めるところにより市町村が処理することとされた事務について規定する法令、条例又は規則中都道府県に関する規定は、当該事務の範囲内において、当該市町村に関する規定として当該市町村に適用があるものとする。
2 前項の規定により市町村に適用があるものとされる法令の規定により国の行政機関が市町村に対して行うものとなる助言等、資料の提出の要求等又は是正の要求等は、都道府県知事を通じて行うことができるものとする。
3 第一項の規定により市町村に適用があるものとされる法令の規定により市町村が国の行政機関と行うものとなる協議は、都道府県知事を通じて行うものとし、当該法令の規定により国の行政機関が市町村に対して行うものとなる許認可等に係る申請等は、都道府県知事を経由して行うものとする。

(是正の要求等の特則)
第二百五十二条の十七の四 都道府県知事は、第二百五十二条の十七の二第一項の条例の定めるところにより市町村が処理することとされた事務のうち自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該市町村に対し、第二百四十五条の五第二項に規定する各大臣の指示がない場合であつても、同条第三項の規定により、当該自治事務の処理について違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを求めることができる。
2 第二百五十二条の十七の二第一項の条例の定めるところにより市町村が処理することとされた事務のうち法定受託事務に対する第二百四十五条の八第十二項において準用する同条第一項から第十一項までの規定の適用については、同条第十二項において読み替えて準用する同条第二項から第四項まで、第六項、第八項及び第十一項中「都道府県知事」とあるのは、「各大臣」とする。この場合においては、同条第十三項の規定は適用しない。
3 第二百五十二条の十七の二第一項の条例の定めるところにより市町村が処理することとされた事務のうち自治事務の処理について第二百四十五条の五第三項の規定による是正の要求(第一項の規定による是正の要求を含む。)を行つた都道府県知事は、第二百五十二条第一項各号のいずれかに該当するときは、同項に規定する各大臣の指示がない場合であつても、同条第二項の規定により、訴えをもつて当該是正の要求を受けた市町村の不作為の違法の確認を求めることができる。
4 第二百五十二条の十七の二第一項の条例の定めるところにより市町村が処理することとされた事務のうち法定受託事務に係る市町村長の処分についての第二百五十五条の二第一項の審査請求の裁決に不服がある者は、当該処分に係る事務を規定する法律又はこれに基づく政令を所管する各大臣に対して再審査請求をすることができる。
5 市町村長が第二百五十二条の十七の二第一項の条例の定めるところにより市町村が処理することとされた事務のうち法定受託事務に係る処分をする権限をその補助機関である職員又はその管理に属する行政機関の長に委任した場合において、委任を受けた職員又は行政機関の長がその委任に基づいてした処分につき、第二百五十五条の二第二項の再審査請求の裁決があつたときは、当該裁決に不服がある者は、再々審査請求をすることができる。この場合において、再々審査請求は、当該処分に係る再審査請求若しくは審査請求の裁決又は当該処分を対象として、当該処分に係る事務を規定する法律又はこれに基づく政令を所管する各大臣に対してするものとする。
6 前項の再々審査請求については、行政不服審査法第四章の規定を準用する。
7 前項において準用する行政不服審査法の規定に基づく処分及びその不作為については、行政不服審査法第二条及び第三条の規定は、適用しない。

第五節 雑則

(組織及び運営の合理化に係る助言及び勧告並びに資料の提出の要求)
第二百五十二条の十七の五 総務大臣又は都道府県知事は、普通地方公共団体の組織及び運営の合理化に資するため、普通地方公共団体に対し、適切と認める技術的な助言若しくは勧告をし、又は当該助言若しくは勧告をするため若しくは普通地方公共団体の組織及び運営の合理化に関する情報を提供するため必要な資料の提出を求めることができる。
2 総務大臣は、都道府県知事に対し、前項の規定による市町村に対する助言若しくは勧告又は資料の提出の求めに関し、必要な指示をすることができる。
3 普通地方公共団体の長は、第二条第十四項及び第十五項の規定の趣旨を達成するため必要があると認めるときは、総務大臣又は都道府県知事に対し、当該普通地方公共団体の組織及び運営の合理化に関する技術的な助言若しくは勧告又は必要な情報の提供を求めることができる。

(財務に係る実地検査)
第二百五十二条の十七の六 総務大臣は、必要があるときは、都道府県について財務に関係のある事務に関し、実地の検査を行うことができる。
2 都道府県知事は、必要があるときは、市町村について財務に関係のある事務に関し、実地の検査を行うことができる。
3 総務大臣は、都道府県知事に対し、前項の規定による検査に関し、必要な指示をすることができる。
4 総務大臣は、前項の規定によるほか、緊急を要するときその他特に必要があると認めるときは、市町村について財務に関係のある事務に関し、実地の検査を行うことができる。

(市町村に関する調査)
第二百五十二条の十七の七 総務大臣は、第二百五十二条の十七の五第一項及び第二項並びに前条第三項及び第四項の規定による権限の行使のためその他市町村の適正な運営を確保するため必要があるときは、都道府県知事に対し、市町村についてその特に指定する事項の調査を行うよう指示をすることができる。

(長の臨時代理者)
第二百五十二条の十七の八 第百五十二条の規定により普通地方公共団体の長の職務を代理する者がないときは、都道府県知事については総務大臣、市町村長については都道府県知事は、普通地方公共団体の長の被選挙権を有する者で当該普通地方公共団体の区域内に住所を有するもののうちから臨時代理者を選任し、当該普通地方公共団体の長の職務を行わせることができる。
2 臨時代理者は、当該普通地方公共団体の長が選挙され、就任する時まで、普通地方公共団体の長の権限に属するすべての職務を行う。
3 臨時代理者により選任又は任命された当該普通地方公共団体の職員は、当該普通地方公共団体の長が選挙され、就任した時は、その職を失う。

(臨時選挙管理委員)
第二百五十二条の十七の九 普通地方公共団体の選挙管理委員会が成立しない場合において、当該普通地方公共団体の議会もまた成立していないときは、都道府県にあつては総務大臣、市町村にあつては都道府県知事は、臨時選挙管理委員を選任し、選挙管理委員の職務を行わせることができる。

(臨時選挙管理委員の給与)
第二百五十二条の十七の十 前条の臨時選挙管理委員に対する給与は、当該普通地方公共団体の選挙管理委員に対する給与の例によりこれを定める。

(在職期間の通算)
第二百五十二条の十八 都道府県は、恩給法(大正十二年法律第四十八号)第十九条に規定する公務員(同法同条に規定する公務員とみなされる者を含む。以下本条中「公務員」という。)であつた者、他の都道府県の退職年金及び退職一時金に関する条例(以下本条中「退職年金条例」という。)の適用を受ける職員(その都道府県の退職年金条例の適用を受ける市町村立学校職員給与負担法(昭和二十三年法律第百三十五号)第一条及び第二条に規定する職員を含む。以下本条中「他の都道府県の職員」という。)であつた者又は市町村の退職年金条例の適用を受ける学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する大学、高等学校及び幼稚園の職員並びに市町村の教育事務に従事する職員中政令で定める者(以下本条中「市町村の教育職員」という。)であつた者が、当該都道府県の退職年金条例の適用を受ける職員(その都道府県の退職年金条例の適用を受ける市町村立学校職員給与負担法第一条及び第二条に規定する職員を含む。以下本条中「当該都道府県の職員」という。)となつた場合においては、政令の定める基準に従い、当該公務員、他の都道府県の職員又は市町村の教育職員としての在職期間を当該都道府県の退職年金条例の規定による退職年金及び退職一時金の基礎となるべき在職期間に通算する措置を講じなければならない。ただし、市町村の教育職員としての在職期間については、当該市町村の教育職員に適用される退職年金条例の規定が政令の定める基準に従つて定められていないときは、この限りでない。
2 都道府県は、当該都道府県の職員であつた者が公務員、他の都道府県の職員又は市町村の教育職員となり、その当該都道府県の職員としての在職期間が恩給法の規定による恩給の基礎となるべき在職期間又は他の都道府県若しくは市町村の退職年金条例の規定による退職年金及び退職一時金の基礎となるべき在職期間に通算される場合における必要な調整措置を、政令の定める基準に従い、講じなければならない。
3 第一項の規定は、公務員であつた者、都道府県の職員(都道府県の退職年金条例の適用を受ける職員(その都道府県の退職年金条例の適用を受ける市町村立学校職員給与負担法第一条及び第二条に規定する職員を含む。)をいう。以下本項において同じ。)であつた者又は他の市町村の教育職員であつた者が市町村の教育職員となつた場合における当該市町村について、前項の規定は、市町村の教育職員であつた者が公務員、都道府県の職員又は他の市町村の教育職員となつた場合における当該市町村について、これを準用する。
4 普通地方公共団体は、第一項及び前項の規定の適用がある場合のほか、他の普通地方公共団体の退職年金条例の適用を受ける職員であつた者が当該普通地方公共団体の退職年金条例の適用を受ける職員となつた場合においては、当該他の普通地方公共団体の退職年金条例の適用を受ける職員としての在職期間を当該普通地方公共団体の退職年金条例の規定による退職年金及び退職一時金の基礎となる在職期間に通算する措置を講ずるように努めなければならない。

第二百五十二条の十八の二 普通地方公共団体は、国又は他の普通地方公共団体の職員から引き続いて当該普通地方公共団体の職員となつた者に係る退職手当の算定の基礎となる勤続期間の計算については、その者の当該国又は他の普通地方公共団体の職員としての引き続いた在職期間を当該普通地方公共団体の職員としての引き続いた在職期間に通算する措置を講ずるように努めなければならない。

第十三章 大都市等に関する特例

第一節 大都市に関する特例

(指定都市の権能)
第二百五十二条の十九 政令で指定する人口五十万以上の市(以下「指定都市」という。)は、次に掲げる事務のうち都道府県が法律又はこれに基づく政令の定めるところにより処理することとされているものの全部又は一部で政令で定めるものを、政令で定めるところにより、処理することができる。
一 児童福祉に関する事務
二 民生委員に関する事務
三 身体障害者の福祉に関する事務
四 生活保護に関する事務
五 行旅病人及び行旅死亡人の取扱に関する事務
五の二 社会福祉事業に関する事務
五の三 知的障害者の福祉に関する事務
六 母子家庭及び父子家庭並びに寡婦の福祉に関する事務
六の二 老人福祉に関する事務
七 母子保健に関する事務
七の二 介護保険に関する事務
八 障害者の自立支援に関する事務
八の二 生活困窮者の自立支援に関する事務
九 食品衛生に関する事務
九の二 医療に関する事務
十 精神保健及び精神障害者の福祉に関する事務
十一 結核の予防に関する事務
十一の二 難病の患者に対する医療等に関する事務
十二 土地区画整理事業に関する事務
十三 屋外広告物の規制に関する事務
2 指定都市がその事務を処理するに当たつて、法律又はこれに基づく政令の定めるところにより都道府県知事若しくは都道府県の委員会の許可、認可、承認その他これらに類する処分を要し、又はその事務の処理について都道府県知事若しくは都道府県の委員会の改善、停止、制限、禁止その他これらに類する指示その他の命令を受けるものとされている事項で政令で定めるものについては、政令の定めるところにより、これらの許可、認可等の処分を要せず、若しくはこれらの指示その他の命令に関する法令の規定を適用せず、又は都道府県知事若しくは都道府県の委員会の許可、認可等の処分若しくは指示その他の命令に代えて、各大臣の許可、認可等の処分を要するものとし、若しくは各大臣の指示その他の命令を受けるものとする。

(区の設置)
第二百五十二条の二十 指定都市は、市長の権限に属する事務を分掌させるため、条例で、その区域を分けて区を設け、区の事務所又は必要があると認めるときはその出張所を置くものとする。
2 区の事務所又はその出張所の位置、名称及び所管区域並びに区の事務所が分掌する事務は、条例でこれを定めなければならない。
3 区にその事務所の長として区長を置く。
4 区長又は区の事務所の出張所の長は、当該普通地方公共団体の長の補助機関である職員をもつて充てる。
5 区に選挙管理委員会を置く。
6 第四条第二項の規定は第二項の区の事務所又はその出張所の位置及び所管区域に、第百七十五条第二項の規定は区長又は第四項の区の事務所の出張所の長に、第二編第七章第三節中市の選挙管理委員会に関する規定は前項の選挙管理委員会について、これを準用する。
7 指定都市は、必要と認めるときは、条例で、区ごとに区地域協議会を置くことができる。この場合において、その区域内に地域自治区が設けられる区には、区地域協議会を設けないことができる。
8 第二百二条の五第二項から第五項まで及び第二百二条の六から第二百二条の九までの規定は、区地域協議会に準用する。
9 指定都市は、地域自治区を設けるときは、その区域は、区の区域を分けて定めなければならない。
10 第七項の規定に基づき、区に区地域協議会を置く指定都市は、第二百二条の四第一項の規定にかかわらず、その一部の区の区域に地域自治区を設けることができる。
11 前各項に定めるもののほか、指定都市の区に関し必要な事項は、政令でこれを定める。

(総合区の設置)
第二百五十二条の二十の二 指定都市は、その行政の円滑な運営を確保するため必要があると認めるときは、前条第一項の規定にかかわらず、市長の権限に属する事務のうち特定の区の区域内に関するものを第八項の規定により総合区長に執行させるため、条例で、当該区に代えて総合区を設け、総合区の事務所又は必要があると認めるときはその出張所を置くことができる。
2 総合区の事務所又はその出張所の位置、名称及び所管区域並びに総合区の事務所が分掌する事務は、条例でこれを定めなければならない。
3 総合区にその事務所の長として総合区長を置く。
4 総合区長は、市長が議会の同意を得てこれを選任する。
5 総合区長の任期は、四年とする。ただし、市長は、任期中においてもこれを解職することができる。
6 総合区の事務所の職員のうち、総合区長があらかじめ指定する者は、総合区長に事故があるとき又は総合区長が欠けたときは、その職務を代理する。
7 第百四十一条、第百四十二条、第百五十九条、第百六十四条、第百六十五条第二項、第百六十六条第一項及び第三項並びに第百七十五条第二項の規定は、総合区長について準用する。
8 総合区長は、総合区の区域に係る政策及び企画をつかさどるほか、法律若しくはこれに基づく政令又は条例により総合区長が執行することとされた事務及び市長の権限に属する事務のうち主として総合区の区域内に関するもので次に掲げるものを執行し、これらの事務の執行について当該指定都市を代表する。ただし、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがある場合は、この限りでない。
一 総合区の区域に住所を有する者の意見を反映させて総合区の区域のまちづくりを推進する事務(法律若しくはこれに基づく政令又は条例により市長が執行することとされたものを除く。)
二 総合区の区域に住所を有する者相互間の交流を促進するための事務(法律若しくはこれに基づく政令又は条例により市長が執行することとされたものを除く。)
三 社会福祉及び保健衛生に関する事務のうち総合区の区域に住所を有する者に対して直接提供される役務に関する事務(法律若しくはこれに基づく政令又は条例により市長が執行することとされたものを除く。)
四 前三号に掲げるもののほか、主として総合区の区域内に関する事務で条例で定めるもの
9 総合区長は、総合区の事務所又はその出張所の職員(政令で定めるものを除く。)を任免する。ただし、指定都市の規則で定める主要な職員を任免する場合においては、あらかじめ、市長の同意を得なければならない。
10 総合区長は、歳入歳出予算のうち総合区長が執行する事務に係る部分に関し必要があると認めるときは、市長に対し意見を述べることができる。
11 総合区に選挙管理委員会を置く。
12 第四条第二項の規定は第二項の総合区の事務所又はその出張所の位置及び所管区域について、第百七十五条第二項の規定は総合区の事務所の出張所の長について、第二編第七章第三節中市の選挙管理委員会に関する規定は前項の選挙管理委員会について準用する。
13 前条第七項から第十項までの規定は、総合区について準用する。
14 前各項に定めるもののほか、指定都市の総合区に関し必要な事項は、政令でこれを定める。

(政令への委任)
第二百五十二条の二十一 法律又はこれに基づく政令に定めるもののほか、第二百五十二条の十九第一項の規定による指定都市の指定があつた場合において必要な事項は、政令でこれを定める。

(指定都市都道府県調整会議)
第二百五十二条の二十一の二 指定都市及び当該指定都市を包括する都道府県(以下この条から第二百五十二条の二十一の四までにおいて「包括都道府県」という。)は、指定都市及び包括都道府県の事務の処理について必要な協議を行うため、指定都市都道府県調整会議を設ける。
2 指定都市都道府県調整会議は、次に掲げる者をもつて構成する。
一 指定都市の市長
二 包括都道府県の知事
3 指定都市の市長及び包括都道府県の知事は、必要と認めるときは、協議して、指定都市都道府県調整会議に、次に掲げる者を構成員として加えることができる。
一 指定都市の市長以外の指定都市の執行機関が当該執行機関の委員長(教育委員会にあつては、教育長)、委員若しくは当該執行機関の事務を補助する職員又は当該執行機関の管理に属する機関の職員のうちから選任した者
二 指定都市の市長がその補助機関である職員のうちから選任した者
三 指定都市の議会が当該指定都市の議会の議員のうちから選挙により選出した者
四 包括都道府県の知事以外の包括都道府県の執行機関が当該執行機関の委員長(教育委員会にあつては、教育長)、委員若しくは当該執行機関の事務を補助する職員又は当該執行機関の管理に属する機関の職員のうちから選任した者
五 包括都道府県の知事がその補助機関である職員のうちから選任した者
六 包括都道府県の議会が当該包括都道府県の議会の議員のうちから選挙により選出した者
七 学識経験を有する者
4 指定都市の市長又は包括都道府県の知事は、指定都市の市長又は包括都道府県の知事以外の執行機関の権限に属する事務の処理について、指定都市都道府県調整会議における協議を行う場合には、指定都市都道府県調整会議に、当該執行機関が当該執行機関の委員長(教育委員会にあつては、教育長)、委員若しくは当該執行機関の事務を補助する職員又は当該執行機関の管理に属する機関の職員のうちから選任した者を構成員として加えるものとする。
5 指定都市の市長又は包括都道府県の知事は、第二条第六項又は第十四項の規定の趣旨を達成するため必要があると認めるときは、指定都市の市長にあつては包括都道府県の事務に関し当該包括都道府県の知事に対して、包括都道府県の知事にあつては指定都市の事務に関し当該指定都市の市長に対して、指定都市都道府県調整会議において協議を行うことを求めることができる。
6 前項の規定による求めを受けた指定都市の市長又は包括都道府県の知事は、当該求めに係る協議に応じなければならない。
7 前各項に定めるもののほか、指定都市都道府県調整会議に関し必要な事項は、指定都市都道府県調整会議が定める。

(指定都市と包括都道府県の間の協議に係る勧告)
第二百五十二条の二十一の三 指定都市の市長又は包括都道府県の知事は、前条第五項の規定による求めに係る協議を調えるため必要があると認めるときは、総務大臣に対し、文書で、当該指定都市及び包括都道府県の事務の処理に関し当該協議を調えるため必要な勧告を行うことを求めることができる。
2 指定都市の市長又は包括都道府県の知事は、前項の規定による勧告の求め(以下この条及び次条において「勧告の求め」という。)をしようとするときは、あらかじめ、当該指定都市又は包括都道府県の議会の議決を経なければならない。
3 指定都市の市長又は包括都道府県の知事は、勧告の求めをしようとするときは、指定都市の市長にあつては包括都道府県の知事、包括都道府県の知事にあつては指定都市の市長に対し、その旨をあらかじめ通知しなければならない。
4 勧告の求めをした指定都市の市長又は包括都道府県の知事は、総務大臣の同意を得て、当該勧告の求めを取り下げることができる。
5 総務大臣は、勧告の求めがあつた場合においては、これを国の関係行政機関の長に通知するとともに、次条第二項の規定により指定都市都道府県勧告調整委員を任命し、当該勧告の求めに係る総務大臣の勧告について意見を求めなければならない。
6 前項の規定により通知を受けた国の関係行政機関の長は、総務大臣に対し、文書で、当該勧告の求めについて意見を申し出ることができる。
7 総務大臣は、前項の意見の申出があつたときは、当該意見を指定都市都道府県勧告調整委員に通知するものとする。
8 総務大臣は、指定都市都道府県勧告調整委員から意見が述べられたときは、遅滞なく、指定都市の市長及び包括都道府県の知事に対し、第二条第六項又は第十四項の規定の趣旨を達成するため必要な勧告をするとともに、当該勧告の内容を国の関係行政機関の長に通知し、かつ、これを公表しなければならない。

(指定都市都道府県勧告調整委員)
第二百五十二条の二十一の四 指定都市都道府県勧告調整委員は、前条第五項の規定による総務大臣からの意見の求めに応じ、総務大臣に対し、勧告の求めがあつた事項に関して意見を述べる。
2 指定都市都道府県勧告調整委員は、三人とし、事件ごとに、優れた識見を有する者のうちから、総務大臣がそれぞれ任命する。
3 指定都市都道府県勧告調整委員は、非常勤とする。
4 指定都市都道府県勧告調整委員は、勧告の求めをした指定都市の市長若しくは包括都道府県の知事が前条第四項の規定により勧告の求めを取り下げたとき又は同条第五項の規定による総務大臣からの意見の求めに応じ、総務大臣に対し、勧告の求めがあつた事項に関して意見を述べたときは、その職を失う。
5 総務大臣は、指定都市都道府県勧告調整委員が当該事件に直接利害関係を有することとなつたときは、当該指定都市都道府県勧告調整委員を罷免しなければならない。
6 第二百五十条の九第二項、第八項、第九項(第二号を除く。)及び第十項から第十四項までの規定は、指定都市都道府県勧告調整委員に準用する。この場合において、同条第二項中「三人以上」とあるのは「二人以上」と、同条第九項中「総務大臣は、両議院の同意を得て」とあるのは「総務大臣は」と、「三人以上」とあるのは「二人以上」と、「二人」とあるのは「一人」と、同条第十項中「二人」とあるのは「一人」と、同条第十一項中「両議院の同意を得て、その委員を」とあるのは「その指定都市都道府県勧告調整委員を」と、同条第十二項中「第四項後段及び第八項から前項まで」とあるのは「第八項、第九項(第二号を除く。)、第十項及び前項並びに第二百五十二条の二十一の四第五項」と読み替えるものとする。

(政令への委任)
第二百五十二条の二十一の五 前二条に規定するもののほか、第二百五十二条の二十一の三第一項に規定する総務大臣の勧告に関し必要な事項は、政令で定める。

第二節 中核市に関する特例

(中核市の権能)
第二百五十二条の二十二 政令で指定する人口二十万以上の市(以下「中核市」という。)は、第二百五十二条の十九第一項の規定により指定都市が処理することができる事務のうち、都道府県がその区域にわたり一体的に処理することが中核市が処理することに比して効率的な事務その他の中核市において処理することが適当でない事務以外の事務で政令で定めるものを、政令で定めるところにより、処理することができる。
2 中核市がその事務を処理するに当たつて、法律又はこれに基づく政令の定めるところにより都道府県知事の改善、停止、制限、禁止その他これらに類する指示その他の命令を受けるものとされている事項で政令で定めるものについては、政令の定めるところにより、これらの指示その他の命令に関する法令の規定を適用せず、又は都道府県知事の指示その他の命令に代えて、各大臣の指示その他の命令を受けるものとする。

第二百五十二条の二十三 削除

(中核市の指定に係る手続)
第二百五十二条の二十四 総務大臣は、第二百五十二条の二十二第一項の中核市の指定に係る政令の立案をしようとするときは、関係市からの申出に基づき、これを行うものとする。
2 前項の規定による申出をしようとするときは、関係市は、あらかじめ、当該市の議会の議決を経て、都道府県の同意を得なければならない。
3 前項の同意については、当該都道府県の議会の議決を経なければならない。

(政令への委任)
第二百五十二条の二十五 第二百五十二条の二十一の規定は、第二百五十二条の二十二第一項の規定による中核市の指定があつた場合について準用する。

(指定都市の指定があつた場合の取扱い)
第二百五十二条の二十六 中核市に指定された市について第二百五十二条の十九第一項の規定による指定都市の指定があつた場合は、当該市に係る第二百五十二条の二十二第一項の規定による中核市の指定は、その効力を失うものとする。

(中核市の指定に係る手続の特例)
第二百五十二条の二十六の二 第七条第一項又は第三項の規定により中核市に指定された市の区域の全部を含む区域をもつて市を設置する処分について同項の規定により総務大臣に届出又は申請があつた場合は、第二百五十二条の二十四第一項の関係市からの申出があつたものとみなす。

第十四章 国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における国と普通地方公共団体との関係等の特例

(資料及び意見の提出の要求)
第二百五十二条の二十六の三 各大臣又は都道府県知事その他の都道府県の執行機関は、大規模な災害、感染症のまん延その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態(以下この章において「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」と総称する。)が発生し、又は発生するおそれがある場合において、その担任する事務に関し、当該国民の安全に重大な影響を及ぼす事態への対処に関する基本的な方針について検討を行い、若しくは国民の生命、身体若しくは財産の保護のための措置(以下この章において「生命等の保護の措置」という。)を講じ、又は普通地方公共団体が講ずる生命等の保護の措置について適切と認める普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与(第二百四十五条の四第一項の規定による助言及び勧告を除く。)を行うため必要があると認めるときは、普通地方公共団体に対し、資料の提出を求めることができる。
2 各大臣又は都道府県知事その他の都道府県の執行機関は、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生し、又は発生するおそれがある場合において、その担任する事務に関し、当該国民の安全に重大な影響を及ぼす事態への対処に関する基本的な方針について検討を行い、若しくは生命等の保護の措置を講じ、又は普通地方公共団体が講ずる生命等の保護の措置について適切と認める技術的な助言その他の普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与若しくは情報の提供を行うため必要があると認めるときは、普通地方公共団体に対し、意見の提出を求めることができる。
3 第二百四十五条の四第二項の規定は、前二項の規定による市町村に対する都道府県知事その他の都道府県の執行機関の資料又は意見の提出の求めについて準用する。

(事務処理の調整の指示)
第二百五十二条の二十六の四 各大臣は、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生し、又は発生するおそれがある場合において、その担任する事務に関し、生命等の保護の措置の的確かつ迅速な実施を確保するため、当該国民の安全に重大な影響を及ぼす事態に係る都道府県において、一の市町村の区域を超える広域の見地から、当該都道府県の事務(法律又はこれに基づく政令により都道府県が処理することとされている事務であつて、当該生命等の保護の措置に係るものに限る。)の処理と当該都道府県の区域内の市町村の事務(法律又はこれに基づく政令により都道府県が処理することとされている事務のうち、次に掲げるものであつて、当該生命等の保護の措置に密接に関連するものに限る。)の処理との間の調整を図る必要があると認めるときは、第二百四十五条の四第二項(前条第三項において準用する場合を含む。)の規定によるほか、当該都道府県に対し、当該調整を図るために必要な措置を講ずるよう指示をすることができる。この場合において、各大臣は、当該市町村に対し、当該指示をした旨を通知するものとする。
一 法律又はこれに基づく政令により指定都市又は中核市が処理することとされている事務(法律又はこれに基づく政令によりこれらの市以外の市町村が当該事務を処理することとされている場合における当該事務を除く。)
二 前号に掲げる事務を除くほか、法律又はこれに基づく政令により市町村が処理することとされている事務のうち政令で定めるもの
三 第二百五十二条の十七の二第一項の条例又は地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和三十一年法律第百六十二号)第五十五条第一項の条例の定めるところにより市町村が処理することとされている事務
2 前項後段の規定による通知は、都道府県知事その他の都道府県の執行機関を通じてすることができる。

(生命等の保護の措置に関する指示)
第二百五十二条の二十六の五 各大臣は、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生し、又は発生するおそれがある場合において、当該国民の安全に重大な影響を及ぼす事態の規模及び態様、当該国民の安全に重大な影響を及ぼす事態に係る地域の状況その他の当該国民の安全に重大な影響を及ぼす事態に関する状況を勘案して、その担任する事務に関し、生命等の保護の措置の的確かつ迅速な実施を確保するため特に必要があると認めるときは、他の法律の規定に基づき当該生命等の保護の措置に関し必要な指示をすることができる場合を除き、閣議の決定を経て、その必要な限度において、普通地方公共団体に対し、当該普通地方公共団体の事務の処理について当該生命等の保護の措置の的確かつ迅速な実施を確保するため講ずべき措置に関し、必要な指示をすることができる。
2 各大臣は、前項の規定により普通地方公共団体に対して指示をしようとするときは、あらかじめ、当該指示に係る同項に規定する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態に関する状況を適切に把握し、当該普通地方公共団体の事務の処理について同項の生命等の保護の措置の的確かつ迅速な実施を確保するため講ずべき措置の検討を行うため、第二百五十二条の二十六の三第一項又は第二項の規定による当該普通地方公共団体に対する資料又は意見の提出の求めその他の適切な措置を講ずるように努めなければならない。
3 市町村に対する第一項の指示は、都道府県知事その他の都道府県の執行機関を通じてすることができる。
4 各大臣は、第一項の指示をしたときは、その旨及びその内容を国会に報告するものとする。

(普通地方公共団体相互間の応援の要求)
第二百五十二条の二十六の六 普通地方公共団体の長又は委員会若しくは委員は、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生し、又は発生するおそれがある場合において、生命等の保護の措置を的確かつ迅速に講ずるため必要があると認めるときは、他の法律の規定に基づき当該生命等の保護の措置について応援を求めることができる場合を除き、他の普通地方公共団体の長又は委員会若しくは委員に対し、応援を求めることができる。この場合において、応援を求められた普通地方公共団体の長又は委員会若しくは委員は、正当な理由がない限り、当該求めに応じなければならない。
2 前項の応援を求めた普通地方公共団体の長又は委員会若しくは委員は、同項の生命等の保護の措置の実施について、当該応援に従事する者を指揮する。

(都道府県による応援の要求及び指示)
第二百五十二条の二十六の七 都道府県知事は、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生し、又は発生するおそれがある場合において、当該都道府県の区域内の市町村の実施する生命等の保護の措置が的確かつ迅速に講ぜられるようにするため特に必要があると認めるときは、他の法律の規定に基づき当該生命等の保護の措置について応援することを求めることができる場合を除き、市町村長又は市町村の委員会若しくは委員に対し、他の市町村長又は他の市町村の委員会若しくは委員を応援することを求めることができる。
2 都道府県知事は、前項に規定する場合において、同項の規定による求めのみによつては同項の生命等の保護の措置に係る応援が円滑に実施されないと認めるときは、他の法律の規定に基づき当該生命等の保護の措置について応援すべきことを指示することができる場合を除き、市町村長又は市町村の委員会若しくは委員に対し、他の市町村長又は他の市町村の委員会若しくは委員を応援すべきことを指示することができる。
3 前二項の規定による求め又は指示に係る応援を受ける市町村長又は市町村の委員会若しくは委員は、これらの規定の生命等の保護の措置の実施について、当該応援に従事する者を指揮する。

(国による応援の要求及び指示等)
第二百五十二条の二十六の八 都道府県知事は、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生し、又は発生するおそれがある場合において、第二百五十二条の二十六の六第一項若しくは前条第一項の規定による求め又は同条第二項の規定による指示のみによつてはこれらの規定の生命等の保護の措置に係る応援が円滑に実施されないと認めるときは、他の法律の規定に基づき当該生命等の保護の措置について応援することを求めるよう求めることができる場合を除き、当該国民の安全に重大な影響を及ぼす事態に関係のある事務を担任する各大臣に対し、他の都道府県知事又は他の都道府県の委員会若しくは委員に対し当該国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生し若しくは発生するおそれがある都道府県の知事若しくは委員会若しくは委員(以下この条において「事態発生都道府県の知事等」という。)又は当該国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生し若しくは発生するおそれがある市町村の長若しくは委員会若しくは委員(以下この条において「事態発生市町村の長等」という。)を応援することを求めるよう求めることができる。
2 各大臣は、前項の規定による求めがあつた場合において、その担任する事務に関し、事態発生都道府県の知事等及び事態発生市町村の長等の実施する生命等の保護の措置が的確かつ迅速に講ぜられるようにするため特に必要があると認めるときは、他の法律の規定に基づき当該生命等の保護の措置について応援することを求めることができる場合を除き、当該事態発生都道府県の知事等以外の都道府県知事又は都道府県の委員会若しくは委員(以下この条において「都道府県知事等」という。)に対し、当該事態発生都道府県の知事等又は当該事態発生市町村の長等を応援することを求めることができる。
3 各大臣は、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生し、又は発生するおそれがある場合であつて、その担任する事務に関し、事態発生都道府県の知事等及び事態発生市町村の長等の実施する生命等の保護の措置が的確かつ迅速に講ぜられるようにするため特に必要があると認める場合において、当該国民の安全に重大な影響を及ぼす事態に照らし特に緊急を要し、第一項の規定による求めを待ついとまがないと認めるときは、他の法律の規定に基づき当該生命等の保護の措置について応援することを求めることができる場合を除き、当該求めを待たないで、当該事態発生都道府県の知事等以外の都道府県知事等又は当該事態発生市町村の長等以外の市町村長若しくは市町村の委員会若しくは委員(以下この条において「市町村長等」という。)に対し、当該事態発生都道府県の知事等又は当該事態発生市町村の長等を応援することを求めることができる。この場合において、各大臣は、当該事態発生都道府県の知事等に対し、速やかにその旨を通知するものとする。
4 各大臣は、前二項に規定する場合において、これらの規定による求めのみによつてはこれらの規定の生命等の保護の措置に係る応援が円滑に実施されないと認めるときは、他の法律の規定に基づき当該生命等の保護の措置について応援すべきことを指示することができる場合を除き、事態発生都道府県の知事等以外の都道府県知事等又は事態発生市町村の長等以外の市町村長等に対し、当該事態発生都道府県の知事等又は当該事態発生市町村の長等を応援すべきことを指示することができる。この場合(前項に規定する場合において、各大臣が指示するときに限る。)において、各大臣は、当該事態発生都道府県の知事等に対し、速やかにその旨を通知するものとする。
5 事態発生都道府県の知事等以外の都道府県知事等は、第二項若しくは第三項の規定による求め又は前項の規定による指示に応じ応援をする場合において、事態発生市町村の長等の実施する生命等の保護の措置が的確かつ迅速に講ぜられるようにするため特に必要があると認めるときは、当該都道府県の区域内の市町村長等に対し、当該事態発生市町村の長等を応援することを求めることができる。
6 事態発生都道府県の知事等以外の都道府県知事等は、第四項の規定による指示に応じ応援をする場合において、事態発生市町村の長等の実施する生命等の保護の措置が的確かつ迅速に講ぜられるようにするため特に必要があり、かつ、前項の規定による求めのみによつては当該生命等の保護の措置に係る応援が円滑に実施されないと認めるときは、当該都道府県の区域内の市町村長等に対し、当該事態発生市町村の長等を応援すべきことを指示することができる。
7 第二項から前項までの規定による求め又は指示に係る応援を受ける事態発生都道府県の知事等又は事態発生市町村の長等は、これらの規定の生命等の保護の措置の実施について、当該応援に従事する者を指揮する。

(職員の派遣のあつせん)
第二百五十二条の二十六の九 普通地方公共団体の長又は委員会若しくは委員は、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生し、又は発生するおそれがある場合において、生命等の保護の措置を的確かつ迅速に講ずるため必要があると認めるときは、他の法律の規定に基づき当該生命等の保護の措置について職員の派遣のあつせんを求めることができる場合を除き、当該国民の安全に重大な影響を及ぼす事態に関係のある事務を担任する各大臣又は都道府県知事に対し、第二百五十二条の十七第一項の規定による職員の派遣についてあつせんを求めることができる。
2 第二百五十二条の十七第三項の規定は、前項の規定によりあつせんを求めようとする場合について準用する。
3 市町村長又は市町村の委員会若しくは委員が第一項の規定により各大臣に対しあつせんを求めるときは、都道府県知事を経由してするものとする。

(職員の派遣義務)
第二百五十二条の二十六の十 普通地方公共団体の長又は委員会若しくは委員は、前条の規定によるあつせんがあつたときは、その所掌事務の遂行に著しい支障のない限り、適任と認める職員を派遣しなければならない。

第十五章 外部監査契約に基づく監査

第一節 通則

(外部監査契約)
第二百五十二条の二十七 この法律において「外部監査契約」とは、包括外部監査契約及び個別外部監査契約をいう。
2 この法律において「包括外部監査契約」とは、第二百五十二条の三十六第一項各号に掲げる普通地方公共団体及び同条第二項の条例を定めた同条第一項第二号に掲げる市以外の市又は町村が、第二条第十四項及び第十五項の規定の趣旨を達成するため、この法律の定めるところにより、次条第一項又は第二項に規定する者の監査を受けるとともに監査の結果に関する報告の提出を受けることを内容とする契約であつて、この法律の定めるところにより、当該監査を行う者と締結するものをいう。
3 この法律において「個別外部監査契約」とは、次の各号に掲げる普通地方公共団体が、当該各号に掲げる請求又は要求があつた場合において、この法律の定めるところにより、当該請求又は要求に係る事項について次条第一項又は第二項に規定する者の監査を受けるとともに監査の結果に関する報告の提出を受けることを内容とする契約であつて、この法律の定めるところにより、当該監査を行う者と締結するものをいう。
一 第二百五十二条の三十九第一項に規定する普通地方公共団体 第七十五条第一項の請求
二 第二百五十二条の四十第一項に規定する普通地方公共団体 第九十八条第二項の請求
三 第二百五十二条の四十一第一項に規定する普通地方公共団体 第百九十九条第六項の要求
四 第二百五十二条の四十二第一項に規定する普通地方公共団体 第百九十九条第七項の要求
五 第二百五十二条の四十三第一項に規定する普通地方公共団体 第二百四十二条第一項の請求

(外部監査契約を締結できる者)
第二百五十二条の二十八 普通地方公共団体が外部監査契約を締結できる者は、普通地方公共団体の財務管理、事業の経営管理その他行政運営に関し優れた識見を有する者であつて、次の各号のいずれかに該当するものとする。
一 弁護士(弁護士となる資格を有する者を含む。)
二 公認会計士(公認会計士となる資格を有する者を含む。)
三 国の行政機関において会計検査に関する行政事務に従事した者又は地方公共団体において監査若しくは財務に関する行政事務に従事した者であつて、監査に関する実務に精通しているものとして政令で定めるもの
2 普通地方公共団体は、外部監査契約を円滑に締結し、又はその適正な履行を確保するため必要と認めるときは、前項の規定にかかわらず、同項の識見を有する者であつて税理士(税理士となる資格を有する者を含む。)であるものと外部監査契約を締結することができる。
3 前二項の規定にかかわらず、普通地方公共団体は、次の各号のいずれかに該当する者と外部監査契約を締結してはならない。
一 拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつてから三年を経過しない者
二 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
三 国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)又は地方公務員法の規定により懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から三年を経過しない者
四 弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)、公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)又は税理士法(昭和二十六年法律第二百三十七号)の規定による懲戒処分により、弁護士会からの除名、公認会計士の登録の抹消又は税理士の業務の禁止の処分を受けた者で、これらの処分を受けた日から三年を経過しないもの(これらの法律の規定により再び業務を営むことができることとなつた者を除く。)
五 税理士法第四十八条第一項の規定により同法第四十四条第三号に掲げる処分を受けるべきであつたことについて決定を受けた者で、当該決定を受けた日から三年を経過しないもの
六 懲戒処分により、弁護士、公認会計士又は税理士の業務を停止された者で、現にその処分を受けているもの
七 税理士法第四十八条第一項の規定により同法第四十四条第二号に掲げる処分を受けるべきであつたことについて決定を受けた者で、同項後段の規定により明らかにされた期間を経過しないもの
八 当該普通地方公共団体の議会の議員
九 当該普通地方公共団体の職員
十 当該普通地方公共団体の職員で政令で定めるものであつた者
十一 当該普通地方公共団体の長、副知事若しくは副市町村長、会計管理者又は監査委員と親子、夫婦又は兄弟姉妹の関係にある者
十二 当該普通地方公共団体に対し請負(外部監査契約に基づくものを除く。)をする者及びその支配人又は主として同一の行為をする法人の無限責任社員、取締役、執行役若しくは監査役若しくはこれらに準ずべき者、支配人及び清算人

(特定の事件についての監査の制限)
第二百五十二条の二十九 包括外部監査人(普通地方公共団体と包括外部監査契約を締結し、かつ、包括外部監査契約の期間(包括外部監査契約に基づく監査を行い、監査の結果に関する報告を提出すべき期間をいう。以下本章において同じ。)内にある者をいう。以下本章において同じ。)又は個別外部監査人(普通地方公共団体と個別外部監査契約を締結し、かつ、個別外部監査契約の期間(個別外部監査契約に基づく監査を行い、監査の結果に関する報告を提出すべき期間をいう。以下本章において同じ。)内にある者をいう。以下本章において同じ。)は、自己若しくは父母、祖父母、配偶者、子、孫若しくは兄弟姉妹の一身上に関する事件又は自己若しくはこれらの者の従事する業務に直接の利害関係のある事件については、監査することができない。

(監査の実施に伴う外部監査人と監査委員相互間の配慮)
第二百五十二条の三十 外部監査人(包括外部監査人及び個別外部監査人をいう。以下本章において同じ。)は、監査を実施するに当たつては、監査委員にその旨を通知する等相互の連絡を図るとともに、監査委員の監査の実施に支障を来さないよう配慮しなければならない。
2 監査委員は、監査を実施するに当たつては、外部監査人の監査の実施に支障を来さないよう配慮しなければならない。

(監査の実施に伴う外部監査人の義務)
第二百五十二条の三十一 外部監査人は、外部監査契約の本旨に従い、善良な管理者の注意をもつて、誠実に監査を行う義務を負う。
2 外部監査人は、外部監査契約の履行に当たつては、常に公正不偏の態度を保持し、自らの判断と責任において監査をしなければならない。
3 外部監査人は、監査の実施に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。外部監査人でなくなつた後であつても、同様とする。
4 前項の規定に違反した者は、二年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
5 外部監査人は、監査の事務に関しては、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

(外部監査人の監査の事務の補助)
第二百五十二条の三十二 外部監査人は、監査の事務を他の者に補助させることができる。この場合においては、外部監査人は、政令の定めるところにより、あらかじめ監査委員に協議しなければならない。
2 監査委員は、前項の規定による協議が調つた場合には、直ちに当該監査の事務を補助する者の氏名及び住所並びに当該監査の事務を補助する者が外部監査人の監査の事務を補助できる期間を告示しなければならない。
3 第一項の規定による協議は、監査委員の合議によるものとする。
4 外部監査人は、監査が適正かつ円滑に行われるよう外部監査人補助者(第二項の規定により外部監査人の監査の事務を補助する者として告示された者であつて、かつ、外部監査人の監査の事務を補助できる期間内にあるものをいう。以下本条において同じ。)を監督しなければならない。
5 外部監査人補助者は、外部監査人の監査の事務を補助したことに関して知り得た秘密を漏らしてはならない。外部監査人補助者でなくなつた後であつても、同様とする。
6 前項の規定に違反した者は、二年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
7 外部監査人補助者は、外部監査人の監査の事務の補助に関しては、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
8 外部監査人は、第二項の規定により告示された者に監査の事務を補助させる必要がなくなつたときは、速やかに、その旨を監査委員に通知しなければならない。
9 前項の通知があつたときは、監査委員は、速やかに、当該通知があつた者の氏名及び住所並びにその者が外部監査人を補助する者でなくなつたことを告示しなければならない。
10 前項の規定による告示があつたときは、当該告示された者が外部監査人の監査の事務を補助できる期間は終了する。

(外部監査人の監査への協力)
第二百五十二条の三十三 普通地方公共団体が外部監査人の監査を受けるに当たつては、当該普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関又は職員は、外部監査人の監査の適正かつ円滑な遂行に協力するよう努めなければならない。
2 代表監査委員は、外部監査人の求めに応じ、監査委員の監査の事務に支障のない範囲内において、監査委員の事務局長、書記その他の職員、監査専門委員又は第百八十条の三の規定による職員を外部監査人の監査の事務に協力させることができる。

(議会による説明の要求又は意見の陳述)
第二百五十二条の三十四 普通地方公共団体の議会は、外部監査人の監査に関し必要があると認めるときは、外部監査人又は外部監査人であつた者の説明を求めることができる。
2 普通地方公共団体の議会は、外部監査人の監査に関し必要があると認めるときは、外部監査人に対し意見を述べることができる。

(外部監査契約の解除)
第二百五十二条の三十五 普通地方公共団体の長は、外部監査人が第二百五十二条の二十八第一項各号のいずれにも該当しなくなつたとき(同条第二項の規定により外部監査契約が締結された場合にあつては、税理士(税理士となる資格を有する者を含む。)でなくなつたとき)、又は同条第三項各号のいずれかに該当するに至つたときは、当該外部監査人と締結している外部監査契約を解除しなければならない。
2 普通地方公共団体の長は、外部監査人が心身の故障のため監査の遂行に堪えないと認めるとき、外部監査人にこの法律若しくはこれに基づく命令の規定又は外部監査契約に係る義務に違反する行為があると認めるときその他外部監査人と外部監査契約を締結していることが著しく不適当と認めるときは、外部監査契約を解除することができる。この場合においては、あらかじめ監査委員の意見を聴くとともに、その意見を付けて議会の同意を得なければならない。
3 外部監査人が、外部監査契約を解除しようとするときは、普通地方公共団体の長の同意を得なければならない。この場合においては、当該普通地方公共団体の長は、あらかじめ監査委員の意見を聴かなければならない。
4 前二項の規定による意見は、監査委員の合議によるものとする。
5 普通地方公共団体の長は、第一項若しくは第二項の規定により外部監査契約を解除したとき、又は第三項の規定により外部監査契約を解除されたときは、直ちに、その旨を告示するとともに、遅滞なく、新たに外部監査契約を締結しなければならない。
6 外部監査契約の解除は、将来に向かつてのみその効力を生ずる。

第二節 包括外部監査契約に基づく監査

(包括外部監査契約の締結)
第二百五十二条の三十六 次に掲げる普通地方公共団体の長は、政令で定めるところにより、毎会計年度、当該会計年度に係る包括外部監査契約を、速やかに、一の者と締結しなければならない。この場合においては、あらかじめ監査委員の意見を聴くとともに、議会の議決を経なければならない。
一 都道府県
二 政令で定める市
2 前項第二号に掲げる市以外の市又は町村で、契約に基づく監査を受けることを条例により定めたものの長は、同項の政令で定めるところにより、条例で定める会計年度において、当該会計年度に係る包括外部監査契約を、速やかに、一の者と締結しなければならない。この場合においては、あらかじめ監査委員の意見を聴くとともに、議会の議決を経なければならない。
3 前二項の規定による意見の決定は、監査委員の合議によるものとする。
4 第一項又は第二項の規定により包括外部監査契約を締結する場合には、第一項各号に掲げる普通地方公共団体及び第二項の条例を定めた第一項第二号に掲げる市以外の市又は町村(以下「包括外部監査対象団体」という。)は、連続して四回、同一の者と包括外部監査契約を締結してはならない。
5 包括外部監査契約には、次に掲げる事項について定めなければならない。
一 包括外部監査契約の期間の始期
二 包括外部監査契約を締結した者に支払うべき監査に要する費用の額の算定方法
三 前二号に掲げる事項のほか、包括外部監査契約に基づく監査のために必要な事項として政令で定めるもの
6 包括外部監査対象団体の長は、包括外部監査契約を締結したときは、前項第一号及び第二号に掲げる事項その他政令で定める事項を直ちに告示しなければならない。
7 包括外部監査契約の期間の終期は、包括外部監査契約に基づく監査を行うべき会計年度の末日とする。
8 包括外部監査対象団体は、包括外部監査契約の期間を十分に確保するよう努めなければならない。

(包括外部監査人の監査)
第二百五十二条の三十七 包括外部監査人は、包括外部監査対象団体の財務に関する事務の執行及び包括外部監査対象団体の経営に係る事業の管理のうち、第二条第十四項及び第十五項の規定の趣旨を達成するため必要と認める特定の事件について監査するものとする。
2 包括外部監査人は、前項の規定による監査をするに当たつては、当該包括外部監査対象団体の財務に関する事務の執行及び当該包括外部監査対象団体の経営に係る事業の管理が第二条第十四項及び第十五項の規定の趣旨にのつとつてなされているかどうかに、特に、意を用いなければならない。
3 包括外部監査人は、包括外部監査契約で定める包括外部監査契約の期間内に少なくとも一回以上第一項の規定による監査をしなければならない。
4 包括外部監査対象団体は、当該包括外部監査対象団体が第百九十九条第七項に規定する財政的援助を与えているものの出納その他の事務の執行で当該財政的援助に係るもの、当該包括外部監査対象団体が出資しているもので同項の政令で定めるものの出納その他の事務の執行で当該出資に係るもの、当該包括外部監査対象団体が借入金の元金若しくは利子の支払を保証しているものの出納その他の事務の執行で当該保証に係るもの、当該包括外部監査対象団体が受益権を有する信託で同項の政令で定めるものの受託者の出納その他の事務の執行で当該信託に係るもの又は当該包括外部監査対象団体が第二百四十四条の二第三項の規定に基づき公の施設の管理を行わせているものの出納その他の事務の執行で当該管理の業務に係るものについて、包括外部監査人が必要があると認めるときは監査することができることを条例により定めることができる。
5 包括外部監査人は、包括外部監査契約で定める包括外部監査契約の期間内に、監査の結果に関する報告を決定し、これを包括外部監査対象団体の議会、長及び監査委員並びに関係のある教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会若しくは公平委員会、公安委員会、労働委員会、農業委員会その他法律に基づく委員会又は委員に提出しなければならない。

第二百五十二条の三十八 包括外部監査人は、監査のため必要があると認めるときは、監査委員と協議して、関係人の出頭を求め、若しくは関係人について調査し、若しくは関係人の帳簿、書類その他の記録の提出を求め、又は学識経験を有する者等から意見を聴くことができる。
2 包括外部監査人は、監査の結果に基づいて必要があると認めるときは、当該包括外部監査対象団体の組織及び運営の合理化に資するため、監査の結果に関する報告に添えてその意見を提出することができる。
3 監査委員は、前条第五項の規定により監査の結果に関する報告の提出があつたときは、これを公表しなければならない。
4 監査委員は、包括外部監査人の監査の結果に関し必要があると認めるときは、当該包括外部監査対象団体の議会及び長並びに関係のある教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会若しくは公平委員会、公安委員会、労働委員会、農業委員会その他法律に基づく委員会又は委員にその意見を提出することができる。
5 第一項の規定による協議又は前項の規定による意見の決定は、監査委員の合議によるものとする。
6 前条第五項の規定による監査の結果に関する報告の提出があつた場合において、当該監査の結果に関する報告の提出を受けた包括外部監査対象団体の議会、長、教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会若しくは公平委員会、公安委員会、労働委員会、農業委員会その他法律に基づく委員会又は委員は、当該監査の結果に基づき、又は当該監査の結果を参考として措置を講じたときは、その旨を監査委員に通知するものとする。この場合においては、監査委員は、当該通知に係る事項を公表しなければならない。

第三節 個別外部監査契約に基づく監査

(第七十五条の規定による監査の特例)
第二百五十二条の三十九 第七十五条第一項の請求に係る監査について、監査委員の監査に代えて契約に基づく監査によることができることを条例により定める普通地方公共団体の同項の選挙権を有する者は、政令で定めるところにより、同項の請求をする場合には、併せて監査委員の監査に代えて個別外部監査契約に基づく監査によることを求めることができる。
2 前項の規定により個別外部監査契約に基づく監査によることが求められた第七十五条第一項の請求(以下この条において「事務の監査の請求に係る個別外部監査の請求」という。)については、第七十五条第二項から第五項までの規定は、適用しない。
3 事務の監査の請求に係る個別外部監査の請求があつたときは、監査委員は、直ちに、政令で定めるところにより、当該請求の要旨を公表するとともに、当該事務の監査の請求に係る個別外部監査の請求について監査委員の監査に代えて個別外部監査契約に基づく監査によることについての意見を付けて、その旨を当該普通地方公共団体の長に通知しなければならない。
4 前項の規定による通知があつたときは、当該普通地方公共団体の長は、当該通知があつた日から二十日以内に議会を招集し、同項の規定による監査委員の意見を付けて、当該事務の監査の請求に係る個別外部監査の請求について監査委員の監査に代えて個別外部監査契約に基づく監査によることについて、議会に付議し、その結果を監査委員に通知しなければならない。
5 事務の監査の請求に係る個別外部監査の請求について監査委員の監査に代えて個別外部監査契約に基づく監査によることについて議会の議決を経た場合には、当該普通地方公共団体の長は、政令で定めるところにより、当該事務の監査の請求に係る個別外部監査の請求に係る事項についての個別外部監査契約を一の者と締結しなければならない。
6 前項の個別外部監査契約を締結する場合には、当該普通地方公共団体の長は、あらかじめ監査委員の意見を聴くとともに、議会の議決を経なければならない。
7 第三項又は前項の規定による意見の決定は、監査委員の合議によるものとする。
8 第五項の個別外部監査契約には、次に掲げる事項について定めなければならない。
一 事務の監査の請求に係る個別外部監査の請求に係る事項
二 個別外部監査契約の期間
三 個別外部監査契約を締結した者に支払うべき監査に要する費用の額の算定方法
四 前三号に掲げる事項のほか、個別外部監査契約に基づく監査のために必要な事項として政令で定めるもの
9 普通地方公共団体の長は、第五項の個別外部監査契約を締結したときは、前項第一号から第三号までに掲げる事項その他政令で定める事項を直ちに告示しなければならない。
10 包括外部監査対象団体の長が、第五項の個別外部監査契約を当該包括外部監査対象団体の包括外部監査人と締結するときは、第六項の規定は、適用しない。この場合において、当該個別外部監査契約は、個別外部監査契約の期間が当該包括外部監査対象団体が締結している包括外部監査契約で定める包括外部監査契約の期間を超えないものであり、かつ、個別外部監査契約を締結した者に支払うべき費用の額の算定方法が当該包括外部監査契約で定める包括外部監査契約を締結した者に支払うべき費用の額の算定方法に準じたものでなければならない。
11 前項の規定により第五項の個別外部監査契約を締結した包括外部監査対象団体の長は、その旨を議会に報告しなければならない。
12 第五項の個別外部監査契約を締結した者は、当該個別外部監査契約で定める個別外部監査契約の期間内に、事務の監査の請求に係る個別外部監査の請求に係る事項につき監査し、かつ、監査の結果に関する報告を決定するとともに、これを当該個別外部監査契約を締結した普通地方公共団体の議会、長及び監査委員並びに関係のある教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会若しくは公平委員会、公安委員会、労働委員会、農業委員会その他法律に基づく委員会又は委員に提出しなければならない。
13 監査委員は、前項の規定により監査の結果に関する報告の提出があつたときは、これを当該事務の監査の請求に係る個別外部監査の請求に係る代表者に送付するとともに、公表しなければならない。
14 前条第一項、第二項及び第四項から第六項までの規定は、事務の監査の請求に係る個別外部監査の請求に係る事項についての個別外部監査人の監査について準用する。この場合において、同条第二項及び第四項中「包括外部監査対象団体」とあるのは「個別外部監査契約を締結した普通地方公共団体」と、同条第六項中「前条第五項」とあるのは「次条第十二項」と、「包括外部監査対象団体」とあるのは「個別外部監査契約を締結した普通地方公共団体」と読み替えるものとする。
15 事務の監査の請求に係る個別外部監査の請求について、監査委員の監査に代えて個別外部監査契約に基づく監査によることについて、議会がこれを否決したときは、当該事務の監査の請求に係る個別外部監査の請求は、初めから第一項の規定により個別外部監査契約に基づく監査によることが求められていない第七十五条第一項の請求であつたものとみなして、同条第三項から第五項までの規定を適用する。

(第九十八条第二項の規定による監査の特例)
第二百五十二条の四十 第九十八条第二項の請求に係る監査について監査委員の監査に代えて契約に基づく監査によることができることを条例により定める普通地方公共団体の議会は、同項の請求をする場合において、特に必要があると認めるときは、その理由を付して、併せて監査委員の監査に代えて個別外部監査契約に基づく監査によることを求めることができる。この場合においては、あらかじめ監査委員の意見を聴かなければならない。
2 前項の規定により個別外部監査契約に基づく監査によることが求められた第九十八条第二項の請求(以下本条において「議会からの個別外部監査の請求」という。)については、監査委員は、当該議会からの個別外部監査の請求に係る事項についての監査及び監査の結果に関する報告は行わない。
3 議会からの個別外部監査の請求があつたときは、監査委員は、直ちにその旨を当該普通地方公共団体の長に通知しなければならない。
4 前条第五項から第十一項までの規定は、前項の規定による通知があつた場合について準用する。この場合において、同条第五項中「事務の監査の請求に係る個別外部監査の請求について監査委員の監査に代えて個別外部監査契約に基づく監査によることについて議会の議決を経た」とあるのは「次条第三項の規定による通知があつた」と、「事務の監査の請求に係る個別外部監査の請求に係る」とあるのは「同条第二項に規定する議会からの個別外部監査の請求に係る」と、同条第七項中「第三項」とあるのは「次条第一項」と、同条第八項第一号中「事務の監査の請求に係る個別外部監査の請求」とあるのは「次条第二項に規定する議会からの個別外部監査の請求」と読み替えるものとする。
5 前項において準用する前条第五項の個別外部監査契約を締結した者は、当該個別外部監査契約で定める個別外部監査契約の期間内に、議会からの個別外部監査の請求に係る事項につき監査しなければならない。
6 第百九十九条第二項後段、第二百五十二条の三十七第五項及び第二百五十二条の三十八の規定は、議会からの個別外部監査の請求に係る事項についての個別外部監査人の監査について準用する。この場合において、第二百五十二条の三十七第五項並びに第二百五十二条の三十八第二項、第四項及び第六項中「包括外部監査対象団体」とあるのは、「個別外部監査契約を締結した普通地方公共団体」と読み替えるものとする。

(第百九十九条第六項の規定による監査の特例)
第二百五十二条の四十一 第百九十九条第六項の要求に係る監査について、監査委員の監査に代えて契約に基づく監査によることができることを条例により定める普通地方公共団体の長は、同項の要求をする場合において、特に必要があると認めるときは、その理由を付して、併せて監査委員の監査に代えて個別外部監査契約に基づく監査によることを求めることができる。
2 前項の規定により個別外部監査契約に基づく監査によることが求められた第百九十九条第六項の要求(以下本条において「長からの個別外部監査の要求」という。)については、同項の規定にかかわらず、監査委員は、当該長からの個別外部監査の要求に係る事項についての監査は行わない。
3 長からの個別外部監査の要求があつたときは、監査委員は、直ちに、監査委員の監査に代えて個別外部監査契約に基づく監査によることについての意見を当該普通地方公共団体の長に通知しなければならない。
4 第二百五十二条の三十九第四項から第十一項までの規定は、前項の規定による通知があつた場合について準用する。この場合において、同条第四項中「前項」とあるのは「第二百五十二条の四十一第三項」と、「長は、当該通知があつた日から二十日以内に議会を招集し」とあるのは「長は」と、「事務の監査の請求に係る個別外部監査の請求」とあるのは「同条第二項に規定する長からの個別外部監査の要求」と、「付議し、その結果を監査委員に通知しなければならない」とあるのは「付議しなければならない」と、同条第五項中「事務の監査の請求に係る個別外部監査の請求について」とあるのは「第二百五十二条の四十一第二項に規定する長からの個別外部監査の要求について」と、「事務の監査の請求に係る個別外部監査の請求に係る」とあるのは「同項に規定する長からの個別外部監査の要求に係る」と、同条第七項中「第三項」とあるのは「第二百五十二条の四十一第三項」と、同条第八項第一号中「事務の監査の請求に係る個別外部監査の請求」とあるのは「第二百五十二条の四十一第二項に規定する長からの個別外部監査の要求」と読み替えるものとする。
5 前項において準用する第二百五十二条の三十九第五項の個別外部監査契約を締結した者は、当該個別外部監査契約で定める個別外部監査契約の期間内に、長からの個別外部監査の要求に係る事項につき監査しなければならない。
6 第二百五十二条の三十七第五項及び第二百五十二条の三十八の規定は、長からの個別外部監査の要求に係る事項についての個別外部監査人の監査について準用する。この場合において、第二百五十二条の三十七第五項並びに第二百五十二条の三十八第二項、第四項及び第六項中「包括外部監査対象団体」とあるのは、「個別外部監査契約を締結した普通地方公共団体」と読み替えるものとする。

(第百九十九条第七項の規定による監査の特例)
第二百五十二条の四十二 普通地方公共団体が第百九十九条第七項に規定する財政的援助を与えているものの出納その他の事務の執行で当該財政的援助に係るもの、普通地方公共団体が出資しているもので同項の政令で定めるものの出納その他の事務の執行で当該出資に係るもの、普通地方公共団体が借入金の元金若しくは利子の支払を保証しているものの出納その他の事務の執行で当該保証に係るもの、普通地方公共団体が受益権を有する信託で同項の政令で定めるものの受託者の出納その他の事務の執行で当該信託に係るもの又は普通地方公共団体が第二百四十四条の二第三項の規定に基づき公の施設の管理を行わせているものの出納その他の事務の執行で当該管理の業務に係るものについての第百九十九条第七項の要求に係る監査について、監査委員の監査に代えて契約に基づく監査によることができることを条例により定める普通地方公共団体の長は、同項の要求をする場合において、特に必要があると認めるときは、その理由を付して、併せて監査委員の監査に代えて個別外部監査契約に基づく監査によることを求めることができる。
2 前項の規定により個別外部監査契約に基づく監査によることが求められた第百九十九条第七項の要求(以下本条において「財政的援助を与えているもの等に係る個別外部監査の要求」という。)については、同項の規定にかかわらず、監査委員は、当該財政的援助を与えているもの等に係る個別外部監査の要求に係る事項についての監査は行わない。
3 財政的援助を与えているもの等に係る個別外部監査の要求があつたときは、監査委員は、直ちに、監査委員の監査に代えて個別外部監査契約に基づく監査によることについての意見を当該普通地方公共団体の長に通知しなければならない。
4 第二百五十二条の三十九第四項から第十一項までの規定は、前項の規定による通知があつた場合について準用する。この場合において、同条第四項中「前項」とあるのは「第二百五十二条の四十二第三項」と、「長は、当該通知があつた日から二十日以内に議会を招集し」とあるのは「長は」と、「事務の監査の請求に係る個別外部監査の請求」とあるのは「同条第二項に規定する財政的援助を与えているもの等に係る個別外部監査の要求」と、「付議し、その結果を監査委員に通知しなければならない」とあるのは「付議しなければならない」と、同条第五項中「事務の監査の請求に係る個別外部監査の請求について」とあるのは「第二百五十二条の四十二第二項に規定する財政的援助を与えているもの等に係る個別外部監査の要求について」と、「事務の監査の請求に係る個別外部監査の請求に係る」とあるのは「同項に規定する財政的援助を与えているもの等に係る個別外部監査の要求に係る」と、同条第七項中「第三項」とあるのは「第二百五十二条の四十二第三項」と、同条第八項第一号中「事務の監査の請求に係る個別外部監査の請求」とあるのは「第二百五十二条の四十二第二項に規定する財政的援助を与えているもの等に係る個別外部監査の要求」と読み替えるものとする。
5 前項において準用する第二百五十二条の三十九第五項の個別外部監査契約を締結した者は、当該個別外部監査契約で定める個別外部監査契約の期間内に、財政的援助を与えているもの等に係る個別外部監査の要求に係る事項につき監査しなければならない。
6 第二百五十二条の三十七第五項及び第二百五十二条の三十八の規定は、財政的援助を与えているもの等に係る個別外部監査の要求に係る事項についての個別外部監査人の監査について準用する。この場合において、第二百五十二条の三十七第五項並びに第二百五十二条の三十八第二項、第四項及び第六項中「包括外部監査対象団体」とあるのは、「個別外部監査契約を締結した普通地方公共団体」と読み替えるものとする。

(住民監査請求等の特例)
第二百五十二条の四十三 第二百四十二条第一項の請求に係る監査について監査委員の監査に代えて契約に基づく監査によることができることを条例により定める普通地方公共団体の住民は、同項の請求をする場合において、特に必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、その理由を付して、併せて監査委員の監査に代えて個別外部監査契約に基づく監査によることを求めることができる。
2 監査委員は、前項の規定により個別外部監査契約に基づく監査によることが求められた第二百四十二条第一項の請求(以下この条において「住民監査請求に係る個別外部監査の請求」という。)があつた場合において、当該住民監査請求に係る個別外部監査の請求について、監査委員の監査に代えて個別外部監査契約に基づく監査によることが相当であると認めるときは、個別外部監査契約に基づく監査によることを決定し、当該住民監査請求に係る個別外部監査の請求があつた日から二十日以内に、その旨を当該普通地方公共団体の長に通知しなければならない。この場合において、監査委員は、当該通知をした旨を、当該住民監査請求に係る個別外部監査の請求に係る請求人に直ちに通知しなければならない。
3 第二百五十二条の三十九第五項から第十一項までの規定は、前項前段の規定による通知があつた場合について準用する。この場合において、同条第五項中「事務の監査の請求に係る個別外部監査の請求について監査委員の監査に代えて個別外部監査契約に基づく監査によることについて議会の議決を経た」とあるのは「第二百五十二条の四十三第二項前段の規定による通知があつた」と、「事務の監査の請求に係る個別外部監査の請求に係る」とあるのは「同項に規定する住民監査請求に係る個別外部監査の請求に係る」と、同条第七項中「第三項」とあるのは「第二百五十二条の四十三第二項の規定による監査委員の監査に代えて個別外部監査契約に基づく監査によることの決定」と、同条第八項第一号中「事務の監査の請求に係る個別外部監査の請求」とあるのは「第二百五十二条の四十三第二項に規定する住民監査請求に係る個別外部監査の請求」と読み替えるものとする。
4 前項において準用する第二百五十二条の三十九第五項の個別外部監査契約を締結した者は、当該個別外部監査契約で定める個別外部監査契約の期間内に、住民監査請求に係る個別外部監査の請求に係る事項について監査を行い、かつ、監査の結果に関する報告を決定するとともに、これを監査委員に提出しなければならない。
5 第二項前段の規定による通知があつた場合における第二百四十二条第五項から第七項まで及び第十一項並びに第二百四十二条の二第一項及び第二項の規定の適用については、第二百四十二条第五項中「第一項の規定による請求」とあるのは「第二百五十二条の四十三第四項の規定による監査の結果に関する報告の提出」と、「監査を行い」とあるのは「当該監査の結果に関する報告に基づき」と、「請求人に通知する」とあるのは「同条第二項に規定する住民監査請求に係る個別外部監査の請求に係る請求人(以下この条において「請求人」という。)に通知する」と、同条第六項中「監査委員の監査」とあるのは「請求に理由があるかどうかの決定」と、「第一項の規定による」とあるのは「第二百五十二条の四十三第二項に規定する住民監査請求に係る個別外部監査の」と、「六十日」とあるのは「九十日」と、同条第七項中「監査委員は、第五項」とあるのは「第二百五十二条の四十三第三項において準用する第二百五十二条の三十九第五項の個別外部監査契約を締結した者は、第二百五十二条の四十三第四項」と、同条第十一項中「第四項の規定による勧告、第五項」とあるのは「第五項」と、「監査及び勧告並びに前項の規定による意見」とあるのは「請求に理由があるかどうかの決定及び勧告」と、第二百四十二条の二第一項中「前条第一項の規定による」とあるのは「第二百五十二条の四十三第二項に規定する住民監査請求に係る個別外部監査の」と、「同条第五項の規定による監査委員の監査の結果」とあるのは「前条第五項の規定による請求に理由がない旨の決定」と、「監査若しくは」とあるのは「請求に理由がない旨の決定若しくは」と、「同条第一項」とあるのは「第二百五十二条の四十三第二項に規定する住民監査請求に係る個別外部監査」と、同条第二項第一号中「の監査の結果」とあるのは「の請求に理由がない旨の決定」と、「当該監査の結果」とあるのは「当該請求に理由がない旨」と、同項第三号中「六十日」とあるのは「九十日」と、「監査又は」とあるのは「当該請求に理由がない旨の決定又は」とする。
6 第二百五十二条の三十八第一項、第二項及び第五項の規定は、住民監査請求に係る個別外部監査の請求に係る事項についての個別外部監査人の監査について準用する。この場合において、同条第二項中「包括外部監査対象団体」とあるのは、「個別外部監査契約を締結した普通地方公共団体」と読み替えるものとする。
7 個別外部監査人は、第五項において読み替えて適用する第二百四十二条第七項の規定による陳述の聴取を行う場合又は関係のある当該普通地方公共団体の長その他の執行機関若しくは職員の陳述の聴取を行う場合において、必要があると認めるときは、監査委員と協議して、関係のある当該普通地方公共団体の長その他の執行機関若しくは職員又は請求人を立ち会わせることができる。
8 前項の規定による協議は、監査委員の合議によるものとする。
9 住民監査請求に係る個別外部監査の請求があつた場合において、監査委員が当該住民監査請求に係る個別外部監査の請求があつた日から二十日以内に、当該普通地方公共団体の長に第二項前段の規定による通知を行わないときは、当該住民監査請求に係る個別外部監査の請求は、初めから第一項の規定により個別外部監査契約に基づく監査によることが求められていない第二百四十二条第一項の請求であつたものとみなす。この場合において、監査委員は、同条第五項の規定による通知を行うときに、併せて当該普通地方公共団体の長に第二項前段の規定による通知を行わなかつた理由を書面により当該住民監査請求に係る個別外部監査の請求に係る請求人に通知するとともに、これを公表しなければならない。

(個別外部監査契約の解除)
第二百五十二条の四十四 第二百五十二条の三十五第二項、第四項及び第五項の規定は、個別外部監査人が第二百五十二条の二十九の規定により監査することができなくなつたと認められる場合について準用する。

第四節 雑則

(一部事務組合等に関する特例)
第二百五十二条の四十五 一部事務組合又は広域連合に係る包括外部監査契約に基づく監査については、一部事務組合又は広域連合を第二百五十二条の三十六第一項第二号に掲げる市以外の市又は町村とみなして、第二節(同項を除く。)の規定を準用する。

(政令への委任)
第二百五十二条の四十六 この法律に規定するもののほか、外部監査契約に基づく監査に関し必要な事項その他本章の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

第十六章 補則

第二百五十三条 都道府県知事の権限に属する市町村に関する事件で数都道府県にわたるものがあるときは、関係都道府県知事の協議により、その事件を管理すべき都道府県知事を定めることができる。
② 前項の場合において関係都道府県知事の協議が調わないときは、総務大臣は、その事件を管理すべき都道府県知事を定め、又は都道府県知事に代つてその権限を行うことができる。

第二百五十四条 この法律における人口は、官報で公示された最近の国勢調査又はこれに準ずる全国的な人口調査の結果による人口による。

第二百五十五条 この法律に規定するものを除くほか、第六条第一項及び第二項、第六条の二第一項並びに第七条第一項及び第三項の場合において必要な事項は、政令でこれを定める。

第二百五十五条の二 法定受託事務に係る次の各号に掲げる処分及びその不作為についての審査請求は、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、当該各号に定める者に対してするものとする。この場合において、不作為についての審査請求は、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、当該各号に定める者に代えて、当該不作為に係る執行機関に対してすることもできる。
一 都道府県知事その他の都道府県の執行機関の処分 当該処分に係る事務を規定する法律又はこれに基づく政令を所管する各大臣
二 市町村長その他の市町村の執行機関(教育委員会及び選挙管理委員会を除く。)の処分 都道府県知事
三 市町村教育委員会の処分 都道府県教育委員会
四 市町村選挙管理委員会の処分 都道府県選挙管理委員会
2 普通地方公共団体の長その他の執行機関が法定受託事務に係る処分をする権限を当該執行機関の事務を補助する職員若しくは当該執行機関の管理に属する機関の職員又は当該執行機関の管理に属する行政機関の長に委任した場合において、委任を受けた職員又は行政機関の長がその委任に基づいてした処分に係る審査請求につき、当該委任をした執行機関が裁決をしたときは、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、当該裁決に不服がある者は、再審査請求をすることができる。この場合において、当該再審査請求は、当該委任をした執行機関が自ら当該処分をしたものとした場合におけるその処分に係る審査請求をすべき者に対してするものとする。

第二百五十五条の三 普通地方公共団体の長が過料の処分をしようとする場合においては、過料の処分を受ける者に対し、あらかじめその旨を告知するとともに、弁明の機会を与えなければならない。

第二百五十五条の四 法律の定めるところにより異議の申出、審査請求、再審査請求又は審査の申立てをすることができる場合を除くほか、普通地方公共団体の事務についてこの法律の規定により普通地方公共団体の機関がした処分により違法に権利を侵害されたとする者は、その処分があつた日から二十一日以内に、都道府県の機関がした処分については総務大臣、市町村の機関がした処分については都道府県知事に審決の申請をすることができる。

第二百五十五条の五 総務大臣又は都道府県知事に対して第百四十三条第三項(第百八十条の五第八項及び第百八十四条第二項において準用する場合を含む。)の審査請求又はこの法律の規定による審査の申立て若しくは審決の申請があつた場合においては、総務大臣又は都道府県知事は、第二百五十一条第二項の規定により自治紛争処理委員を任命し、その審理を経た上、審査請求に対する裁決をし、審査の申立てに対する裁決若しくは裁定をし、又は審決をするものとする。ただし、行政不服審査法第二十四条(第二百五十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定により当該審査請求、審査の申立て又は審決の申請を却下する場合は、この限りでない。
2 前項に規定する審査請求については、行政不服審査法第九条、第十七条及び第四十三条の規定は、適用しない。この場合における同法の他の規定の適用についての必要な技術的読替えは、政令で定める。
3 第一項に規定する審査の申立て又は審決の申請については、第二百五十八条第一項において準用する行政不服審査法第九条の規定は、適用しない。この場合における同項において準用する行政不服審査法の他の規定の適用についての必要な技術的読替えは、政令で定める。
4 前三項に規定するもののほか、第一項の規定による自治紛争処理委員の審理に関し必要な事項は、政令で定める。

第二百五十六条 市町村の境界に関する裁定若しくは決定又は市町村の境界の確定、普通地方公共団体における直接請求の署名簿の署名、直接請求に基づく議会の解散又は議員若しくは長の解職の投票及び副知事、副市町村長、指定都市の総合区長、選挙管理委員、監査委員又は公安委員会の委員の解職の議決、議会において行う選挙若しくは決定又は再議決若しくは再選挙、選挙管理委員会において行う資格の決定その他この法律に基づく住民の賛否の投票に関する効力は、この法律に定める争訟の提起期間及び管轄裁判所に関する規定によることによつてのみこれを争うことができる。

第二百五十七条 この法律に特別の定めがあるものを除くほか、この法律の規定による審査の申立てに対する裁決は、その申立てを受理した日から九十日以内にこれをしなければならない。
② この法律の規定による異議の申出又は審査の申立てに対して決定又は裁決をすべき期間内に決定又は裁決がないときは、その申出又は申立てをしりぞける旨の決定又は裁決があつたものとみなすことができる。

第二百五十八条 この法律又は政令に特別の定めがあるものを除くほか、この法律の規定による異議の申出、審査の申立て又は審決の申請については、行政不服審査法第九条から第十四条まで、第十八条第一項ただし書及び第三項、第十九条第一項、第二項、第四項及び第五項第三号、第二十一条、第二十二条第一項から第三項まで及び第五項、第二十三条から第三十八条まで、第四十条から第四十二条まで、第四十四条、第四十五条、第四十六条第一項、第四十七条、第四十八条並びに第五十条から第五十三条までの規定を準用する。
2 前項において準用する行政不服審査法の規定に基づく処分及びその不作為については、行政不服審査法第二条及び第三条の規定は、適用しない。

第二百五十九条 郡の区域をあらたに画し若しくはこれを廃止し、又は郡の区域若しくはその名称を変更しようとするときは、都道府県知事が、当該都道府県の議会の議決を経てこれを定め、総務大臣に届け出なければならない。
② 郡の区域内において市の設置があつたとき、又は郡の区域の境界にわたつて市町村の境界の変更があつたときは、郡の区域も、また、自ら変更する。
③ 郡の区域の境界にわたつて町村が設置されたときは、その町村の属すべき郡の区域は、第一項の例によりこれを定める。
④ 第一項から第三項までの場合においては、総務大臣は、直ちにその旨を告示するとともに、これを国の関係行政機関の長に通知しなければならない。第七条第八項の規定は、第一項又は前項の規定により郡の区域をあらたに画し、若しくはこれを廃止し、又は郡の区域を変更する場合にこれを準用する。
⑤ 第一項乃至第三項の場合において必要な事項は、政令でこれを定める。

第二百六十条 市町村長は、政令で特別の定めをする場合を除くほか、市町村の区域内の町若しくは字の区域を新たに画し若しくはこれを廃止し、又は町若しくは字の区域若しくはその名称を変更しようとするときは、当該市町村の議会の議決を経て定めなければならない。
② 前項の規定による処分をしたときは、市町村長は、これを告示しなければならない。
③ 第一項の規定による処分は、政令で特別の定めをする場合を除くほか、前項の規定による告示によりその効力を生ずる。

第二百六十条の二 町又は字の区域その他市町村内の一定の区域に住所を有する者の地縁に基づいて形成された団体(以下この条及び第二百六十条の四十九第二項において「地縁による団体」という。)は、地域的な共同活動を円滑に行うため市町村長の認可を受けたときは、その規約に定める目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。
② 前項の認可は、地縁による団体のうち次に掲げる要件に該当するものについて、その団体の代表者が総務省令で定めるところにより行う申請に基づいて行う。
一 その区域の住民相互の連絡、環境の整備、集会施設の維持管理等良好な地域社会の維持及び形成に資する地域的な共同活動を行うことを目的とし、現にその活動を行つていると認められること。
二 その区域が、住民にとつて客観的に明らかなものとして定められていること。
三 その区域に住所を有するすべての個人は、構成員となることができるものとし、その相当数の者が現に構成員となつていること。
四 規約を定めていること。
③ 規約には、次に掲げる事項が定められていなければならない。
一 目的
二 名称
三 区域
四 主たる事務所の所在地
五 構成員の資格に関する事項
六 代表者に関する事項
七 会議に関する事項
八 資産に関する事項
④ 第二項第二号の区域は、当該地縁による団体が相当の期間にわたつて存続している区域の現況によらなければならない。
⑤ 市町村長は、地縁による団体が第二項各号に掲げる要件に該当していると認めるときは、第一項の認可をしなければならない。
⑥ 第一項の認可は、当該認可を受けた地縁による団体を、公共団体その他の行政組織の一部とすることを意味するものと解釈してはならない。
⑦ 第一項の認可を受けた地縁による団体(以下「認可地縁団体」という。)は、正当な理由がない限り、その区域に住所を有する個人の加入を拒んではならない。
⑧ 認可地縁団体は、民主的な運営の下に、自主的に活動するものとし、構成員に対し不当な差別的取扱いをしてはならない。
⑨ 認可地縁団体は、特定の政党のために利用してはならない。
⑩ 市町村長は、第一項の認可をしたときは、総務省令で定めるところにより、これを告示しなければならない。告示した事項に変更があつたときも、また同様とする。
⑪ 認可地縁団体は、前項の規定に基づいて告示された事項に変更があつたときは、総務省令で定めるところにより、市町村長に届け出なければならない。
⑫ 何人も、市町村長に対し、総務省令で定めるところにより、第十項の規定により告示した事項に関する証明書の交付を請求することができる。この場合において、当該請求をしようとする者は、郵便又は信書便により、当該証明書の送付を求めることができる。
⑬ 認可地縁団体は、第十項の告示があるまでは、認可地縁団体となつたこと及び同項の規定に基づいて告示された事項をもつて第三者に対抗することができない。
⑭ 市町村長は、認可地縁団体が第二項各号に掲げる要件のいずれかを欠くこととなつたとき、又は不正な手段により第一項の認可を受けたときは、その認可を取り消すことができる。
⑮ 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第四条及び第七十八条の規定は、認可地縁団体に準用する。
⑯ 認可地縁団体は、法人税法(昭和四十年法律第三十四号)その他法人税に関する法令の規定の適用については、同法第二条第六号に規定する公益法人等とみなす。この場合において、同法第三十七条の規定を適用する場合には同条第四項中「公益法人等(」とあるのは「公益法人等(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百六十条の二第七項に規定する認可地縁団体(以下「認可地縁団体」という。)並びに」と、同法第六十六条の規定を適用する場合には同条第一項中「普通法人」とあるのは「普通法人(認可地縁団体を含む。)」と、同条第二項中「除く」とあるのは「除くものとし、認可地縁団体を含む」と、同条第三項中「公益法人等(」とあるのは「公益法人等(認可地縁団体及び」とする。
⑰ 認可地縁団体は、消費税法(昭和六十三年法律第百八号)その他消費税に関する法令の規定の適用については、同法別表第三に掲げる法人とみなす。

第二百六十条の三 認可地縁団体の規約は、総構成員の四分の三以上の同意があるときに限り、変更することができる。ただし、当該規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。
② 前項の規定による規約の変更は、市町村長の認可を受けなければ、その効力を生じない。

第二百六十条の四 認可地縁団体は、認可を受ける時及び毎年一月から三月までの間に財産目録を作成し、常にこれをその主たる事務所に備え置かなければならない。ただし、特に事業年度を設けるものは、認可を受ける時及び毎事業年度の終了の時に財産目録を作成しなければならない。
② 認可地縁団体は、構成員名簿を備え置き、構成員の変更があるごとに必要な変更を加えなければならない。

第二百六十条の五 認可地縁団体には、一人の代表者を置かなければならない。

第二百六十条の六 認可地縁団体の代表者は、認可地縁団体のすべての事務について、認可地縁団体を代表する。ただし、規約の規定に反することはできず、また、総会の決議に従わなければならない。

第二百六十条の七 認可地縁団体の代表者の代表権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

第二百六十条の八 認可地縁団体の代表者は、規約又は総会の決議によつて禁止されていないときに限り、特定の行為の代理を他人に委任することができる。

第二百六十条の九 認可地縁団体の代表者が欠けた場合において、事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、仮代表者を選任しなければならない。

第二百六十条の十 認可地縁団体と代表者との利益が相反する事項については、代表者は、代表権を有しない。この場合においては、裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、特別代理人を選任しなければならない。

第二百六十条の十一 認可地縁団体には、規約又は総会の決議で、一人又は数人の監事を置くことができる。

第二百六十条の十二 認可地縁団体の監事の職務は、次のとおりとする。
一 財産の状況を監査すること。
二 代表者の業務の執行の状況を監査すること。
三 財産の状況又は業務の執行について、法令若しくは規約に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときは、総会に報告をすること。
四 前号の報告をするため必要があるときは、総会を招集すること。
第二百六十条の十三 認可地縁団体の代表者は、少なくとも毎年一回、構成員の通常総会を開かなければならない。
第二百六十条の十四 認可地縁団体の代表者は、必要があると認めるときは、いつでも臨時総会を招集することができる。
② 総構成員の五分の一以上から会議の目的である事項を示して請求があつたときは、認可地縁団体の代表者は、臨時総会を招集しなければならない。ただし、総構成員の五分の一の割合については、規約でこれと異なる割合を定めることができる。

第二百六十条の十五 認可地縁団体の総会の招集の通知は、総会の日より少なくとも五日前に、その会議の目的である事項を示し、規約で定めた方法に従つてしなければならない。

第二百六十条の十六 認可地縁団体の事務は、規約で代表者その他の役員に委任したものを除き、すべて総会の決議によつて行う。

第二百六十条の十七 認可地縁団体の総会においては、第二百六十条の十五の規定によりあらかじめ通知をした事項についてのみ、決議をすることができる。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。

第二百六十条の十八 認可地縁団体の各構成員の表決権は、平等とする。
② 認可地縁団体の総会に出席しない構成員は、書面で、又は代理人によつて表決をすることができる。
③ 前項の構成員は、規約又は総会の決議により、同項の規定による書面による表決に代えて、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて総務省令で定めるものをいう。第二百六十条の十九の二において同じ。)により表決をすることができる。
④ 前三項の規定は、規約に別段の定めがある場合には、適用しない。

第二百六十条の十九 認可地縁団体と特定の構成員との関係について議決をする場合には、その構成員は、表決権を有しない。

第二百六十条の十九の二 この法律又は規約により総会において決議をすべき場合において、構成員全員の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議をすることができる。ただし、電磁的方法による決議に係る構成員の承諾については、総務省令で定めるところによらなければならない。
② この法律又は規約により総会において決議すべきものとされた事項については、構成員全員の書面又は電磁的方法による合意があつたときは、書面又は電磁的方法による決議があつたものとみなす。
③ この法律又は規約により総会において決議すべきものとされた事項についての書面又は電磁的方法による決議は、総会の決議と同一の効力を有する。
④ 総会に関する規定は、書面又は電磁的方法による決議について準用する。

第二百六十条の二十 認可地縁団体は、次に掲げる事由によつて解散する。
一 規約で定めた解散事由の発生
二 破産手続開始の決定
三 第二百六十条の二第十四項の規定による同条第一項の認可の取消し
四 総会の決議
五 構成員が欠けたこと。
六 合併(合併により当該認可地縁団体が消滅する場合に限る。)

第二百六十条の二十一 認可地縁団体は、総構成員の四分の三以上の賛成がなければ、解散の決議をすることができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。

第二百六十条の二十二 認可地縁団体がその債務につきその財産をもつて完済することができなくなつた場合には、裁判所は、代表者若しくは債権者の申立てにより又は職権で、破産手続開始の決定をする。
② 前項に規定する場合には、代表者は、直ちに破産手続開始の申立てをしなければならない。

第二百六十条の二十三 解散した認可地縁団体は、清算の目的の範囲内において、その清算の結了に至るまではなお存続するものとみなす。

第二百六十条の二十四 認可地縁団体が解散したときは、破産手続開始の決定及び合併による解散の場合を除き、代表者がその清算人となる。ただし、規約に別段の定めがあるとき、又は総会において代表者以外の者を選任したときは、この限りでない。

第二百六十条の二十五 前条の規定により清算人となる者がないとき、又は清算人が欠けたため損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を選任することができる。

第二百六十条の二十六 重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、認可地縁団体の清算人を解任することができる。

第二百六十条の二十七 認可地縁団体の清算人の職務は、次のとおりとする。
一 現務の結了
二 債権の取立て及び債務の弁済
三 残余財産の引渡し
② 清算人は、前項各号に掲げる職務を行うために必要な一切の行為をすることができる。

第二百六十条の二十八 認可地縁団体の清算人は、その就職後遅滞なく、公告をもつて、債権者に対し、一定の期間内にその債権の申出をすべき旨の催告をしなければならない。この場合において、その期間は、二月を下ることができない。
② 前項の公告には、債権者がその期間内に申出をしないときは清算から除斥されるべき旨を付記しなければならない。ただし、清算人は、知れている債権者を除斥することができない。
③ 認可地縁団体の清算人は、知れている債権者には、各別にその申出の催告をしなければならない。
④ 第一項の公告は、官報に掲載してする。

第二百六十条の二十九 前条第一項の期間の経過後に申出をした債権者は、認可地縁団体の債務が完済された後まだ権利の帰属すべき者に引き渡されていない財産に対してのみ、請求をすることができる。

第二百六十条の三十 清算中に認可地縁団体の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになつたときは、清算人は、直ちに破産手続開始の申立てをし、その旨を公告しなければならない。
② 清算人は、清算中の認可地縁団体が破産手続開始の決定を受けた場合において、破産管財人にその事務を引き継いだときは、その任務を終了したものとする。
③ 前項に規定する場合において、清算中の認可地縁団体が既に債権者に支払い、又は権利の帰属すべき者に引き渡したものがあるときは、破産管財人は、これを取り戻すことができる。
④ 第一項の規定による公告は、官報に掲載してする。

第二百六十条の三十一 解散した認可地縁団体の財産は、破産手続開始の決定及び合併による解散の場合を除き、規約で指定した者に帰属する。
② 規約で権利の帰属すべき者を指定せず、又はその者を指定する方法を定めなかつたときは、代表者は、市町村長の認可を得て、その認可地縁団体の目的に類似する目的のために、その財産を処分することができる。ただし、総会の決議を経なければならない。
③ 前二項の規定により処分されない財産は、市町村に帰属する。

第二百六十条の三十二 認可地縁団体の解散及び清算は、裁判所の監督に属する。
② 裁判所は、職権で、いつでも前項の監督に必要な検査をすることができる。

第二百六十条の三十三 認可地縁団体の清算が結了したときは、清算人は、その旨を市町村長に届け出なければならない。

第二百六十条の三十四 認可地縁団体に係る次に掲げる事件は、その主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。
一 仮代表者又は特別代理人の選任に関する事件
二 解散及び清算の監督に関する事件
三 清算人に関する事件

第二百六十条の三十五 認可地縁団体の清算人の選任の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。

第二百六十条の三十六 裁判所は、第二百六十条の二十五の規定により清算人を選任した場合には、認可地縁団体が当該清算人に対して支払う報酬の額を定めることができる。この場合においては、裁判所は、当該清算人(監事を置く認可地縁団体にあつては、当該清算人及び監事)の陳述を聴かなければならない。

第二百六十条の三十七 裁判所は、認可地縁団体の解散及び清算の監督に必要な調査をさせるため、検査役を選任することができる。
② 前二条の規定は、前項の規定により裁判所が検査役を選任した場合について準用する。この場合において、前条中「清算人(監事を置く認可地縁団体にあつては、当該清算人及び監事)」とあるのは、「認可地縁団体及び検査役」と読み替えるものとする。

第二百六十条の三十八 認可地縁団体は、同一市町村内の他の認可地縁団体と合併することができる。

第二百六十条の三十九 認可地縁団体が合併しようとするときは、総会の決議を経なければならない。
② 前項の決議は、総構成員の四分の三以上の多数をもつてしなければならない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。
③ 合併は、市町村長の認可を受けなければ、その効力を生じない。
④ 第二百六十条の二第二項及び第五項の規定は、前項の認可について準用する。この場合において、同条第二項第一号中「現にその活動を」とあるのは、「合併しようとする各認可地縁団体が連携して当該目的に資する活動を現に」と読み替えるものとする。

第二百六十条の四十 認可地縁団体は、前条第三項の認可があつたときは、その認可の通知のあつた日から二週間以内に、財産目録を作成し、次項の規定により債権者が異議を述べることができる期間が満了するまでの間、これをその主たる事務所に備え置かなければならない。
② 認可地縁団体は、前条第三項の認可があつたときは、その認可の通知のあつた日から二週間以内に、その債権者に対し、合併に異議があれば一定の期間内に述べるべきことを公告し、かつ、判明している債権者に対しては、各別にこれを催告しなければならない。この場合において、その期間は、二月を下ることができない。

第二百六十条の四十一 債権者が前条第二項の期間内に異議を述べなかつたときは、合併を承認したものとみなす。
② 債権者が異議を述べたときは、認可地縁団体は、弁済し、若しくは相当の担保を供し、又はその債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社若しくは信託業務を営む金融機関に相当の財産を信託しなければならない。ただし、合併をしてもその債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。
③ 合併しようとする各認可地縁団体は、前条及び前二項の規定による手続が終了した場合には、総務省令で定めるところにより、共同で、遅滞なく、その旨を市町村長に届け出なければならない。

第二百六十条の四十二 合併により認可地縁団体を設立する場合には、規約の作成その他認可地縁団体の設立に関する事務は、各認可地縁団体において選任した者が共同して行わなければならない。

第二百六十条の四十三 合併後存続する認可地縁団体又は合併により設立した認可地縁団体は、合併により消滅した認可地縁団体の一切の権利義務(当該認可地縁団体がその行う活動に関し行政庁の認可その他の処分に基づいて有する権利義務を含む。)を承継する。

第二百六十条の四十四 市町村長は、第二百六十条の四十一第三項の規定による届出があつたときは、当該届出に係る合併について第二百六十条の三十九第三項の認可をした旨その他総務省令で定める事項を告示しなければならない。
② 認可地縁団体の合併は、前項の規定による告示によりその効力を生ずる。
③ 合併により設立した団体は、第一項の規定による告示の日において認可地縁団体となつたものとみなす。
④ 第一項の規定により告示した事項は、第二百六十条の二第十項の規定により告示した事項とみなす。この場合において、合併後存続する認可地縁団体に係る同項の規定による従前の告示は、その効力を失う。
⑤ 第二百六十条の四第一項の規定は、第一項の規定による告示があつた場合について準用する。

第二百六十条の四十五 市町村長は、次の各号のいずれかに該当するときは、第二百六十条の三十九第三項の認可を取り消すことができる。
一 第二百六十条の三十九第三項の認可をした日から六月を経過しても第二百六十条の四十一第三項の規定による届出がないとき。
二 認可地縁団体が不正な手段により第二百六十条の三十九第三項の認可を受けたとき。
② 前条第一項の規定による告示後に前項(第二号に係る部分に限る。)の規定により第二百六十条の三十九第三項の認可が取り消されたときは、当該認可に係る合併をした認可地縁団体は、当該合併の効力が生じた日後に合併後存続した認可地縁団体又は合併により設立した認可地縁団体が負担した債務について、連帯して弁済する責任を負う。
③ 前項に規定する場合には、当該合併の効力が生じた日後に合併後存続した認可地縁団体又は合併により設立した認可地縁団体が取得した財産は、当該合併をした認可地縁団体の共有に属する。
④ 前二項に規定する場合には、各認可地縁団体の第二項の債務の負担部分及び前項の財産の共有持分は、各認可地縁団体の協議によつて定める。

第二百六十条の四十六 認可地縁団体が所有する不動産であつて表題部所有者(不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第二条第十号に規定する表題部所有者をいう。以下この項において同じ。)又は所有権の登記名義人の全てが当該認可地縁団体の構成員又はかつて当該認可地縁団体の構成員であつた者であるもの(当該認可地縁団体によつて、十年以上所有の意思をもつて平穏かつ公然と占有されているものに限る。)について、当該不動産の表題部所有者若しくは所有権の登記名義人又はこれらの相続人(以下この条において「登記関係者」という。)の全部又は一部の所在が知れない場合において、当該認可地縁団体が当該認可地縁団体を登記名義人とする当該不動産の所有権の保存又は移転の登記をしようとするときは、当該認可地縁団体は、総務省令で定めるところにより、当該不動産に係る次項の公告を求める旨を市町村長に申請することができる。この場合において、当該申請を行う認可地縁団体は、次の各号に掲げる事項を疎明するに足りる資料を添付しなければならない。
一 当該認可地縁団体が当該不動産を所有していること。
二 当該認可地縁団体が当該不動産を十年以上所有の意思をもつて平穏かつ公然と占有していること。
三 当該不動産の表題部所有者又は所有権の登記名義人の全てが当該認可地縁団体の構成員又はかつて当該認可地縁団体の構成員であつた者であること。
四 当該不動産の登記関係者の全部又は一部の所在が知れないこと。
② 市町村長は、前項の申請を受けた場合において、当該申請を相当と認めるときは、総務省令で定めるところにより、当該申請を行つた認可地縁団体が同項に規定する不動産の所有権の保存又は移転の登記をすることについて異議のある当該不動産の登記関係者又は当該不動産の所有権を有することを疎明する者(次項から第五項までにおいて「登記関係者等」という。)は、当該市町村長に対し異議を述べるべき旨を公告するものとする。この場合において、公告の期間は、三月を下つてはならない。
③ 前項の公告に係る登記関係者等が同項の期間内に同項の異議を述べなかつたときは、第一項に規定する不動産の所有権の保存又は移転の登記をすることについて当該公告に係る登記関係者の承諾があつたものとみなす。
④ 市町村長は、前項の規定により第一項に規定する不動産の所有権の保存又は移転の登記をすることについて登記関係者の承諾があつたものとみなされた場合には、総務省令で定めるところにより、当該市町村長が第二項の規定による公告をしたこと及び登記関係者等が同項の期間内に異議を述べなかつたことを証する情報を第一項の規定により申請を行つた認可地縁団体に提供するものとする。
⑤ 第二項の公告に係る登記関係者等が同項の期間内に同項の異議を述べたときは、市町村長は、総務省令で定めるところにより、その旨及びその内容を第一項の規定により申請を行つた認可地縁団体に通知するものとする。

第二百六十条の四十七 不動産登記法第七十四条第一項の規定にかかわらず、前条第四項に規定する証する情報を提供された認可地縁団体が申請情報(同法第十八条に規定する申請情報をいう。次項において同じ。)と併せて当該証する情報を登記所に提供するときは、当該認可地縁団体が当該証する情報に係る前条第一項に規定する不動産の所有権の保存の登記を申請することができる。
② 不動産登記法第六十条の規定にかかわらず、前条第四項に規定する証する情報を提供された認可地縁団体が申請情報と併せて当該証する情報を登記所に提供するときは、当該認可地縁団体のみで当該証する情報に係る同条第一項に規定する不動産の所有権の移転の登記を申請することができる。

第二百六十条の四十八 次の各号のいずれかに該当する場合には、認可地縁団体の代表者又は清算人は、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)により、五十万円以下の過料に処する。
一 第二百六十条の二十二第二項又は第二百六十条の三十第一項の規定による破産手続開始の申立てを怠つたとき。
二 第二百六十条の二十八第一項又は第二百六十条の三十第一項の規定による公告を怠り、又は不正の公告をしたとき。
三 第二百六十条の四十第一項の規定に違反して、財産目録を作成せず、若しくは備え置かず、又はこれに記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をしたとき。
四 第二百六十条の四十第二項又は第二百六十条の四十一第二項の規定に違反して、合併をしたとき。

第二百六十条の四十九 市町村は、基礎的な地方公共団体として、その事務を処理するに当たり、地域の多様な主体の自主性を尊重しつつ、これらの主体と協力して、住民の福祉の増進を効率的かつ効果的に図るようにしなければならない。
② 市町村長は、前項の規定の趣旨を達成するため必要があると認めるときは、地域的な共同活動を行う団体のうち、地縁による団体その他の団体(当該市町村内の一定の区域に住所を有する者を主たる構成員とするものに限る。)又は当該団体を主たる構成員とする団体であつて、次に掲げる要件を備えるものを、その申請により、指定地域共同活動団体として指定することができる。
一 良好な地域社会の維持及び形成に資する地域的な共同活動であつて、地域において住民が日常生活を営むために必要な環境の持続的な確保に資するものとして条例で定めるもの(以下この条において「特定地域共同活動」という。)を、地域の多様な主体との連携その他の方法により効率的かつ効果的に行うと認められること。
二 民主的で透明性の高い運営その他適正な運営を確保するために必要なものとして条例で定める要件を備えること。
三 目的、名称、主としてその活動を行う区域その他の総務省令で定める事項を内容とする定款、規約その他これらに準ずるものを定めていること。
四 前三号に掲げるもののほか、条例で定める要件を備えること。
③ 市町村は、指定地域共同活動団体に対し、当該指定地域共同活動団体が行う特定地域共同活動に関し必要な支援を行うものとする。
④ 市町村長は、指定地域共同活動団体が行う特定地域共同活動の状況及び当該特定地域共同活動に対する前項の支援の状況について公表するものとする。
⑤ 指定地域共同活動団体は、特定地域共同活動を他の地域的な共同活動を行う団体と連携して効率的かつ効果的に行うため、当該特定地域共同活動と他の地域的な共同活動を行う団体が行う当該特定地域共同活動と関連性が高い活動との間の調整を行うよう市町村長に求めることができる。この場合において、市町村長は、必要があると認めるときは、当該調整を図るために必要な措置を講じなければならない。
⑥ 市町村は、当該市町村の事務の処理が指定地域共同活動団体が行う当該事務に関連する特定地域共同活動と一体的に行われることにより、住民の福祉の増進が効率的かつ効果的に図られると認めるときは、当該事務の当該指定地域共同活動団体への委託については、第二百三十四条第二項の規定にかかわらず、政令の定めるところにより、当該市町村の規則で定める手続により、随意契約によることができる。
⑦ 市町村は、指定地域共同活動団体が当該市町村の所有に属する行政財産を使用して特定地域共同活動を行うことにより、当該特定地域共同活動に関連する当該市町村の事務の処理と相まつて、住民の福祉の増進が効率的かつ効果的に図られると認めるときは、第二百三十八条の四第一項の規定にかかわらず、当該特定地域共同活動の用に供するため、当該行政財産を、その用途又は目的を妨げない限度において、当該指定地域共同活動団体に貸し付けることができる。
⑧ 前項の規定による貸付けについては、民法第六百四条並びに借地借家法第三条及び第四条の規定は、適用しない。
⑨ 第二百三十八条の二第二項及び第二百三十八条の五第四項から第六項までの規定は、第七項の規定による貸付けについて準用する。
⑩ 市町村長は、指定地域共同活動団体が行う特定地域共同活動の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、当該指定地域共同活動団体に対し、当該特定地域共同活動の状況その他必要な事項に関し報告を求めることができる。
⑪ 市町村長は、指定地域共同活動団体が第二項に規定する要件を欠くに至つたと認めるときその他法令、法令に基づいてする行政庁の処分若しくは当該市町村の条例に違反し、又はその運営が著しく適正を欠くと認めるときは、この条の規定の施行に必要な限度において、当該指定地域共同活動団体に対し、期限を定めて、その改善のために必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。
⑫ 市町村長は、指定地域共同活動団体が第二項に規定する要件を欠くに至つたと認める場合であつて前項の規定による命令によつてはその改善を期待することができないことが明らかであるとき、同項の規定による命令に違反したとき、又は不正な手段により第二項の指定を受けたときその他条例で定めるときは、その指定を取り消すことができる。

第二百六十一条 一の普通地方公共団体のみに適用される特別法が国会又は参議院の緊急集会において議決されたときは、最後に議決した議院の議長(衆議院の議決が国会の議決となつた場合には衆議院議長とし、参議院の緊急集会において議決した場合には参議院議長とする。)は、当該法律を添えてその旨を内閣総理大臣に通知しなければならない。
② 前項の規定による通知があつたときは、内閣総理大臣は、直ちに当該法律を添えてその旨を総務大臣に通知し、総務大臣は、その通知を受けた日から五日以内に、関係普通地方公共団体の長にその旨を通知するとともに、当該法律その他関係書類を移送しなければならない。
③ 前項の規定による通知があつたときは、関係普通地方公共団体の長は、その日から三十一日以後六十日以内に、選挙管理委員会をして当該法律について賛否の投票を行わしめなければならない。
④ 前項の投票の結果が判明したときは、関係普通地方公共団体の長は、その日から五日以内に関係書類を添えてその結果を総務大臣に報告し、総務大臣は、直ちにその旨を内閣総理大臣に報告しなければならない。その投票の結果が確定したことを知つたときも、また、同様とする。
⑤ 前項の規定により第三項の投票の結果が確定した旨の報告があつたときは、内閣総理大臣は、直ちに当該法律の公布の手続をとるとともに衆議院議長及び参議院議長に通知しなければならない。

第二百六十二条 政令で特別の定をするものを除く外、公職選挙法中普通地方公共団体の選挙に関する規定は、前条第三項の規定による投票にこれを準用する。
② 前条第三項の規定による投票は、政令の定めるところにより、普通地方公共団体の選挙又は第七十六条第三項の規定による解散の投票若しくは第八十条第三項及び第八十一条第二項の規定による解職の投票と同時にこれを行うことができる。

第二百六十三条 普通地方公共団体の経営する企業の組織及びこれに従事する職員の身分取扱並びに財務その他企業の経営に関する特例は、別に法律でこれを定める。

第二百六十三条の二 普通地方公共団体は、議会の議決を経て、その利益を代表する全国的な公益的法人に委託することにより、他の普通地方公共団体と共同して、火災、水災、震災その他の災害に因る財産の損害に対する相互救済事業を行うことができる。
② 前項の公益的法人は、毎年一回以上定期に、その事業の経営状況を関係普通地方公共団体の長に通知するとともに、これを適当と認める新聞紙に二回以上掲載しなければならない。
③ 第一項の相互救済事業で保険業に該当するものについては、保険業法は、これを適用しない。

第二百六十三条の三 都道府県知事若しくは都道府県の議会の議長、市長若しくは市の議会の議長又は町村長若しくは町村の議会の議長が、その相互間の連絡を緊密にし、並びに共通の問題を協議し、及び処理するためのそれぞれの全国的連合組織を設けた場合においては、当該連合組織の代表者は、その旨を総務大臣に届け出なければならない。
② 前項の連合組織で同項の規定による届出をしたものは、地方自治に影響を及ぼす法律又は政令その他の事項に関し、総務大臣を経由して内閣に対し意見を申し出、又は国会に意見書を提出することができる。
③ 内閣は、前項の意見の申出を受けたときは、これに遅滞なく回答するよう努めるものとする。
④ 前項の場合において、当該意見が地方公共団体に対し新たに事務又は負担を義務付けると認められる国の施策に関するものであるときは、内閣は、これに遅滞なく回答するものとする。
⑤ 各大臣は、その担任する事務に関し地方公共団体に対し新たに事務又は負担を義務付けると認められる施策の立案をしようとする場合には、第二項の連合組織が同項の規定により内閣に対して意見を申し出ることができるよう、当該連合組織に当該施策の内容となるべき事項を知らせるために適切な措置を講ずるものとする。

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