行政法3-3:行政行為の取消しと撤回とは?

行政行為の取消しと撤回

取消し・撤回とは?

取消しとは、行政庁が瑕疵ある行政行為について、その効力をその行為が行われた時点に遡って失わせることをいいます。1
参考:民法における「取消し」も同様の概念です

撤回とは、適法に成立した行政行為であっても、その後の事情の変化により、その行為を維持することが適切でないと判断される場合に、将来に向かってその効力を失わせることをいいます。23

法律の根拠の要否

取消しも撤回も、いずれも瑕疵のない状態を回復させることを目的としており、一般に国民にとって有利な行為とされるため、これらを行う際に法律の根拠は不要です。

しかし、受益的行政行為4の取消しや撤回については注意が必要です。これらは、相手方に事実上不利益をもたらすことになるため、取消しや撤回によって相手方が受ける不利益を上回るだけの必要性が認められる場合に限って行うことが認められています。

取消し・撤回を行うことができる者

通説によれば、取消しは、その行政処分を行った処分庁だけでなく、上級の行政庁も行うことができるとされています。
一方、撤回については、処分庁のみがすることができるとされています。

取消しと撤回まとめ

取消し撤回
原因成立当初から行政行為に瑕疵がある場合適法に成立した行政行為について、その後の事情の変化により、その行為を維持することが適当でなくなった場合
主体処分庁・その上級行政庁処分庁のみ
効果訴求的に無効将来的に無効
法律の根拠不要
  1. 具体例:懲戒処分を受けるべき理由がないにもかかわらずなされた懲戒処分を取り消す場合など  ↩︎
  2. 具体例:運転免許を受けた者が、道路交通法に違反する行為をしたことを理由に、この者の運転免許を取り消す場合。 ↩︎
  3. 参考:行政行為の撤回によって相手方に損失が生じた場合、行政庁は、その損失を補償しなければならない ↩︎
  4. 用語:国民に利益を与える行政行為のこと。例えば、補助金の交付や営業許可など ↩︎
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