行政法3-7:「行政計画」とは?変更されたらどうなる?救済はある?試験に出るポイントを完全整理!

目次

行政計画とは?

行政計画とは、行政機関(国や自治体など)が、将来的にどのような目標を達成したいのかを定め、その目標を達成するために必要な手段や方針を示した「計画」のことです。

たとえば、「地域の交通インフラを整備する5か年計画」や「高齢者支援策の推進計画」などがこれにあたります。

つまり、行政計画とは将来に向けた”行政の行動指針“といえるものです。1

行政計画に対する規制

行政計画に法律の根拠は必要?

行政計画はあくまで「プラン」であり、必ずしも法律の根拠が必要なわけではありません。自由に策定できるようにも思えます。

しかし、その計画が国民の権利や義務に影響を与える場合、つまり何らかの制限を加える効果があるときは、法律による根拠が求められるとされています。

たとえば、都市計画などで建築の制限がかかるような場合には、法律に基づく行政計画でなければならないというわけです。

行政計画の策定手続きには決まりがある?

実は、行政手続法には「行政計画をどう作るか」という手続きに関する一般的なルールは定められていません。

つまり、行政計画の作成方法は統一されておらず、個別の法律(都市計画法など)で具体的な手続きが定められていることがあるという状態です。

したがって、行政計画の策定にあたっては、それぞれの分野ごとの法律を確認する必要があります。2

行政計画に対する救済

行政計画に不服があるときは訴訟を起こせる?

行政計画そのものに対して「取消訴訟3を起こせるかどうかは、行政庁の行為に処分性行政事件訴訟法3条2項)があるかどうかで判断されます。

従来は、行政計画はまだ“行政処分”に至る前の段階の行為なので、「処分性がない=取消訴訟はできない」とされてきました。

ですが、最近の最高裁判所の判例では、実質的に個人の権利を制限するような具体的な計画については、処分性を認めて訴訟を起こすことができるとする傾向が強まっています。

行政計画が変更されたときの責任は?(計画担保責任)

行政計画は長期的な目標を含むことが多く、民間事業者などがその計画を信頼して投資や事業活動を行うケースもあります。

ところが、行政が途中で計画を変更・中止した場合、そうした事業者が損害を被ることもあり得ます。

このような事態を避けるため、行政には、計画を安易に変更しないようにする「計画担保責任」が求められます。計画を変更・中止する際には、

  • 必要に応じて代償措置を講じる
  • 元の計画をできる限り尊重する

といった対応が期待されています。

まとめ

行政計画は、行政が将来の目標に向けて作る「行動計画」です。一見すると法的拘束力のないプランのようですが、内容や影響によっては法律の根拠が必要になったり、訴訟の対象になったりする重要な制度です。

行政書士試験でも、計画の法的性質や、処分性・担保責任といった周辺知識が問われることがあるので、しっかり理解しておきましょう!

  1. 具体例:都市の健全な発達と秩序ある整備を図ることを目的とした都市計画など ↩︎
  2. 具体例:関係者の意見書の提出(都市計画法17条2項)や、諮問に基づく審議会の審議(国土利用計画法9条10項)など ↩︎
  3. 多数の利害関係者に不利益をもたらしうる拘束的な計画についても、行政事件訴訟法において、それを争う特別の訴訟類型が法定されているわけではない ↩︎
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次