【条文】地方自治法 第二編 普通地方公共団体①

令和7年6月1日 施行

目次

第一章 通則

第5条

普通地方公共団体の区域は、従来の区域による。
② 都道府県は、市町村を包括する。

第6条

都道府県の廃置分合又は境界変更をしようとするときは、法律でこれを定める。
② 都道府県の境界にわたつて市町村の設置又は境界の変更があつたときは、都道府県の境界も、また、自ら変更する。従来地方公共団体の区域に属しなかつた地域を市町村の区域に編入したときも、また、同様とする。
③ 前二項の場合において財産処分を必要とするときは、関係地方公共団体が協議してこれを定める。但し、法律に特別の定があるときは、この限りでない。
④ 前項の協議については、関係地方公共団体の議会の議決を経なければならない。

第6条の2

前条第項の規定によるほか、二以上の都道府県の廃止及びそれらの区域の全部による一の都道府県の設置又は都道府県の廃止及びその区域の全部の他の一の都道府県の区域への編入は、関係都道府県の申請に基づき、内閣が国会の承認を経てこれを定めることができる。
② 前項の申請については、関係都道府県の議会の議決を経なければならない。
③ 第項の申請は、総務大臣を経由して行うものとする。
④ 第項の規定による処分があつたときは、総務大臣は、直ちにその旨を告示しなければならない。
⑤ 第項の規定による処分は、前項の規定による告示によりその効力を生ずる。

第7条

市町村の廃置分合又は市町村の境界変更は、関係市町村の申請に基き、都道府県知事が当該都道府県の議会の議決を経てこれを定め、直ちにその旨を総務大臣に届け出なければならない。
② 前項の規定により市の廃置分合をしようとするときは、都道府県知事は、あらかじめ総務大臣に協議し、その同意を得なければならない。
③ 都道府県の境界にわたる市町村の設置を伴う市町村の廃置分合又は市町村の境界の変更は、関係のある普通地方公共団体の申請に基づき、総務大臣がこれを定める。
④ 前項の規定により都道府県の境界にわたる市町村の設置の処分を行う場合においては、当該市町村の属すべき都道府県について、関係のある普通地方公共団体の申請に基づき、総務大臣が当該処分と併せてこれを定める。
⑤ 第項及び第項の場合において財産処分を必要とするときは、関係市町村が協議してこれを定める。
⑥ 第項及び前項の申請又は協議については、関係のある普通地方公共団体の議会の議決を経なければならない。
⑦ 第項の規定による届出を受理したとき、又は第項若しくは第項の規定による処分をしたときは、総務大臣は、直ちにその旨を告示するとともに、これを国の関係行政機関の長に通知しなければならない。
⑧ 第項、第項又は第項の規定による処分は、前項の規定による告示によりその効力を生ずる。

第7条の2

法律で別に定めるものを除く外、従来地方公共団体の区域に属しなかつた地域を都道府県又は市町村の区域に編入する必要があると認めるときは、内閣がこれを定める。この場合において、利害関係があると認められる都道府県又は市町村があるときは、予めその意見を聴かなければならない。
② 前項の意見については、関係のある普通地方公共団体の議会の議決を経なければならない。
③ 第項の規定による処分があつたときは、総務大臣は、直ちにその旨を告示しなければならない。前条第項の規定は、この場合にこれを準用する。

第8条

市となるべき普通地方公共団体は、左に掲げる要件を具えていなければならない。
一 人口五万以上を有すること。
二 当該普通地方公共団体の中心の市街地を形成している区域内に在る戸数が、全戸数の六割以上であること。
三 商工業その他の都市的業態に従事する者及びその者と同一世帯に属する者の数が、全人口の六割以上であること。
四 前各号に定めるものの外、当該都道府県の条例で定める都市的施設その他の都市としての要件を具えていること。
② 町となるべき普通地方公共団体は、当該都道府県の条例で定める町としての要件を具えていなければならない。
③ 町村を市とし又は市を町村とする処分は第七条第項、第項及び第項から第項までの例により、村を町とし又は町を村とする処分は同条第項及び第項から第項までの例により、これを行うものとする。

第8条の2

都道府県知事は、市町村が第二条第項の規定によりその規模の適正化を図るのを援助するため、市町村の廃置分合又は市町村の境界変更の計画を定め、これを関係市町村に勧告することができる。
② 前項の計画を定め又はこれを変更しようとするときは、都道府県知事は、関係市町村、当該都道府県の議会、当該都道府県の区域内の市町村の議会又は長の連合組織その他の関係のある機関及び学識経験を有する者等の意見を聴かなければならない。
③ 前項の関係市町村の意見については、当該市町村の議会の議決を経なければならない。
④ 都道府県知事は、第項の規定により勧告をしたときは、直ちにその旨を公表するとともに、総務大臣に報告しなければならない。
⑤ 総務大臣は、前項の規定による報告を受けたときは、国の関係行政機関の長に対し直ちにその旨を通知するものとする。
⑥ 第項の規定による勧告に基く市町村の廃置分合又は市町村の境界変更については、国の関係行政機関は、これを促進するため必要な措置を講じなければならない。

第9条

市町村の境界に関し争論があるときは、都道府県知事は、関係市町村の申請に基づき、これを第二百五十一条の二の規定による調停に付することができる。
② 前項の規定によりすべての関係市町村の申請に基いてなされた調停により市町村の境界が確定しないとき、又は市町村の境界に関し争論がある場合においてすべての関係市町村から裁定を求める旨の申請があるときは、都道府県知事は、関係市町村の境界について裁定することができる。
③ 前項の規定による裁定は、文書を以てこれをし、その理由を附けてこれを関係市町村に交付しなければならない。
④ 第項又は第項の申請については、関係市町村の議会の議決を経なければならない。
⑤ 第項の規定による調停又は第項の規定による裁定により市町村の境界が確定したときは、都道府県知事は、直ちにその旨を総務大臣に届け出なければならない。
⑥ 前項の規定による届出を受理したとき、又は第項の規定による通知があつたときは、総務大臣は、直ちにその旨を告示するとともに、これを国の関係行政機関の長に通知しなければならない。
⑦ 前項の規定による告示があつたときは、関係市町村の境界について第七条第項又は第項及び第項の規定による処分があつたものとみなし、これらの処分の効力は、当該告示により生ずる。
⑧ 第項の規定による都道府県知事の裁定に不服があるときは、関係市町村は、裁定書の交付を受けた日から三十日以内に裁判所に出訴することができる。
⑨ 市町村の境界に関し争論がある場合において、都道府県知事が第項の規定による調停又は第項の規定による裁定に適しないと認めてその旨を通知したときは、関係市町村は、裁判所に市町村の境界の確定の訴を提起することができる。第項又は第項の規定による申請をした日から九十日以内に、第項の規定による調停に付されないとき、若しくは同項の規定による調停により市町村の境界が確定しないとき、又は第項の規定による裁定がないときも、また、同様とする。
⑩ 前項の規定による訴訟の判決が確定したときは、当該裁判所は、直ちに判決書の写を添えてその旨を総務大臣及び関係のある都道府県知事に通知しなければならない。
⑪ 前十項の規定は、政令の定めるところにより、市町村の境界の変更に関し争論がある場合にこれを準用する。

第9条の2

市町村の境界が判明でない場合において、その境界に関し争論がないときは、都道府県知事は、関係市町村の意見を聴いてこれを決定することができる。
② 前項の規定による決定は、文書を以てこれをし、その理由を附けてこれを関係市町村に交付しなければならない。
③ 第項の意見については、関係市町村の議会の議決を経なければならない。
④ 第項の規定による都道府県知事の決定に不服があるときは、関係市町村は、決定書の交付を受けた日から三十日以内に裁判所に出訴することができる。
⑤ 第項の規定による決定が確定したときは、都道府県知事は、直ちにその旨を総務大臣に届け出なければならない。
⑥ 前条第項及び第項の規定は、前項の規定による届出があつた市町村の境界の決定にこれを準用する。

第9条の3

公有水面のみに係る市町村の境界変更は、第七条第項の規定にかかわらず、関係市町村の同意を得て都道府県知事が当該都道府県の議会の議決を経てこれを定め、直ちにその旨を総務大臣に届け出なければならない。
② 公有水面のみに係る市町村の境界変更で都道府県の境界にわたるものは、第七条第項の規定にかかわらず、関係のある普通地方公共団体の同意を得て総務大臣がこれを定める。
③ 公有水面のみに係る市町村の境界に関し争論があるときは、第九条第項及び第項の規定にかかわらず、都道府県知事は、職権によりこれを第二百五十一条の二の規定による調停に付し、又は当該調停により市町村の境界が確定しないとき、若しくはすべての関係市町村の裁定することについての同意があるときは、これを裁定することができる。
④ 第項若しくは第項の規定による公有水面のみに係る市町村の境界変更又は前項の規定による公有水面のみに係る市町村の境界の裁定は、当該公有水面の埋立て(干拓を含む。以下同じ。)が行なわれる場合においては、前三項の規定にかかわらず、公有水面の埋立てに関する法令により当該埋立ての竣しゆん功の認可又は通知がなされる時までこれをすることができる。
⑤ 第項から第項までの同意については、関係のある普通地方公共団体の議会の議決を経なければならない。
⑥ 第七条第項及び第項の規定は第項及び第項の場合に、第九条第項、第項から第項まで、第項前段及び第項の規定は第項の場合にこれを準用する。

第9条の4

総務大臣又は都道府県知事は、公有水面の埋立てが行なわれる場合において、当該埋立てにより造成されるべき土地の所属すべき市町村を定めるため必要があると認めるときは、できる限りすみやかに、前二条に規定する措置を講じなければならない。

第9条の5
市町村の区域内にあらたに土地を生じたときは、市町村長は、当該市町村の議会の議決を経てその旨を確認し、都道府県知事に届け出なければならない。
② 前項の規定による届出を受理したときは、都道府県知事は、直ちにこれを告示しなければならない。

第二章 住民

第10条

市町村の区域内に住所を有する者は、当該市町村及びこれを包括する都道府県の住民とする。
② 住民は、法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を分任する義務を負う。

第11条

日本国民たる普通地方公共団体の住民は、この法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の選挙に参与する権利を有する。

第12条

日本国民たる普通地方公共団体の住民は、この法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の条例(地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものを除く。)の制定又は改廃を請求する権利を有する。
② 日本国民たる普通地方公共団体の住民は、この法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の事務の監査を請求する権利を有する。

第13条

日本国民たる普通地方公共団体の住民は、この法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の議会の解散を請求する権利を有する。
② 日本国民たる普通地方公共団体の住民は、この法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の議会の議員、長、副知事若しくは副市町村長、第二百五十二条の十九第項に規定する指定都市の総合区長、選挙管理委員若しくは監査委員又は公安委員会の委員の解職を請求する権利を有する。
③ 日本国民たる普通地方公共団体の住民は、法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の教育委員会の教育長又は委員の解職を請求する権利を有する。

第13条の2

市町村は、別に法律の定めるところにより、その住民につき、住民たる地位に関する正確な記録を常に整備しておかなければならない。

第三章 条例及び規則

第14条

普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第二条第項の事務に関し、条例を制定することができる。
② 普通地方公共団体は、義務を課し、又は権利を制限するには、法令に特別の定めがある場合を除くほか、条例によらなければならない。
③ 普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、二年以下の拘禁刑、百万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑又は五万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる。

第15条

普通地方公共団体の長は、法令に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、規則を制定することができる。
② 普通地方公共団体の長は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、普通地方公共団体の規則中に、規則に違反した者に対し、五万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる。

第16条

普通地方公共団体の議会の議長は、条例の制定又は改廃の議決があつたときは、その日から三日以内にこれを当該普通地方公共団体の長に送付しなければならない。
② 普通地方公共団体の長は、前項の規定により条例の送付を受けた場合は、その日から二十日以内にこれを公布しなければならない。ただし、再議その他の措置を講じた場合は、この限りでない。
③ 条例は、条例に特別の定があるものを除く外、公布の日から起算して十日を経過した日から、これを施行する。
④ 当該普通地方公共団体の長の署名、施行期日の特例その他条例の公布に関し必要な事項は、条例でこれを定めなければならない。
⑤ 前二項の規定は、普通地方公共団体の規則並びにその機関の定める規則及びその他の規程で公表を要するものにこれを準用する。但し、法令又は条例に特別の定があるときは、この限りでない。

第四章 選挙

第17条

普通地方公共団体の議会の議員及び長は、別に法律の定めるところにより、選挙人が投票によりこれを選挙する。

第18条

日本国民たる年齢満18年以上の者で引き続き3箇月以上市町村の区域内に住所を有するものは、別に法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する。

第19条

普通地方公共団体の議会の議員の選挙権を有する者で年齢満二十五年以上のものは、別に法律の定めるところにより、普通地方公共団体の議会の議員の被選挙権を有する。
② 日本国民で年齢満三十年以上のものは、別に法律の定めるところにより、都道府県知事の被選挙権を有する。
③ 日本国民で年齢満二十五年以上のものは、別に法律の定めるところにより、市町村長の被選挙権を有する。

第20条乃至第73条 削除

第五章 直接請求

第一節 条例の制定及び監査の請求

第74条

普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者(以下この編において「選挙権を有する者」という。)は、政令で定めるところにより、その総数の五十分の一以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の長に対し、条例(地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものを除く。)の制定又は改廃の請求をすることができる。
② 前項の請求があつたときは、当該普通地方公共団体の長は、直ちに請求の要旨を公表しなければならない。
③ 普通地方公共団体の長は、第項の請求を受理した日から二十日以内に議会を招集し、意見を付けてこれを議会に付議し、その結果を同項の代表者(以下この条において「代表者」という。)に通知するとともに、これを公表しなければならない。
④ 議会は、前項の規定により付議された事件の審議を行うに当たつては、政令で定めるところにより、代表者に意見を述べる機会を与えなければならない。
⑤ 第項の選挙権を有する者とは、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第二十二条第項又は第項の規定による選挙人名簿の登録が行われた日において選挙人名簿に登録されている者とし、その総数の五十分の一の数は、当該普通地方公共団体の選挙管理委員会において、その登録が行われた日後直ちに告示しなければならない。
⑥ 選挙権を有する者のうち次に掲げるものは、代表者となり、又は代表者であることができない。
一 公職選挙法第二十七条第項又は第項の規定により選挙人名簿にこれらの項の表示をされている者(都道府県に係る請求にあつては、同法第九条第項の規定により当該都道府県の議会の議員及び長の選挙権を有するものとされた者(同法第十一条第項若しくは第二百五十二条又は政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)第二十八条の規定により選挙権を有しなくなつた旨の表示をされている者を除く。)を除く。)
二 前項の選挙人名簿の登録が行われた日以後に公職選挙法第二十八条の規定により選挙人名簿から抹消された者
三 第項の請求に係る普通地方公共団体(当該普通地方公共団体が、都道府県である場合には当該都道府県の区域内の市町村並びに第二百五十二条の十九第項に規定する指定都市(以下この号において「指定都市」という。)の区及び総合区を含み、指定都市である場合には当該市の区及び総合区を含む。)の選挙管理委員会の委員又は職員である者
⑦ 第項の場合において、当該地方公共団体の区域内で衆議院議員、参議院議員又は地方公共団体の議会の議員若しくは長の選挙が行われることとなるときは、政令で定める期間、当該選挙が行われる区域内においては請求のための署名を求めることができない。
⑧ 選挙権を有する者は、心身の故障その他の事由により条例の制定又は改廃の請求者の署名簿に署名することができないときは、その者の属する市町村の選挙権を有する者(代表者及び代表者の委任を受けて当該市町村の選挙権を有する者に対し当該署名簿に署名することを求める者を除く。)に委任して、自己の氏名(以下「請求者の氏名」という。)を当該署名簿に記載させることができる。この場合において、委任を受けた者による当該請求者の氏名の記載は、第項の規定による請求者の署名とみなす。
⑨ 前項の規定により委任を受けた者(以下「氏名代筆者」という。)が請求者の氏名を条例の制定又は改廃の請求者の署名簿に記載する場合には、氏名代筆者は、当該署名簿に氏名代筆者としての署名をしなければならない。

第74条の2

条例の制定又は改廃の請求者の代表者は、条例の制定又は改廃の請求者の署名簿を市町村の選挙管理委員会に提出してこれに署名した者が選挙人名簿に登録された者であることの証明を求めなければならない。この場合においては、当該市町村の選挙管理委員会は、その日から二十日以内に審査を行い、署名の効力を決定し、その旨を証明しなければならない。
② 市町村の選挙管理委員会は、前項の規定による署名簿の署名の証明が終了したときは、その日から七日間、その指定した場所において署名簿を関係人の縦覧に供さなければならない。
③ 前項の署名簿の縦覧の期間及び場所については、市町村の選挙管理委員会は、予めこれを告示し、且つ、公衆の見易い方法によりこれを公表しなければならない。
④ 署名簿の署名に関し異議があるときは、関係人は、第項の規定による縦覧期間内に当該市町村の選挙管理委員会にこれを申し出ることができる。
⑤ 市町村の選挙管理委員会は、前項の規定による異議の申出を受けた場合においては、その申出を受けた日から十四日以内にこれを決定しなければならない。この場合において、その申出を正当であると決定したときは、直ちに第項の規定による証明を修正し、その旨を申出人及び関係人に通知し、併せてこれを告示し、その申出を正当でないと決定したときは、直ちにその旨を申出人に通知しなければならない。
⑥ 市町村の選挙管理委員会は、第項の規定による縦覧期間内に関係人の異議の申出がないとき、又は前項の規定によるすべての異議についての決定をしたときは、その旨及び有効署名の総数を告示するとともに、署名簿を条例の制定又は改廃の請求者の代表者に返付しなければならない。
⑦ 都道府県の条例の制定又は改廃の請求者の署名簿の署名に関し第項の規定による決定に不服がある者は、その決定のあつた日から十日以内に都道府県の選挙管理委員会に審査を申し立てることができる。
⑧ 市町村の条例の制定又は改廃の請求者の署名簿の署名に関し第項の規定による決定に不服がある者は、その決定のあつた日から十四日以内に地方裁判所に出訴することができる。その判決に不服がある者は、控訴することはできないが最高裁判所に上告することができる。
⑨ 第項の規定による審査の申立てに対する裁決に不服がある者は、その裁決書の交付を受けた日から十四日以内に高等裁判所に出訴することができる。
⑩ 審査の申立てに対する裁決又は判決が確定したときは、当該都道府県の選挙管理委員会又は当該裁判所は、直ちに裁決書又は判決書の写を関係市町村の選挙管理委員会に送付しなければならない。この場合においては、送付を受けた当該市町村の選挙管理委員会は、直ちに条例の制定又は改廃の請求者の代表者にその旨を通知しなければならない。
⑪ 署名簿の署名に関する争訟については、審査の申立てに対する裁決は審査の申立てを受理した日から二十日以内にこれをするものとし、訴訟の判決は事件を受理した日から百日以内にこれをするように努めなければならない。
⑫ 第項及び第項の訴えは、当該決定又は裁決をした選挙管理委員会の所在地を管轄する地方裁判所又は高等裁判所の専属管轄とする。
⑬ 第項及び第項の訴えについては、行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)第四十三条の規定にかかわらず、同法第十三条の規定を準用せず、また、同法第十六条から第十九条までの規定は、署名簿の署名の効力を争う数個の請求に関してのみ準用する。

第74条の3

条例の制定又は改廃の請求者の署名で左に掲げるものは、これを無効とする。
一 法令の定める成規の手続によらない署名
二 何人であるかを確認し難い署名
② 前条第項の規定により詐偽又は強迫に基く旨の異議の申出があつた署名で市町村の選挙管理委員会がその申出を正当であると決定したものは、これを無効とする。
③ 市町村の選挙管理委員会は、署名の効力を決定する場合において必要があると認めるときは、関係人の出頭及び証言を求めることができる。
④ 第百条第項、第項、第項及び第項の規定は、前項の規定による関係人の出頭及び証言にこれを準用する。

第74条の4

 条例の制定又は改廃の請求者の署名に関し、次の各号に掲げる行為をした者は、四年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
一 署名権者又は署名運動者に対し、暴行若しくは威力を加え、又はこれをかどわかしたとき。
二 交通若しくは集会の便を妨げ、又は演説を妨害し、その他偽計詐術等不正の方法をもつて署名の自由を妨害したとき。
三 署名権者若しくは署名運動者又はその関係のある社寺、学校、会社、組合、市町村等に対する用水、小作、債権、寄附その他特殊の利害関係を利用して署名権者又は署名運動者を威迫したとき。
② 条例の制定若しくは改廃の請求者の署名を偽造し若しくはその数を増減した者又は署名簿その他の条例の制定若しくは改廃の請求に必要な関係書類を抑留、毀壊若しくは奪取した者は、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
③ 条例の制定又は改廃の請求者の署名に関し、選挙権を有する者の委任を受けずに又は選挙権を有する者が心身の故障その他の事由により請求者の署名簿に署名することができないときでないのに、氏名代筆者として請求者の氏名を請求者の署名簿に記載した者は、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
④ 選挙権を有する者が心身の故障その他の事由により条例の制定又は改廃の請求者の署名簿に署名することができない場合において、当該選挙権を有する者の委任を受けて請求者の氏名を請求者の署名簿に記載した者が、当該署名簿に氏名代筆者としての署名をせず又は虚偽の署名をしたときは、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
⑤ 条例の制定又は改廃の請求者の署名に関し、次に掲げる者が、その地位を利用して署名運動をしたときは、二年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
一 国若しくは地方公共団体の公務員又は行政執行法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第項に規定する行政執行法人をいう。)若しくは特定地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第項に規定する特定地方独立行政法人をいう。)の役員若しくは職員
二 沖縄振興開発金融公庫の役員又は職員
⑥ 条例の制定又は改廃の請求に関し、政令で定める請求書及び請求代表者証明書を付していない署名簿、政令で定める署名を求めるための請求代表者の委任状を付していない署名簿その他法令の定める所定の手続によらない署名簿を用いて署名を求めた者又は政令で定める署名を求めることができる期間外の時期に署名を求めた者は、十万円以下の罰金に処する。

第75条

選挙権を有する者(道の方面公安委員会については、当該方面公安委員会の管理する方面本部の管轄区域内において選挙権を有する者)は、政令で定めるところにより、その総数の五十分の一以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の監査委員に対し、当該普通地方公共団体の事務の執行に関し、監査の請求をすることができる。
② 前項の請求があつたときは、監査委員は、直ちに当該請求の要旨を公表しなければならない。
③ 監査委員は、第項の請求に係る事項につき監査し、監査の結果に関する報告を決定し、これを同項の代表者(第項及び第項において「代表者」という。)に送付し、かつ、公表するとともに、これを当該普通地方公共団体の議会及び長並びに関係のある教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会若しくは公平委員会、公安委員会、労働委員会、農業委員会その他法律に基づく委員会又は委員に提出しなければならない。
④ 前項の規定による監査の結果に関する報告の決定は、監査委員の合議によるものとする。
⑤ 監査委員は、第項の規定による監査の結果に関する報告の決定について、各監査委員の意見が一致しないことにより、前項の合議により決定することができない事項がある場合には、その旨及び当該事項についての各監査委員の意見を代表者に送付し、かつ、公表するとともに、これらを当該普通地方公共団体の議会及び長並びに関係のある教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会若しくは公平委員会、公安委員会、労働委員会、農業委員会その他法律に基づく委員会又は委員に提出しなければならない。
⑥ 第七十四条第項の規定は第項の選挙権を有する者及びその総数の五十分の一の数について、同条第項の規定は代表者について、同条第項から第項まで及び第七十四条の二から前条までの規定は第項の規定による請求者の署名について、それぞれ準用する。この場合において、第七十四条第項第三号中「区域内」とあるのは、「区域内(道の方面公安委員会に係る請求については、当該方面公安委員会の管理する方面本部の管轄区域内)」と読み替えるものとする。

第二節 解散及び解職の請求

第76条

選挙権を有する者は、政令の定めるところにより、その総数の三分の一(その総数が四十万を超え八十万以下の場合にあつてはその四十万を超える数に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数、その総数が八十万を超える場合にあつてはその八十万を超える数に八分の一を乗じて得た数と四十万に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数)以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の選挙管理委員会に対し、当該普通地方公共団体の議会の解散の請求をすることができる。
② 前項の請求があつたときは、委員会は、直ちに請求の要旨を公表しなければならない。
③ 第項の請求があつたとき、委員会は、これを選挙人の投票に付さなければならない。
④ 第七十四条第項の規定は第項の選挙権を有する者及びその総数の三分の一の数(その総数が四十万を超え八十万以下の場合にあつてはその四十万を超える数に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数、その総数が八十万を超える場合にあつてはその八十万を超える数に八分の一を乗じて得た数と四十万に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数)について、同条第項の規定は第項の代表者について、同条第項から第項まで及び第七十四条の二から第七十四条の四までの規定は第項の規定による請求者の署名について準用する。

第77条

解散の投票の結果が判明したときは、選挙管理委員会は、直ちにこれを前条第項の代表者及び当該普通地方公共団体の議会の議長に通知し、かつ、これを公表するとともに、都道府県にあつては都道府県知事に、市町村にあつては市町村長に報告しなければならない。その投票の結果が確定したときも、また、同様とする。

第78条

普通地方公共団体の議会は、第七十六条第項の規定による解散の投票において過半数の同意があつたときは、解散するものとする。

第79条

第七十六条第項の規定による普通地方公共団体の議会の解散の請求は、その議会の議員の一般選挙のあつた日から一年間及び同条第項の規定による解散の投票のあつた日から一年間は、これをすることができない。

第80条

選挙権を有する者は、政令の定めるところにより、所属の選挙区におけるその総数の三分の一(その総数が四十万を超え八十万以下の場合にあつてはその四十万を超える数に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数、その総数が八十万を超える場合にあつてはその八十万を超える数に八分の一を乗じて得た数と四十万に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数)以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の選挙管理委員会に対し、当該選挙区に属する普通地方公共団体の議会の議員の解職の請求をすることができる。この場合において選挙区がないときは、選挙権を有する者の総数の三分の一(その総数が四十万を超え八十万以下の場合にあつてはその四十万を超える数に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数、その総数が八十万を超える場合にあつてはその八十万を超える数に八分の一を乗じて得た数と四十万に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数)以上の者の連署をもつて、議員の解職の請求をすることができる。
② 前項の請求があつたときは、委員会は、直ちに請求の要旨を関係区域内に公表しなければならない。
③ 第項の請求があつたときは、委員会は、これを当該選挙区の選挙人の投票に付さなければならない。この場合において選挙区がないときは、すべての選挙人の投票に付さなければならない。
④ 第七十四条第項の規定は第項の選挙権を有する者及びその総数の三分の一の数(その総数が四十万を超え八十万以下の場合にあつてはその四十万を超える数に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数、その総数が八十万を超える場合にあつてはその八十万を超える数に八分の一を乗じて得た数と四十万に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数)について、同条第項の規定は第項の代表者について、同条第項から第項まで及び第七十四条の二から第七十四条の四までの規定は第項の規定による請求者の署名について準用する。この場合において、第七十四条第項第三号中「都道府県の区域内の」とあり、及び「市の」とあるのは、「選挙区の区域の全部又は一部が含まれる」と読み替えるものとする。

第81条

選挙権を有する者は、政令の定めるところにより、その総数の三分の一(その総数が四十万を超え八十万以下の場合にあつてはその四十万を超える数に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数、その総数が八十万を超える場合にあつてはその八十万を超える数に八分の一を乗じて得た数と四十万に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数)以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の選挙管理委員会に対し、当該普通地方公共団体の長の解職の請求をすることができる。
② 第七十四条第項の規定は前項の選挙権を有する者及びその総数の三分の一の数(その総数が四十万を超え八十万以下の場合にあつてはその四十万を超える数に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数、その総数が八十万を超える場合にあつてはその八十万を超える数に八分の一を乗じて得た数と四十万に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数)について、同条第項の規定は前項の代表者について、同条第項から第項まで及び第七十四条の二から第七十四条の四までの規定は前項の規定による請求者の署名について、第七十六条第項及び第項の規定は前項の請求について準用する。

第82条

第八十条第項の規定による解職の投票の結果が判明したときは、普通地方公共団体の選挙管理委員会は、直ちにこれを同条第項の代表者並びに当該普通地方公共団体の議会の関係議員及び議長に通知し、かつ、これを公表するとともに、都道府県にあつては都道府県知事に、市町村にあつては市町村長に報告しなければならない。その投票の結果が確定したときも、また、同様とする。
② 前条第項の規定による解職の投票の結果が判明したときは、委員会は、直ちにこれを同条第項の代表者並びに当該普通地方公共団体の長及び議会の議長に通知し、かつ、これを公表しなければならない。その投票の結果が確定したときも、また、同様とする。

第83条

普通地方公共団体の議会の議員又は長は、第八十条第項又は第八十一条第項の規定による解職の投票において、過半数の同意があつたときは、その職を失う。

第84条

第八十条第項又は第八十一条第項の規定による普通地方公共団体の議会の議員又は長の解職の請求は、その就職の日から一年間及び第八十条第項又は第八十一条第項の規定による解職の投票の日から一年間は、これをすることができない。ただし、公職選挙法第百条第項の規定により当選人と定められ普通地方公共団体の議会の議員又は長となつた者に対する解職の請求は、その就職の日から一年以内においても、これをすることができる。

第85条

政令で特別の定をするものを除く外、公職選挙法中普通地方公共団体の選挙に関する規定は、第七十六条第項の規定による解散の投票並びに第八十条第項及び第八十一条第項の規定による解職の投票にこれを準用する。
② 前項の投票は、政令の定めるところにより、普通地方公共団体の選挙と同時にこれを行うことができる。

第86条

選挙権を有する者(第二百五十二条の十九第項に規定する指定都市(以下この項において「指定都市」という。)の総合区長については当該総合区の区域内において選挙権を有する者、指定都市の区又は総合区の選挙管理委員については当該区又は総合区の区域内において選挙権を有する者、道の方面公安委員会の委員については当該方面公安委員会の管理する方面本部の管轄区域内において選挙権を有する者)は、政令の定めるところにより、その総数の三分の一(その総数が四十万を超え八十万以下の場合にあつてはその四十万を超える数に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数、その総数が八十万を超える場合にあつてはその八十万を超える数に八分の一を乗じて得た数と四十万に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数)以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の長に対し、副知事若しくは副市町村長、指定都市の総合区長、選挙管理委員若しくは監査委員又は公安委員会の委員の解職の請求をすることができる。
② 前項の請求があつたときは、当該普通地方公共団体の長は、直ちに請求の要旨を公表しなければならない。
③ 第項の請求があつたときは、当該普通地方公共団体の長は、これを議会に付議し、その結果を同項の代表者及び関係者に通知し、かつ、これを公表しなければならない。
④ 第七十四条第項の規定は第項の選挙権を有する者及びその総数の三分の一の数(その総数が四十万を超え八十万以下の場合にあつてはその四十万を超える数に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数、その総数が八十万を超える場合にあつてはその八十万を超える数に八分の一を乗じて得た数と四十万に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数)について、同条第項の規定は第項の代表者について、同条第項から第項まで及び第七十四条の二から第七十四条の四までの規定は第項の規定による請求者の署名について準用する。この場合において、第七十四条第項第三号中「区域内」とあるのは「区域内(道の方面公安委員会の委員に係る請求については、当該方面公安委員会の管理する方面本部の管轄区域内)」と、「市の区及び総合区」とあるのは「市の区及び総合区(総合区長に係る請求については当該総合区、区又は総合区の選挙管理委員に係る請求については当該区又は総合区に限る。)」と読み替えるものとする。

第87条

前条第項に掲げる職に在る者は、同条第項の場合において、当該普通地方公共団体の議会の議員の三分の二以上の者が出席し、その四分の三以上の者の同意があつたときは、その職を失う。
② 第百十八条第項の規定は、前条第項の規定による議決についてこれを準用する。

第88条

第八十六条第項の規定による副知事若しくは副市町村長又は第二百五十二条の十九第項に規定する指定都市の総合区長の解職の請求は、その就職の日から一年間及び第八十六条第項の規定による議会の議決の日から一年間は、これをすることができない。
② 第八十六条第項の規定による選挙管理委員若しくは監査委員又は公安委員会の委員の解職の請求は、その就職の日から六箇月間及び同条第項の規定による議会の議決の日から六箇月間は、これをすることができない。

第六章 議会

第一節 組織

第89条

普通地方公共団体に、その議事機関として、当該普通地方公共団体の住民が選挙した議員をもつて組織される議会を置く。
② 普通地方公共団体の議会は、この法律の定めるところにより当該普通地方公共団体の重要な意思決定に関する事件を議決し、並びにこの法律に定める検査及び調査その他の権限を行使する。
③ 前項に規定する議会の権限の適切な行使に資するため、普通地方公共団体の議会の議員は、住民の負託を受け、誠実にその職務を行わなければならない。

第90条

都道府県の議会の議員の定数は、条例で定める。
② 前項の規定による議員の定数の変更は、一般選挙の場合でなければ、これを行うことができない。
③ 第六条の二第項の規定による処分により、著しく人口の増加があつた都道府県においては、前項の規定にかかわらず、議員の任期中においても、議員の定数を増加することができる。
④ 第六条の二第項の規定により都道府県の設置をしようとする場合において、その区域の全部が当該新たに設置される都道府県の区域の一部となる都道府県(以下本条において「設置関係都道府県」という。)は、その協議により、あらかじめ、新たに設置される都道府県の議会の議員の定数を定めなければならない。
⑤ 前項の規定により新たに設置される都道府県の議会の議員の定数を定めたときは、設置関係都道府県は、直ちに当該定数を告示しなければならない。
⑥ 前項の規定により告示された新たに設置される都道府県の議会の議員の定数は、第項の規定に基づく当該都道府県の条例により定められたものとみなす。
⑦ 第項の協議については、設置関係都道府県の議会の議決を経なければならない。

第91条

市町村の議会の議員の定数は、条例で定める。
② 前項の規定による議員の定数の変更は、一般選挙の場合でなければ、これを行うことができない。
③ 第七条第項又は第項の規定による処分により、著しく人口の増減があつた市町村においては、前項の規定にかかわらず、議員の任期中においても、議員の定数を増減することができる。
④ 前項の規定により議員の任期中にその定数を減少した場合において当該市町村の議会の議員の職に在る者の数がその減少した定数を超えているときは、当該議員の任期中は、その数を以て定数とする。但し、議員に欠員を生じたときは、これに応じて、その定数は、当該定数に至るまで減少するものとする。
⑤ 第七条第項又は第項の規定により市町村の設置を伴う市町村の廃置分合をしようとする場合において、その区域の全部又は一部が当該廃置分合により新たに設置される市町村の区域の全部又は一部となる市町村(以下本条において「設置関係市町村」という。)は、設置関係市町村が二以上のときは設置関係市町村の協議により、設置関係市町村が一のときは当該設置関係市町村の議会の議決を経て、あらかじめ、新たに設置される市町村の議会の議員の定数を定めなければならない。
⑥ 前項の規定により新たに設置される市町村の議会の議員の定数を定めたときは、設置関係市町村は、直ちに当該定数を告示しなければならない。
⑦ 前項の規定により告示された新たに設置される市町村の議会の議員の定数は、第項の規定に基づく当該市町村の条例により定められたものとみなす。
⑧ 第項の協議については、設置関係市町村の議会の議決を経なければならない。

第92条

普通地方公共団体の議会の議員は、衆議院議員又は参議院議員と兼ねることができない。
② 普通地方公共団体の議会の議員は、地方公共団体の議会の議員並びに常勤の職員及び地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第二十二条の四第項に規定する短時間勤務の職を占める職員(以下「短時間勤務職員」という。)と兼ねることができない。

第92条の2

普通地方公共団体の議会の議員は、当該普通地方公共団体に対し請負(業として行う工事の完成若しくは作業その他の役務の給付又は物件の納入その他の取引で当該普通地方公共団体が対価の支払をすべきものをいう。以下この条、第百四十二条、第百八十条の五第項及び第二百五十二条の二十八第項第十二号において同じ。)をする者(各会計年度において支払を受ける当該請負の対価の総額が普通地方公共団体の議会の適正な運営の確保のための環境の整備を図る観点から政令で定める額を超えない者を除く。)及びその支配人又は主として同一の行為をする法人の無限責任社員、取締役、執行役若しくは監査役若しくはこれらに準ずべき者、支配人及び清算人たることができない。

第93条

普通地方公共団体の議会の議員の任期は、四年とする。
② 前項の任期の起算、補欠議員の在任期間及び議員の定数に異動を生じたためあらたに選挙された議員の在任期間については、公職選挙法第二百五十八条及び第二百六十条の定めるところによる。

第94条

町村は、条例で、第八十九条第項の規定にかかわらず、議会を置かず、選挙権を有する者の総会を設けることができる。

第95条

前条の規定による町村総会に関しては、町村の議会に関する規定を準用する。

第二節 権限

第96条

普通地方公共団体の議会は、次に掲げる事件を議決しなければならない。
一 条例を設け又は改廃すること。
二 予算を定めること。
三 決算を認定すること。
四 法律又はこれに基づく政令に規定するものを除くほか、地方税の賦課徴収又は分担金、使用料、加入金若しくは手数料の徴収に関すること。
五 その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める契約を締結すること。
六 条例で定める場合を除くほか、財産を交換し、出資の目的とし、若しくは支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けること。
七 不動産を信託すること。
八 前二号に定めるものを除くほか、その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める財産の取得又は処分をすること。
九 負担付きの寄附又は贈与を受けること。
十 法律若しくはこれに基づく政令又は条例に特別の定めがある場合を除くほか、権利を放棄すること。
十一 条例で定める重要な公の施設につき条例で定める長期かつ独占的な利用をさせること。
十二 普通地方公共団体がその当事者である審査請求その他の不服申立て、訴えの提起(普通地方公共団体の行政庁の処分又は裁決(行政事件訴訟法第三条第項に規定する処分又は同条第項に規定する裁決をいう。以下この号、第百五条の二、第百九十二条及び第百九十九条の三第項において同じ。)に係る同法第十一条第項(同法第三十八条第項(同法第四十三条第項において準用する場合を含む。)又は同法第四十三条第項において準用する場合を含む。)の規定による普通地方公共団体を被告とする訴訟(以下この号、第百五条の二、第百九十二条及び第百九十九条の三第項において「普通地方公共団体を被告とする訴訟」という。)に係るものを除く。)、和解(普通地方公共団体の行政庁の処分又は裁決に係る普通地方公共団体を被告とする訴訟に係るものを除く。)、あつせん、調停及び仲裁に関すること。
十三 法律上その義務に属する損害賠償の額を定めること。
十四 普通地方公共団体の区域内の公共的団体等の活動の総合調整に関すること。
十五 その他法律又はこれに基づく政令(これらに基づく条例を含む。)により議会の権限に属する事項
② 前項に定めるものを除くほか、普通地方公共団体は、条例で普通地方公共団体に関する事件(法定受託事務に係るものにあつては、国の安全に関することその他の事由により議会の議決すべきものとすることが適当でないものとして政令で定めるものを除く。)につき議会の議決すべきものを定めることができる。

第97条

普通地方公共団体の議会は、法律又はこれに基く政令によりその権限に属する選挙を行わなければならない。
② 議会は、予算について、増額してこれを議決することを妨げない。但し、普通地方公共団体の長の予算の提出の権限を侵すことはできない。

第98条

普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の事務(自治事務にあつては労働委員会及び収用委員会の権限に属する事務で政令で定めるものを除き、法定受託事務にあつては国の安全を害するおそれがあることその他の事由により議会の検査の対象とすることが適当でないものとして政令で定めるものを除く。)に関する書類及び計算書を検閲し、当該普通地方公共団体の長、教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会若しくは公平委員会、公安委員会、労働委員会、農業委員会又は監査委員その他法律に基づく委員会又は委員の報告を請求して、当該事務の管理、議決の執行及び出納を検査することができる。
② 議会は、監査委員に対し、当該普通地方公共団体の事務(自治事務にあつては労働委員会及び収用委員会の権限に属する事務で政令で定めるものを除き、法定受託事務にあつては国の安全を害するおそれがあることその他の事由により本項の監査の対象とすることが適当でないものとして政令で定めるものを除く。)に関する監査を求め、監査の結果に関する報告を請求することができる。この場合における監査の実施については、第百九十九条第項後段の規定を準用する。

第99条

普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を国会又は関係行政庁に提出することができる。

第100条

普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の事務(自治事務にあつては労働委員会及び収用委員会の権限に属する事務で政令で定めるものを除き、法定受託事務にあつては国の安全を害するおそれがあることその他の事由により議会の調査の対象とすることが適当でないものとして政令で定めるものを除く。次項において同じ。)に関する調査を行うことができる。この場合において、当該調査を行うため特に必要があると認めるときは、選挙人その他の関係人の出頭及び証言並びに記録の提出を請求することができる。
② 民事訴訟に関する法令の規定中証人の訊問に関する規定は、この法律に特別の定めがあるものを除くほか、前項後段の規定により議会が当該普通地方公共団体の事務に関する調査のため選挙人その他の関係人の証言を請求する場合に、これを準用する。ただし、過料、罰金、拘留又は勾引に関する規定は、この限りでない。
③ 第項後段の規定により出頭又は記録の提出の請求を受けた選挙人その他の関係人が、正当の理由がないのに、議会に出頭せず若しくは記録を提出しないとき又は証言を拒んだときは、六箇月以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。
④ 議会は、選挙人その他の関係人が公務員たる地位において知り得た事実については、その者から職務上の秘密に属するものである旨の申立てを受けたときは、当該官公署の承認がなければ、当該事実に関する証言又は記録の提出を請求することができない。この場合において当該官公署が承認を拒むときは、その理由を疎明しなければならない。
⑤ 議会が前項の規定による疎明を理由がないと認めるときは、当該官公署に対し、当該証言又は記録の提出が公の利益を害する旨の声明を要求することができる。
⑥ 当該官公署が前項の規定による要求を受けた日から二十日以内に声明をしないときは、選挙人その他の関係人は、証言又は記録の提出をしなければならない。
⑦ 第項において準用する民事訴訟に関する法令の規定により宣誓した選挙人その他の関係人が虚偽の陳述をしたときは、これを三箇月以上五年以下の拘禁刑に処する。
⑧ 前項の罪を犯した者が議会において調査が終了した旨の議決がある前に自白したときは、その刑を減軽し又は免除することができる。
⑨ 議会は、選挙人その他の関係人が、第項又は第項の罪を犯したものと認めるときは、告発しなければならない。ただし、虚偽の陳述をした選挙人その他の関係人が、議会の調査が終了した旨の議決がある前に自白したときは、告発しないことができる。
⑩ 議会が第項の規定による調査を行うため当該普通地方公共団体の区域内の団体等に対し照会をし又は記録の送付を求めたときは、当該団体等は、その求めに応じなければならない。
⑪ 議会は、第項の規定による調査を行う場合においては、あらかじめ、予算の定額の範囲内において、当該調査のため要する経費の額を定めて置かなければならない。その額を超えて経費の支出を必要とするときは、更に議決を経なければならない。
⑫ 議会は、会議規則の定めるところにより、議案の審査又は議会の運営に関し協議又は調整を行うための場を設けることができる。
⑬ 議会は、議案の審査又は当該普通地方公共団体の事務に関する調査のためその他議会において必要があると認めるときは、会議規則の定めるところにより、議員を派遣することができる。
⑭ 普通地方公共団体は、条例の定めるところにより、その議会の議員の調査研究その他の活動に資するため必要な経費の一部として、その議会における会派又は議員に対し、政務活動費を交付することができる。この場合において、当該政務活動費の交付の対象、額及び交付の方法並びに当該政務活動費を充てることができる経費の範囲は、条例で定めなければならない。
⑮ 前項の政務活動費の交付を受けた会派又は議員は、条例の定めるところにより、当該政務活動費に係る収入及び支出の状況を書面又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)をもつて議長に報告するものとする。
⑯ 議長は、第項の政務活動費については、その使途の透明性の確保に努めるものとする。
⑰ 政府は、都道府県の議会に官報及び政府の刊行物を、市町村の議会に官報及び市町村に特に関係があると認める政府の刊行物を送付しなければならない。
⑱ 都道府県は、当該都道府県の区域内の市町村の議会及び他の都道府県の議会に、公報及び適当と認める刊行物を送付しなければならない。
⑲ 議会は、議員の調査研究に資するため、図書室を附置し前二項の規定により送付を受けた官報、公報及び刊行物を保管して置かなければならない。
⑳ 前項の図書室は、一般にこれを利用させることができる。

第100条の2

普通地方公共団体の議会は、議案の審査又は当該普通地方公共団体の事務に関する調査のために必要な専門的事項に係る調査を学識経験を有する者等にさせることができる。

第三節 招集及び会期

第101条

普通地方公共団体の議会は、普通地方公共団体の長がこれを招集する。
② 議長は、議会運営委員会の議決を経て、当該普通地方公共団体の長に対し、会議に付議すべき事件を示して臨時会の招集を請求することができる。
③ 議員の定数の四分の一以上の者は、当該普通地方公共団体の長に対し、会議に付議すべき事件を示して臨時会の招集を請求することができる。
④ 前二項の規定による請求があつたときは、当該普通地方公共団体の長は、請求のあつた日から二十日以内に臨時会を招集しなければならない。
⑤ 第項の規定による請求のあつた日から二十日以内に当該普通地方公共団体の長が臨時会を招集しないときは、第項の規定にかかわらず、議長は、臨時会を招集することができる。
⑥ 第項の規定による請求のあつた日から二十日以内に当該普通地方公共団体の長が臨時会を招集しないときは、第項の規定にかかわらず、議長は、第項の規定による請求をした者の申出に基づき、当該申出のあつた日から、都道府県及び市にあつては十日以内、町村にあつては六日以内に臨時会を招集しなければならない。
⑦ 招集は、開会の日前、都道府県及び市にあつては七日、町村にあつては三日までにこれを告示しなければならない。ただし、緊急を要する場合は、この限りでない。
⑧ 前項の規定による招集の告示をした後に当該招集に係る開会の日に会議を開くことが災害その他やむを得ない事由により困難であると認めるときは、当該告示をした者は、当該招集に係る開会の日の変更をすることができる。この場合においては、変更後の開会の日及び変更の理由を告示しなければならない。

第102条

普通地方公共団体の議会は、定例会及び臨時会とする。
② 定例会は、毎年、条例で定める回数これを招集しなければならない。
③ 臨時会は、必要がある場合において、その事件に限りこれを招集する。
④ 臨時会に付議すべき事件は、普通地方公共団体の長があらかじめこれを告示しなければならない。
⑤ 前条第項又は第項の場合においては、前項の規定にかかわらず、議長が、同条第項又は第項の規定による請求において示された会議に付議すべき事件を臨時会に付議すべき事件として、あらかじめ告示しなければならない。
⑥ 臨時会の開会中に緊急を要する事件があるときは、前三項の規定にかかわらず、直ちにこれを会議に付議することができる。
⑦ 普通地方公共団体の議会の会期及びその延長並びにその開閉に関する事項は、議会がこれを定める。

第102条の2

普通地方公共団体の議会は、前条の規定にかかわらず、条例で定めるところにより、定例会及び臨時会とせず、毎年、条例で定める日から翌年の当該日の前日までを会期とすることができる。
② 前項の議会は、第項の規定により招集しなければならないものとされる場合を除き、前項の条例で定める日の到来をもつて、普通地方公共団体の長が当該日にこれを招集したものとみなす。
③ 第項の会期中において、議員の任期が満了したとき、議会が解散されたとき又は議員が全てなくなつたときは、同項の規定にかかわらず、その任期満了の日、その解散の日又はその議員が全てなくなつた日をもつて、会期は終了するものとする。
④ 前項の規定により会期が終了した場合には、普通地方公共団体の長は、同項に規定する事由により行われた一般選挙により選出された議員の任期が始まる日から三十日以内に議会を招集しなければならない。この場合においては、その招集の日から同日後の最初の第項の条例で定める日の前日までを会期とするものとする。
⑤ 第項の規定は、前項後段に規定する会期について準用する。
⑥ 第項の議会は、条例で、定期的に会議を開く日(以下「定例日」という。)を定めなければならない。
⑦ 普通地方公共団体の長は、第項の議会の議長に対し、会議に付議すべき事件を示して定例日以外の日において会議を開くことを請求することができる。この場合において、議長は、当該請求のあつた日から、都道府県及び市にあつては七日以内、町村にあつては三日以内に会議を開かなければならない。
⑧ 第項の場合における第七十四条第項、第百二十一条第項、第二百四十三条の三第項及び第項並びに第二百五十二条の三十九第項の規定の適用については、第七十四条第項中「二十日以内に議会を招集し、」とあるのは「二十日以内に」と、第百二十一条第項中「議会の審議」とあるのは「定例日に開かれる会議の審議又は議案の審議」と、第二百四十三条の三第項及び第項中「次の議会」とあるのは「次の定例日に開かれる会議」と、第二百五十二条の三十九第項中「二十日以内に議会を招集し」とあるのは「二十日以内に」とする。

第四節 議長及び副議長

第103条

普通地方公共団体の議会は、議員の中から議長及び副議長一人を選挙しなければならない。
② 議長及び副議長の任期は、議員の任期による。

第104条

普通地方公共団体の議会の議長は、議場の秩序を保持し、議事を整理し、議会の事務を統理し、議会を代表する。

第105条

普通地方公共団体の議会の議長は、委員会に出席し、発言することができる。

第105条の2

普通地方公共団体の議会又は議長(第百三十八条の二第項及び第項において「議会等」という。)の処分又は裁決に係る普通地方公共団体を被告とする訴訟については、議長が当該普通地方公共団体を代表する。

第106条

普通地方公共団体の議会の議長に事故があるとき、又は議長が欠けたときは、副議長が議長の職務を行う。
② 議長及び副議長にともに事故があるときは、仮議長を選挙し、議長の職務を行わせる。
③ 議会は、仮議長の選任を議長に委任することができる。

第107条

第百三条第項及び前条第項の規定による選挙を行う場合において、議長の職務を行う者がないときは、年長の議員が臨時に議長の職務を行う。

第108条

普通地方公共団体の議会の議長及び副議長は、議会の許可を得て辞職することができる。但し、副議長は、議会の閉会中においては、議長の許可を得て辞職することができる。

第五節 委員会

第109条

普通地方公共団体の議会は、条例で、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会を置くことができる。
② 常任委員会は、その部門に属する当該普通地方公共団体の事務に関する調査を行い、議案、請願等を審査する。
③ 議会運営委員会は、次に掲げる事項に関する調査を行い、議案、請願等を審査する。
一 議会の運営に関する事項
二 議会の会議規則、委員会に関する条例等に関する事項
三 議長の諮問に関する事項
④ 特別委員会は、議会の議決により付議された事件を審査する。
⑤ 第百十五条の二の規定は、委員会について準用する。
⑥ 委員会は、議会の議決すべき事件のうちその部門に属する当該普通地方公共団体の事務に関するものにつき、議会に議案を提出することができる。ただし、予算については、この限りでない。
⑦ 前項の規定による議案の提出は、文書をもつてしなければならない。
⑧ 委員会は、議会の議決により付議された特定の事件については、閉会中も、なお、これを審査することができる。
⑨ 前各項に定めるもののほか、委員の選任その他委員会に関し必要な事項は、条例で定める。

第110条及び111条 削除

第六節 会議

第112条

普通地方公共団体の議会の議員は、議会の議決すべき事件につき、議会に議案を提出することができる。但し、予算については、この限りでない。
② 前項の規定により議案を提出するに当たつては、議員の定数の十二分の一以上の者の賛成がなければならない。
③ 第項の規定による議案の提出は、文書を以てこれをしなければならない。

第113条

普通地方公共団体の議会は、議員の定数の半数以上の議員が出席しなければ、会議を開くことができない。但し、第百十七条の規定による除斥のため半数に達しないとき、同一の事件につき再度招集してもなお半数に達しないとき、又は招集に応じても出席議員が定数を欠き議長において出席を催告してもなお半数に達しないとき若しくは半数に達してもその後半数に達しなくなつたときは、この限りでない。

第114条

普通地方公共団体の議会の議員の定数の半数以上の者から請求があるときは、議長は、その日の会議を開かなければならない。この場合において議長がなお会議を開かないときは、第百六条第項又は第項の例による。
② 前項の規定により会議を開いたとき、又は議員中に異議があるときは、議長は、会議の議決によらない限り、その日の会議を閉じ又は中止することができない。

第115条

普通地方公共団体の議会の会議は、これを公開する。但し、議長又は議員三人以上の発議により、出席議員の三分の二以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。
② 前項但書の議長又は議員の発議は、討論を行わないでその可否を決しなければならない。

第115条の2

普通地方公共団体の議会は、会議において、予算その他重要な議案、請願等について公聴会を開き、真に利害関係を有する者又は学識経験を有する者等から意見を聴くことができる。
② 普通地方公共団体の議会は、会議において、当該普通地方公共団体の事務に関する調査又は審査のため必要があると認めるときは、参考人の出頭を求め、その意見を聴くことができる。

第115条の3

普通地方公共団体の議会が議案に対する修正の動議を議題とするに当たつては、議員の定数の十二分の一以上の者の発議によらなければならない。

第116条

この法律に特別の定がある場合を除く外、普通地方公共団体の議会の議事は、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
② 前項の場合においては、議長は、議員として議決に加わる権利を有しない。

第117条

普通地方公共団体の議会の議長及び議員は、自己若しくは父母、祖父母、配偶者、子、孫若しくは兄弟姉妹の一身上に関する事件又は自己若しくはこれらの者の従事する業務に直接の利害関係のある事件については、その議事に参与することができない。
但し、議会の同意があつたときは、会議に出席し、発言することができる。

第118条

法律又はこれに基づく政令により普通地方公共団体の議会において行う選挙については、公職選挙法第四十六条第項及び第項、第四十七条、第四十八条、第六十八条第項並びに普通地方公共団体の議会の議員の選挙に関する第九十五条の規定を準用する。その投票の効力に関し異議があるときは、議会がこれを決定する。
② 議会は、議員中に異議がないときは、前項の選挙につき指名推選の方法を用いることができる。
③ 指名推選の方法を用いる場合においては、被指名人を以て当選人と定めるべきかどうかを会議に諮り、議員の全員の同意があつた者を以て当選人とする。
④ 一の選挙を以て二人以上を選挙する場合においては、被指名人を区分して前項の規定を適用してはならない。
⑤ 第項の規定による決定に不服がある者は、決定があつた日から二十一日以内に、都道府県にあつては総務大臣、市町村にあつては都道府県知事に審査を申し立て、その裁決に不服がある者は、裁決のあつた日から二十一日以内に裁判所に出訴することができる。
⑥ 第項の規定による決定は、文書を以てし、その理由を附けてこれを本人に交付しなければならない。

第119条

会期中に議決に至らなかつた事件は、後会に継続しない。

第120条

普通地方公共団体の議会は、会議規則を設けなければならない。

第121条

普通地方公共団体の長、教育委員会の教育長、選挙管理委員会の委員長、人事委員会の委員長又は公平委員会の委員長、公安委員会の委員長、労働委員会の委員、農業委員会の会長及び監査委員その他法律に基づく委員会の代表者又は委員並びにその委任又は嘱託を受けた者は、議会の審議に必要な説明のため議長から出席を求められたときは、議場に出席しなければならない。ただし、出席すべき日時に議場に出席できないことについて正当な理由がある場合において、その旨を議長に届け出たときは、この限りでない。
② 第百二条の二第項の議会の議長は、前項本文の規定により議場への出席を求めるに当たつては、普通地方公共団体の執行機関の事務に支障を及ぼすことのないよう配慮しなければならない。
第百二十二条 普通地方公共団体の長は、議会に、第二百十一条第項に規定する予算に関する説明書その他当該普通地方公共団体の事務に関する説明書を提出しなければならない。

第123条

議長は、事務局長又は書記長(書記長を置かない町村においては書記)に書面又は電磁的記録により会議録を作成させ、並びに会議の次第及び出席議員の氏名を記載させ、又は記録させなければならない。
② 会議録が書面をもつて作成されているときは、議長及び議会において定めた二人以上の議員がこれに署名しなければならない。
③ 会議録が電磁的記録をもつて作成されているときは、議長及び議会において定めた二人以上の議員が当該電磁的記録に総務省令で定める署名に代わる措置をとらなければならない。
④ 議長は、会議録が書面をもつて作成されているときはその写しを、会議録が電磁的記録をもつて作成されているときは当該電磁的記録を添えて会議の結果を普通地方公共団体の長に報告しなければならない。

第七節 請願

第124条

普通地方公共団体の議会に請願しようとする者は、議員の紹介により請願書を提出しなければならない。

第125条

普通地方公共団体の議会は、その採択した請願で当該普通地方公共団体の長、教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会若しくは公平委員会、公安委員会、労働委員会、農業委員会又は監査委員その他法律に基づく委員会又は委員において措置することが適当と認めるものは、これらの者にこれを送付し、かつ、その請願の処理の経過及び結果の報告を請求することができる。

第八節 議員の辞職及び資格の決定

第126条

普通地方公共団体の議会の議員は、議会の許可を得て辞職することができる。
但し、閉会中においては、議長の許可を得て辞職することができる。

第127条

普通地方公共団体の議会の議員が被選挙権を有しない者であるとき、又は第九十二条の二(第二百八十七条の二第項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定に該当するときは、その職を失う。その被選挙権の有無又は第九十二条の二の規定に該当するかどうかは、議員が公職選挙法第十一条、第十一条の二若しくは第二百五十二条又は政治資金規正法第二十八条の規定に該当するため被選挙権を有しない場合を除くほか、議会がこれを決定する。この場合においては、出席議員の三分の二以上の多数によりこれを決定しなければならない。
② 前項の場合においては、議員は、第百十七条の規定にかかわらず、その会議に出席して自己の資格に関し弁明することはできるが決定に加わることができない。
③ 第百十八条第項及び第項の規定は、第項の場合について準用する。

第128条

普通地方公共団体の議会の議員は、公職選挙法第二百二条第項若しくは第二百六条第項の規定による異議の申出、同法第二百二条第項若しくは第二百六条第項の規定による審査の申立て、同法第二百三条第項、第二百七条第項、第二百十条若しくは第二百十一条の訴訟の提起に対する決定、裁決又は判決が確定するまでの間(同法第二百十条第項の規定による訴訟を提起することができる場合において、当該訴訟が提起されなかつたとき、当該訴訟についての訴えを却下し若しくは訴状を却下する裁判が確定したとき、又は当該訴訟が取り下げられたときは、それぞれ同項に規定する出訴期間が経過するまで、当該裁判が確定するまで又は当該取下げが行われるまでの間)は、その職を失わない。

第九節 紀律

第129条

普通地方公共団体の議会の会議中この法律又は会議規則に違反しその他議場の秩序を乱す議員があるときは、議長は、これを制止し、又は発言を取り消させ、その命令に従わないときは、その日の会議が終るまで発言を禁止し、又は議場の外に退去させることができる。
② 議長は、議場が騒然として整理することが困難であると認めるときは、その日の会議を閉じ、又は中止することができる。

第130条

傍聴人が公然と可否を表明し、又は騒ぎ立てる等会議を妨害するときは、普通地方公共団体の議会の議長は、これを制止し、その命令に従わないときは、これを退場させ、必要がある場合においては、これを当該警察官に引き渡すことができる。
② 傍聴席が騒がしいときは、議長は、すべての傍聴人を退場させることができる。
③ 前二項に定めるものを除くほか、議長は、会議の傍聴に関し必要な規則を設けなければならない。

第131条

議場の秩序を乱し又は会議を妨害するものがあるときは、議員は、議長の注意を喚起することができる。

第132条

普通地方公共団体の議会の会議又は委員会においては、議員は、無礼の言葉を使用し、又は他人の私生活にわたる言論をしてはならない。

第133条

普通地方公共団体の議会の会議又は委員会において、侮辱を受けた議員は、これを議会に訴えて処分を求めることができる。

第十節 懲罰

第134条

普通地方公共団体の議会は、この法律並びに会議規則及び委員会に関する条例に違反した議員に対し、議決により懲罰を科することができる。
② 懲罰に関し必要な事項は、会議規則中にこれを定めなければならない。

第135条

懲罰は、左の通りとする。
一 公開の議場における戒告
二 公開の議場における陳謝
三 一定期間の出席停止
四 除名
② 懲罰の動議を議題とするに当つては、議員の定数の八分の一以上の者の発議によらなければならない。
③ 第項第四号の除名については、当該普通地方公共団体の議会の議員の三分の二以上の者が出席し、その四分の三以上の者の同意がなければならない。

第136条

普通地方公共団体の議会は、除名された議員で再び当選した議員を拒むことができない。

第137条

普通地方公共団体の議会の議員が正当な理由がなくて招集に応じないため、又は正当な理由がなくて会議に欠席したため、議長が、特に招状を発しても、なお故なく出席しない者は、議長において、議会の議決を経て、これに懲罰を科することができる。

第十一節 議会の事務局及び事務局長、書記長、書記その他の職員

第138条

都道府県の議会に事務局を置く。
② 市町村の議会に条例の定めるところにより、事務局を置くことができる。
③ 事務局に事務局長、書記その他の職員を置く。
④ 事務局を置かない市町村の議会に書記長、書記その他の職員を置く。ただし、町村においては、書記長を置かないことができる。
⑤ 事務局長、書記長、書記その他の職員は、議長がこれを任免する。
⑥ 事務局長、書記長、書記その他の常勤の職員の定数は、条例でこれを定める。ただし、臨時の職については、この限りでない。
⑦ 事務局長及び書記長は議長の命を受け、書記その他の職員は上司の指揮を受けて、議会に関する事務に従事する。
⑧ 事務局長、書記長、書記その他の職員に関する任用、人事評価、給与、勤務時間その他の勤務条件、分限及び懲戒、服務、退職管理、研修、福祉及び利益の保護その他身分取扱いに関しては、この法律に定めるものを除くほか、地方公務員法の定めるところによる。

第十二節 雑則

第138条の2

議会等に対して行われる通知のうちこの章(第百条第項を除く。)の規定において文書その他の人の知覚によつて認識することができる情報が記載された紙その他の有体物(次項において「文書等」という。)により行うことが規定されているもの(情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第七条第項の規定が適用されるものを除く。)については、当該通知に関するこの章の規定にかかわらず、総務省令で定めるところにより、総務省令で定める電子情報処理組織(議会等の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下この項及び第項において同じ。)とその通知の相手方の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。以下この条において同じ。)を使用する方法により行うことができる。
② 議会等が行う通知のうちこの章(第百二十三条第項を除く。)の規定において文書等により行うことが規定されているもの(情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律第六条第項の規定が適用されるものを除く。)については、当該通知に関するこの章の規定にかかわらず、総務省令で定めるところにより、総務省令で定める電子情報処理組織を使用する方法により行うことができる。ただし、当該通知のうち第九十九条の規定によるもの以外のものにあつては、当該通知を受ける者が当該電子情報処理組織を使用する方法により受ける旨の総務省令で定める方式による表示をする場合に限る。
③ 前二項の電子情報処理組織を使用する方法により行われた通知については、当該通知に関するこの章の規定に規定する方法により行われたものとみなして、この法律その他の当該通知に関する法令の規定を適用する。
④ 第項又は第項の電子情報処理組織を使用する方法により行われた通知は、当該通知を受ける者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に当該者に到達したものとみなす。

第七章 執行機関

第一節 通則

第138条の2の2

普通地方公共団体の執行機関は、当該普通地方公共団体の条例、予算その他の議会の議決に基づく事務及び法令、規則その他の規程に基づく当該普通地方公共団体の事務を、自らの判断と責任において、誠実に管理し及び執行する義務を負う。

第138条の3

普通地方公共団体の執行機関の組織は、普通地方公共団体の長の所轄の下に、それぞれ明確な範囲の所掌事務と権限を有する執行機関によつて、系統的にこれを構成しなければならない。
② 普通地方公共団体の執行機関は、普通地方公共団体の長の所轄の下に、執行機関相互の連絡を図り、すべて、一体として、行政機能を発揮するようにしなければならない。
③ 普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の執行機関相互の間にその権限につき疑義が生じたときは、これを調整するように努めなければならない。

第138条の4

普通地方公共団体にその執行機関として普通地方公共団体の長の外、法律の定めるところにより、委員会又は委員を置く。
② 普通地方公共団体の委員会は、法律の定めるところにより、法令又は普通地方公共団体の条例若しくは規則に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、規則その他の規程を定めることができる。
③ 普通地方公共団体は、法律又は条例の定めるところにより、執行機関の附属機関として自治紛争処理委員、審査会、審議会、調査会その他の調停、審査、諮問又は調査のための機関を置くことができる。ただし、政令で定める執行機関については、この限りでない。

第二節 普通地方公共団体の長

第一款 地位

第139条

都道府県に知事を置く。
② 市町村に市町村長を置く。

第140条

普通地方公共団体の長の任期は、四年とする。
② 前項の任期の起算については、公職選挙法第二百五十九条及び第二百五十九条の二の定めるところによる。

第141条

普通地方公共団体の長は、衆議院議員又は参議院議員と兼ねることができない。
② 普通地方公共団体の長は、地方公共団体の議会の議員並びに常勤の職員及び短時間勤務職員と兼ねることができない。

第142条

普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体に対し請負をする者及びその支配人又は主として同一の行為をする法人(当該普通地方公共団体が出資している法人で政令で定めるものを除く。)の無限責任社員、取締役、執行役若しくは監査役若しくはこれらに準ずべき者、支配人及び清算人たることができない。

第143条

普通地方公共団体の長が、被選挙権を有しなくなつたとき又は前条の規定に該当するときは、その職を失う。その被選挙権の有無又は同条の規定に該当するかどうかは、普通地方公共団体の長が公職選挙法第十一条、第十一条の二若しくは第二百五十二条又は政治資金規正法第二十八条の規定に該当するため被選挙権を有しない場合を除くほか、当該普通地方公共団体の選挙管理委員会がこれを決定しなければならない。
② 前項の規定による決定は、文書をもつてし、その理由をつけてこれを本人に交付しなければならない。
③ 第項の規定による決定についての審査請求は、都道府県にあつては総務大臣、市町村にあつては都道府県知事に対してするものとする。
④ 前項の審査請求に関する行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第十八条第項本文の期間は、第項の決定があつた日の翌日から起算して二十一日とする。

第144条

普通地方公共団体の長は、公職選挙法第二百二条第項若しくは第二百六条第項の規定による異議の申出、同法第二百二条第項若しくは第二百六条第項の規定による審査の申立て、同法第二百三条第項、第二百七条第項、第二百十条若しくは第二百十一条の訴訟の提起に対する決定、裁決又は判決が確定するまでの間(同法第二百十条第項の規定による訴訟を提起することができる場合において、当該訴訟が提起されなかつたとき、当該訴訟についての訴えを却下し若しくは訴状を却下する裁判が確定したとき、又は当該訴訟が取り下げられたときは、それぞれ同項に規定する出訴期間が経過するまで、当該裁判が確定するまで又は当該取下げが行われるまでの間)は、その職を失わない。

第145条

普通地方公共団体の長は、退職しようとするときは、その退職しようとする日前、都道府県知事にあつては三十日、市町村長にあつては二十日までに、当該普通地方公共団体の議会の議長に申し出なければならない。但し、議会の同意を得たときは、その期日前に退職することができる。

第146条 削除

第二款 権限

第147条

普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体を統轄し、これを代表する。

第148条

普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の事務を管理し及びこれを執行する。

第149条

普通地方公共団体の長は、概ね左に掲げる事務を担任する。
一 普通地方公共団体の議会の議決を経べき事件につきその議案を提出すること。
二 予算を調製し、及びこれを執行すること。
三 地方税を賦課徴収し、分担金、使用料、加入金又は手数料を徴収し、及び過料を科すること。
四 決算を普通地方公共団体の議会の認定に付すること。
五 会計を監督すること。
六 財産を取得し、管理し、及び処分すること。
七 公の施設を設置し、管理し、及び廃止すること。
八 証書及び公文書類を保管すること。
九 前各号に定めるものを除く外、当該普通地方公共団体の事務を執行すること。

第150条

都道府県知事及び第二百五十二条の十九第項に規定する指定都市(以下この条において「指定都市」という。)の市長は、その担任する事務のうち次に掲げるものの管理及び執行が法令に適合し、かつ、適正に行われることを確保するための方針を定め、及びこれに基づき必要な体制を整備しなければならない。
一 財務に関する事務その他総務省令で定める事務
二 前号に掲げるもののほか、その管理及び執行が法令に適合し、かつ、適正に行われることを特に確保する必要がある事務として当該都道府県知事又は指定都市の市長が認めるもの
② 市町村長(指定都市の市長を除く。第二号及び第項において同じ。)は、その担任する事務のうち次に掲げるものの管理及び執行が法令に適合し、かつ、適正に行われることを確保するための方針を定め、及びこれに基づき必要な体制を整備するよう努めなければならない。
一 前項第一号に掲げる事務
二 前号に掲げるもののほか、その管理及び執行が法令に適合し、かつ、適正に行われることを特に確保する必要がある事務として当該市町村長が認めるもの
③ 都道府県知事又は市町村長は、第項若しくは前項の方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
④ 都道府県知事、指定都市の市長及び第項の方針を定めた市町村長(以下この条において「都道府県知事等」という。)は、毎会計年度少なくとも一回以上、総務省令で定めるところにより、第項又は第項の方針及びこれに基づき整備した体制について評価した報告書を作成しなければならない。
⑤ 都道府県知事等は、前項の報告書を監査委員の審査に付さなければならない。
⑥ 都道府県知事等は、前項の規定により監査委員の審査に付した報告書を監査委員の意見を付けて議会に提出しなければならない。
⑦ 前項の規定による意見の決定は、監査委員の合議によるものとする。
⑧ 都道府県知事等は、第項の規定により議会に提出した報告書を公表しなければならない。
⑨ 前各項に定めるもののほか、第項又は第項の方針及びこれに基づき整備する体制に関し必要な事項は、総務省令で定める。

第151条 削除

第152条

普通地方公共団体の長に事故があるとき、又は長が欠けたときは、副知事又は副市町村長がその職務を代理する。この場合において副知事又は副市町村長が二人以上あるときは、あらかじめ当該普通地方公共団体の長が定めた順序、又はその定めがないときは席次の上下により、席次の上下が明らかでないときは年齢の多少により、年齢が同じであるときはくじにより定めた順序で、その職務を代理する。
② 副知事若しくは副市町村長にも事故があるとき若しくは副知事若しくは副市町村長も欠けたとき又は副知事若しくは副市町村長を置かない普通地方公共団体において当該普通地方公共団体の長に事故があるとき若しくは当該普通地方公共団体の長が欠けたときは、その補助機関である職員のうちから当該普通地方公共団体の長の指定する職員がその職務を代理する。
③ 前項の場合において、同項の規定により普通地方公共団体の長の職務を代理する者がないときは、その補助機関である職員のうちから当該普通地方公共団体の規則で定めた上席の職員がその職務を代理する。

第153条

普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務の一部をその補助機関である職員に委任し、又はこれに臨時に代理させることができる。
② 普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務の一部をその管理に属する行政庁に委任することができる。

第154条

普通地方公共団体の長は、その補助機関である職員を指揮監督する。

第154条の2

普通地方公共団体の長は、その管理に属する行政庁の処分が法令、条例又は規則に違反すると認めるときは、その処分を取り消し、又は停止することができる。

第155条

普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務を分掌させるため、条例で、必要な地に、都道府県にあつては支庁(道にあつては支庁出張所を含む。以下これに同じ。)及び地方事務所、市町村にあつては支所又は出張所を設けることができる。
② 支庁若しくは地方事務所又は支所若しくは出張所の位置、名称及び所管区域は、条例でこれを定めなければならない。
③ 第四条第項の規定は、前項の支庁若しくは地方事務所又は支所若しくは出張所の位置及び所管区域にこれを準用する。

第156条

普通地方公共団体の長は、前条第項に定めるものを除くほか、法律又は条例で定めるところにより、保健所、警察署その他の行政機関を設けるものとする。
② 前項の行政機関の位置、名称及び所管区域は、条例で定める。
③ 第四条第項の規定は、第項の行政機関の位置及び所管区域について準用する。
④ 国の地方行政機関(駐在機関を含む。以下この項において同じ。)は、国会の承認を経なければ、設けてはならない。国の地方行政機関の設置及び運営に要する経費は、国において負担しなければならない。
⑤ 前項前段の規定は、司法行政及び懲戒機関、地方出入国在留管理局の支局及び出張所並びに支局の出張所、警察機関、官民人材交流センターの支所、検疫機関、防衛省の機関、税関の出張所及び監視署、税関支署並びにその出張所及び監視署、税務署及びその支署、国税不服審判所の支部、地方航空局の事務所その他の航空現業官署、総合通信局の出張所、電波観測所、文教施設、国立の病院及び療養施設、気象官署、海上警備救難機関、航路標識及び水路官署、森林管理署並びに専ら国費をもつて行う工事の施行機関については、適用しない。

第157条

普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の区域内の公共的団体等の活動の綜合調整を図るため、これを指揮監督することができる。
② 前項の場合において必要があるときは、普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の区域内の公共的団体等をして事務の報告をさせ、書類及び帳簿を提出させ及び実地について事務を視察することができる。
③ 普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の区域内の公共的団体等の監督上必要な処分をし又は当該公共的団体等の監督官庁の措置を申請することができる。
④ 前項の監督官庁は、普通地方公共団体の長の処分を取り消すことができる。

第158条

普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務を分掌させるため、必要な内部組織を設けることができる。この場合において、当該普通地方公共団体の長の直近下位の内部組織の設置及びその分掌する事務については、条例で定めるものとする。
② 普通地方公共団体の長は、前項の内部組織の編成に当たつては、当該普通地方公共団体の事務及び事業の運営が簡素かつ効率的なものとなるよう十分配慮しなければならない。

第159条

普通地方公共団体の長の事務の引継ぎに関する規定は、政令でこれを定める。
② 前項の政令には、正当の理由がなくて事務の引継ぎを拒んだ者に対し、十万円以下の過料を科する規定を設けることができる。

第160条

一部事務組合の管理者(第二百八十七条の三第項の規定により管理者に代えて理事会を置く第二百八十五条の一部事務組合にあつては、理事会)又は広域連合の長(第二百九十一条の十三において準用する第二百八十七条の三第項の規定により長に代えて理事会を置く広域連合にあつては、理事会)に係る第百五十条第項又は第項の方針及びこれに基づき整備する体制については、これらの者を市町村長(第二百五十二条の十九第項に規定する指定都市の市長を除く。)とみなして、第百五十条第項から第項までの規定を準用する。

第三款 補助機関

第161条

都道府県に副知事を、市町村に副市町村長を置く。ただし、条例で置かないことができる。
② 副知事及び副市町村長の定数は、条例で定める。

第162条

副知事及び副市町村長は、普通地方公共団体の長が議会の同意を得てこれを選任する。

第163条

副知事及び副市町村長の任期は、4年とする。
ただし、普通地方公共団体の長は、任期中においてもこれを解職することができる。

第164条

公職選挙法第十一条第項又は第十一条の二の規定に該当する者は、副知事又は副市町村長となることができない。
② 副知事又は副市町村長は、公職選挙法第十一条第項の規定に該当するに至つたときは、その職を失う。

第165条

普通地方公共団体の長の職務を代理する副知事又は副市町村長は、退職しようとするときは、その退職しようとする日前二十日までに、当該普通地方公共団体の議会の議長に申し出なければならない。ただし、議会の承認を得たときは、その期日前に退職することができる。
② 前項に規定する場合を除くほか、副知事又は副市町村長は、その退職しようとする日前二十日までに、当該普通地方公共団体の長に申し出なければならない。ただし、当該普通地方公共団体の長の承認を得たときは、その期日前に退職することができる。

第166条

副知事及び副市町村長は、検察官、警察官若しくは収税官吏又は普通地方公共団体における公安委員会の委員と兼ねることができない。
② 第百四十一条、第百四十二条及び第百五十九条の規定は、副知事及び副市町村長にこれを準用する。
③ 普通地方公共団体の長は、副知事又は副市町村長が前項において準用する第百四十二条の規定に該当するときは、これを解職しなければならない。

第167条

副知事及び副市町村長は、普通地方公共団体の長を補佐し、普通地方公共団体の長の命を受け政策及び企画をつかさどり、その補助機関である職員の担任する事務を監督し、別に定めるところにより、普通地方公共団体の長の職務を代理する。
② 前項に定めるもののほか、副知事及び副市町村長は、普通地方公共団体の長の権限に属する事務の一部について、第百五十三条第項の規定により委任を受け、その事務を執行する。
③ 前項の場合においては、普通地方公共団体の長は、直ちに、その旨を告示しなければならない。

第168条

普通地方公共団体に会計管理者一人を置く。
② 会計管理者は、普通地方公共団体の長の補助機関である職員のうちから、普通地方公共団体の長が命ずる。

第169条

普通地方公共団体の長、副知事若しくは副市町村長又は監査委員と親子、夫婦又は兄弟姉妹の関係にある者は、会計管理者となることができない。
② 会計管理者は、前項に規定する関係が生じたときは、その職を失う。

第170条

法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、会計管理者は、当該普通地方公共団体の会計事務をつかさどる。
② 前項の会計事務を例示すると、おおむね次のとおりである。
一 現金(現金に代えて納付される証券及び基金に属する現金を含む。)の出納及び保管を行うこと。
二 小切手を振り出すこと。
三 有価証券(公有財産又は基金に属するものを含む。)の出納及び保管を行うこと。
四 物品(基金に属する動産を含む。)の出納及び保管(使用中の物品に係る保管を除く。)を行うこと。
五 現金及び財産の記録管理を行うこと。
六 支出負担行為に関する確認を行うこと。
七 決算を調製し、これを普通地方公共団体の長に提出すること。
③ 普通地方公共団体の長は、会計管理者に事故がある場合において必要があるときは、当該普通地方公共団体の長の補助機関である職員にその事務を代理させることができる。

第171条

会計管理者の事務を補助させるため出納員その他の会計職員を置く。ただし、町村においては、出納員を置かないことができる。
② 出納員その他の会計職員は、普通地方公共団体の長の補助機関である職員のうちから、普通地方公共団体の長がこれを命ずる。
③ 出納員は、会計管理者の命を受けて現金の出納(小切手の振出しを含む。)若しくは保管又は物品の出納若しくは保管の事務をつかさどり、その他の会計職員は、上司の命を受けて当該普通地方公共団体の会計事務をつかさどる。
④ 普通地方公共団体の長は、会計管理者をしてその事務の一部を出納員に委任させ、又は当該出納員をしてさらに当該委任を受けた事務の一部を出納員以外の会計職員に委任させることができる。この場合においては、普通地方公共団体の長は、直ちに、その旨を告示しなければならない。
⑤ 普通地方公共団体の長は、会計管理者の権限に属する事務を処理させるため、規則で、必要な組織を設けることができる。

第172条

前十一条に定める者を除くほか、普通地方公共団体に職員を置く。
② 前項の職員は、普通地方公共団体の長がこれを任免する。
③ 第項の職員の定数は、条例でこれを定める。ただし、臨時又は非常勤の職については、この限りでない。
④ 第項の職員に関する任用、人事評価、給与、勤務時間その他の勤務条件、分限及び懲戒、服務、退職管理、研修、福祉及び利益の保護その他身分取扱いに関しては、この法律に定めるものを除くほか、地方公務員法の定めるところによる。

第173条 削除

第174条

普通地方公共団体は、常設又は臨時の専門委員を置くことができる。
② 専門委員は、専門の学識経験を有する者の中から、普通地方公共団体の長がこれを選任する。
③ 専門委員は、普通地方公共団体の長の委託を受け、その権限に属する事務に関し必要な事項を調査する。
④ 専門委員は、非常勤とする。

第175条

都道府県の支庁若しくは地方事務所又は市町村の支所の長は、当該普通地方公共団体の長の補助機関である職員をもつて充てる。
② 前項に規定する機関の長は、普通地方公共団体の長の定めるところにより、上司の指揮を受け、その主管の事務を掌理し部下の職員を指揮監督する。

第四款 議会との関係

第176条

普通地方公共団体の議会の議決について異議があるときは、当該普通地方公共団体の長は、この法律に特別の定めがあるものを除くほか、その議決の日(条例の制定若しくは改廃又は予算に関する議決については、その送付を受けた日)から十日以内に理由を示してこれを再議に付することができる。
② 前項の規定による議会の議決が再議に付された議決と同じ議決であるときは、その議決は、確定する。
③ 前項の規定による議決のうち条例の制定若しくは改廃又は予算に関するものについては、出席議員の三分の二以上の者の同意がなければならない。
④ 普通地方公共団体の議会の議決又は選挙がその権限を超え又は法令若しくは会議規則に違反すると認めるときは、当該普通地方公共団体の長は、理由を示してこれを再議に付し又は再選挙を行わせなければならない。
⑤ 前項の規定による議会の議決又は選挙がなおその権限を超え又は法令若しくは会議規則に違反すると認めるときは、都道府県知事にあつては総務大臣、市町村長にあつては都道府県知事に対し、当該議決又は選挙があつた日から二十一日以内に、審査を申し立てることができる。
⑥ 前項の規定による申立てがあつた場合において、総務大臣又は都道府県知事は、審査の結果、議会の議決又は選挙がその権限を超え又は法令若しくは会議規則に違反すると認めるときは、当該議決又は選挙を取り消す旨の裁定をすることができる。
⑦ 前項の裁定に不服があるときは、普通地方公共団体の議会又は長は、裁定のあつた日から六十日以内に、裁判所に出訴することができる。
⑧ 前項の訴えのうち第項の規定による議会の議決又は選挙の取消しを求めるものは、当該議会を被告として提起しなければならない。

第177条

普通地方公共団体の議会において次に掲げる経費を削除し又は減額する議決をしたときは、その経費及びこれに伴う収入について、当該普通地方公共団体の長は、理由を示してこれを再議に付さなければならない。
一 法令により負担する経費、法律の規定に基づき当該行政庁の職権により命ずる経費その他の普通地方公共団体の義務に属する経費
二 非常の災害による応急若しくは復旧の施設のために必要な経費又は感染症予防のために必要な経費
② 前項第一号の場合において、議会の議決がなお同号に掲げる経費を削除し又は減額したときは、当該普通地方公共団体の長は、その経費及びこれに伴う収入を予算に計上してその経費を支出することができる。
③ 第項第二号の場合において、議会の議決がなお同号に掲げる経費を削除し又は減額したときは、当該普通地方公共団体の長は、その議決を不信任の議決とみなすことができる。

第178条

普通地方公共団体の議会において、当該普通地方公共団体の長の不信任の議決をしたときは、直ちに議長からその旨を当該普通地方公共団体の長に通知しなければならない。この場合においては、普通地方公共団体の長は、その通知を受けた日から十日以内に議会を解散することができる。
② 議会において当該普通地方公共団体の長の不信任の議決をした場合において、前項の期間内に議会を解散しないとき、又はその解散後初めて招集された議会において再び不信任の議決があり、議長から当該普通地方公共団体の長に対しその旨の通知があつたときは、普通地方公共団体の長は、同項の期間が経過した日又は議長から通知があつた日においてその職を失う。
③ 前二項の規定による不信任の議決については、議員数の三分の二以上の者が出席し、第項の場合においてはその四分の三以上の者の、前項の場合においてはその過半数の者の同意がなければならない。

第179条

普通地方公共団体の議会が成立しないとき、第百十三条ただし書の場合においてなお会議を開くことができないとき、普通地方公共団体の長において議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき、又は議会において議決すべき事件を議決しないときは、当該普通地方公共団体の長は、その議決すべき事件を処分することができる。ただし、第百六十二条の規定による副知事又は副市町村長の選任の同意及び第二百五十二条の二十の二第項の規定による第二百五十二条の十九第項に規定する指定都市の総合区長の選任の同意については、この限りでない。
② 議会の決定すべき事件に関しては、前項の例による。
③ 前二項の規定による処置については、普通地方公共団体の長は、次の会議においてこれを議会に報告し、その承認を求めなければならない。
④ 前項の場合において、条例の制定若しくは改廃又は予算に関する処置について承認を求める議案が否決されたときは、普通地方公共団体の長は、速やかに、当該処置に関して必要と認める措置を講ずるとともに、その旨を議会に報告しなければならない。

第180条

普通地方公共団体の議会の権限に属する軽易な事項で、その議決により特に指定したものは、普通地方公共団体の長において、これを専決処分にすることができる。
② 前項の規定により専決処分をしたときは、普通地方公共団体の長は、これを議会に報告しなければならない。

第五款 他の執行機関との関係

第180条の2

普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務の一部を、当該普通地方公共団体の委員会又は委員と協議して、普通地方公共団体の委員会、委員会の委員長(教育委員会にあつては、教育長)、委員若しくはこれらの執行機関の事務を補助する職員若しくはこれらの執行機関の管理に属する機関の職員に委任し、又はこれらの執行機関の事務を補助する職員若しくはこれらの執行機関の管理に属する機関の職員をして補助執行させることができる。ただし、政令で定める普通地方公共団体の委員会又は委員については、この限りでない。

第180条の3

普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の委員会又は委員と協議して、その補助機関である職員を、当該執行機関の事務を補助する職員若しくはこれらの執行機関の管理に属する機関の職員と兼ねさせ、若しくは当該執行機関の事務を補助する職員若しくはこれらの執行機関の管理に属する機関の職員に充て、又は当該執行機関の事務に従事させることができる。

第180条の4

普通地方公共団体の長は、各執行機関を通じて組織及び運営の合理化を図り、その相互の間に権衡を保持するため、必要があると認めるときは、当該普通地方公共団体の委員会若しくは委員の事務局又は委員会若しくは委員の管理に属する事務を掌る機関(以下本条中「事務局等」という。)の組織、事務局等に属する職員の定数又はこれらの職員の身分取扱について、委員会又は委員に必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。
② 普通地方公共団体の委員会又は委員は、事務局等の組織、事務局等に属する職員の定数又はこれらの職員の身分取扱で当該委員会又は委員の権限に属する事項の中政令で定めるものについて、当該委員会又は委員の規則その他の規程を定め、又は変更しようとする場合においては、予め当該普通地方公共団体の長に協議しなければならない。

第三節 委員会及び委員

第一款 通則

第180条の5

執行機関として法律の定めるところにより普通地方公共団体に置かなければならない委員会及び委員は、左の通りである。
一 教育委員会
二 選挙管理委員会
三 人事委員会又は人事委員会を置かない普通地方公共団体にあつては公平委員会
四 監査委員
② 前項に掲げるもののほか、執行機関として法律の定めるところにより都道府県に置かなければならない委員会は、次のとおりである。
一 公安委員会
二 労働委員会
三 収用委員会
四 海区漁業調整委員会
五 内水面漁場管理委員会
③ 第項に掲げるものの外、執行機関として法律の定めるところにより市町村に置かなければならない委員会は、左の通りである。
一 農業委員会
二 固定資産評価審査委員会
④ 前三項の委員会若しくは委員の事務局又は委員会の管理に属する事務を掌る機関で法律により設けられなければならないものとされているものの組織を定めるに当たつては、当該普通地方公共団体の長が第百五十八条第項の規定により設けるその内部組織との間に権衡を失しないようにしなければならない。
⑤ 普通地方公共団体の委員会の委員又は委員は、法律に特別の定があるものを除く外、非常勤とする。
⑥ 普通地方公共団体の委員会の委員(教育委員会にあつては、教育長及び委員)又は委員は、当該普通地方公共団体に対しその職務に関し請負をする者及びその支配人又は主として同一の行為をする法人(当該普通地方公共団体が出資している法人で政令で定めるものを除く。)の無限責任社員、取締役、執行役若しくは監査役若しくはこれらに準ずべき者、支配人及び清算人たることができない。
⑦ 法律に特別の定めがあるものを除くほか、普通地方公共団体の委員会の委員(教育委員会にあつては、教育長及び委員)又は委員が前項の規定に該当するときは、その職を失う。その同項の規定に該当するかどうかは、その選任権者がこれを決定しなければならない。
⑧ 第百四十三条第項から第項までの規定は、前項の場合にこれを準用する。

第180条の6

普通地方公共団体の委員会又は委員は、左に掲げる権限を有しない。但し、法律に特別の定があるものは、この限りでない。
一 普通地方公共団体の予算を調製し、及びこれを執行すること。
二 普通地方公共団体の議会の議決を経べき事件につきその議案を提出すること。
三 地方税を賦課徴収し、分担金若しくは加入金を徴収し、又は過料を科すること。
四 普通地方公共団体の決算を議会の認定に付すること。

第180条の7

普通地方公共団体の委員会又は委員は、その権限に属する事務の一部を、当該普通地方公共団体の長と協議して、普通地方公共団体の長の補助機関である職員若しくはその管理に属する支庁若しくは地方事務所、支所若しくは出張所、第二百二条の四第項に規定する地域自治区の事務所、第二百五十二条の十九第項に規定する指定都市の区若しくは総合区の事務所若しくはその出張所、保健所その他の行政機関の長に委任し、若しくは普通地方公共団体の長の補助機関である職員若しくはその管理に属する行政機関に属する職員をして補助執行させ、又は専門委員に委託して必要な事項を調査させることができる。ただし、政令で定める事務については、この限りではない。

第二款 教育委員会

第180条の8

教育委員会は、別に法律の定めるところにより、学校その他の教育機関を管理し、学校の組織編制、教育課程、教科書その他の教材の取扱及び教育職員の身分取扱に関する事務を行い、並びに社会教育その他教育、学術及び文化に関する事務を管理し及びこれを執行する。

第三款 公安委員会

第180条の9

公安委員会は、別に法律の定めるところにより、都道府県警察を管理する。
② 都道府県警察に、別に法律の定めるところにより、地方警務官、地方警務官以外の警察官その他の職員を置く。

第四款 選挙管理委員会

第181条

普通地方公共団体に選挙管理委員会を置く。
② 選挙管理委員会は、四人の選挙管理委員を以てこれを組織する。

第182条

選挙管理委員は、選挙権を有する者で、人格が高潔で、政治及び選挙に関し公正な識見を有するもののうちから、普通地方公共団体の議会においてこれを選挙する。
② 議会は、前項の規定による選挙を行う場合においては、同時に、同項に規定する者のうちから委員と同数の補充員を選挙しなければならない。補充員がすべてなくなつたときも、また、同様とする。
③ 委員中に欠員があるときは、選挙管理委員会の委員長は、補充員の中からこれを補欠する。その順序は、選挙の時が異なるときは選挙の前後により、選挙の時が同時であるときは得票数により、得票数が同じであるときはくじにより、これを定める。
④ 法律の定めるところにより行なわれる選挙、投票又は国民審査に関する罪を犯し刑に処せられた者は、委員又は補充員となることができない。
⑤ 委員又は補充員は、それぞれその中の二人が同時に同一の政党その他の政治団体に属する者となることとなつてはならない。
⑥ 第項又は第項の規定による選挙において、同一の政党その他の政治団体に属する者が前項の制限を超えて選挙された場合及び第項の規定により委員の補欠を行えば同一の政党その他の政治団体に属する委員の数が前項の制限を超える場合等に関し必要な事項は、政令でこれを定める。
⑦ 委員は、地方公共団体の議会の議員及び長と兼ねることができない。
⑧ 委員又は補充員の選挙を行うべき事由が生じたときは、選挙管理委員会の委員長は、直ちにその旨を当該普通地方公共団体の議会及び長に通知しなければならない。

第183条

選挙管理委員の任期は、四年とする。但し、後任者が就任する時まで在任する。
② 補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
③ 補充員の任期は、委員の任期による。
④ 委員及び補充員は、その選挙に関し第百十八条第項の規定による裁決又は判決が確定するまでは、その職を失わない。

第184条

選挙管理委員は、選挙権を有しなくなつたとき、第百八十条の五第項の規定に該当するとき又は第百八十二条第項に規定する者に該当するときは、その職を失う。その選挙権の有無又は第百八十条の五第項の規定に該当するかどうかは、選挙管理委員が公職選挙法第十一条若しくは同法第二百五十二条又は政治資金規正法第二十八条の規定に該当するため選挙権を有しない場合を除くほか、選挙管理委員会がこれを決定する。
② 第百四十三条第項から第項までの規定は、前項の場合にこれを準用する。

第184条の2

普通地方公共団体の議会は、選挙管理委員が心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認めるとき、又は選挙管理委員に職務上の義務違反その他選挙管理委員たるに適しない非行があると認めるときは、議決によりこれを罷免することができる。この場合においては、議会の常任委員会又は特別委員会において公聴会を開かなければならない。
② 委員は、前項の規定による場合を除くほか、その意に反して罷免されることがない。

第185条

選挙管理委員会の委員長が退職しようとするときは、当該選挙管理委員会の承認を得なければならない。
② 委員が退職しようとするときは、委員長の承認を得なければならない。

第185条の2

選挙管理委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

第186条

選挙管理委員会は、法律又はこれに基づく政令の定めるところにより、当該普通地方公共団体が処理する選挙に関する事務及びこれに関係のある事務を管理する。

第187条

選挙管理委員会は、委員の中から委員長を選挙しなければならない。
② 委員長は、委員会に関する事務を処理し、委員会を代表する。
③ 委員長に事故があるとき、又は委員長が欠けたときは、委員長の指定する委員がその職務を代理する。

第188条

選挙管理委員会は、委員長がこれを招集する。委員から委員会の招集の請求があるときは、委員長は、これを招集しなければならない。

第189条

選挙管理委員会は、三人以上の委員が出席しなければ、会議を開くことができない。
② 委員長及び委員は、自己若しくは父母、祖父母、配偶者、子、孫若しくは兄弟姉妹の一身上に関する事件又は自己若しくはこれらの者の従事する業務に直接の利害関係のある事件については、その議事に参与することができない。但し、委員会の同意を得たときは、会議に出席し、発言することができる。
③ 前項の規定により委員の数が減少して第項の数に達しないときは、委員長は、補充員でその事件に関係のないものを以て第百八十二条第項の順序により、臨時にこれに充てなければならない。委員の事故に因り委員の数が第項の数に達しないときも、また、同様とする。

第190条

選挙管理委員会の議事は、出席委員の過半数を以てこれを決する。可否同数のときは、委員長の決するところによる。

第191条

都道府県及び市の選挙管理委員会に書記長、書記その他の職員を置き、町村の選挙管理委員会に書記その他の職員を置く。
② 書記長、書記その他の常勤の職員の定数は、条例でこれを定める。但し、臨時の職については、この限りでない。
③ 書記長は委員長の命を受け、書記その他の職員又は第百八十条の三の規定による職員は上司の指揮を受け、それぞれ委員会に関する事務に従事する。

第192条

選挙管理委員会の処分又は裁決に係る普通地方公共団体を被告とする訴訟については、選挙管理委員会が当該普通地方公共団体を代表する。

第193条

第百四十一条第項及び第百六十六条第項の規定は選挙管理委員について、第百五十三条第項、第百五十四条及び第百五十九条の規定は選挙管理委員会の委員長について、第百七十二条第項及び第項の規定は選挙管理委員会の書記長、書記その他の職員について、それぞれ準用する。

第194条

この法律及びこれに基く政令に規定するものを除く外、選挙管理委員会に関し必要な事項は、委員会がこれを定める。

第五款 監査委員

第195条

普通地方公共団体に監査委員を置く。
② 監査委員の定数は、都道府県及び政令で定める市にあつては四人とし、その他の市及び町村にあつては二人とする。ただし、条例でその定数を増加することができる。

第196条

監査委員は、普通地方公共団体の長が、議会の同意を得て、人格が高潔で、普通地方公共団体の財務管理、事業の経営管理その他行政運営に関し優れた識見を有する者(議員である者を除く。以下この款において「識見を有する者」という。)及び議員のうちから、これを選任する。ただし、条例で議員のうちから監査委員を選任しないことができる。
② 識見を有する者のうちから選任される監査委員の数が二人以上である普通地方公共団体にあつては、少なくともその数から一を減じた人数以上は、当該普通地方公共団体の職員で政令で定めるものでなかつた者でなければならない。
③ 監査委員は、地方公共団体の常勤の職員及び短時間勤務職員と兼ねることができない。
④ 識見を有する者のうちから選任される監査委員は、常勤とすることができる。
⑤ 都道府県及び政令で定める市にあつては、識見を有する者のうちから選任される監査委員のうち少なくとも一人以上は、常勤としなければならない。
⑥ 議員のうちから選任される監査委員の数は、都道府県及び前条第項の政令で定める市にあつては二人又は一人、その他の市及び町村にあつては一人とする。

第197条

監査委員の任期は、識見を有する者のうちから選任される者にあつては四年とし、議員のうちから選任される者にあつては議員の任期による。ただし、後任者が選任されるまでの間は、その職務を行うことを妨げない。
第百九十七条の二 普通地方公共団体の長は、監査委員が心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認めるとき、又は監査委員に職務上の義務違反その他監査委員たるに適しない非行があると認めるときは、議会の同意を得て、これを罷免することができる。この場合においては、議会の常任委員会又は特別委員会において公聴会を開かなければならない。
② 監査委員は、前項の規定による場合を除くほか、その意に反して罷免されることがない。

第198条

監査委員は、退職しようとするときは、普通地方公共団体の長の承認を得なければならない。

第198条の2

普通地方公共団体の長又は副知事若しくは副市町村長と親子、夫婦又は兄弟姉妹の関係にある者は、監査委員となることができない。
② 監査委員は、前項に規定する関係が生じたときは、その職を失う。

第198条の3

監査委員は、その職務を遂行するに当たつては、法令に特別の定めがある場合を除くほか、監査基準(法令の規定により監査委員が行うこととされている監査、検査、審査その他の行為(以下この項において「監査等」という。)の適切かつ有効な実施を図るための基準をいう。次条において同じ。)に従い、常に公正不偏の態度を保持して、監査等をしなければならない。
② 監査委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

第198条の4

監査基準は、監査委員が定めるものとする。
② 前項の規定による監査基準の策定は、監査委員の合議によるものとする。
③ 監査委員は、監査基準を定めたときは、直ちに、これを普通地方公共団体の議会、長、教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会又は公平委員会、公安委員会、労働委員会、農業委員会その他法律に基づく委員会及び委員に通知するとともに、これを公表しなければならない。
④ 前二項の規定は、監査基準の変更について準用する。
⑤ 総務大臣は、普通地方公共団体に対し、監査基準の策定又は変更について、指針を示すとともに、必要な助言を行うものとする。

第199条

監査委員は、普通地方公共団体の財務に関する事務の執行及び普通地方公共団体の経営に係る事業の管理を監査する。
② 監査委員は、前項に定めるもののほか、必要があると認めるときは、普通地方公共団体の事務(自治事務にあつては労働委員会及び収用委員会の権限に属する事務で政令で定めるものを除き、法定受託事務にあつては国の安全を害するおそれがあることその他の事由により監査委員の監査の対象とすることが適当でないものとして政令で定めるものを除く。)の執行について監査をすることができる。この場合において、当該監査の実施に関し必要な事項は、政令で定める。
③ 監査委員は、第項又は前項の規定による監査をするに当たつては、当該普通地方公共団体の財務に関する事務の執行及び当該普通地方公共団体の経営に係る事業の管理又は同項に規定する事務の執行が第二条第項及び第項の規定の趣旨にのつとつてなされているかどうかについて、特に、意を用いなければならない。
④ 監査委員は、毎会計年度少なくとも一回以上期日を定めて第項の規定による監査をしなければならない。
⑤ 監査委員は、前項に定める場合のほか、必要があると認めるときは、いつでも第項の規定による監査をすることができる。
⑥ 監査委員は、当該普通地方公共団体の長から当該普通地方公共団体の事務の執行に関し監査の要求があつたときは、その要求に係る事項について監査をしなければならない。
⑦ 監査委員は、必要があると認めるとき、又は普通地方公共団体の長の要求があるときは、当該普通地方公共団体が補助金、交付金、負担金、貸付金、損失補償、利子補給その他の財政的援助を与えているものの出納その他の事務の執行で当該財政的援助に係るものを監査することができる。当該普通地方公共団体が出資しているもので政令で定めるもの、当該普通地方公共団体が借入金の元金又は利子の支払を保証しているもの、当該普通地方公共団体が受益権を有する信託で政令で定めるものの受託者及び当該普通地方公共団体が第二百四十四条の二第項の規定に基づき公の施設の管理を行わせているものについても、同様とする。
⑧ 監査委員は、監査のため必要があると認めるときは、関係人の出頭を求め、若しくは関係人について調査し、若しくは関係人に対し帳簿、書類その他の記録の提出を求め、又は学識経験を有する者等から意見を聴くことができる。
⑨ 監査委員は、第九十八条第項の請求若しくは第項の要求に係る事項についての監査又は第項、第項若しくは第項の規定による監査について、監査の結果に関する報告を決定し、これを普通地方公共団体の議会及び長並びに関係のある教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会若しくは公平委員会、公安委員会、労働委員会、農業委員会その他法律に基づく委員会又は委員に提出するとともに、これを公表しなければならない。
⑩ 監査委員は、監査の結果に基づいて必要があると認めるときは、当該普通地方公共団体の組織及び運営の合理化に資するため、第七十五条第項又は前項の規定による監査の結果に関する報告に添えてその意見を提出することができる。この場合において、監査委員は、当該意見の内容を公表しなければならない。
⑪ 監査委員は、第七十五条第項の規定又は第項の規定による監査の結果に関する報告のうち、普通地方公共団体の議会、長、教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会若しくは公平委員会、公安委員会、労働委員会、農業委員会その他法律に基づく委員会又は委員において特に措置を講ずる必要があると認める事項については、その者に対し、理由を付して、必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。この場合において、監査委員は、当該勧告の内容を公表しなければならない。
⑫ 第項の規定による監査の結果に関する報告の決定、第項の規定による意見の決定又は前項の規定による勧告の決定は、監査委員の合議によるものとする。
⑬ 監査委員は、第項の規定による監査の結果に関する報告の決定について、各監査委員の意見が一致しないことにより、前項の合議により決定することができない事項がある場合には、その旨及び当該事項についての各監査委員の意見を普通地方公共団体の議会及び長並びに関係のある教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会若しくは公平委員会、公安委員会、労働委員会、農業委員会その他法律に基づく委員会又は委員に提出するとともに、これらを公表しなければならない。
⑭ 監査委員から第七十五条第項の規定又は第項の規定による監査の結果に関する報告の提出があつた場合において、当該監査の結果に関する報告の提出を受けた普通地方公共団体の議会、長、教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会若しくは公平委員会、公安委員会、労働委員会、農業委員会その他法律に基づく委員会又は委員は、当該監査の結果に基づき、又は当該監査の結果を参考として措置(次項に規定する措置を除く。以下この項において同じ。)を講じたときは、当該措置の内容を監査委員に通知しなければならない。この場合において、監査委員は、当該措置の内容を公表しなければならない。
⑮ 監査委員から第項の規定による勧告を受けた普通地方公共団体の議会、長、教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会若しくは公平委員会、公安委員会、労働委員会、農業委員会その他法律に基づく委員会又は委員は、当該勧告に基づき必要な措置を講ずるとともに、当該措置の内容を監査委員に通知しなければならない。この場合において、監査委員は、当該措置の内容を公表しなければならない。
第百九十九条の二 監査委員は、自己若しくは父母、祖父母、配偶者、子、孫若しくは兄弟姉妹の一身上に関する事件又は自己若しくはこれらの者の従事する業務に直接の利害関係のある事件については、監査することができない。

第199条の3

監査委員は、識見を有する者のうちから選任される監査委員の一人(監査委員の定数が二人の場合において、そのうち一人が議員のうちから選任される監査委員であるときは、識見を有する者のうちから選任される監査委員)を代表監査委員としなければならない。
② 代表監査委員は、監査委員に関する庶務及び次項又は第二百四十二条の三第項に規定する訴訟に関する事務を処理する。
③ 代表監査委員又は監査委員の処分又は裁決に係る普通地方公共団体を被告とする訴訟については、代表監査委員が当該普通地方公共団体を代表する。
④ 代表監査委員に事故があるとき、又は代表監査委員が欠けたときは、監査委員の定数が三人以上の場合には代表監査委員の指定する監査委員が、二人の場合には他の監査委員がその職務を代理する。

第200条

都道府県の監査委員に事務局を置く。
② 市町村の監査委員に条例の定めるところにより、事務局を置くことができる。
③ 事務局に事務局長、書記その他の職員を置く。
④ 事務局を置かない市町村の監査委員の事務を補助させるため書記その他の職員を置く。
⑤ 事務局長、書記その他の職員は、代表監査委員がこれを任免する。
⑥ 事務局長、書記その他の常勤の職員の定数は、条例でこれを定める。ただし、臨時の職については、この限りでない。
⑦ 事務局長は監査委員の命を受け、書記その他の職員又は第百八十条の三の規定による職員は上司の指揮を受け、それぞれ監査委員に関する事務に従事する。

第200条の2

監査委員に常設又は臨時の監査専門委員を置くことができる。
② 監査専門委員は、専門の学識経験を有する者の中から、代表監査委員が、代表監査委員以外の監査委員の意見を聴いて、これを選任する。
③ 監査専門委員は、監査委員の委託を受け、その権限に属する事務に関し必要な事項を調査する。
④ 監査専門委員は、非常勤とする。

第201条

第百四十一条第項、第百五十四条、第百五十九条、第百六十四条及び第百六十六条第項の規定は監査委員に、第百五十三条第項の規定は代表監査委員に、第百七十二条第項の規定は監査委員の事務局長、書記その他の職員にこれを準用する。

第202条

法令に特別の定めがあるものを除くほか、監査委員に関し必要な事項は、条例でこれを定める。

第六款 人事委員会、公平委員会、労働委員会、農業委員会その他の委員会

第202条の2

人事委員会は、別に法律の定めるところにより、人事行政に関する調査、研究、企画、立案、勧告等を行い、職員の競争試験及び選考を実施し、並びに職員の勤務条件に関する措置の要求及び職員に対する不利益処分を審査し、並びにこれについて必要な措置を講ずる。
② 公平委員会は、別に法律の定めるところにより、職員の勤務条件に関する措置の要求及び職員に対する不利益処分を審査し、並びにこれについて必要な措置を講ずる。
③ 労働委員会は、別に法律の定めるところにより、労働組合の資格の立証を受け及び証明を行い、並びに不当労働行為に関し調査し、審問し、命令を発し及び和解を勧め、労働争議のあつせん、調停及び仲裁を行い、その他労働関係に関する事務を執行する。
④ 農業委員会は、別に法律の定めるところにより、農地等の利用関係の調整、農地の交換分合その他農地に関する事務を執行する。
⑤ 収用委員会は別に法律の定めるところにより土地の収用に関する裁決その他の事務を行い、海区漁業調整委員会又は内水面漁場管理委員会は別に法律の定めるところにより漁業調整のため必要な指示その他の事務を行い、固定資産評価審査委員会は別に法律の定めるところにより固定資産課税台帳に登録された価格に関する不服の審査決定その他の事務を行う。

第七款 附属機関

第202条の3

普通地方公共団体の執行機関の附属機関は、法律若しくはこれに基く政令又は条例の定めるところにより、その担任する事項について調停、審査、審議又は調査等を行う機関とする。
② 附属機関を組織する委員その他の構成員は、非常勤とする。
③ 附属機関の庶務は、法律又はこれに基く政令に特別の定があるものを除く外、その属する執行機関において掌るものとする。

第四節 地域自治区

(地域自治区の設置)
第202条の4

市町村は、市町村長の権限に属する事務を分掌させ、及び地域の住民の意見を反映させつつこれを処理させるため、条例で、その区域を分けて定める区域ごとに地域自治区を設けることができる。
2 地域自治区に事務所を置くものとし、事務所の位置、名称及び所管区域は、条例で定める。
3 地域自治区の事務所の長は、当該普通地方公共団体の長の補助機関である職員をもつて充てる。
4 第四条第項の規定は第項の地域自治区の事務所の位置及び所管区域について、第百七十五条第項の規定は前項の事務所の長について準用する。

(地域協議会の設置及び構成員)
第202条の5

地域自治区に、地域協議会を置く。
2 地域協議会の構成員は、地域自治区の区域内に住所を有する者のうちから、市町村長が選任する。
3 市町村長は、前項の規定による地域協議会の構成員の選任に当たつては、地域協議会の構成員の構成が、地域自治区の区域内に住所を有する者の多様な意見が適切に反映されるものとなるよう配慮しなければならない。
4 地域協議会の構成員の任期は、四年以内において条例で定める期間とする。
5 第二百三条の二第項の規定にかかわらず、地域協議会の構成員には報酬を支給しないこととすることができる。

(地域協議会の会長及び副会長)
第202条の6

地域協議会に、会長及び副会長を置く。
2 地域協議会の会長及び副会長の選任及び解任の方法は、条例で定める。
3 地域協議会の会長及び副会長の任期は、地域協議会の構成員の任期による。
4 地域協議会の会長は、地域協議会の事務を掌理し、地域協議会を代表する。
5 地域協議会の副会長は、地域協議会の会長に事故があるとき又は地域協議会の会長が欠けたときは、その職務を代理する。

(地域協議会の権限)
第202条の7

地域協議会は、次に掲げる事項のうち、市町村長その他の市町村の機関により諮問されたもの又は必要と認めるものについて、審議し、市町村長その他の市町村の機関に意見を述べることができる。
一 地域自治区の事務所が所掌する事務に関する事項
二 前号に掲げるもののほか、市町村が処理する地域自治区の区域に係る事務に関する事項
三 市町村の事務処理に当たつての地域自治区の区域内に住所を有する者との連携の強化に関する事項
2 市町村長は、条例で定める市町村の施策に関する重要事項であつて地域自治区の区域に係るものを決定し、又は変更しようとする場合においては、あらかじめ、地域協議会の意見を聴かなければならない。
3 市町村長その他の市町村の機関は、前二項の意見を勘案し、必要があると認めるときは、適切な措置を講じなければならない。

(地域協議会の組織及び運営)
第202条の8

この法律に定めるもののほか、地域協議会の構成員の定数その他の地域協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、条例で定める。

(政令への委任)
第202条の9

この法律に規定するものを除くほか、地域自治区に関し必要な事項は、政令で定める。

第八章 給与その他の給付

第203条

普通地方公共団体は、その議会の議員に対し、議員報酬を支給しなければならない。
② 普通地方公共団体の議会の議員は、職務を行うため要する費用の弁償を受けることができる。
③ 普通地方公共団体は、条例で、その議会の議員に対し、期末手当を支給することができる。
④ 議員報酬、費用弁償及び期末手当の額並びにその支給方法は、条例でこれを定めなければならない。

第203条の2

普通地方公共団体は、その委員会の非常勤の委員、非常勤の監査委員、自治紛争処理委員、審査会、審議会及び調査会等の委員その他の構成員、専門委員、監査専門委員、投票管理者、開票管理者、選挙長、投票立会人、開票立会人及び選挙立会人その他普通地方公共団体の非常勤の職員(短時間勤務職員及び地方公務員法第二十二条の二第項第二号に掲げる職員を除く。)に対し、報酬を支給しなければならない。
② 前項の者に対する報酬は、その勤務日数に応じてこれを支給する。ただし、条例で特別の定めをした場合は、この限りでない。
③ 第項の者は、職務を行うため要する費用の弁償を受けることができる。
④ 普通地方公共団体は、条例で、第項の者のうち地方公務員法第二十二条の二第項第一号に掲げる職員に対し、期末手当又は勤勉手当を支給することができる。
⑤ 報酬、費用弁償、期末手当及び勤勉手当の額並びにその支給方法は、条例でこれを定めなければならない。

第204条

普通地方公共団体は、普通地方公共団体の長及びその補助機関たる常勤の職員、委員会の常勤の委員(教育委員会にあつては、教育長)、常勤の監査委員、議会の事務局長又は書記長、書記その他の常勤の職員、委員会の事務局長若しくは書記長、委員の事務局長又は委員会若しくは委員の事務を補助する書記その他の常勤の職員その他普通地方公共団体の常勤の職員並びに短時間勤務職員及び地方公務員法第二十二条の二第項第二号に掲げる職員に対し、給料及び旅費を支給しなければならない。
② 普通地方公共団体は、条例で、前項の者に対し、扶養手当、地域手当、住居手当、初任給調整手当、通勤手当、単身赴任手当、在宅勤務等手当、特殊勤務手当、特地勤務手当(これに準ずる手当を含む。)、へき地手当(これに準ずる手当を含む。)、時間外勤務手当、宿日直手当、管理職員特別勤務手当、夜間勤務手当、休日勤務手当、管理職手当、期末手当、勤勉手当、寒冷地手当、任期付研究員業績手当、義務教育等教員特別手当、定時制通信教育手当、産業教育手当、農林漁業普及指導手当、災害派遣手当(武力攻撃災害等派遣手当及び特定新型インフルエンザ等対策派遣手当を含む。)又は退職手当を支給することができる。
③ 給料、手当及び旅費の額並びにその支給方法は、条例でこれを定めなければならない。

第204条の2

普通地方公共団体は、いかなる給与その他の給付も法律又はこれに基づく条例に基づかずには、これをその議会の議員、第二百三条の二第項の者及び前条第項の者に支給することができない。

第205条

第二百四条第項の者は、退職年金又は退職一時金を受けることができる。

第206条

普通地方公共団体の長以外の機関がした第二百三条から第二百四条まで又は前条の規定による給与その他の給付に関する処分についての審査請求は、法律に特別の定めがある場合を除くほか、普通地方公共団体の長が当該機関の最上級行政庁でない場合においても、当該普通地方公共団体の長に対してするものとする。
② 普通地方公共団体の長は、第二百三条から第二百四条まで又は前条の規定による給与その他の給付に関する処分についての審査請求がされた場合には、当該審査請求が不適法であり、却下するときを除き、議会に諮問した上、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。
③ 議会は、前項の規定による諮問を受けた日から二十日以内に意見を述べなければならない。
④ 普通地方公共団体の長は、第項の規定による諮問をしないで同項の審査請求を却下したときは、その旨を議会に報告しなければならない。

第207条

普通地方公共団体は、条例の定めるところにより、第七十四条の三第項及び第百条第項後段(第二百八十七条の二第項において準用する場合を含む。)の規定により出頭した選挙人その他の関係人、第百十五条の二第項(第百九条第項において準用する場合を含む。)の規定により出頭した参考人、第百九十九条第項の規定により出頭した関係人、第二百五十一条の二第項の規定により出頭した当事者及び関係人並びに第百十五条の二第項(第百九条第項において準用する場合を含む。)の規定による公聴会に参加した者の要した実費を弁償しなければならない。

第九章 財務

第一節 会計年度及び会計の区分

(会計年度及びその独立の原則)
第208条

普通地方公共団体の会計年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとする。
2 各会計年度における歳出は、その年度の歳入をもつて、これに充てなければならない。

(会計の区分)
第209条

普通地方公共団体の会計は、一般会計及び特別会計とする。
2 特別会計は、普通地方公共団体が特定の事業を行なう場合その他特定の歳入をもつて特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合において、条例でこれを設置することができる。

第二節 予算

(総計予算主義の原則)
第210条

一会計年度における一切の収入及び支出は、すべてこれを歳入歳出予算に編入しなければならない。

(予算の調製及び議決)
第211条

普通地方公共団体の長は、毎会計年度予算を調製し、年度開始前に、議会の議決を経なければならない。この場合において、普通地方公共団体の長は、遅くとも年度開始前、都道府県及び第二百五十二条の十九第項に規定する指定都市にあつては三十日、その他の市及び町村にあつては二十日までに当該予算を議会に提出するようにしなければならない。
2 普通地方公共団体の長は、予算を議会に提出するときは、政令で定める予算に関する説明書をあわせて提出しなければならない。

(継続費)
第212条

普通地方公共団体の経費をもつて支弁する事件でその履行に数年度を要するものについては、予算の定めるところにより、その経費の総額及び年割額を定め、数年度にわたつて支出することができる。
2 前項の規定により支出することができる経費は、これを継続費という。

(繰越明許費)
第213条

歳出予算の経費のうちその性質上又は予算成立後の事由に基づき年度内にその支出を終わらない見込みのあるものについては、予算の定めるところにより、翌年度に繰り越して使用することができる。
2 前項の規定により翌年度に繰り越して使用することができる経費は、これを繰越明許費という。

(債務負担行為)
第214条

歳出予算の金額、継続費の総額又は繰越明許費の金額の範囲内におけるものを除くほか、普通地方公共団体が債務を負担する行為をするには、予算で債務負担行為として定めておかなければならない。

(予算の内容)
第215条

予算は、次の各号に掲げる事項に関する定めから成るものとする。
一 歳入歳出予算
二 継続費
三 繰越明許費
四 債務負担行為
五 地方債
六 一時借入金
七 歳出予算の各項の経費の金額の流用

(歳入歳出予算の区分)
第216条

歳入歳出予算は、歳入にあつては、その性質に従つて款に大別し、かつ、各款中においてはこれを項に区分し、歳出にあつては、その目的に従つてこれを款項に区分しなければならない。

(予備費)
第217条

予算外の支出又は予算超過の支出に充てるため、歳入歳出予算に予備費を計上しなければならない。ただし、特別会計にあつては、予備費を計上しないことができる。
2 予備費は、議会の否決した費途に充てることができない。

(補正予算、暫定予算等)
第218条

普通地方公共団体の長は、予算の調製後に生じた事由に基づいて、既定の予算に追加その他の変更を加える必要が生じたときは、補正予算を調製し、これを議会に提出することができる。
2 普通地方公共団体の長は、必要に応じて、一会計年度のうちの一定期間に係る暫定予算を調製し、これを議会に提出することができる。
3 前項の暫定予算は、当該会計年度の予算が成立したときは、その効力を失うものとし、その暫定予算に基づく支出又は債務の負担があるときは、その支出又は債務の負担は、これを当該会計年度の予算に基づく支出又は債務の負担とみなす。
4 普通地方公共団体の長は、特別会計のうちその事業の経費を主として当該事業の経営に伴う収入をもつて充てるもので条例で定めるものについて、業務量の増加により業務のため直接必要な経費に不足を生じたときは、当該業務量の増加により増加する収入に相当する金額を当該経費(政令で定める経費を除く。)に使用することができる。この場合においては、普通地方公共団体の長は、次の会議においてその旨を議会に報告しなければならない。

(予算の送付及び公表)
第219条

普通地方公共団体の議会の議長は、予算を定める議決があつたときは、その日から三日以内にこれを当該普通地方公共団体の長に送付しなければならない。
2 普通地方公共団体の長は、前項の規定により予算の送付を受けた場合において、再議その他の措置を講ずる必要がないと認めるときは、直ちに、その要領を住民に公表しなければならない。

(予算の執行及び事故繰越し)
第220条

普通地方公共団体の長は、政令で定める基準に従つて予算の執行に関する手続を定め、これに従つて予算を執行しなければならない。
2 歳出予算の経費の金額は、各款の間又は各項の間において相互にこれを流用することができない。ただし、歳出予算の各項の経費の金額は、予算の執行上必要がある場合に限り、予算の定めるところにより、これを流用することができる。
3 繰越明許費の金額を除くほか、毎会計年度の歳出予算の経費の金額は、これを翌年度において使用することができない。ただし、歳出予算の経費の金額のうち、年度内に支出負担行為をし、避けがたい事故のため年度内に支出を終わらなかつたもの(当該支出負担行為に係る工事その他の事業の遂行上の必要に基づきこれに関連して支出を要する経費の金額を含む。)は、これを翌年度に繰り越して使用することができる。

(予算の執行に関する長の調査権等)
第221条

普通地方公共団体の長は、予算の執行の適正を期するため、委員会若しくは委員又はこれらの管理に属する機関で権限を有するものに対して、収入及び支出の実績若しくは見込みについて報告を徴し、予算の執行状況を実地について調査し、又はその結果に基づいて必要な措置を講ずべきことを求めることができる。
2 普通地方公共団体の長は、予算の執行の適正を期するため、工事の請負契約者、物品の納入者、補助金、交付金、貸付金等の交付若しくは貸付けを受けた者(補助金、交付金、貸付金等の終局の受領者を含む。)又は調査、試験、研究等の委託を受けた者に対して、その状況を調査し、又は報告を徴することができる。
3 前二項の規定は、普通地方公共団体が出資している法人で政令で定めるもの、普通地方公共団体が借入金の元金若しくは利子の支払を保証し、又は損失補償を行う等その者のために債務を負担している法人で政令で定めるもの及び普通地方公共団体が受益権を有する信託で政令で定めるものの受託者にこれを準用する。

(予算を伴う条例、規則等についての制限)
第222条

普通地方公共団体の長は、条例その他議会の議決を要すべき案件があらたに予算を伴うこととなるものであるときは、必要な予算上の措置が適確に講ぜられる見込みが得られるまでの間は、これを議会に提出してはならない。
2 普通地方公共団体の長、委員会若しくは委員又はこれらの管理に属する機関は、その権限に属する事務に関する規則その他の規程の制定又は改正があらたに予算を伴うこととなるものであるときは、必要な予算上の措置が適確に講ぜられることとなるまでの間は、これを制定し、又は改正してはならない。

第三節 収入

(地方税)
第223条

普通地方公共団体は、法律の定めるところにより、地方税を賦課徴収することができる。

(分担金)
第224条

普通地方公共団体は、政令で定める場合を除くほか、数人又は普通地方公共団体の一部に対し利益のある事件に関し、その必要な費用に充てるため、当該事件により特に利益を受ける者から、その受益の限度において、分担金を徴収することができる。

(使用料)
第225条

普通地方公共団体は、第二百三十八条の四第項の規定による許可を受けてする行政財産の使用又は公の施設の利用につき使用料を徴収することができる。

(旧慣使用の使用料及び加入金)
第226条

市町村は、第二百三十八条の六の規定による公有財産の使用につき使用料を徴収することができるほか、同条第項の規定により使用の許可を受けた者から加入金を徴収することができる。

(手数料)
第227条

普通地方公共団体は、当該普通地方公共団体の事務で特定の者のためにするものにつき、手数料を徴収することができる。

(分担金等に関する規制及び罰則)
第228条

分担金、使用料、加入金及び手数料に関する事項については、条例でこれを定めなければならない。この場合において、手数料について全国的に統一して定めることが特に必要と認められるものとして政令で定める事務(以下本項において「標準事務」という。)について手数料を徴収する場合においては、当該標準事務に係る事務のうち政令で定めるものにつき、政令で定める金額の手数料を徴収することを標準として条例を定めなければならない。
2 分担金、使用料、加入金及び手数料の徴収に関しては、次項に定めるものを除くほか、条例で五万円以下の過料を科する規定を設けることができる。
3 詐欺その他不正の行為により、分担金、使用料、加入金又は手数料の徴収を免れた者については、条例でその徴収を免れた金額の五倍に相当する金額(当該五倍に相当する金額が五万円を超えないときは、五万円とする。)以下の過料を科する規定を設けることができる。

(分担金等の徴収に関する処分についての審査請求)
第229条

普通地方公共団体の長以外の機関がした分担金、使用料、加入金又は手数料の徴収に関する処分についての審査請求は、普通地方公共団体の長が当該機関の最上級行政庁でない場合においても、当該普通地方公共団体の長に対してするものとする。
2 普通地方公共団体の長は、分担金、使用料、加入金又は手数料の徴収に関する処分についての審査請求がされた場合には、当該審査請求が不適法であり、却下するときを除き、議会に諮問した上、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。
3 議会は、前項の規定による諮問を受けた日から二十日以内に意見を述べなければならない。
4 普通地方公共団体の長は、第項の規定による諮問をしないで同項の審査請求を却下したときは、その旨を議会に報告しなければならない。
5 第項の審査請求に対する裁決を経た後でなければ、同項の処分については、裁判所に出訴することができない。

(地方債)
第230条

普通地方公共団体は、別に法律で定める場合において、予算の定めるところにより、地方債を起こすことができる。
2 前項の場合において、地方債の起債の目的、限度額、起債の方法、利率及び償還の方法は、予算でこれを定めなければならない。

(歳入の収入の方法)
第231条

普通地方公共団体の歳入を収入するときは、政令の定めるところにより、これを調定し、納入義務者に対して納入の通知をしなければならない。

(証紙による収入の方法等)
第231条の2

普通地方公共団体は、使用料又は手数料の徴収については、条例の定めるところにより、証紙による収入の方法によることができる。
2 証紙による収入の方法による場合においては、証紙の売りさばき代金をもつて歳入とする。
3 証紙による収入の方法によるものを除くほか、普通地方公共団体の歳入は、第二百三十五条の規定により金融機関が指定されている場合においては、政令の定めるところにより、口座振替の方法により、又は証券をもつて納付することができる。
4 前項の規定により納付された証券を支払の提示期間内又は有効期間内に提示し、支払の請求をした場合において、支払の拒絶があつたときは、当該歳入は、はじめから納付がなかつたものとみなす。この場合における当該証券の処分に関し必要な事項は、政令で定める。
5 証紙による収入の方法によるものを除くほか、普通地方公共団体の歳入については、第二百三十五条の規定により金融機関を指定していない市町村においては、政令の定めるところにより、納入義務者から証券の提供を受け、その証券の取立て及びその取り立てた金銭による納付の委託を受けることができる。

(指定納付受託者に対する納付の委託)
第231条の2の2

普通地方公共団体の歳入(第二百三十五条の四第項に規定する歳入歳出外現金を含む。以下「歳入等」という。)を納付しようとする者は、次の各号のいずれかに該当するときは、指定納付受託者(次条第項に規定する指定納付受託者をいう。第二号において同じ。)に納付を委託することができる。
一 歳入等の納付の通知に係る書面で総務省令で定めるものに基づき納付しようとするとき。
二 電子情報処理組織を使用して行う指定納付受託者に対する通知で総務省令で定めるものに基づき納付しようとするとき。

(指定納付受託者)
第231条の2の3

歳入等の納付に関する事務(以下「納付事務」という。)を適切かつ確実に遂行することができる者として政令で定める者のうち普通地方公共団体の長が総務省令で定めるところにより指定するもの(以下「指定納付受託者」という。)は、総務省令で定めるところにより、歳入等を納付しようとする者の委託を受けて、納付事務を行うことができる。
2 普通地方公共団体の長は、前項の規定による指定をしたときは、指定納付受託者の名称、住所又は事務所の所在地、指定納付受託者が行う納付事務に係る歳入等その他総務省令で定める事項を告示しなければならない。
3 指定納付受託者は、その名称、住所又は事務所の所在地を変更しようとするときは、総務省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を普通地方公共団体の長に届け出なければならない。
4 普通地方公共団体の長は、前項の規定による届出があつたときは、当該届出に係る事項を告示しなければならない。

(納付事務の委託)
第231条の2の4

第二百三十一条の二の二の規定により歳入等を納付しようとする者の委託を受けた指定納付受託者は、当該委託を受けた納付事務の一部を、納付事務を適切かつ確実に遂行することができる者として政令で定める者に委託することができる。

(指定納付受託者の納付)
第231条の2の5

指定納付受託者は、第二百三十一条の二の二の規定により歳入等を納付しようとする者の委託を受けたときは、普通地方公共団体が指定する日までに当該委託を受けた歳入等を納付しなければならない。
2 指定納付受託者は、第二百三十一条の二の二の規定により歳入等を納付しようとする者の委託を受けたときは、遅滞なく、総務省令で定めるところにより、その旨及び当該委託を受けた年月日を普通地方公共団体の長に報告しなければならない。
3 第項の場合において、当該指定納付受託者が同項の指定する日までに当該歳入等を納付したときは、当該委託を受けた日に当該歳入等の納付がされたものとみなす。

(指定納付受託者の帳簿保存等の義務)
第231条の2の6

指定納付受託者は、総務省令で定めるところにより、帳簿を備え付け、これに納付事務に関する事項を記載し、及びこれを保存しなければならない。
2 普通地方公共団体の長は、前三条、この条及び第二百三十一条の四の規定を施行するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、総務省令で定めるところにより、指定納付受託者に対し、報告をさせることができる。
3 普通地方公共団体の長は、前三条、この条及び第二百三十一条の四の規定を施行するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、その職員に、指定納付受託者の事務所に立ち入り、指定納付受託者の帳簿書類(その作成又は保存に代えて電磁的記録の作成又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。第二百四十三条の二の二第項において同じ。)その他必要な物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
4 前項の規定により立入検査を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
5 第項に規定する権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

(指定納付受託者の指定の取消し)
第231条の2の7

普通地方公共団体の長は、指定納付受託者が次の各号のいずれかに該当するときは、総務省令で定めるところにより、第二百三十一条の二の三第項の規定による指定を取り消すことができる。
一 第二百三十一条の二の三第項に規定する政令で定める者に該当しなくなつたとき。
二 第二百三十一条の二の五第項又は前条第項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
三 前条第項の規定に違反して、帳簿を備え付けず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかつたとき。
四 前条第項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。
2 普通地方公共団体の長は、前項の規定により指定を取り消したときは、その旨を告示しなければならない。

(督促、滞納処分等)
第231条の3

分担金、使用料、加入金、手数料、過料その他の普通地方公共団体の歳入を納期限までに納付しない者があるときは、普通地方公共団体の長は、期限を指定してこれを督促しなければならない。
2 普通地方公共団体の長は、前項の歳入について同項の規定による督促をした場合には、条例で定めるところにより、手数料及び延滞金を徴収することができる。
3 普通地方公共団体の長は、分担金、加入金、過料又は法律で定める使用料その他の普通地方公共団体の歳入(以下この項及び次条第項において「分担金等」という。)につき第項の規定による督促を受けた者が同項の規定により指定された期限までにその納付すべき金額を納付しないときは、当該分担金等並びに当該分担金等に係る前項の手数料及び延滞金について、地方税の滞納処分の例により処分することができる。この場合におけるこれらの徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
4 第項の歳入並びに第項の手数料及び延滞金の還付並びにこれらの徴収金の徴収又は還付に関する書類の送達及び公示送達については、地方税の例による。
5 普通地方公共団体の長以外の機関がした前各項の規定による処分についての審査請求は、普通地方公共団体の長が当該機関の最上級行政庁でない場合においても、当該普通地方公共団体の長に対してするものとする。
6 第項の規定により普通地方公共団体の長が地方税の滞納処分の例によりした処分についての審査請求については、地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第十九条の四の規定を準用する。
7 普通地方公共団体の長は、第項から第項までの規定による処分についての審査請求がされた場合には、当該審査請求が不適法であり、却下するときを除き、議会に諮問した上、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。
8 議会は、前項の規定による諮問を受けた日から二十日以内に意見を述べなければならない。
9 普通地方公共団体の長は、第項の規定による諮問をしないで同項の審査請求を却下したときは、その旨を議会に報告しなければならない。
10 第項の審査請求に対する裁決を経た後でなければ、第項から第項までの規定による処分については、裁判所に出訴することができない。
11 第項の規定による処分中差押物件の公売は、その処分が確定するまで執行を停止する。
12 第項の規定による処分は、当該普通地方公共団体の区域外においても、することができる。

(指定納付受託者からの歳入等の徴収等)
第231条の4

指定納付受託者が第二百三十一条の二の五第項の歳入等(分担金等であるものに限る。以下この項において同じ。)を同条第項の指定する日までに納付しない場合における当該歳入等の徴収については、地方税法第十三条の四の規定を準用する。この場合における当該歳入等に係る徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
2 普通地方公共団体の長以外の機関がした前項前段において準用する地方税法第十三条の四第項の規定による処分についての審査請求は、普通地方公共団体の長が当該機関の最上級行政庁でない場合においても、当該普通地方公共団体の長に対してするものとする。
3 第項前段において準用する地方税法第十三条の四第項の規定により普通地方公共団体の長がした処分についての審査請求については、同法第十九条の四の規定を準用する。
4 普通地方公共団体の長は、第項前段において準用する地方税法第十三条の四第項の規定による処分についての審査請求がされた場合には、当該審査請求が不適法であり、却下するときを除き、議会に諮問した上、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。
5 議会は、前項の規定による諮問を受けた日から二十日以内に意見を述べなければならない。
6 普通地方公共団体の長は、第項の規定による諮問をしないで同項の審査請求を却下したときは、その旨を議会に報告しなければならない。
7 第項の審査請求に対する裁決を経た後でなければ、第項前段において準用する地方税法第十三条の四第項の規定による処分については、裁判所に出訴することができない。
8 第項前段において準用する地方税法第十三条の四第項の規定による処分中差押物件の公売は、その処分が確定するまで執行を停止する。
9 第項前段において準用する地方税法第十三条の四第項の規定による処分は、当該普通地方公共団体の区域外においても、することができる。

第四節 支出

(経費の支弁等)
第232条

普通地方公共団体は、当該普通地方公共団体の事務を処理するために必要な経費その他法律又はこれに基づく政令により当該普通地方公共団体の負担に属する経費を支弁するものとする。
2 法律又はこれに基づく政令により普通地方公共団体に対し事務の処理を義務付ける場合においては、国は、そのために要する経費の財源につき必要な措置を講じなければならない。

(寄附又は補助)
第232条の2

普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄附又は補助をすることができる。

(支出負担行為)
第232条の3

普通地方公共団体の支出の原因となるべき契約その他の行為(これを支出負担行為という。)は、法令又は予算の定めるところに従い、これをしなければならない。

(支出の方法)
第232条の4

会計管理者は、普通地方公共団体の長の政令で定めるところによる命令がなければ、支出をすることができない。
2 会計管理者は、前項の命令を受けた場合においても、当該支出負担行為が法令又は予算に違反していないこと及び当該支出負担行為に係る債務が確定していることを確認したうえでなければ、支出をすることができない。

第232条の5

普通地方公共団体の支出は、債権者のためでなければ、これをすることができない。
2 普通地方公共団体の支出は、政令の定めるところにより、資金前渡、概算払、前金払、繰替払、隔地払又は口座振替の方法によつてこれをすることができる。

(小切手の振出し及び公金振替書の交付)
第232条の6

第二百三十五条の規定により金融機関を指定している普通地方公共団体における支出は、政令の定めるところにより、現金の交付に代え、当該金融機関を支払人とする小切手を振り出し、又は公金振替書を当該金融機関に交付してこれをするものとする。ただし、小切手を振り出すべき場合において、債権者から申出があるときは、会計管理者は、自ら現金で小口の支払をし、又は当該金融機関をして現金で支払をさせることができる。
2 前項の金融機関は、会計管理者の振り出した小切手の提示を受けた場合において、その小切手が振出日付から十日以上を経過しているものであつても一年を経過しないものであるときは、その支払をしなければならない。

第五節 決算

(決算)
第233条

会計管理者は、毎会計年度、政令で定めるところにより、決算を調製し、出納の閉鎖後三箇月以内に、証書類その他政令で定める書類と併せて、普通地方公共団体の長に提出しなければならない。
2 普通地方公共団体の長は、決算及び前項の書類を監査委員の審査に付さなければならない。
3 普通地方公共団体の長は、前項の規定により監査委員の審査に付した決算を監査委員の意見を付けて次の通常予算を議する会議までに議会の認定に付さなければならない。
4 前項の規定による意見の決定は、監査委員の合議によるものとする。
5 普通地方公共団体の長は、第項の規定により決算を議会の認定に付するに当たつては、当該決算に係る会計年度における主要な施策の成果を説明する書類その他政令で定める書類を併せて提出しなければならない。
6 普通地方公共団体の長は、第項の規定により議会の認定に付した決算の要領を住民に公表しなければならない。
7 普通地方公共団体の長は、第項の規定による決算の認定に関する議案が否決された場合において、当該議決を踏まえて必要と認める措置を講じたときは、速やかに、当該措置の内容を議会に報告するとともに、これを公表しなければならない。

(歳計剰余金の処分)
第233条の2

各会計年度において決算上剰余金を生じたときは、翌年度の歳入に編入しなければならない。ただし、条例の定めるところにより、又は普通地方公共団体の議会の議決により、剰余金の全部又は一部を翌年度に繰り越さないで基金に編入することができる。

第六節 契約

(契約の締結)
第234条

売買、貸借、請負その他の契約は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約又はせり売りの方法により締結するものとする。
2 前項の指名競争入札、随意契約又はせり売りは、政令で定める場合に該当するときに限り、これによることができる。
3 普通地方公共団体は、一般競争入札又は指名競争入札(以下この条において「競争入札」という。)に付する場合においては、政令の定めるところにより、契約の目的に応じ、予定価格の制限の範囲内で最高又は最低の価格をもつて申込みをした者を契約の相手方とするものとする。ただし、普通地方公共団体の支出の原因となる契約については、政令の定めるところにより、予定価格の制限の範囲内の価格をもつて申込みをした者のうち最低の価格をもつて申込みをした者以外の者を契約の相手方とすることができる。
4 普通地方公共団体が競争入札につき入札保証金を納付させた場合において、落札者が契約を締結しないときは、その者の納付に係る入札保証金(政令の定めるところによりその納付に代えて提供された担保を含む。)は、当該普通地方公共団体に帰属するものとする。
5 普通地方公共団体が契約につき契約書又は契約内容を記録した電磁的記録を作成する場合においては、当該普通地方公共団体の長又はその委任を受けた者が契約の相手方とともに、契約書に記名押印し、又は契約内容を記録した電磁的記録に当該普通地方公共団体の長若しくはその委任を受けた者及び契約の相手方の作成に係るものであることを示すために講ずる措置であつて、当該電磁的記録が改変されているかどうかを確認することができる等これらの者の作成に係るものであることを確実に示すことができるものとして総務省令で定めるものを講じなければ、当該契約は、確定しないものとする。
6 競争入札に加わろうとする者に必要な資格、競争入札における公告又は指名の方法、随意契約及びせり売りの手続その他契約の締結の方法に関し必要な事項は、政令でこれを定める。

(契約の履行の確保)
第234条の2

普通地方公共団体が工事若しくは製造その他についての請負契約又は物件の買入れその他の契約を締結した場合においては、当該普通地方公共団体の職員は、政令の定めるところにより、契約の適正な履行を確保するため又はその受ける給付の完了の確認(給付の完了前に代価の一部を支払う必要がある場合において行なう工事若しくは製造の既済部分又は物件の既納部分の確認を含む。)をするため必要な監督又は検査をしなければならない。
2 普通地方公共団体が契約の相手方をして契約保証金を納付させた場合において、契約の相手方が契約上の義務を履行しないときは、その契約保証金(政令の定めるところによりその納付に代えて提供された担保を含む。)は、当該普通地方公共団体に帰属するものとする。ただし、損害の賠償又は違約金について契約で別段の定めをしたときは、その定めたところによるものとする。

(長期継続契約)
第234条の3

普通地方公共団体は、第二百十四条の規定にかかわらず、翌年度以降にわたり、電気、ガス若しくは水の供給若しくは電気通信役務の提供を受ける契約又は不動産を借りる契約その他政令で定める契約を締結することができる。この場合においては、各年度におけるこれらの経費の予算の範囲内においてその給付を受けなければならない。

第七節 現金及び有価証券

(金融機関の指定)
第235条

都道府県は、政令の定めるところにより、金融機関を指定して、都道府県の公金の収納又は支払の事務を取り扱わせなければならない。
2 市町村は、政令の定めるところにより、金融機関を指定して、市町村の公金の収納又は支払の事務を取り扱わせることができる。

(現金出納の検査及び公金の収納等の監査)
第235条の2

普通地方公共団体の現金の出納は、毎月例日を定めて監査委員がこれを検査しなければならない。
2 監査委員は、必要があると認めるとき、又は普通地方公共団体の長の要求があるときは、前条の規定により指定された金融機関が取り扱う当該普通地方公共団体の公金の収納又は支払の事務について監査することができる。
3 監査委員は、第項の規定による検査の結果に関する報告又は前項の規定による監査の結果に関する報告を普通地方公共団体の議会及び長に提出しなければならない。

(一時借入金)
第235条の3

普通地方公共団体の長は、歳出予算内の支出をするため、一時借入金を借り入れることができる。
2 前項の規定による一時借入金の借入れの最高額は、予算でこれを定めなければならない。
3 第項の規定による一時借入金は、その会計年度の歳入をもつて償還しなければならない。

(現金及び有価証券の保管)
第235条の4

普通地方公共団体の歳入歳出に属する現金(以下「歳計現金」という。)は、政令の定めるところにより、最も確実かつ有利な方法によりこれを保管しなければならない。
2 債権の担保として徴するもののほか、普通地方公共団体の所有に属しない現金又は有価証券は、法律又は政令の規定によるのでなければ、これを保管することができない。
3 法令又は契約に特別の定めがあるものを除くほか、普通地方公共団体が保管する前項の現金(以下「歳入歳出外現金」という。)には、利子を付さない。

(出納の閉鎖)
第235条の5

普通地方公共団体の出納は、翌年度の五月三十一日をもつて閉鎖する。

第八節 時効

(金銭債権の消滅時効)
第236条

金銭の給付を目的とする普通地方公共団体の権利は、時効に関し他の法律に定めがあるものを除くほか、これを行使することができる時から五年間行使しないときは、時効によつて消滅する。普通地方公共団体に対する権利で、金銭の給付を目的とするものについても、また同様とする。
2 金銭の給付を目的とする普通地方公共団体の権利の時効による消滅については、法律に特別の定めがある場合を除くほか、時効の援用を要せず、また、その利益を放棄することができないものとする。普通地方公共団体に対する権利で、金銭の給付を目的とするものについても、また同様とする。
3 金銭の給付を目的とする普通地方公共団体の権利について、消滅時効の完成猶予、更新その他の事項(前項に規定する事項を除く。)に関し、適用すべき法律の規定がないときは、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定を準用する。普通地方公共団体に対する権利で、金銭の給付を目的とするものについても、また同様とする。
4 法令の規定により普通地方公共団体がする納入の通知及び督促は、時効の更新の効力を有する。

第九節 財産

(財産の管理及び処分)
第237条

この法律において「財産」とは、公有財産、物品及び債権並びに基金をいう。
2 第二百三十八条の四第項の規定の適用がある場合を除き、普通地方公共団体の財産は、条例又は議会の議決による場合でなければ、これを交換し、出資の目的とし、若しくは支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けてはならない。
3 普通地方公共団体の財産は、第二百三十八条の五第項の規定の適用がある場合で議会の議決によるとき又は同条第項の規定の適用がある場合でなければ、これを信託してはならない。

第一款 公有財産

(公有財産の範囲及び分類)
第238条

この法律において「公有財産」とは、普通地方公共団体の所有に属する財産のうち次に掲げるもの(基金に属するものを除く。)をいう。
一 不動産
二 船舶、浮標、浮桟橋及び浮ドック並びに航空機
三 前二号に掲げる不動産及び動産の従物
四 地上権、地役権、鉱業権その他これらに準ずる権利
五 特許権、著作権、商標権、実用新案権その他これらに準ずる権利
六 株式、社債(特別の法律により設立された法人の発行する債券に表示されるべき権利を含み、短期社債等を除く。)、地方債及び国債その他これらに準ずる権利
七 出資による権利
八 財産の信託の受益権
2 前項第六号の「短期社債等」とは、次に掲げるものをいう。
一 社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)第六十六条第一号に規定する短期社債
二 投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第百三十九条の十二第項に規定する短期投資法人債
三 信用金庫法(昭和二十六年法律第二百三十八号)第五十四条の四第項に規定する短期債
四 保険業法(平成七年法律第百五号)第六十一条の十第項に規定する短期社債
五 資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第二条第項に規定する特定短期社債
六 農林中央金庫法(平成十三年法律第九十三号)第六十二条の二第項に規定する短期農林債
3 公有財産は、これを行政財産と普通財産とに分類する。
4 行政財産とは、普通地方公共団体において公用又は公共用に供し、又は供することと決定した財産をいい、普通財産とは、行政財産以外の一切の公有財産をいう。

(公有財産に関する長の総合調整権)
第238条の2

普通地方公共団体の長は、公有財産の効率的運用を図るため必要があると認めるときは、委員会若しくは委員又はこれらの管理に属する機関で権限を有するものに対し、公有財産の取得又は管理について、報告を求め、実地について調査し、又はその結果に基づいて必要な措置を講ずべきことを求めることができる。
2 普通地方公共団体の委員会若しくは委員又はこれらの管理に属する機関で権限を有するものは、公有財産を取得し、又は行政財産の用途を変更し、若しくは第二百三十八条の四第項若しくは第項(同条第項において準用する場合を含む。)の規定による行政財産である土地の貸付け若しくはこれに対する地上権若しくは地役権の設定若しくは同条第項の規定による行政財産の使用の許可で当該普通地方公共団体の長が指定するものをしようとするときは、あらかじめ当該普通地方公共団体の長に協議しなければならない。
3 普通地方公共団体の委員会若しくは委員又はこれらの管理に属する機関で権限を有するものは、その管理に属する行政財産の用途を廃止したときは、直ちにこれを当該普通地方公共団体の長に引き継がなければならない。

(職員の行為の制限)
第238条の3

公有財産に関する事務に従事する職員は、その取扱いに係る公有財産を譲り受け、又は自己の所有物と交換することができない。
2 前項の規定に違反する行為は、これを無効とする。

(行政財産の管理及び処分)
第238条の4

行政財産は、次項から第項までに定めるものを除くほか、これを貸し付け、交換し、売り払い、譲与し、出資の目的とし、若しくは信託し、又はこれに私権を設定することができない。
2 行政財産は、次に掲げる場合には、その用途又は目的を妨げない限度において、貸し付け、又は私権を設定することができる。
一 当該普通地方公共団体以外の者が行政財産である土地の上に政令で定める堅固な建物その他の土地に定着する工作物であつて当該行政財産である土地の供用の目的を効果的に達成することに資すると認められるものを所有し、又は所有しようとする場合(当該普通地方公共団体と一棟の建物を区分して所有する場合を除く。)において、その者(当該行政財産を管理する普通地方公共団体が当該行政財産の適正な方法による管理を行う上で適当と認める者に限る。)に当該土地を貸し付けるとき。
二 普通地方公共団体が国、他の地方公共団体又は政令で定める法人と行政財産である土地の上に一棟の建物を区分して所有するためその者に当該土地を貸し付ける場合
三 普通地方公共団体が行政財産である土地及びその隣接地の上に当該普通地方公共団体以外の者と一棟の建物を区分して所有するためその者(当該建物のうち行政財産である部分を管理する普通地方公共団体が当該行政財産の適正な方法による管理を行う上で適当と認める者に限る。)に当該土地を貸し付ける場合
四 行政財産のうち庁舎その他の建物及びその附帯施設並びにこれらの敷地(以下この号において「庁舎等」という。)についてその床面積又は敷地に余裕がある場合として政令で定める場合において、当該普通地方公共団体以外の者(当該庁舎等を管理する普通地方公共団体が当該庁舎等の適正な方法による管理を行う上で適当と認める者に限る。)に当該余裕がある部分を貸し付けるとき(前三号に掲げる場合に該当する場合を除く。)。
五 行政財産である土地を国、他の地方公共団体又は政令で定める法人の経営する鉄道、道路その他政令で定める施設の用に供する場合において、その者のために当該土地に地上権を設定するとき。
六 行政財産である土地を国、他の地方公共団体又は政令で定める法人の使用する電線路その他政令で定める施設の用に供する場合において、その者のために当該土地に地役権を設定するとき。
3 前項第二号に掲げる場合において、当該行政財産である土地の貸付けを受けた者が当該土地の上に所有する一棟の建物の一部(以下この項及び次項において「特定施設」という。)を当該普通地方公共団体以外の者に譲渡しようとするときは、当該特定施設を譲り受けようとする者(当該行政財産を管理する普通地方公共団体が当該行政財産の適正な方法による管理を行う上で適当と認める者に限る。)に当該土地を貸し付けることができる。
4 前項の規定は、同項(この項において準用する場合を含む。)の規定により行政財産である土地の貸付けを受けた者が当該特定施設を譲渡しようとする場合について準用する。
5 前三項の場合においては、次条第項及び第項の規定を準用する。
6 第項の規定に違反する行為は、これを無効とする。
7 行政財産は、その用途又は目的を妨げない限度においてその使用を許可することができる。
8 前項の規定による許可を受けてする行政財産の使用については、借地借家法(平成三年法律第九十号)の規定は、これを適用しない。
9 第項の規定により行政財産の使用を許可した場合において、公用若しくは公共用に供するため必要を生じたとき、又は許可の条件に違反する行為があると認めるときは、普通地方公共団体の長又は委員会は、その許可を取り消すことができる。

(普通財産の管理及び処分)
第238条の5

普通財産は、これを貸し付け、交換し、売り払い、譲与し、若しくは出資の目的とし、又はこれに私権を設定することができる。
2 普通財産である土地(その土地の定着物を含む。)は、当該普通地方公共団体を受益者として政令で定める信託の目的により、これを信託することができる。
3 普通財産のうち国債その他の政令で定める有価証券(以下この項において「国債等」という。)は、当該普通地方公共団体を受益者として、指定金融機関その他の確実な金融機関に国債等をその価額に相当する担保の提供を受けて貸し付ける方法により当該国債等を運用することを信託の目的とする場合に限り、信託することができる。
4 普通財産を貸し付けた場合において、その貸付期間中に国、地方公共団体その他公共団体において公用又は公共用に供するため必要を生じたときは、普通地方公共団体の長は、その契約を解除することができる。
5 前項の規定により契約を解除した場合においては、借受人は、これによつて生じた損失につきその補償を求めることができる。
6 普通地方公共団体の長が一定の用途並びにその用途に供しなければならない期日及び期間を指定して普通財産を貸し付けた場合において、借受人が指定された期日を経過してもなおこれをその用途に供せず、又はこれをその用途に供した後指定された期間内にその用途を廃止したときは、当該普通地方公共団体の長は、その契約を解除することができる。
7 第項及び第項の規定は貸付け以外の方法により普通財産を使用させる場合に、前項の規定は普通財産を売り払い、又は譲与する場合に準用する。
8 第項から第項までの規定は、普通財産である土地(その土地の定着物を含む。)を信託する場合に準用する。
9 第項に定めるもののほか普通財産の売払いに関し必要な事項及び普通財産の交換に関し必要な事項は、政令でこれを定める。

(旧慣による公有財産の使用)
第238条の6

  1. 旧来の慣行により市町村の住民中特に公有財産を使用する権利を有する者があるときは、その旧慣による。その旧慣を変更し、又は廃止しようとするときは、市町村の議会の議決を経なければならない。

  2. 前項の公有財産をあらたに使用しようとする者があるときは、市町村長は、議会の議決を経て、これを許可することができる。

(行政財産を使用する権利に関する処分についての審査請求)
第238条の7

  1. 第238条の4の規定により普通地方公共団体の長以外の機関がした行政財産を使用する権利に関する処分についての審査請求は、普通地方公共団体の長が当該機関の最上級行政庁でない場合においても、当該普通地方公共団体の長に対してするものとする。

  2. 普通地方公共団体の長は、行政財産を使用する権利に関する処分についての審査請求がされた場合には、当該審査請求が不適法であり、却下するときを除き、議会に諮問した上、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。

  3. 議会は、前項の規定による諮問を受けた日から20日以内に意見を述べなければならない。

  4. 普通地方公共団体の長は、第項の規定による諮問をしないで同項の審査請求を却下したときは、その旨を議会に報告しなければならない。

第二款 物品

(物品)
第239条

  1. この法律において「物品」とは、普通地方公共団体の所有に属する動産で次の各号に掲げるもの以外のもの及び普通地方公共団体が使用のために保管する動産(政令で定める動産を除く。)をいう。
    • 一 現金(現金に代えて納付される証券を含む。)
    • 二 公有財産に属するもの
    • 三 基金に属するもの

  2. 物品に関する事務に従事する職員は、その取扱いに係る物品(政令で定める物品を除く。)を普通地方公共団体から譲り受けることができない。

  3. 前項の規定に違反する行為は、これを無効とする。

  4. 前二項に定めるもののほか、物品の管理及び処分に関し必要な事項は、政令でこれを定める。

  5. 普通地方公共団体の所有に属しない動産で普通地方公共団体が保管するもの(使用のために保管するものを除く。)のうち政令で定めるもの(以下「占有動産」という。)の管理に関し必要な事項は、政令でこれを定める。

第三款 債権

(債権)
第240条

  1. この章において「債権」とは、金銭の給付を目的とする普通地方公共団体の権利をいう。

  2. 普通地方公共団体の長は、債権について、政令の定めるところにより、その督促、強制執行その他その保全及び取立てに関し必要な措置をとらなければならない。

  3. 普通地方公共団体の長は、債権について、政令の定めるところにより、その徴収停止、履行期限の延長又は当該債権に係る債務の免除をすることができる。

  4. 前二項の規定は、次の各号に掲げる債権については、これを適用しない。
    • 一 地方税法の規定に基づく徴収金に係る債権
    • 二 過料に係る債権
    • 三 証券に化体されている債権(国債に関する法律(明治39年法律第34号)の規定により登録されたもの及び社債、株式等の振替に関する法律の規定により振替口座簿に記載され、又は記録されたものを含む。)
    • 四 電子記録債権法(平成19年法律第102号)第2条第項に規定する電子記録債権
    • 五 預金に係る債権
    • 六 歳入歳出外現金となるべき金銭の給付を目的とする債権
    • 七 寄附金に係る債権
    • 八 基金に属する債権

第四款 基金

(基金)
第241条

  1. 普通地方公共団体は、条例の定めるところにより、特定の目的のために財産を維持し、資金を積み立て、又は定額の資金を運用するための基金を設けることができる。

  2. 基金は、これを前項の条例で定める特定の目的に応じ、及び確実かつ効率的に運用しなければならない。

  3. 項の規定により特定の目的のために財産を取得し、又は資金を積み立てるための基金を設けた場合においては、当該目的のためでなければこれを処分することができない。

  4. 基金の運用から生ずる収益及び基金の管理に要する経費は、それぞれ毎会計年度の歳入歳出予算に計上しなければならない。

  5. 項の規定により特定の目的のために定額の資金を運用するための基金を設けた場合においては、普通地方公共団体の長は、毎会計年度、その運用の状況を示す書類を作成し、これを監査委員の審査に付し、その意見を付けて、第233条項の書類と併せて議会に提出しなければならない。


    前項の規定による意見の決定は、監査委員の合議によるものとする。

  6. 基金の管理については、基金に属する財産の種類に応じ、収入若しくは支出の手続、歳計現金の出納若しくは保管、公有財産若しくは物品の管理若しくは処分又は債権の管理の例による。

  7. 項から前項までに定めるもののほか、基金の管理及び処分に関し必要な事項は、条例でこれを定めなければならない。

第十節 住民による監査請求及び訴訟

(住民監査請求)
第242条

  1. 普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、違法若しくは不当な公金の支出、財産の取得、管理若しくは処分、契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担がある(当該行為がなされることが相当の確実さをもつて予測される場合を含む。)と認めるとき、又は違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実(以下「怠る事実」という。)があると認めるときは、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、若しくは是正し、若しくは当該怠る事実を改め、又は当該行為若しくは怠る事実によつて当該普通地方公共団体の被つた損害を補塡するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる。

  2. 前項の規定による請求は、当該行為のあつた日又は終わつた日から1年を経過したときは、これをすることができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。


    項の規定による請求があつたときは、監査委員は、直ちに当該請求の要旨を当該普通地方公共団体の議会及び長に通知しなければならない。

  3. 項の規定による請求があつた場合において、当該行為が違法であると思料するに足りる相当な理由があり、当該行為により当該普通地方公共団体に生ずる回復の困難な損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、当該行為を停止することによつて人の生命又は身体に対する重大な危害の発生の防止その他公共の福祉を著しく阻害するおそれがないと認めるときは、監査委員は、当該普通地方公共団体の長その他の執行機関又は職員に対し、理由を付して次項の手続が終了するまでの間当該行為を停止すべきことを勧告することができる。この場合において、監査委員は、当該勧告の内容を第項の規定による請求人(以下この条において「請求人」という。)に通知するとともに、これを公表しなければならない。

  4. 項の規定による請求があつた場合には、監査委員は、監査を行い、当該請求に理由がないと認めるときは、理由を付してその旨を書面により請求人に通知するとともに、これを公表し、当該請求に理由があると認めるときは、当該普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関又は職員に対し期間を示して必要な措置を講ずべきことを勧告するとともに、当該勧告の内容を請求人に通知し、かつ、これを公表しなければならない。

  5. 前項の規定による監査委員の監査及び勧告は、第項の規定による請求があつた日から60日以内に行わなければならない。

  6. 監査委員は、第項の規定による監査を行うに当たつては、請求人に証拠の提出及び陳述の機会を与えなければならない。

  7. 監査委員は、前項の規定による陳述の聴取を行う場合又は関係のある当該普通地方公共団体の長その他の執行機関若しくは職員の陳述の聴取を行う場合において、必要があると認めるときは、関係のある当該普通地方公共団体の長その他の執行機関若しくは職員又は請求人を立ち会わせることができる。

  8. 項の規定による監査委員の勧告があつたときは、当該勧告を受けた議会、長その他の執行機関又は職員は、当該勧告に示された期間内に必要な措置を講ずるとともに、その旨を監査委員に通知しなければならない。この場合において、監査委員は、当該通知に係る事項を請求人に通知するとともに、これを公表しなければならない。


    普通地方公共団体の議会は、第項の規定による請求があつた後に、当該請求に係る行為又は怠る事実に関する損害賠償又は不当利得返還の請求権その他の権利の放棄に関する議決をしようとするときは、あらかじめ監査委員の意見を聴かなければならない。

  9. 項の規定による勧告、第項の規定による監査及び勧告並びに前項の規定による意見についての決定は、監査委員の合議によるものとする。

(住民訴訟)
第242条の2

  1. 普通地方公共団体の住民は、前条第項の規定による請求をした場合において、同条第項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第項の規定による監査若しくは勧告を同条第項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもつて次に掲げる請求をすることができる。

    • 一 当該執行機関又は職員に対する当該行為の全部又は一部の差止めの請求
    • 二 行政処分たる当該行為の取消し又は無効確認の請求
    • 三 当該執行機関又は職員に対する当該怠る事実の違法確認の請求
    • 四 当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求める請求。ただし、当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方が第243条の2の8項の規定による賠償の命令の対象となる者である場合には、当該賠償の命令をすることを求める請求

  2. 前項の規定による訴訟は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める期間内に提起しなければならない。
    • 一 監査委員の監査の結果又は勧告に不服がある場合 当該監査の結果又は当該勧告の内容の通知があつた日から30日以内
    • 二 監査委員の勧告を受けた議会、長その他の執行機関又は職員の措置に不服がある場合 当該措置に係る監査委員の通知があつた日から30日以内
    • 三 監査委員が請求をした日から60日を経過しても監査又は勧告を行わない場合 当該60日を経過した日から30日以内
    • 四 監査委員の勧告を受けた議会、長その他の執行機関又は職員が措置を講じない場合 当該勧告に示された期間を経過した日から30日以内

  3. 前項の期間は、不変期間とする。

  4. 項の規定による訴訟が係属しているときは、当該普通地方公共団体の他の住民は、別訴をもつて同一の請求をすることができない。


    項の規定による訴訟は、当該普通地方公共団体の事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する。

  5. 項第一号の規定による請求に基づく差止めは、当該行為を差し止めることによつて人の生命又は身体に対する重大な危害の発生の防止その他公共の福祉を著しく阻害するおそれがあるときは、することができない。


    項第四号の規定による訴訟が提起された場合には、当該職員又は当該行為若しくは怠る事実の相手方に対して、当該普通地方公共団体の執行機関又は職員は、遅滞なく、その訴訟の告知をしなければならない。


    前項の訴訟告知があつたときは、第項第四号の規定による訴訟が終了した日から六月を経過するまでの間は、当該訴訟に係る損害賠償又は不当利得返還の請求権の時効は、完成しない。

  6. 民法第153条項の規定は、前項の規定による時効の完成猶予について準用する。

  7. 項に規定する違法な行為又は怠る事実については、民事保全法(平成元年法律第91号)に規定する仮処分をすることができない。

  8. 項から前項までに定めるもののほか、第項の規定による訴訟については、行政事件訴訟法第43条の規定の適用があるものとする。

  9. 項の規定による訴訟を提起した者が勝訴(一部勝訴を含む。)した場合において、弁護士、弁護士法人又は弁護士・外国法事務弁護士共同法人に報酬を支払うべきときは、当該普通地方公共団体に対し、その報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払を請求することができる。

(訴訟の提起)
第242条の3

  1. 前条項第四号本文の規定による訴訟について、損害賠償又は不当利得返還の請求を命ずる判決が確定した場合においては、普通地方公共団体の長は、当該判決が確定した日から60日以内の日を期限として、当該請求に係る損害賠償金又は不当利得の返還金の支払を請求しなければならない。

  2. 前項に規定する場合において、当該判決が確定した日から60日以内に当該請求に係る損害賠償金又は不当利得による返還金が支払われないときは、当該普通地方公共団体は、当該損害賠償又は不当利得返還の請求を目的とする訴訟を提起しなければならない。

  3. 前項の訴訟の提起については、第96条項第十二号の規定にかかわらず、当該普通地方公共団体の議会の議決を要しない。

  4. 前条項第四号本文の規定による訴訟の裁判が同条第項の訴訟告知を受けた者に対してもその効力を有するときは、当該訴訟の裁判は、当該普通地方公共団体と当該訴訟告知を受けた者との間においてもその効力を有する。

  5. 前条項第四号本文の規定による訴訟について、普通地方公共団体の執行機関又は職員に損害賠償又は不当利得返還の請求を命ずる判決が確定した場合において、当該普通地方公共団体がその長に対し当該損害賠償又は不当利得返還の請求を目的とする訴訟を提起するときは、当該訴訟については、代表監査委員が当該普通地方公共団体を代表する。

第十一節 雑則

(私人の公金取扱いの制限)
第243条

普通地方公共団体は、法律若しくはこれに基づく政令に特別の定めがある場合又は次条第項の規定により委託する場合を除くほか、公金の徴収若しくは収納又は支出の権限を私人に委任し、又は私人をして行わせてはならない。

(指定公金事務取扱者)
第243条の2

  1. 普通地方公共団体の長は、公金の徴収若しくは収納又は支出に関する事務(以下この条及び次条第項において「公金事務」という。)を適切かつ確実に遂行することができる者として政令で定める者のうち当該普通地方公共団体の長が総務省令で定めるところにより指定するものに、この条から第243条の2の6までの規定の定めるところにより、公金事務を委託することができる。

  2. 普通地方公共団体の長は、前項の規定による委託をしたときは、当該委託を受けた者(以下「指定公金事務取扱者」という。)の名称、住所又は事務所の所在地、指定公金事務取扱者に委託した公金事務に係る歳入等又は歳出その他総務省令で定める事項を告示しなければならない。

  3. 指定公金事務取扱者は、その名称、住所又は事務所の所在地を変更しようとするときは、総務省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を普通地方公共団体の長に届け出なければならない。

  4. 普通地方公共団体の長は、前項の規定による届出があつたときは、当該届出に係る事項を告示しなければならない。

  5. 指定公金事務取扱者は、第項の規定により委託を受けた公金事務の一部について、公金事務を適切かつ確実に遂行することができる者として政令で定める者に委託をすることができる。この場合において、指定公金事務取扱者は、あらかじめ、当該委託について普通地方公共団体の長の承認を受けなければならない。

  6. 前項の規定により公金事務の一部の委託を受けた者は、当該委託をした指定公金事務取扱者の許諾を得た場合であつて、かつ、公金事務を適切かつ確実に遂行することができる者として政令で定める者に対してするときに限り、その一部の再委託をすることができる。
    この場合において、指定公金事務取扱者は、あらかじめ、当該再委託について普通地方公共団体の長の承認を受けなければならない。

  7. 前項の規定により公金事務の一部の再委託を受けた者は、当該公金事務の一部の委託を受けた者とみなして、同項の規定を適用する。

  8. 会計管理者は、指定公金事務取扱者について、定期及び臨時に公金事務の状況を検査しなければならない。

  9. 会計管理者は、前項の規定による検査をしたときは、その結果に基づき、指定公金事務取扱者に対して必要な措置を講ずべきことを求めることができる。

  10. 監査委員は、第項の規定による検査について、会計管理者に対し報告を求めることができる。

(指定公金事務取扱者の帳簿保存等の義務)
第243条の2の2

  1. 指定公金事務取扱者は、総務省令で定めるところにより、帳簿を備え付け、これに公金事務に関する事項を記載し、及びこれを保存しなければならない。

  2. 普通地方公共団体の長は、前条、この条及び第243条の2の4から第243条の2の6までの規定を施行するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、総務省令で定めるところにより、指定公金事務取扱者に対し、報告をさせることができる。

  3. 普通地方公共団体の長は、前条、この条及び第243条の2の4から第243条の2の6までの規定を施行するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、その職員に、指定公金事務取扱者の事務所に立ち入り、指定公金事務取扱者の帳簿書類その他必要な物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。

  4. 前項の規定により立入検査を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

  5. 項に規定する権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

(指定公金事務取扱者の指定の取消し)
第243条の2の3

  1. 普通地方公共団体の長は、指定公金事務取扱者が次の各号のいずれかに該当するときは、総務省令で定めるところにより、第243条の2項の規定による指定を取り消すことができる。
    • 一 第243条の2項に規定する政令で定める者に該当しなくなつたとき。
    • 二 前条項の規定に違反して、帳簿を備え付けず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかつたとき。
    • 三 前条項又は第243条の2の6項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
    • 四 前条項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。

  2. 普通地方公共団体の長は、前項の規定により指定を取り消したときは、その旨を告示しなければならない。

(公金の徴収の委託)
第243条の2の4

  1. 普通地方公共団体の長が第243条の2項の規定によりその徴収に関する事務を委託することができる歳入は、他の法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、政令で定めるものとする。

  2. 指定公金事務取扱者(歳入の徴収に関する事務の委託を受けた者に限る。以下この条において同じ。)は、現金の納付その他総務省令で定める方法により納入義務者から歳入の納付を受けるものとする。

  3. 前項の場合において、普通地方公共団体の歳入の納入義務は、納入義務者が指定公金事務取扱者に当該歳入を納付したときに履行されたものとする。

  4. 指定公金事務取扱者は、政令の定めるところにより、その徴収した歳入を普通地方公共団体に払い込まなければならない。

(公金の収納の委託)
第243条の2の5

  1. 普通地方公共団体の長が第243条の2項の規定によりその収納に関する事務を委託することができる歳入等は、次の各号のいずれにも該当するものとして当該普通地方公共団体の長が定めるものとする。
    • 一 指定公金事務取扱者が収納することにより、その収入の確保及び住民の便益の増進に寄与すると認められるもの
    • 二 その性質上その収納に関する事務を委託することが適当でないものとして総務省令で定めるもの以外のもの

  2. 指定公金事務取扱者(歳入等の収納に関する事務の委託を受けた者に限る。次項において同じ。)は、第231条の規定による納入の通知(その性質上納入の通知を必要としない歳入等にあつては、普通地方公共団体の長が定める方法)に基づかなければ、歳入等の収納をすることができない。

  3. 前条第項から第項までの規定は、指定公金事務取扱者が歳入等の収納をする場合について準用する。

(公金の支出の委託)
第243条の2の6

  1. 普通地方公共団体の長が第243条の2項の規定によりその支出に関する事務を委託することができる歳出は、他の法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、政令で定めるものとする。

  2. 普通地方公共団体の長は、指定公金事務取扱者(歳出の支出に関する事務の委託を受けた者に限る。次項において同じ。)に対し、当該支出に必要な資金を交付するものとする。

  3. 指定公金事務取扱者は、普通地方公共団体の規則の定めるところにより、その支出の結果を会計管理者に報告しなければならない。

(普通地方公共団体の長等の損害賠償責任の一部免責)
第243条の2の7

  1. 普通地方公共団体は、条例で、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会の委員若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員(次条第項の規定による賠償の命令の対象となる者を除く。以下この項において「普通地方公共団体の長等」という。)の当該普通地方公共団体に対する損害を賠償する責任を、普通地方公共団体の長等が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、普通地方公共団体の長等が賠償の責任を負う額から、普通地方公共団体の長等の職責その他の事情を考慮して政令で定める基準を参酌して、政令で定める額以上で当該条例で定める額を控除して得た額について免れさせる旨を定めることができる。

  2. 普通地方公共団体の議会は、前項の条例の制定又は改廃に関する議決をしようとするときは、あらかじめ監査委員の意見を聴かなければならない。

  3. 前項の規定による意見の決定は、監査委員の合議によるものとする。

(職員の賠償責任)
第243条の2の8

  1. 会計管理者若しくは会計管理者の事務を補助する職員、資金前渡を受けた職員、占有動産を保管している職員又は物品を使用している職員が故意又は重大な過失(現金については、故意又は過失)により、その保管に係る現金、有価証券、物品(基金に属する動産を含む。)若しくは占有動産又はその使用に係る物品を亡失し、又は損傷したときは、これによつて生じた損害を賠償しなければならない。

    次に掲げる行為をする権限を有する職員又はその権限に属する事務を直接補助する職員で普通地方公共団体の規則で指定したものが故意又は重大な過失により法令の規定に違反して当該行為をしたこと又は怠つたことにより普通地方公共団体に損害を与えたときも、同様とする。
    • 一 支出負担行為
    • 二 第232条の4項の命令又は同条第項の確認
    • 三 支出又は支払
    • 四 第234条の2項の監督又は検査

  2. 前項の場合において、その損害が2人以上の職員の行為により生じたものであるときは、当該職員は、それぞれの職分に応じ、かつ、当該行為が当該損害の発生の原因となつた程度に応じて賠償の責めに任ずるものとする。

  3. 普通地方公共団体の長は、第項の職員が同項に規定する行為により当該普通地方公共団体に損害を与えたと認めるときは、監査委員に対し、その事実があるかどうかを監査し、賠償責任の有無及び賠償額を決定することを求め、その決定に基づき、期限を定めて賠償を命じなければならない。

  4. 第242条の2項第四号ただし書の規定による訴訟について、賠償の命令を命ずる判決が確定した場合には、普通地方公共団体の長は、当該判決が確定した日から60日以内の日を期限として、賠償を命じなければならない。この場合においては、前項の規定による監査委員の監査及び決定を求めることを要しない。

  5. 前項の規定により賠償を命じた場合において、当該判決が確定した日から60日以内に当該賠償の命令に係る損害賠償金が支払われないときは、当該普通地方公共団体は、当該損害賠償の請求を目的とする訴訟を提起しなければならない。

  6. 前項の訴訟の提起については、第96条項第十二号の規定にかかわらず、当該普通地方公共団体の議会の議決を要しない。

  7. 第242条の2項第四号ただし書の規定による訴訟の判決に従いなされた賠償の命令について取消訴訟が提起されているときは、裁判所は、当該取消訴訟の判決が確定するまで、当該賠償の命令に係る損害賠償の請求を目的とする訴訟の訴訟手続を中止しなければならない。

  8. 項の規定により監査委員が賠償責任があると決定した場合において、普通地方公共団体の長は、当該職員からなされた当該損害が避けることのできない事故その他やむを得ない事情によるものであることの証明を相当と認めるときは、議会の同意を得て、賠償責任の全部又は一部を免除することができる。
    この場合においては、あらかじめ監査委員の意見を聴き、その意見を付けて議会に付議しなければならない。

  9. 項の規定による決定又は前項後段の規定による意見の決定は、監査委員の合議によるものとする。

  10. 第242条の2項第四号ただし書の規定による訴訟の判決に従い第項の規定による処分がなされた場合には、当該処分については、審査請求をすることができない。

  11. 普通地方公共団体の長は、第項の規定による処分についての審査請求がされた場合には、当該審査請求が不適法であり、却下するときを除き、議会に諮問した上、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。

  12. 議会は、前項の規定による諮問を受けた日から20日以内に意見を述べなければならない。

  13. 普通地方公共団体の長は、第項の規定による諮問をしないで同項の審査請求を却下したときは、その旨を議会に報告しなければならない。

  14. 項の規定により損害を賠償しなければならない場合には、同項の職員の賠償責任については、賠償責任に関する民法の規定は、適用しない。

(財政状況の公表等)
第243条の3

  1. 普通地方公共団体の長は、条例の定めるところにより、毎年2回以上歳入歳出予算の執行状況並びに財産、地方債及び一時借入金の現在高その他財政に関する事項を住民に公表しなければならない。

  2. 普通地方公共団体の長は、第221条項の法人について、毎事業年度、政令で定めるその経営状況を説明する書類を作成し、これを次の議会に提出しなければならない。

  3. 普通地方公共団体の長は、第221条項の信託について、信託契約に定める計算期ごとに、当該信託に係る事務の処理状況を説明する政令で定める書類を作成し、これを次の議会に提出しなければならない。

(普通地方公共団体の財政の運営に関する事項等)
第243条の4

普通地方公共団体の財政の運営、普通地方公共団体の財政と国の財政との関係等に関する基本原則については、この法律に定めるもののほか、別に法律でこれを定める。

(政令への委任)
第243条の5

歳入及び歳出の会計年度所属区分、予算及び決算の調製の様式、過年度収入及び過年度支出並びに翌年度歳入の繰上充用その他財務に関し必要な事項は、この法律に定めるもののほか、政令でこれを定める。

第十章 公の施設

(公の施設)
第244条

  1. 普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設(これを公の施設という。)を設けるものとする。

  2. 普通地方公共団体(次条項に規定する指定管理者を含む。次項において同じ。)は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない。

  3. 普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない。

(公の施設の設置、管理及び廃止)
第244条の2

  1. 普通地方公共団体は、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、公の施設の設置及びその管理に関する事項は、条例でこれを定めなければならない。

  2. 普通地方公共団体は、条例で定める重要な公の施設のうち条例で定める特に重要なものについて、これを廃止し、又は条例で定める長期かつ独占的な利用をさせようとするときは、議会において出席議員の3分の2以上の者の同意を得なければならない。

  3. 普通地方公共団体は、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、法人その他の団体であつて当該普通地方公共団体が指定するもの(以下本条及び第244条の4において「指定管理者」という。)に、当該公の施設の管理を行わせることができる。

  4. 前項の条例には、指定管理者の指定の手続、指定管理者が行う管理の基準及び業務の範囲その他必要な事項を定めるものとする。

  5. 指定管理者の指定は、期間を定めて行うものとする。

  6. 普通地方公共団体は、指定管理者の指定をしようとするときは、あらかじめ、当該普通地方公共団体の議会の議決を経なければならない。

  7. 指定管理者は、毎年度終了後、その管理する公の施設の管理の業務に関し事業報告書を作成し、当該公の施設を設置する普通地方公共団体に提出しなければならない。

  8. 普通地方公共団体は、適当と認めるときは、指定管理者にその管理する公の施設の利用に係る料金(次項において「利用料金」という。)を当該指定管理者の収入として収受させることができる。

  9. 前項の場合における利用料金は、公益上必要があると認める場合を除くほか、条例の定めるところにより、指定管理者が定めるものとする。この場合において、指定管理者は、あらかじめ当該利用料金について当該普通地方公共団体の承認を受けなければならない。

  10. 普通地方公共団体の長又は委員会は、指定管理者の管理する公の施設の管理の適正を期するため、指定管理者に対して、当該管理の業務又は経理の状況に関し報告を求め、実地について調査し、又は必要な指示をすることができる。

  11. 普通地方公共団体は、指定管理者が前項の指示に従わないときその他当該指定管理者による管理を継続することが適当でないと認めるときは、その指定を取り消し、又は期間を定めて管理の業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。

(公の施設の区域外設置及び他の団体の公の施設の利用)
第244条の3

  1. 普通地方公共団体は、その区域外においても、また、関係普通地方公共団体との協議により、公の施設を設けることができる。

  2. 普通地方公共団体は、他の普通地方公共団体との協議により、当該他の普通地方公共団体の公の施設を自己の住民の利用に供させることができる。

  3. 前二項の協議については、関係普通地方公共団体の議会の議決を経なければならない。
    (公の施設を利用する権利に関する処分についての審査請求)

第244条の4

  1. 普通地方公共団体の長以外の機関(指定管理者を含む。)がした公の施設を利用する権利に関する処分についての審査請求は、普通地方公共団体の長が当該機関の最上級行政庁でない場合においても、当該普通地方公共団体の長に対してするものとする。

  2. 普通地方公共団体の長は、公の施設を利用する権利に関する処分についての審査請求がされた場合には、当該審査請求が不適法であり、却下するときを除き、議会に諮問した上、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。

  3. 議会は、前項の規定による諮問を受けた日から20日以内に意見を述べなければならない。

  4. 普通地方公共団体の長は、第項の規定による諮問をしないで同項の審査請求を却下したときは、その旨を議会に報告しなければならない。
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