行政法3-4:行政行為の附款とは?

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行政行為の附款

行政行為の附款とは?

行政行為の附款とは、行政行為の効果を制限するために、その主たる内容に付加される従たる意思表示のことをいいます。1

行政行為の附款には、条件期限負担撤回権の留保法律効果の一部除外の5種類あります。

意味具体例
条件2行政行為の効果を発生するかどうかが不確実な将来の事実にかからせるもの道路工事が終了するまで通行止めとすること
期限行政行為の効果を発生することが確実な将来の事実にかからせるもの運転免許の「〇年〇月〇日まで有効」などの有効期限
負担許可・認可などの受益的行政行為につけられるもので、相手方に特別の義務を命ずるもの3道路の占有許可に付された占有料の納付、運転免許に付された眼鏡使用の義務付け
撤回権の留保行政行為をするにあたって、将来撤回することがある旨をあらかじめ確認しておくもの飲食店の営業許可にあたって「食中毒を起こした場合は営業許可を撤回する」旨を確認すること
法律効果の一部除外法律が認める効果の一部を行政庁の意思で排除するもの公務員に出張を命じつつ、旅費を支給しないとすること

附款の限界

行政行為の附款は、許可認可などの法律行為的行政行為に限って付すことができます。一方で確認公証などの準法律行為には、附款を付すことはできません。

附款は、法律が明示的に認めている場合だけでなく、行政行為の内容の決定について行政庁に裁量権が認められている場合にも付すことが可能です。

ただし、附款の付加には以下の原則に基づく制限があります。

  1. 目的拘束の原理
    行政行為本体の目的とは関係のない目的で附款を付すことは許されません。

  2. 比例原則
    附款によって、法の目的に照らして過大な義務を課すことは認められません。
  3. 平等原則
    行政行為の相手方を不平等に扱うような附款は許されません。

附款の瑕疵

附款が行政行為の本体と”可分(分けられる)な関係”にある場合には、附款のみに不服がある者は、行政行為の一部の取消しを求める訴訟を提起して附款のみの取消しを求めることができます。

子の場合、附款が裁判で取り消されれば、附款の無い行政行為のみが有効に残ることになります。

一方で、附款が行政行為本体と不可分一体の関係にある場合には、附款の取消しは行政行為全体の取消しとなります。そのため、附款のみの取消しを求めることは許されず、本体たる行政行為取消訴訟を提起しなければならない。

  1. 具体例:「自動車の運転免許を付与すること」が行政行為の主たる内容で、「眼鏡の使用を義務付けること」が従たる意思表示(行政行為の附款) ↩︎
  2. 条件には、条件の成就により効果が発生する停止条件と、効果が消滅する解除条件がある ↩︎
  3. 参考:負担が履行されなかったとしても、行政行為の効力が消滅するわけではない ↩︎
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