令和7年6月1日 施行
第一章 総則
(親族の範囲)
第725条
次に掲げる者は、親族とする。
- 一 六親等内の血族
- 二 配偶者
- 三 三親等内の姻族
(親等の計算)
第726条
- 親等は、親族間の世代数を数えて、これを定める。
- 傍系親族の親等を定めるには、その一人又はその配偶者から同一の祖先にさかのぼり、その祖先から他の一人に下るまでの世代数による。
(縁組による親族関係の発生)
第727条
養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組の日から、血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる。
(離婚等による姻族関係の終了)
第728条
- 姻族関係は、離婚によって終了する。
- 夫婦の一方が死亡した場合において、生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したときも、前項と同様とする。
(離縁による親族関係の終了)
第729条
養子及びその配偶者並びに養子の直系卑属及びその配偶者と養親及びその血族との親族関係は、離縁によって終了する。
(親族間の扶合い)
第730条
直系血族及び同居の親族は、互いに扶合わなければならない。
第二章 婚姻
第一節 婚姻の成立
第一款 婚姻の要件
(婚姻適齢)
第731条
婚姻は、18歳にならなければ、することができない。
(重婚の禁止)
第732条
配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない。
第733条 削除
(近親者間の婚姻の禁止)
第734条
- 直系血族又は三親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。
ただし、養子と養方の傍系血族との間では、この限りでない。 - 第817条の9の規定により親族関係が終了した後も、前項と同様とする。
(直系姻族間の婚姻の禁止)
第735条
直系姻族の間では、婚姻をすることができない。第728条又は第817条の9の規定により姻族関係が終了した後も、同様とする。
(養親子等の間の婚姻の禁止)
第736条
養子若しくはその配偶者又は養子の直系卑属若しくはその配偶者と養親又はその直系尊属との間では、第729条の規定により親族関係が終了した後でも、婚姻をすることができない。
第737条 削除
(成年被後見人の婚姻)
第738条
成年被後見人が婚姻をするには、その成年後見人の同意を要しない。
(婚姻の届出)
第739条
- 婚姻は、戸籍法(昭和22年法律第224号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。
- 前項の届出は、当事者双方及び成年の証人2人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない。
(婚姻の届出の受理)
第740条
婚姻の届出は、その婚姻が第731条、第732条、第734条から第736条まで及び前条第❷項の規定その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。
(外国に在る日本人間の婚姻の方式)
第741条
外国に在る日本人間で婚姻をしようとするときは、その国に駐在する日本の大使、公使又は領事にその届出をすることができる。この場合においては、前2条の規定を準用する。
第二款 婚姻の無効及び取消し
(婚姻の無効)
第742条
婚姻は、次に掲げる場合に限り、無効とする。
- 一 人違いその他の事由によって当事者間に婚姻をする意思がないとき。
- 二 当事者が婚姻の届出をしないとき。ただし、その届出が第739条第❷項に定める方式を欠くだけであるときは、婚姻は、そのためにその効力を妨げられない。
(婚姻の取消し)
第743条
婚姻は、次条、第745条及び第747条の規定によらなければ、取り消すことができない。
(不適法な婚姻の取消し)
第744条
- 第731条、第732条及び第734条から第736条までの規定に違反した婚姻は、各当事者、その親族又は検察官から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。
ただし、検察官は、当事者の一方が死亡した後は、これを請求することができない。 - 第732条の規定に違反した婚姻については、前婚の配偶者も、その取消しを請求することができる。
(不適齢者の婚姻の取消し)
第745条
- 第731条の規定に違反した婚姻は、不適齢者が適齢に達したときは、その取消しを請求することができない。
- 不適齢者は、適齢に達した後、なお3箇月間は、その婚姻の取消しを請求することができる。
ただし、適齢に達した後に追認をしたときは、この限りでない。
第746条 削除
(詐欺又は強迫による婚姻の取消し)
第747条
- 詐欺又は強迫によって婚姻をした者は、その婚姻の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
- 前項の規定による取消権は、当事者が、詐欺を発見し、若しくは強迫を免れた後3箇月を経過し、又は追認をしたときは、消滅する。
(婚姻の取消しの効力)
第748条
- 婚姻の取消しは、将来に向かってのみその効力を生ずる。
- 婚姻の時においてその取消しの原因があることを知らなかった当事者が、婚姻によって財産を得たときは、現に利益を受けている限度において、その返還をしなければならない。
- 婚姻の時においてその取消しの原因があることを知っていた当事者は、婚姻によって得た利益の全部を返還しなければならない。この場合において、相手方が善意であったときは、これに対して損害を賠償する責任を負う。
(離婚の規定の準用)
第749条
第728条第❶項、第766条から第769条まで、第790条第❶項ただし書並びに第819条第❷項、第❸項、第❺項及び第❻項の規定は、婚姻の取消しについて準用する。
第二節 婚姻の効力
(夫婦の氏)
第750条
夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。
(生存配偶者の復氏等)
第751条
(同居、協力及び扶助の義務)
第752条
夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。
第753条 削除
(夫婦間の契約の取消権)
第754条
夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる。
ただし、第三者の権利を害することはできない。
第三節 夫婦財産制
第一款 総則
(夫婦の財産関係)
第755条
夫婦が、婚姻の届出前に、その財産について別段の契約をしなかったときは、その財産関係は、次款に定めるところによる。
(夫婦財産契約の対抗要件)
第756条
夫婦が法定財産制と異なる契約をしたときは、婚姻の届出までにその登記をしなければ、これを夫婦の承継人及び第三者に対抗することができない。
第757条 削除
(夫婦の財産関係の変更の制限等)
第758条
- 夫婦の財産関係は、婚姻の届出後は、変更することができない。
- 夫婦の一方が、他の一方の財産を管理する場合において、管理が失当であったことによってその財産を危うくしたときは、他の一方は、自らその管理をすることを家庭裁判所に請求することができる。
- 共有財産については、前項の請求とともに、その分割を請求することができる。
(財産の管理者の変更及び共有財産の分割の対抗要件)
第759条
前条の規定又は第755条の契約の結果により、財産の管理者を変更し、又は共有財産の分割をしたときは、その登記をしなければ、これを夫婦の承継人及び第三者に対抗することができない。
第二款 法定財産制
(婚姻費用の分担)
第760条
夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。
(日常の家事に関する債務の連帯責任)
第761条
夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。
(夫婦間における財産の帰属)
第762条
- 夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。
- 夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。
第四節 離婚
第一款 協議上の離婚
(協議上の離婚)
第763条
夫婦は、その協議で、離婚をすることができる。
(婚姻の規定の準用)
第764条
第738条、第739条及び第747条の規定は、協議上の離婚について準用する。
(離婚の届出の受理)
第765条
- 離婚の届出は、その離婚が前条において準用する第739条第❷項の規定及び第819条第❶項の規定その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。
- 離婚の届出が前項の規定に違反して受理されたときであっても、離婚は、そのためにその効力を妨げられない。
(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
第766条
- 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
- 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。
- 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前❷項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。
- 前❸項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。
(離婚による復氏等)
第767条
- 婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復する。
- 前項の規定により婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から3箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができる。
(財産分与)
第768条
- 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
- 前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。
ただし、離婚の時から2年を経過したときは、この限りでない。 - 前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。
(離婚による復氏の際の権利の承継)
第769条
- 婚姻によって氏を改めた夫又は妻が、第897条第❶項の権利を承継した後、協議上の離婚をしたときは、当事者その他の関係人の協議で、その権利を承継すべき者を定めなければならない。
- 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所がこれを定める。
第二款 裁判上の離婚
(裁判上の離婚)
第770条
- 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
- 一 配偶者に不貞な行為があったとき。
- 二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
- 三 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
- 四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
- 五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
- 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。
(協議上の離婚の規定の準用)
第771条
第766条から第769条までの規定は、裁判上の離婚について準用する。
第三章 親子
第一節 実子
(嫡出の推定)
第772条
- 妻が婚姻中に懐胎した子は、当該婚姻における夫の子と推定する。女が婚姻前に懐胎した子であって、婚姻が成立した後に生まれたものも、同様とする。
- 前項の場合において、婚姻の成立の日から200以内に生まれた子は、婚姻前に懐胎したものと推定し、婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。
- 第❶項の場合において、女が子を懐胎した時から子の出生の時までの間に2以上の婚姻をしていたときは、その子は、その出生の直近の婚姻における夫の子と推定する。
- 前❸項の規定により父が定められた子について、第774条の規定によりその父の嫡出であることが否認された場合における前項の規定の適用については、同項中「直近の婚姻」とあるのは、「直近の婚姻(第774条の規定により子がその嫡出であることが否認された夫との間の婚姻を除く。)」とする。
(父を定めることを目的とする訴え)
第773条
第732条の規定に違反して婚姻をした女が出産した場合において、前条の規定によりその子の父を定めることができないときは、裁判所が、これを定める。
(嫡出の否認)
第774条
- 第772条の規定により子の父が定められる場合において、父又は子は、子が嫡出であることを否認することができる。
- 前項の規定による子の否認権は、親権を行う母、親権を行う養親又は未成年後見人が、子のために行使することができる。
- 第❶項に規定する場合において、母は、子が嫡出であることを否認することができる。ただし、その否認権の行使が子の利益を害することが明らかなときは、この限りでない。
- 第772条第❸項の規定により子の父が定められる場合において、子の懐胎の時から出生の時までの間に母と婚姻していた者であって、子の父以外のもの(以下「前夫」という。)は、子が嫡出であることを否認することができる。
ただし、その否認権の行使が子の利益を害することが明らかなときは、この限りでない。 - 前項の規定による否認権を行使し、第772条第❹項の規定により読み替えられた同条第❸項の規定により新たに子の父と定められた者は、第❶項の規定にかかわらず、子が自らの嫡出であることを否認することができない。
(嫡出否認の訴え)
第775条
- 次の各号に掲げる否認権は、それぞれ当該各号に定める者に対する嫡出否認の訴えによって行う。
- 一 父の否認権 子又は親権を行う母
- 二 子の否認権 父
- 三 母の否認権 父
- 四 前夫の否認権 父及び子又は親権を行う母
- 前項第一号又は第四号に掲げる否認権を親権を行う母に対し行使しようとする場合において、親権を行う母がないときは、家庭裁判所は、特別代理人を選任しなければならない。
(嫡出の承認)
第776条
父又は母は、子の出生後において、その嫡出であることを承認したときは、それぞれその否認権を失う。
(嫡出否認の訴えの出訴期間)
第777条
次の各号に掲げる否認権の行使に係る嫡出否認の訴えは、それぞれ当該各号に定める時から3年以内に提起しなければならない。
- 一 父の否認権 父が子の出生を知った時
- 二 子の否認権 その出生の時
- 三 母の否認権 子の出生の時
- 四 前夫の否認権 前夫が子の出生を知った時
第778条
第772条第❸項の規定により父が定められた子について第774条の規定により嫡出であることが否認されたときは、次の各号に掲げる否認権の行使に係る嫡出否認の訴えは、前条の規定にかかわらず、それぞれ当該各号に定める時から一年以内に提起しなければならない。
- 一 第772条第❹項の規定により読み替えられた同条第❸項の規定により新たに子の父と定められた者の否認権 新たに子の父と定められた者が当該子に係る嫡出否認の裁判が確定したことを知った時
- 二 子の否認権 子が前号の裁判が確定したことを知った時
- 三 母の否認権 母が第一号の裁判が確定したことを知った時
- 四 前夫の否認権 前夫が第一号の裁判が確定したことを知った時
第778条の2
- 第777条(第二号に係る部分に限る。)又は前条(第二号に係る部分に限る。)の期間の満了前6箇月以内の間に親権を行う母、親権を行う養親及び未成年後見人がないときは、子は、母若しくは養親の親権停止の期間が満了し、親権喪失若しくは親権停止の審判の取消しの審判が確定し、若しくは親権が回復された時、新たに養子縁組が成立した時又は未成年後見人が就職した時から6箇月を経過するまでの間は、嫡出否認の訴えを提起することができる。
- 子は、その父と継続して同居した期間(当該期間が2以上あるときは、そのうち最も長い期間)が3年を下回るときは、第777条(第二号に係る部分に限る。)及び前条(第二号に係る部分に限る。)の規定にかかわらず、21歳に達するまでの間、嫡出否認の訴えを提起することができる。
ただし、子の否認権の行使が父による養育の状況に照らして父の利益を著しく害するときは、この限りでない。 - 第774条第❷項の規定は、前項の場合には、適用しない。
- 第777条(第四号に係る部分に限る。)及び前条(第四号に係る部分に限る。)に掲げる否認権の行使に係る嫡出否認の訴えは、子が成年に達した後は、提起することができない。
(子の監護に要した費用の償還の制限)
第778条の3
第774条の規定により嫡出であることが否認された場合であっても、子は、父であった者が支出した子の監護に要した費用を償還する義務を負わない。
(相続の開始後に新たに子と推定された者の価額の支払請求権)
第778条の4
相続の開始後、第774条の規定により否認権が行使され、第772条第❹項の規定により読み替えられた同条第❸項の規定により新たに被相続人がその父と定められた者が相続人として遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしていたときは、当該相続人の遺産分割の請求は、価額のみによる支払の請求により行うものとする。
(認知)
第779条
嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。
(認知能力)
第780条
認知をするには、父又は母が未成年者又は成年被後見人であるときであっても、その法定代理人の同意を要しない。
(認知の方式)
第781条
- 認知は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによってする。
- 認知は、遺言によっても、することができる。
(成年の子の認知)
第782条
成年の子は、その承諾がなければ、これを認知することができない。
(胎児又は死亡した子の認知)
第783条
- 父は、胎内に在る子でも、認知することができる。この場合においては、母の承諾を得なければならない。
- 前項の子が出生した場合において、第七百七十二条の規定によりその子の父が定められるときは、同項の規定による認知は、その効力を生じない。
- 父又は母は、死亡した子でも、その直系卑属があるときに限り、認知することができる。
この場合において、その直系卑属が成年者であるときは、その承諾を得なければならない。
(認知の効力)
第784条
認知は、出生の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者が既に取得した権利を害することはできない。
(認知の取消しの禁止)
第785条
認知をした父又は母は、その認知を取り消すことができない。
(認知の無効の訴え)
第786条
- 次の各号に掲げる者は、それぞれ当該各号に定める時(第783条第❶項の規定による認知がされた場合にあっては、子の出生の時)から7年以内に限り、認知について反対の事実があることを理由として、認知の無効の訴えを提起することができる。
ただし、第三号に掲げる者について、その認知の無効の主張が子の利益を害することが明らかなときは、この限りでない。- 一 子又はその法定代理人 子又はその法定代理人が認知を知った時
- 二 認知をした者 認知の時
- 三 子の母 子の母が認知を知った時
- 子は、その子を認知した者と認知後に継続して同居した期間(当該期間が2以上あるときは、そのうち最も長い期間)が3年を下回るときは、前項(第一号に係る部分に限る。)の規定にかかわらず、21歳に達するまでの間、認知の無効の訴えを提起することができる。
ただし、子による認知の無効の主張が認知をした者による養育の状況に照らして認知をした者の利益を著しく害するときは、この限りでない。 - 前項の規定は、同項に規定する子の法定代理人が第❶項の認知の無効の訴えを提起する場合には、適用しない。
- 第❶項及び第❷項の規定により認知が無効とされた場合であっても、子は、認知をした者が支出した子の監護に要した費用を償還する義務を負わない。
(認知の訴え)
第787条
子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。
ただし、父又は母の死亡の日から3年を経過したときは、この限りでない。
(認知後の子の監護に関する事項の定め等)
第788条
第766条の規定は、父が認知する場合について準用する。
(準正)
第789条
- 父が認知した子は、その父母の婚姻によって嫡出子の身分を取得する。
- 婚姻中父母が認知した子は、その認知の時から、嫡出子の身分を取得する。
- 前❷項の規定は、子が既に死亡していた場合について準用する。
(子の氏)
第790条
- 嫡出である子は、父母の氏を称する。
ただし、子の出生前に父母が離婚したときは、離婚の際における父母の氏を称する。 - 嫡出でない子は、母の氏を称する。
(子の氏の変更)
第791条
- 子が父又は母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができる。
- 父又は母が氏を改めたことにより子が父母と氏を異にする場合には、子は、父母の婚姻中に限り、前項の許可を得ないで、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父母の氏を称することができる。
- 子が15歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、前二項の行為をすることができる。
- 前三項の規定により氏を改めた未成年の子は、成年に達した時から一年以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、従前の氏に復することができる。
第二節 養子
第一款 縁組の要件
(養親となる者の年齢)
第792条
20歳に達した者は、養子をすることができる。
(尊属又は年長者を養子とすることの禁止)
第793条
尊属又は年長者は、これを養子とすることができない。
(後見人が被後見人を養子とする縁組)
第794条
後見人が被後見人(未成年被後見人及び成年被後見人をいう。以下同じ。)を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。後見人の任務が終了した後、まだその管理の計算が終わらない間も、同様とする。
(配偶者のある者が未成年者を養子とする縁組)
第795条
配偶者のある者が未成年者を養子とするには、配偶者とともにしなければならない。
ただし、配偶者の嫡出である子を養子とする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない。
(配偶者のある者の縁組)
第796条
配偶者のある者が縁組をするには、その配偶者の同意を得なければならない。
ただし、配偶者とともに縁組をする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない。
(15歳未満の者を養子とする縁組)
第797条
- 養子となる者が15歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、縁組の承諾をすることができる。
- 法定代理人が前項の承諾をするには、養子となる者の父母でその監護をすべき者であるものが他にあるときは、その同意を得なければならない。養子となる者の父母で親権を停止されているものがあるときも、同様とする。
(未成年者を養子とする縁組)
第798条
未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。
ただし、自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合は、この限りでない。
(婚姻の規定の準用)
第799条
(縁組の届出の受理)
第800条
縁組の届出は、その縁組が第792条から前条までの規定その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。
(外国に在る日本人間の縁組の方式)
第801条
外国に在る日本人間で縁組をしようとするときは、その国に駐在する日本の大使、公使又は領事にその届出をすることができる。この場合においては、第799条において準用する第739条の規定及び前条の規定を準用する。
第二款 縁組の無効及び取消し
(縁組の無効)
第802条
縁組は、次に掲げる場合に限り、無効とする。
- 一 人違いその他の事由によって当事者間に縁組をする意思がないとき。
- 二 当事者が縁組の届出をしないとき。
ただし、その届出が第799条において準用する第739条第❷項に定める方式を欠くだけであるときは、縁組は、そのためにその効力を妨げられない。
(縁組の取消し)
第803条
縁組は、次条から第808条までの規定によらなければ、取り消すことができない。
(養親が20歳未満の者である場合の縁組の取消し)
第804条
第792条の規定に違反した縁組は、養親又はその法定代理人から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、養親が、20歳に達した後6箇月を経過し、又は追認をしたときは、この限りでない。
(養子が尊属又は年長者である場合の縁組の取消し)
第805条
第793条の規定に違反した縁組は、各当事者又はその親族から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。
(後見人と被後見人との間の無許可縁組の取消し)
第806条
- 第794条の規定に違反した縁組は、養子又はその実方の親族から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。
ただし、管理の計算が終わった後、養子が追認をし、又は六箇月を経過したときは、この限りでない。 - 前項ただし書の追認は、養子が、成年に達し、又は行為能力を回復した後にしなければ、その効力を生じない。
- 養子が、成年に達せず、又は行為能力を回復しない間に、管理の計算が終わった場合には、第❶項ただし書の期間は、養子が、成年に達し、又は行為能力を回復した時から起算する。
(配偶者の同意のない縁組等の取消し)
第806条の2
- 第796条の規定に違反した縁組は、縁組の同意をしていない者から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、その者が、縁組を知った後6箇月を経過し、又は追認をしたときは、この限りでない。
- 詐欺又は強迫によって第796条の同意をした者は、その縁組の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
ただし、その者が、詐欺を発見し、若しくは強迫を免れた後6箇月を経過し、又は追認をしたときは、この限りでない。
(子の監護をすべき者の同意のない縁組等の取消し)
第806条の3
- 第797条第❷項の規定に違反した縁組は、縁組の同意をしていない者から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、その者が追認をしたとき、又は養子が15歳に達した後六箇月を経過し、若しくは追認をしたときは、この限りでない。
- 前条第❷項の規定は、詐欺又は強迫によって第797条第❷項の同意をした者について準用する。
(養子が未成年者である場合の無許可縁組の取消し)
第807条
第七百九十八条の規定に違反した縁組は、養子、その実方の親族又は養子に代わって縁組の承諾をした者から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、養子が、成年に達した後六箇月を経過し、又は追認をしたときは、この限りでない。
(婚姻の取消し等の規定の準用)
第808条
- 第747条及び第748条の規定は、縁組について準用する。
この場合において、第747条第❷項中「3箇月」とあるのは、「6箇月」と読み替えるものとする。 - 第769条及び第816条の規定は、縁組の取消しについて準用する。
第三款 縁組の効力
(嫡出子の身分の取得)
第809条
養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。
(養子の氏)
第810条
養子は、養親の氏を称する。ただし、婚姻によって氏を改めた者については、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、この限りでない。
第四款 離縁
(協議上の離縁等)
第811条
- 縁組の当事者は、その協議で、離縁をすることができる。
- 養子が15歳未満であるときは、その離縁は、養親と養子の離縁後にその法定代理人となるべき者との協議でこれをする。
- 前項の場合において、養子の父母が離婚しているときは、その協議で、その一方を養子の離縁後にその親権者となるべき者と定めなければならない。
- 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項の父若しくは母又は養親の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
- 第❷項の法定代理人となるべき者がないときは、家庭裁判所は、養子の親族その他の利害関係人の請求によって、養子の離縁後にその未成年後見人となるべき者を選任する。
- 縁組の当事者の一方が死亡した後に生存当事者が離縁をしようとするときは、家庭裁判所の許可を得て、これをすることができる。
(夫婦である養親と未成年者との離縁)
第811条の2
養親が夫婦である場合において未成年者と離縁をするには、夫婦が共にしなければならない。
ただし、夫婦の一方がその意思を表示することができないときは、この限りでない。
(婚姻の規定の準用)
第812条
第738条、第739条及び第747条の規定は、協議上の離縁について準用する。
この場合において、同条第❷項中「3箇月」とあるのは、「6箇月」と読み替えるものとする。
(離縁の届出の受理)
第813条
- 離縁の届出は、その離縁が前条において準用する第739条第❷項の規定並びに第811条及び第811条の2の規定その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。
- 離縁の届出が前項の規定に違反して受理されたときであっても、離縁は、そのためにその効力を妨げられない。
(裁判上の離縁)
第814条
- 縁組の当事者の一方は、次に掲げる場合に限り、離縁の訴えを提起することができる。
- 一 他の一方から悪意で遺棄されたとき。
- 二 他の一方の生死が三年以上明らかでないとき。
- 三 その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき。
- 第770条第❷項の規定は、前項第一号及び第二号に掲げる場合について準用する。
(養子が十五歳未満である場合の離縁の訴えの当事者)
第815条
養子が15歳に達しない間は、第811条の規定により養親と離縁の協議をすることができる者から、又はこれに対して、離縁の訴えを提起することができる。
(離縁による復氏等)
第816条
- 養子は、離縁によって縁組前の氏に復する。
ただし、配偶者とともに養子をした養親の一方のみと離縁をした場合は、この限りでない。 - 縁組の日から7年を経過した後に前項の規定により縁組前の氏に復した者は、離縁の日から3箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離縁の際に称していた氏を称することができる。
(離縁による復氏の際の権利の承継)
第817条
第769条の規定は、離縁について準用する。
第五款 特別養子
(特別養子縁組の成立)
第817条の2
- 家庭裁判所は、次条から第817条の7までに定める要件があるときは、養親となる者の請求により、実方の血族との親族関係が終了する縁組(以下この款において「特別養子縁組」という。)を成立させることができる。
- 前項に規定する請求をするには、第794条又は第798条の許可を得ることを要しない。
(養親の夫婦共同縁組)
第817条の3
- 養親となる者は、配偶者のある者でなければならない。
- 夫婦の一方は、他の一方が養親とならないときは、養親となることができない。
ただし、夫婦の一方が他の一方の嫡出である子(特別養子縁組以外の縁組による養子を除く。)の養親となる場合は、この限りでない。
(養親となる者の年齢)
第817条の4
25歳に達しない者は、養親となることができない。
ただし、養親となる夫婦の一方が25歳に達していない場合においても、その者が20歳に達しているときは、この限りでない。
(養子となる者の年齢)
第817条の5
- 第817条の2に規定する請求の時に15歳に達している者は、養子となることができない。
特別養子縁組が成立するまでに18歳に達した者についても、同様とする。 - 前項前段の規定は、養子となる者が15歳に達する前から引き続き養親となる者に監護されている場合において、15歳に達するまでに第817条の2に規定する請求がされなかったことについてやむを得ない事由があるときは、適用しない。
- 養子となる者が15歳に達している場合においては、特別養子縁組の成立には、その者の同意がなければならない。
(父母の同意)
第817条の6
特別養子縁組の成立には、養子となる者の父母の同意がなければならない。
ただし、父母がその意思を表示することができない場合又は父母による虐待、悪意の遺棄その他養子となる者の利益を著しく害する事由がある場合は、この限りでない。
(子の利益のための特別の必要性)
第817条の7
特別養子縁組は、父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合において、子の利益のため特に必要があると認めるときに、これを成立させるものとする。
(監護の状況)
第817条の8
- 特別養子縁組を成立させるには、養親となる者が養子となる者を6箇月以上の期間監護した状況を考慮しなければならない。
- 前項の期間は、第817条の2に規定する請求の時から起算する。ただし、その請求前の監護の状況が明らかであるときは、この限りでない。
(実方との親族関係の終了)
第817条の9
養子と実方の父母及びその血族との親族関係は、特別養子縁組によって終了する。
ただし、第817条の3第❷項ただし書に規定する他の一方及びその血族との親族関係については、この限りでない。
(特別養子縁組の離縁)
第817条の10
- 次の各号のいずれにも該当する場合において、養子の利益のため特に必要があると認めるときは、家庭裁判所は、養子、実父母又は検察官の請求により、特別養子縁組の当事者を離縁させることができる。
- 一 養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由があること。
- 二 実父母が相当の監護をすることができること。
- 離縁は、前項の規定による場合のほか、これをすることができない。
(離縁による実方との親族関係の回復)
第817条の11
養子と実父母及びその血族との間においては、離縁の日から、特別養子縁組によって終了した親族関係と同一の親族関係を生ずる。
第四章 親権
第一節 総則
(親権者)
第818条
- 成年に達しない子は、父母の親権に服する。
- 子が養子であるときは、養親の親権に服する。
- 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。
(離婚又は認知の場合の親権者)
第819条
- 父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
- 裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。
- 子の出生前に父母が離婚した場合には、親権は、母が行う。ただし、子の出生後に、父母の協議で、父を親権者と定めることができる。
- 父が認知した子に対する親権は、父母の協議で父を親権者と定めたときに限り、父が行う。
- 第❶項、第❸項又は前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
- 子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる。
第二節 親権の効力
(監護及び教育の権利義務)
第820条
親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。
(子の人格の尊重等)
第821条
親権を行う者は、前条の規定による監護及び教育をするに当たっては、子の人格を尊重するとともに、その年齢及び発達の程度に配慮しなければならず、かつ、体罰その他の子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならない。
(居所の指定)
第822条
子は、親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければならない。
(職業の許可)
第823条
- 子は、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができない。
- 親権を行う者は、第6条第❷項の場合には、前項の許可を取り消し、又はこれを制限することができる。
(財産の管理及び代表)
第824条
親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。
ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。
(父母の一方が共同の名義でした行為の効力)
第825条
父母が共同して親権を行う場合において、父母の一方が、共同の名義で、子に代わって法律行為をし又は子がこれをすることに同意したときは、その行為は、他の一方の意思に反したときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方が悪意であったときは、この限りでない。
(利益相反行為)
第826条
- 親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
- 親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
(財産の管理における注意義務)
第827条
親権を行う者は、自己のためにするのと同一の注意をもって、その管理権を行わなければならない。
(財産の管理の計算)
第828条
子が成年に達したときは、親権を行った者は、遅滞なくその管理の計算をしなければならない。ただし、その子の養育及び財産の管理の費用は、その子の財産の収益と相殺したものとみなす。
第829条
前条ただし書の規定は、無償で子に財産を与える第三者が反対の意思を表示したときは、その財産については、これを適用しない。
(第三者が無償で子に与えた財産の管理)
第830条
- 無償で子に財産を与える第三者が、親権を行う父又は母にこれを管理させない意思を表示したときは、その財産は、父又は母の管理に属しないものとする。
- 前項の財産につき父母が共に管理権を有しない場合において、第三者が管理者を指定しなかったときは、家庭裁判所は、子、その親族又は検察官の請求によって、その管理者を選任する。
- 第三者が管理者を指定したときであっても、その管理者の権限が消滅し、又はこれを改任する必要がある場合において、第三者が更に管理者を指定しないときも、前項と同様とする。
- 第27条から第29条までの規定は、前❷項の場合について準用する。
(委任の規定の準用)
第831条
第654条及び第655条の規定は、親権を行う者が子の財産を管理する場合及び前条の場合について準用する。
(財産の管理について生じた親子間の債権の消滅時効)
第832条
- 親権を行った者とその子との間に財産の管理について生じた債権は、その管理権が消滅した時から5年間これを行使しないときは、時効によって消滅する。
- 子がまだ成年に達しない間に管理権が消滅した場合において子に法定代理人がないときは、前項の期間は、その子が成年に達し、又は後任の法定代理人が就職した時から起算する。
(子に代わる親権の行使)
第833条
親権を行う者は、その親権に服する子に代わって親権を行う。
第三節 親権の喪失
(親権喪失の審判)
第834条
父又は母による虐待又は悪意の遺棄があるときその他父又は母による親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより子の利益を著しく害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権喪失の審判をすることができる。
ただし、2年以内にその原因が消滅する見込みがあるときは、この限りでない。
(親権停止の審判)
第834条の2
- 父又は母による親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権停止の審判をすることができる。
- 家庭裁判所は、親権停止の審判をするときは、その原因が消滅するまでに要すると見込まれる期間、子の心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して、2年を超えない範囲内で、親権を停止する期間を定める。
(管理権喪失の審判)
第835条
父又は母による管理権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、管理権喪失の審判をすることができる。
(親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消し)
第836条
(親権又は管理権の辞任及び回復)
第837条
- 親権を行う父又は母は、やむを得ない事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権を辞することができる。
- 前項の事由が消滅したときは、父又は母は、家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権を回復することができる。
第五章 後見
第一節 後見の開始
第838条
後見は、次に掲げる場合に開始する。
- 一 未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しないとき。
- 二 後見開始の審判があったとき。
第二節 後見の機関
第一款 後見人
(未成年後見人の指定)
第839条
- 未成年者に対して最後に親権を行う者は、遺言で、未成年後見人を指定することができる。
ただし、管理権を有しない者は、この限りでない。 - 親権を行う父母の一方が管理権を有しないときは、他の一方は、前項の規定により未成年後見人の指定をすることができる。
(未成年後見人の選任)
第840条
- 前条の規定により未成年後見人となるべき者がないときは、家庭裁判所は、未成年被後見人又はその親族その他の利害関係人の請求によって、未成年後見人を選任する。未成年後見人が欠けたときも、同様とする。
- 未成年後見人がある場合においても、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項に規定する者若しくは未成年後見人の請求により又は職権で、更に未成年後見人を選任することができる。
- 未成年後見人を選任するには、未成年被後見人の年齢、心身の状態並びに生活及び財産の状況、未成年後見人となる者の職業及び経歴並びに未成年被後見人との利害関係の有無(未成年後見人となる者が法人であるときは、その事業の種類及び内容並びにその法人及びその代表者と未成年被後見人との利害関係の有無)、未成年被後見人の意見その他一切の事情を考慮しなければならない。
(父母による未成年後見人の選任の請求)
第841条
父若しくは母が親権若しくは管理権を辞し、又は父若しくは母について親権喪失、親権停止若しくは管理権喪失の審判があったことによって未成年後見人を選任する必要が生じたときは、その父又は母は、遅滞なく未成年後見人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。
第842条 削除
(成年後見人の選任)
第843条
- 家庭裁判所は、後見開始の審判をするときは、職権で、成年後見人を選任する。
- 成年後見人が欠けたときは、家庭裁判所は、成年被後見人若しくはその親族その他の利害関係人の請求により又は職権で、成年後見人を選任する。
- 成年後見人が選任されている場合においても、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項に規定する者若しくは成年後見人の請求により又は職権で、更に成年後見人を選任することができる。
- 成年後見人を選任するには、成年被後見人の心身の状態並びに生活及び財産の状況、成年後見人となる者の職業及び経歴並びに成年被後見人との利害関係の有無(成年後見人となる者が法人であるときは、その事業の種類及び内容並びにその法人及びその代表者と成年被後見人との利害関係の有無)、成年被後見人の意見その他一切の事情を考慮しなければならない。
(後見人の辞任)
第844条
後見人は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができる。
(辞任した後見人による新たな後見人の選任の請求)
第845条
後見人がその任務を辞したことによって新たに後見人を選任する必要が生じたときは、その後見人は、遅滞なく新たな後見人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。
(後見人の解任)
第846条
後見人に不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所は、後見監督人、被後見人若しくはその親族若しくは検察官の請求により又は職権で、これを解任することができる。
(後見人の欠格事由)
第847条
次に掲げる者は、後見人となることができない。
- 一 未成年者
- 二 家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人
- 三 破産者
- 四 被後見人に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族
- 五 行方の知れない者
第二款 後見監督人
(未成年後見監督人の指定)
第848条
未成年後見人を指定することができる者は、遺言で、未成年後見監督人を指定することができる。
(後見監督人の選任)
第849条
家庭裁判所は、必要があると認めるときは、被後見人、その親族若しくは後見人の請求により又は職権で、後見監督人を選任することができる。
(後見監督人の欠格事由)
第850条
後見人の配偶者、直系血族及び兄弟姉妹は、後見監督人となることができない。
(後見監督人の職務)
第851条
後見監督人の職務は、次のとおりとする。
- 一 後見人の事務を監督すること。
- 二 後見人が欠けた場合に、遅滞なくその選任を家庭裁判所に請求すること。
- 三 急迫の事情がある場合に、必要な処分をすること。
- 四 後見人又はその代表する者と被後見人との利益が相反する行為について被後見人を代表すること。
(委任及び後見人の規定の準用)
第852条
第644条、第654条、第655条、第844条、第846条、第847条、第861条第❷項及び第862条の規定は後見監督人について、第840条第❸項及び第857条の2の規定は未成年後見監督人について、第843条第❹項、第859条の2及び第859条の3の規定は成年後見監督人について準用する。
第三節 後見の事務
(財産の調査及び目録の作成)
第853条
- 後見人は、遅滞なく被後見人の財産の調査に着手し、1箇月以内に、その調査を終わり、かつ、その目録を作成しなければならない。ただし、この期間は、家庭裁判所において伸長することができる。
- 財産の調査及びその目録の作成は、後見監督人があるときは、その立会いをもってしなければ、その効力を生じない。
(財産の目録の作成前の権限)
第854条
後見人は、財産の目録の作成を終わるまでは、急迫の必要がある行為のみをする権限を有する。
ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
(後見人の被後見人に対する債権又は債務の申出義務)
第855条
- 後見人が、被後見人に対し、債権を有し、又は債務を負う場合において、後見監督人があるときは、財産の調査に着手する前に、これを後見監督人に申し出なければならない。
- 後見人が、被後見人に対し債権を有することを知ってこれを申し出ないときは、その債権を失う。
(被後見人が包括財産を取得した場合についての準用)
第856条
前3条の規定は、後見人が就職した後被後見人が包括財産を取得した場合について準用する。
(未成年被後見人の身上の監護に関する権利義務)
第857条
未成年後見人は、第820条から第823条までに規定する事項について、親権を行う者と同一の権利義務を有する。
ただし、親権を行う者が定めた教育の方法及び居所を変更し、営業を許可し、その許可を取り消し、又はこれを制限するには、未成年後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。
(未成年後見人が数人ある場合の権限の行使等)
第857条の2
- 未成年後見人が数人あるときは、共同してその権限を行使する。
- 未成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、その一部の者について、財産に関する権限のみを行使すべきことを定めることができる。
- 未成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、財産に関する権限について、各未成年後見人が単独で又は数人の未成年後見人が事務を分掌して、その権限を行使すべきことを定めることができる。
- 家庭裁判所は、職権で、前❷項の規定による定めを取り消すことができる。
- 未成年後見人が数人あるときは、第三者の意思表示は、その一人に対してすれば足りる。
(成年被後見人の意思の尊重及び身上の配慮)
第858条
成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。
(財産の管理及び代表)
第859条
- 後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。
- 第824条ただし書の規定は、前項の場合について準用する。
(成年後見人が数人ある場合の権限の行使等)
第859条の2
- 成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、数人の成年後見人が、共同して又は事務を分掌して、その権限を行使すべきことを定めることができる。
- 家庭裁判所は、職権で、前項の規定による定めを取り消すことができる。
- 成年後見人が数人あるときは、第三者の意思表示は、その一人に対してすれば足りる。
(成年被後見人の居住用不動産の処分についての許可)
第859条の3
成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。
(利益相反行為)
第860条
第826条の規定は、後見人について準用する。ただし、後見監督人がある場合は、この限りでない。
(成年後見人による郵便物等の管理)
第860条の2
- 家庭裁判所は、成年後見人がその事務を行うに当たって必要があると認めるときは、成年後見人の請求により、信書の送達の事業を行う者に対し、期間を定めて、成年被後見人に宛てた郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成14年法律第99号)第2条第3項に規定する信書便物(次条において「郵便物等」という。)を成年後見人に配達すべき旨を嘱託することができる。
- 前項に規定する嘱託の期間は、6箇月を超えることができない。
- 家庭裁判所は、第❶項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、成年被後見人、成年後見人若しくは成年後見監督人の請求により又は職権で、同項に規定する嘱託を取り消し、又は変更することができる。ただし、その変更の審判においては、同項の規定による審判において定められた期間を伸長することができない。
- 成年後見人の任務が終了したときは、家庭裁判所は、第❶項に規定する嘱託を取り消さなければならない。
第860条の3 成年後見人は、成年被後見人に宛てた郵便物等を受け取ったときは、これを開いて見ることができる。 - 成年後見人は、その受け取った前項の郵便物等で成年後見人の事務に関しないものは、速やかに成年被後見人に交付しなければならない。
- 成年被後見人は、成年後見人に対し、成年後見人が受け取った第一項の郵便物等(前項の規定により成年被後見人に交付されたものを除く。)の閲覧を求めることができる。
(支出金額の予定及び後見の事務の費用)
第861条
- 後見人は、その就職の初めにおいて、被後見人の生活、教育又は療養看護及び財産の管理のために毎年支出すべき金額を予定しなければならない。
- 後見人が後見の事務を行うために必要な費用は、被後見人の財産の中から支弁する。
(後見人の報酬)
第862条
家庭裁判所は、後見人及び被後見人の資力その他の事情によって、被後見人の財産の中から、相当な報酬を後見人に与えることができる。
(後見の事務の監督)
第863条
- 後見監督人又は家庭裁判所は、いつでも、後見人に対し後見の事務の報告若しくは財産の目録の提出を求め、又は後見の事務若しくは被後見人の財産の状況を調査することができる。
- 家庭裁判所は、後見監督人、被後見人若しくはその親族その他の利害関係人の請求により又は職権で、被後見人の財産の管理その他後見の事務について必要な処分を命ずることができる。
(後見監督人の同意を要する行為)
第864条
後見人が、被後見人に代わって営業若しくは第13条第❶項各号に掲げる行為をし、又は未成年被後見人がこれをすることに同意するには、後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。
ただし、同項第一号に掲げる元本の領収については、この限りでない。
第865条
- 後見人が、前条の規定に違反してし又は同意を与えた行為は、被後見人又は後見人が取り消すことができる。
この場合においては、第20条の規定を準用する。 - 前項の規定は、第121条から第126条までの規定の適用を妨げない。
(被後見人の財産等の譲受けの取消し)
第866条
- 後見人が被後見人の財産又は被後見人に対する第三者の権利を譲り受けたときは、被後見人は、これを取り消すことができる。この場合においては、第20条の規定を準用する。
- 前項の規定は、第121条から第126条までの規定の適用を妨げない。
(未成年被後見人に代わる親権の行使)
第867条
(財産に関する権限のみを有する未成年後見人)
第868条
親権を行う者が管理権を有しない場合には、未成年後見人は、財産に関する権限のみを有する。
(委任及び親権の規定の準用)
第869条
第四節 後見の終了
(後見の計算)
第870条
後見人の任務が終了したときは、後見人又はその相続人は、2箇月以内にその管理の計算(以下「後見の計算」という。)をしなければならない。ただし、この期間は、家庭裁判所において伸長することができる。
第871条
後見の計算は、後見監督人があるときは、その立会いをもってしなければならない。
(未成年被後見人と未成年後見人等との間の契約等の取消し)
第872条
- 未成年被後見人が成年に達した後後見の計算の終了前に、その者と未成年後見人又はその相続人との間でした契約は、その者が取り消すことができる。その者が未成年後見人又はその相続人に対してした単独行為も、同様とする。
- 第20条及び第121条から第126条までの規定は、前項の場合について準用する。
(返還金に対する利息の支払等)
第873条
- 後見人が被後見人に返還すべき金額及び被後見人が後見人に返還すべき金額には、後見の計算が終了した時から、利息を付さなければならない。
- 後見人は、自己のために被後見人の金銭を消費したときは、その消費の時から、これに利息を付さなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。
(成年被後見人の死亡後の成年後見人の権限)
第873条の2
成年後見人は、成年被後見人が死亡した場合において、必要があるときは、成年被後見人の相続人の意思に反することが明らかなときを除き、相続人が相続財産を管理することができるに至るまで、次に掲げる行為をすることができる。ただし、第三号に掲げる行為をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。
- 一 相続財産に属する特定の財産の保存に必要な行為
- 二 相続財産に属する債務(弁済期が到来しているものに限る。)の弁済
- 三 その死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為(前二号に掲げる行為を除く。)
(委任の規定の準用)
第874条
(後見に関して生じた債権の消滅時効)
第875条
- 第832条の規定は、後見人又は後見監督人と被後見人との間において後見に関して生じた債権の消滅時効について準用する。
- 前項の消滅時効は、第872条の規定により法律行為を取り消した場合には、その取消しの時から起算する。
第六章 保佐及び補助
第一節 保佐
(保佐の開始)
第876条
保佐は、保佐開始の審判によって開始する。
(保佐人及び臨時保佐人の選任等)
第876条の2
- 家庭裁判所は、保佐開始の審判をするときは、職権で、保佐人を選任する。
- 第843条第❷項から第❹項まで及び第844条から第847条までの規定は、保佐人について準用する。
- 保佐人又はその代表する者と被保佐人との利益が相反する行為については、保佐人は、臨時保佐人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。ただし、保佐監督人がある場合は、この限りでない。
(保佐監督人)
第876条の3
- 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、被保佐人、その親族若しくは保佐人の請求により又は職権で、保佐監督人を選任することができる。
- 第644条、第654条、第655条、第八百四十三条第四項、第八百四十四条、第八百四十六条、第八百四十七条、第八百五十条、第八百五十一条、第八百五十九条の二、第八百五十九条の三、第八百六十一条第二項及び第八百六十二条の規定は、保佐監督人について準用する。この場合において、第八百五十一条第四号中「被後見人を代表する」とあるのは、「被保佐人を代表し、又は被保佐人がこれをすることに同意する」と読み替えるものとする。
(保佐人に代理権を付与する旨の審判)
第876条の4
- 家庭裁判所は、第11条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求によって、被保佐人のために特定の法律行為について保佐人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。
- 本人以外の者の請求によって前項の審判をするには、本人の同意がなければならない。
- 家庭裁判所は、第❶項に規定する者の請求によって、同項の審判の全部又は一部を取り消すことができる。
(保佐の事務及び保佐人の任務の終了等)
第876条の5
- 保佐人は、保佐の事務を行うに当たっては、被保佐人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。
- 第644条、第859条の2、第859条の3、第861条第❷項、第862条及び第863条の規定は保佐の事務について、第824条ただし書の規定は保佐人が前条第一項の代理権を付与する旨の審判に基づき被保佐人を代表する場合について準用する。
- 第654条、第655条、第870条、第871条及び第873条の規定は保佐人の任務が終了した場合について、第832条の規定は保佐人又は保佐監督人と被保佐人との間において保佐に関して生じた債権について準用する。
第二節 補助
(補助の開始)
第876条の6
補助は、補助開始の審判によって開始する。
(補助人及び臨時補助人の選任等)
第876条の7
- 家庭裁判所は、補助開始の審判をするときは、職権で、補助人を選任する。
- 第843条第❷項から第❹項まで及び第844条から第847条までの規定は、補助人について準用する。
- 補助人又はその代表する者と被補助人との利益が相反する行為については、補助人は、臨時補助人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。ただし、補助監督人がある場合は、この限りでない。
(補助監督人)
第876条の8
- 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、被補助人、その親族若しくは補助人の請求により又は職権で、補助監督人を選任することができる。
- 第644条、第654条、第655条、第843条第❹項、第844条、第846条、第847条、第850条、第851条、第859条の2、第859条の3、第861条第❷項及び第862条の規定は、補助監督人について準用する。
この場合において、第851条第四号中「被後見人を代表する」とあるのは、「被補助人を代表し、又は被補助人がこれをすることに同意する」と読み替えるものとする。
(補助人に代理権を付与する旨の審判)
第876条の9
- 家庭裁判所は、第15条第❶項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求によって、被補助人のために特定の法律行為について補助人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。
- 第876条の4第❷項及び第❸項の規定は、前項の審判について準用する。
(補助の事務及び補助人の任務の終了等)
第876条の10
- 第644条、第859条の2、第859条の3、第861条第❷項、第862条、第863条及び第876条の5第❶項の規定は補助の事務について、第824条ただし書の規定は補助人が前条第一項の代理権を付与する旨の審判に基づき被補助人を代表する場合について準用する。
- 第654条、第655条、第870条、第871条及び第873条の規定は補助人の任務が終了した場合について、第832条の規定は補助人又は補助監督人と被補助人との間において補助に関して生じた債権について準用する。
第七章 扶養
(扶養義務者)
第877条
- 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
- 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
- 前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。
(扶養の順位)
第878条
扶養をする義務のある者が数人ある場合において、扶養をすべき者の順序について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定める。
扶養を受ける権利のある者が数人ある場合において、扶養義務者の資力がその全員を扶養するのに足りないときの扶養を受けるべき者の順序についても、同様とする。
(扶養の程度又は方法)
第879条
扶養の程度又は方法について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、扶養権利者の需要、扶養義務者の資力その他一切の事情を考慮して、家庭裁判所が、これを定める。
(扶養に関する協議又は審判の変更又は取消し)
第880条
扶養をすべき者若しくは扶養を受けるべき者の順序又は扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その協議又は審判の変更又は取消しをすることができる。
(扶養請求権の処分の禁止)
第881条
扶養を受ける権利は、処分することができない。
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